FXの通貨ペアとは?
選び方とおすすめの
通貨ペア
はじめてのFX講座-第13回

FXの通貨ペアとは?選び方とおすすめの通貨ペア【はじめてのFX講座-第13回】

前回の講座では、FX取引の担保となる証拠金について解説しました。証拠金が準備できて、いよいよFX取引を始めようとすると、「どの通貨ペアを選べばよいのか」「おすすめの通貨ペアはどれなのか」といったより具体的な疑問が湧いてきた方もいるでしょう。

通貨ペアの選択は取引の方針とその成果に大きく影響するため、適切な選び方を知ることが重要です。今回は、通貨ペアの概要はもちろん、初心者におすすめの通貨ペアや、その選び方などについて解説していきます。

STEP01
FXの通貨ペアとは

FXの通貨ペアとは、取引する2つの通貨の組み合わせを指します。異なる2つの国の通貨を交換する際のレートが通貨ペアの価格となります。 FX取引においては、レート(通貨ペアの価格)の変動により生じる差額を利益として得ることを狙って取引を行うことが基本的な取引手法の 一つです。具体的には、「米ドル/円の買い=日本円を売って米ドルを買う」「米ドル/円の売り=米ドルを売り日本円を買う」といった形で取引をして利益を狙います。

基軸通貨と決済通貨

FXの通貨ペアを表記する際は、「米ドル/円」といった形で、慣例的に通貨間を「/」で区切るのが一般的です。このとき、 「/」の左側の通貨を「基軸通貨※」、右側の通貨を「決済通貨」といいます。
※ 通貨ペアでの基軸通貨(base currency)は、多国間での貿易で決済に利用される基軸通貨(key currency)とは別のものです。

たとえば、「米ドル/円」では、米ドルが基軸通貨、日本円が決済通貨です。この場合、「米ドル/円=150円」といった表記は、1米ドルが日本円のいくらに相当するかを表しています。 取引における損益は決済通貨に反映され、「米ドル/円」の場合は日本円で損益が生じることになります。

メジャー通貨とマイナー通貨

FXでは多様な通貨で取引することができますが、大きく「メジャー通貨」と「マイナー通貨」の2つに分けられます。

メジャー通貨には主要な国々の通貨が含まれます。メジャー通貨は取引量が多く、それらを発行する国々のニュースも多く扱われており、情報を収集しやすいことが特徴です。 このため、FXの初心者に向いているといえます。一方、マイナー通貨は、取引量が少ない通貨のことをいいます。

ただし、メジャー通貨とマイナー通貨の区分けには明確な基準はなく、ただ単に取引量のみでは判断できないこともあります。 たとえば、現状では、マイナー通貨として扱われている中国人民元も、取引量だけで見ればメジャー通貨に劣りません。

メジャー通貨とマイナー通貨の例は、以下のとおりです。

メジャー通貨 マイナー通貨
通貨
の例
  • 米ドル
  • ユーロ
  • 英ポンド
  • 豪ドル
  • 日本円
  • カナダドル
  • スイスフラン
  • ニュージー
    ランドドル
  • トルコリラ
  • 南アフリカ
    ランド
  • メキシコ
    ペソ
  • ハンガリー
    フォリント
  • 中国人民元
  • 香港ドル
  • ブラジル
    レアル
  • シンガ
    ポールドル

ドルストレート、
外貨クロス、クロス円

FXにおける通貨ペアには、さまざまな組み合わせがあり、その組み合わせの種類により次のような名称がつけられています。

  • 「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」「英ポンド/米ドル」「米ドル/カナダドル」など、米ドルが含まれる通貨ペアを 「ドルストレート」といいます。
  • これに対して、米ドルが含まれない通貨ペアを「外貨クロス」といいます。 例えば、「ユーロ/円」や「ポンド/スイス」といった通貨ペアです。
  • 日本円が含まれる通貨ペア(「対円通貨ペア」ともいいます)のうち、「米ドル/円」以外の通貨ペアを 「クロス円」といいます。例えば、「ユーロ/円」「英ポンド/円」といった通貨ペアです。

みなさんに一番なじみの深い「米ドル/円」は、「ドルストレート」でもあり、「対円通貨ペア」でもあるわけです。

なお、FX取引では、通貨ペアの右側の通貨によって損益が計算されます。 例えば、「米ドル/円」の場合は「円」で、「ユーロ/米ドル」の場合は米ドルで損益が発生します。

