近年話題のセミリタイア。セミリタイアとは、早期退職の一種ですが、完全に仕事を辞める退職とは違い、一定の収入を投資や仕事で得ながら自分の自由な時間を過ごすというライフスタイルです。

本記事では、20代という早い段階でセミリタイアを成功させた「ほらいぬさん」にインタビューを行いました。セミリタイアでのライフスタイルや、20代セミリタイアだからこその悩み、30代、40代のセミリタイアとは異なる気を付けるべき点などにも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

セミリタイアの生活様式 ━「平日は自炊、週末はちょっと贅沢に」

Q：セミリタイア後の普段の生活について教えてください。

Q：お金の使い方で、何か意識していることはありますか？

長く使えるものや、自分の気持ちが豊かになると感じるものを購入するようにしています。それと、貯金と消費のルールとして、稼いだ分の3割は好きに使ってもいいという「3割ルール」を意識しています。

これらはバイトを始めた大学生時代に決めた自分なりのルールなんですが、これによって、自分が後悔しない良いものを買うために収入を増やすことに力を入れるようになり、結果、貯金もどんどん貯まる様になりましたね。そして特にセミリタイア後は、自分にとって本当に必要なものにしかお金を使わなくなりました。

旅行も趣味の一つではあるんですが、企業研究の一環として行っている部分もあります。普段からよく利用しているホテルの運営会社の株を持っているのですが、宿泊自体を楽しむこともそうですが、今のサービス内容がどうかなどの「企業理解を深める」という面でも宿泊しています。自分の趣味は、資産形成などお金に関する知識に結び付くようなものが多いのかなと思います。

セミリタイアに伴う生活の変化 ー「心身ともに余裕のある生活に」

Q：セミリタイアをして、一番変化を感じるポイントってどんなところなのでしょうか？

まず1つ目は、時間に余裕ができたこと、2つ目は、無理なく楽しい範囲で仕事ができていることです。これらによって体の調子も良く、自由時間にいろいろできるのが嬉しいです。あと、仕事に対しても気楽でいられるという点で変化は大きいですね。

Q：反対に、ギャップやネガティブな変化を感じた部分はありましたか？

私は今27歳なんですが、周りの27歳って働き盛りだったり家庭を持っていたりして、想像以上に同年代の人から構ってもらえないというところがありました（笑）。時間ができても、遊んだりする相手がいないというのは盲点だったなと。ですが、ジムや料理教室での交友関係や友達との出会いを通して、その点は克服できたかなとは思っています。そういう遊び方も自分の中ではいいなと感じていて、楽しめていると思います。

セミリタイアのきっかけと人生観「結婚して仕事を辞めて、妻でありつつ、でも経済的には自由でいたい」

Q：具体的にセミリタイアを意識されたタイミングや、資産形成を始めたきっかけなどについて教えていただきたいです

セミリタイアが視野に入るくらい資産形成が出来てきたタイミングで、今の彼から同棲のお誘いを受けました。一緒に引っ越すならセミリタイアしてしまおうかなと。本当はこのまま、もう少し資産を形成し続けて、完全なリタイアを視野に入れていたんですけどね。今の状況はセミリタイアといえど、労働だったり、資産を運用したりという作業が入っているので。形としては半ば強引にというか、私は完全には満足しない段階でセミリタイアに移行しました。

Q：「ある程度の収入と自由時間の確保」の答えとして今のセミリタイア生活なんですね

そうですね、自分のゴールは仕事を辞めて妻になりつつ、それでもお金は持っていて経済的にある程度自由という状態だったので。

それに、結婚していてパートで働いている方は扶養に入るために、年間130万円以下に収入を抑える必要があると思うんです。そうなると、自分の思い通りに稼ぐことは難しく、さらに仕事以外の時間は家事もしなくちゃいけない。それはそれでやりがいがある生活だと思いますが、時間的な制約からは逃れられないと感じてしまいました。楽しいことやおしゃれなど、自分のために使える時間が少なくなってしまうよりも、トレードや配当などでパートと同じくらい稼ぎがあり、自身の自由な時間も楽しめるというのが私には最高の形だなと思っています。

今の時点で、労働がなくても年間60万円くらいは入っていますし、100万円くらいならできない範囲ではないと思っています。

20代だからこそのセミリタイア生活の不安とは？

Q：20代でのセミリタイアを視野に入れたとき、やはり不安はあったのでしょうか？

まず、20代という早いタイミングで、セミリタイアをするっていう例がほとんどなくて。どんな記事を探してみても、30代後半なんですよね。

でも、だからこそ「自分が実際にそれをできたらすごいじゃん！」と思っていました。ですが、実際にセミリタイアに成功してみると、世間体としてはやはり良くないなと感じましたね。その壁はすごく厚くて、遊んでいるように見えたり、「働き盛りなんだからもっと稼げるのに！」という視線を感じたりしてしまいました。

私がコロナの時にすぐに投資に充てたお金が600万円だったのですが、それを用意するためにずっと働いていて、そのときに割と頑張っているなという自負があったんです。だから、その実績があるのに仕事を辞めてしまうのはもったいないかなと考えたこともありました。一方で、仕事のストレスから解放されたいという葛藤がありました。結果としては、それを含めてセミリタイアに踏み切ったんですけどね。

Q：諸々の不安はどう解消されたのでしょうか？

今後の生活・人生のビジョンについて

Q：セミリタイア生活を満喫していらっしゃるほらいぬさんですが、今後の生活や人生のビジョンなどはどのように考えているのでしょうか？

パートナーの彼と一緒に、不動産業もやってみたいという話になっていたのですが、最近、正式に会社を設立することが決まったんです。今年から私が代表取締役で不動産賃貸業を行っていく予定です。彼は銀行員なので、融資の知識なども借りつつやっていきたいと思っています。

家計は基本的に完全折半という形にしているのですが、お互いの貯金は把握して蓄えています。なので、実質、完全に別にはなっていないという感じです。これから未来に向けて新しいことに挑戦していくことになり、今、とてもワクワクしています。

インタビューを終えて

今回は、ほらいぬさんにセミリタイアについてのインタビューを行ってきました。

今回のインタビューのポイント

1. セミリタイア生活は基本自炊で、たまにちょっとした贅沢で外食や旅行に
2. 自由な時間が増えた・仕事のストレスがなくなり、セミリタイア生活の良さを実感できた
3. 増えた自由な時間は、今までの友人に加え、新たな友達とも過ごすようになった
4. 20代でのセミリタイアの悩みは、仕事から離れてしまうこと。解決として、自分の強みを活かせる仕事を始めた
5. 完全なリタイアではなく、無理のない範囲で働くことで、周囲の人の理解も得られやすい
6. 資産形成する専業主婦という形で収入と時間の確保を目指している

20代のセミリタイアには、仕事の重圧から解放されたり、趣味を楽しむ時間が増えたりというメリットも得られますが、世間体や金銭面での不安なども出てきます。セミリタイアするにあたっては不安に思う部分を自ら行動して、解消する姿勢も大切でしょう。

また、「資産形成する専業主婦」という新しい専業主婦像も、魅力的なポイントでした。扶養の壁を超えない年収を資産運用で稼ぐ主婦・主夫の形は、今後も広まっていくかも知れません。

将来なりたい自分への明確なビジョンを持ち、結婚や出産など、ライフステージに合わせてセミリタイアという選択肢を用意しておくこともおすすめです。