FXのリスクとは?
適切な対応策を解説
はじめてのFX講座-第24回

FXのリスクとは?適切な対応策を解説【はじめてのFX講座-第24回】

前回の講座では、FXと外貨預金の違いについて解説しました。FXと外貨預金には共通点もありますが、かかる手数料やコスト、税金面などの違いもありました。

ところで、これからFXを始めようとすると、FX取引のリスクについて不安を感じることがあるかもしれません。たしかに、FX特有のリスクを抑えるためには、適切な判断を行うための知識が必要です。 逆に、正しい知識を身につけて取引すれば、FX取引のリスクを抑えることもできます。

この記事では、FXの主なリスクとそれらを抑えるための具体的な対策について、初心者にもわかりやすく解説します。

STEP01
FXの主なリスク

FX取引を始める前に、さまざまなリスクについて理解しておくことが大切です。初心者が特に注意すべきリスクは次の8つです。

  • 為替変動リスク
  • 高レバレッジでの取引によるリスク
  • 強制ロスカットのリスク
  • 金利変動リスク
  • 流動性リスク
  • スリッページに伴うリスク
  • システムに関するリスク
  • 信用リスク

それぞれのリスクについて詳しく確認します。

為替変動リスク

為替変動リスクとは、為替相場が予想と反対に変動することで損失が発生するリスクのことをいいます。たとえば、1米ドル=150円のときに1米ドルを買い、その後1米ドル=155円になったときに売却すると5円の為替差益が得られます。 しかし、反対に1米ドル=145円になったとすると、5円の為替差損が生じます。

為替相場は、金融政策や経済指標、政治情勢、要人の発言など、さまざまな要因により変化するため、予測することは簡単ではありません。

高レバレッジでの
取引によるリスク

FXでは、高いレバレッジで取引をすることで大きな利益を狙える一方、大きな損失が生じるリスクもあります。日本では、個人の場合、最大25倍のレバレッジで取引することが可能です。 少ない資金でも高額での取引ができるため、大きな利益を得られる可能性がありますが、為替相場が予想に反して動くと損失が大きくなるリスクがあります。

たとえば、1米ドル=150円のとき、150,000円の証拠金で買い建玉(ロングポジション)を建てたとします。1米ドル=149円になったとき、 レバレッジが1倍・5倍・10倍・25倍の場合の損失額は、それぞれ以下のとおりです。

レバ
レッジ
取引数量 取引金額 損失額
1 1,000通貨 150,000 -1,000
5 5,000通貨 750,000 -5,000
10 10,000通貨 1,500,000 -10,000
25 25,000通貨 3,750,000 -25,000

25倍のレバレッジで取引する場合、1倍のときと比べて損失額も25倍になることがわかります。レバレッジについては、こちらの記事で理解を深めてください。

強制ロスカットのリスク

強制ロスカットとは、FX取引で損失が一定基準を超えたときに、自動的に全ての建玉(ポジション)が決済される仕組みです。

本来、強制ロスカットは損失の拡大を防止し、投資家を保護する役割を担うものです。ただし、強制ロスカットは必ずしも万能ではなく、 相場が急激に変動したときは預け入れた証拠金を上回る損失が生じる可能性もあります。

FXの強制ロスカットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

金利変動リスク

金利変動リスクとは、金利の変動によって損失が発生するリスクのことです。FX取引では2か国間の金利差によって「スワップポイント」が発生します。スワップポイントの基本的な仕組みは、 金利の高い国の通貨を買い、金利の低い国の通貨を売った場合に受け取れる、というものです。

しかし、スワップポイントは各国の政策金利や経済情勢、需給のバランスなどに応じて変動します。そのため、状況によっては支払い(マイナススワップ)が発生するケースもあります。 スワップポイントについて詳しく知りたい人は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

流動性リスク

流動性とは、市場でスムーズに資産を売買できるかどうかを表す用語です。売り手と買い手が少ないタイミングは「流動性が低い」状態といえます。その結果、取引そのものが不成立となったり、 希望するレートで約定できなかったりすることがあります。これが流動性リスクです。

土日を挟んだ週明けや、他の主要市場が開いていない日本時間午前5時〜8時ごろは、取引量が少なく流動性が低下します。

スリッページに伴うリスク

スリッページとは、注文を出したレートと、実際に約定したレートにずれが生じることをいいます。このずれにより、注文時よりも不利な価格で約定してしまうことがスリッページに伴うリスクです。 なお、不利な価格だけで無く、有利な価格で約定するケースもあります。

スリッページは、為替相場が急変したときに起こりやすいです。たとえば、「1米ドル=150.00円」で米ドルを買おうとしたとき、約定するタイミングで為替レートが急変し「1米ドル=150.01円」になると、 0.01円のずれが生じます。もし10,000通貨の取引をした場合、その差は100円となり、取引数量が増えるほど差が大きくなります。

FX会社によっては、スリッページを許容しない設定にすることができますが、注文が約定しづらくなるというデメリットもあります。

システムに関するリスク

システムに関するリスクとは、システム障害や回線トラブルなどにより、思うようなタイミングで操作や注文ができず、損失が生じるリスクのことをいいます。また、投資家サイドの原因として、 注文ミスやPC・スマホなどの故障といったことも考えられます。デバイスの状態や通信環境については、定期的に確認することが大切です。

ほかのリスクと比べると発生する可能性は低いといえますが、リスクを軽減するには取引システムにかかる信頼性の高いFX会社を選ぶことが大切です。

セントラル短資FXでは、「FXダイレクトプラス」として、自社の高い技術力を生かして独自の取引システムを開発しています。顧客の注文が取引システムに到達してから取引が成立するまでの 時間(約定速度)は業界最速水準の0.001秒※、注文が実際に取引として成立する割合(約定率)は100%※を誇っています。

※2025年1月10日(金)米国雇用統計発表前後3時間(19時30分~翌1時30分)に当社システムに到達した取引を対象に実施した調査結果です。約定速度は当社内処理速度の中央値、 約定率はスリッページの許容範囲を設定した注文を除いたものです。スリッページの許容範囲を設定した注文を含めた約定率は99.1%です。

信用リスク

信用リスクとは、FX会社の経営破綻などが発生した際に、預けた資金が返還されなくなるリスクのことです。

仮にFX会社が破綻したとしても、FXには信託保全という仕組みがあり、証拠金や利益は保護されています。信託保全とは、FX会社が顧客から預かった資金を外部の信託銀行などに分けて管理する仕組みのことです。 これにより顧客の資金は、FX会社の経営資金とは分離されて保全されます。そのため、仮にFX会社が倒産しても、信託財産の範囲内で個々の口座資産に応じた額が、受益者代理人を通じて直接返還されます。

STEP02
FX初心者が見落としがちな
3つの注意点

ここまでご紹介したように、FX取引にはリスクがありますが、特に気を付けたい注意点として次の3つがあります。

  • コスト
  • セキュリティ
  • ストレス

どれも見逃すと思わぬ損失やトラブルにつながる可能性もあるため、しっかりと理解しておきましょう。

コスト

FXにおけるコストの1つとして「スプレッド」があります。スプレッドとは、通貨ペアの買値と売値の差額のことです。 たとえば、1米ドル/円の買値が150.00円、売値が150.01円の場合のスプレッドは0.01円、つまり1銭です。

スプレッドが拡大しやすいタイミングで取引すると、実質的なコストが多くかかってしまう可能性がある点に注意しましょう。 スプレッドは、週明けの月曜早朝や主要市場のオープン直後、重要な経済指標の発表前後などに拡大しやすい傾向があります。

セキュリティ

FX取引では、PCやスマホなどの機器のセキュリティ対策を万全に備えておくことが大切です。仮にセキュリティ対策が不十分な場合、マルウェアに感染してしまったり、 アカウントを乗っ取られたりするおそれがあります。

ログイン情報が盗まれると、知らない間に勝手に取引されたり、口座から出金されたりしてしまうかもしれません。こういった不正から資産を守るためには、 FX会社が推奨するセキュリティ対策を実施しておく必要があります。

ストレス

FX取引をする中で、気づかないうちに大きなストレスがかかってしまうことがあります。特に、長時間のトレードを行ったときや大きな損失を被ったときなどは注意が必要です。

ストレスを抱えたままの状態で取引をすると、適切な判断ができなくなり、取引に悪影響を及ぼすこともあります。メンタルを上手にコントロールしながら、無理のない範囲で取引しましょう。

STEP03
FXのリスクを減らす
5つの方法

ローソク足

FX取引をするうえで可能な限りリスクを減らすためには、次の5つの方法が効果的です。

  • 低レバレッジで取引する
  • 損切りを徹底する
  • 学習や情報収集・分析の習慣をつける
  • 余剰資金で取引する
  • 優れたFX会社を選ぶ

リスクを減らしてできるだけ安全な状況で取引できるよう、1つずつ確認していきましょう。

低レバレッジで取引する

大きな損失を避けるために、特に初心者のうちは低レバレッジでの取引がおすすめです。レバレッジは最大25倍で取引可能ですが、レバレッジが高くなると利益が大きくなる一方で損失も大きくなるためです。 トレードスタイルに応じて、以下の倍率を目安に取引するとよいでしょう。

  • デイトレード:5倍程度
  • スイングトレード:3倍程度
  • 長期保有:2倍程度

低レバレッジでの取引は、損失を抑える効果だけでなく、強制ロスカットを回避する効果も期待できます。

損切りを徹底する

損失の拡大を抑えるために、損切りルールを設定し順守することが大切です。損切りとは、あらかじめ自分が決めた一定のラインに損失が達したときに、 建玉(ポジション)を決済して損失を確定させることです。

為替相場が予想と反対に動いた場合に「そのうち戻るかもしれない」と建玉(ポジション)を保有し続けていると、 損失がさらに拡大するおそれがあります。

学習や情報収集・
分析の習慣をつける

FXに関して基礎的な知識を学習したり、日々の情報収集を欠かさず行ったりすることは、リスクを抑えるためにも重要なことです。FX取引で利益を狙うには通貨ペアの値動きを予測して判断する必要がありますが、 根拠のない投資はギャンブルと同じになってしまうからです。

テクニカル分析やファンダメンタルズ分析といった分析手法を学ぶことも大切です。詳しくは以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。

余剰資金で取引する

FX取引は、生活費など必要な費用を差し引いて残った「余剰資金」で行うようにしましょう。たとえば、子どもの教育費や万が一のときのための貯蓄などの資金で取引するのは厳禁です。 日々の生活や将来のために必要な資金を使って取引すると、「絶対に損してはいけない」といった思いから、 感情的になり冷静な取引ができなくなることもあるため、注意しましょう。

優れたFX会社を選ぶ

口座を開設するときは、以下の点に注目してFX会社を選ぶのがおすすめです。

  • 財務状況が健全である
  • システムが安定している
  • ツールが使いやすい
  • 教育コンテンツが充実している

セントラル短資FXは、創業100年以上の歴史を誇るセントラル短資グループの一員です。また、2007年から19年連続で、株式会社日本格付研究所(JCR)の長期発行体格付を取得しており、事業内容、財務状況の健全性および経営の透明性について、 専門の第三者機関による客観的な評価を得ています。セントラル短資FXの「FXダイレクトプラス」は、取引システムの安定性も高く、質の高いサービスを提供しています。利用できるスマホアプリには、パソコン用の取引ツールに匹敵する多彩なチャート機能が盛り込まれており、 動画や為替の専門家のコラムなど、投資家向けの各種コンテンツも豊富に展開しています。

KEY POINT
FXはリスクをふまえて
慎重な取引を心がけよう

為替変動リスクや高レバレッジの取引でのリスクなど、FXには特有のリスクがあります。コストやセキュリティといった、初心者が気づきにくい点にも注意しなければなりません。

FX取引を安全に行うためには、正しい知識を身につけ、可能な限りリスクを減らすための対策を実施することが大切です。低レバレッジでの取引や損切りを徹底することで、大きな損失を被るリスクを軽減できます。 また、信頼できるFX会社を選ぶことも重要なポイントの1つです。

次回の講座では、リスクへの対策の1つでもある「損切り」について詳しく解説します。損切りは、FXで安定した利益を出すために欠かせないものです。損切りの重要性や目安について、 初心者にもわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。