FX会社の多くが、日本円以外の損益を自動で日本円に両替する仕組みとなっていますが、 セントラル短資FXでは、取引設定によっては自動両替せずに米ドルなどの一部の外貨で損益を受け取ることもできますし、 それらの外貨をそのまま口座に入出金することもできます。

STEP02
「FXダイレクトプラス」で
取引できる通貨ペア一覧

FX会社によって、取引できる通貨ペアには違いがあります。たとえば、セントラル短資FXの「FXダイレクトプラス」 で取引可能な通貨ペアは以下のとおりです。本稿掲載時点では27通貨に上ります。

スクロール
「FXダイレクトプラス」で
取引できる通貨ペア
  • USD/JPY
    (米ドル/円)
  • EUR/JPY
    (ユーロ/円)
  • GBP/JPY
    (ポンド/円)
  • AUD/JPY
    (豪ドル/円)
  • ZAR/JPY
    (南アランド/円)
  • HUF/JPY
    (ハンガリーフォリント/円)
  • MXN/JPY
    (メキシコペソ/円)
  • TRY/JPY
    (トルコリラ/円)
  • NZD/JPY
    (ニュージーランドドル/円)
  • CNH/JPY
    (人民元/円)
  • CAD/JPY
    (カナダドル/円)
  • CHF/JPY
    (スイスフラン/円)
  • EUR/USD
    (ユーロ/米ドル)
  • GBP/USD
    (英ポンド/米ドル)
  • AUD/USD
    (豪ドル/米ドル)
  • NZD/USD
    (ニュージーランドドル/米ドル)
  • EUR/AUD
    (ユーロ/豪ドル)
  • GBP/AUD
    (英ポンド/豪ドル)
  • EUR/GBP
    (ユーロ/豪ドル)
  • USD/CAD
    (米ドル/カナダドル)
  • USD/CHF
    (米ドル/スイスフラン)
  • EUR/CHF
    (ユーロ/スイスフラン)
  • GBP/CHF
    (英ポンド/スイスフラン)
  • AUD/CHF
    (豪ドル/スイスフラン)
  • NZD/CHF
    (ニュージーランドドル/スイスフラン)
  • AUD/CAD
    (豪ドル/カナダドル)
  • AUD/NZD
    (豪ドル/ニュージーランドドル)

※2025年6月時点

各通貨ペアの実際の価格については、下記のページで確認できます。

STEP03
FX初心者が通貨ペアを
選ぶ際の4つのポイント

FXでは、さまざまな通貨ペアの選択肢があります。どれを選ぶか迷ってしまいそうですが、FX初心者は次の4つのポイントを意識して選ぶのがおすすめです。

  • 取引量の多さ
  • 適度なボラティリティ(変動率)
  • スプレッドの幅
  • 情報の取得しやすさ

いずれも、通貨ペアを選ぶ際に大切なポイントですので、それぞれについて詳しく解説していきます。

取引量の多さ

FX初心者が最初に取引するのは、取引量が多い通貨ペアが良いといわれています。

取引量の多い通貨ペアは大勢の投資家が売買しているため、値動きが比較的安定しているという傾向があります。 また、取引量が多いという特徴は、後述する「情報を取得しやすい」というメリットにもつながっています。

なお、取引量が多い通貨ペアのことを、「流動性が高い通貨ペア」ということがあります。 「流動性」とは、「買いたいときに買いやすく、売りたいときに売りやすい」という取引のしやすさのことです。 FXではよく使われる表現ですので、覚えておきましょう。

流動性は、FXの実質的なコストにあたる「スプレッド」にも関係しています。スプレッドと流動性については、 以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

適度なボラティリティ(変動率)

比較的安定した値動きを示しながらも、ほどよいボラティリティがある通貨ペアを選ぶのもおすすめです。

ボラティリティとは、為替レートが変動する度合いのことをいいます。為替レートの変動が大きい場合には、ボラティリティが大きい、 反対に為替レートの変動が小さい場合には、ボラティリティが小さいと表現します。

ボラティリティが小さく、レンジ相場(為替レートが一定の範囲内で上下を繰り返す相場)を形成しやすい通貨ペアでは、通貨ペアの売買によって利益を出すのは比較的難しくなります。しかし、ボラティリティが大きい通貨ペアだと、損失のリスクも大きくなる点にも注意する必要があります。たとえば、値動きが比較的大きい通貨ペアとして、 英ポンドなどが挙げられますが、こうした通貨ペアは、初心者にとって取引により利益を得るのが難しい通貨ペアといえるでしょう。

また、ボラティリティが小さい通貨ペアは、リピート売買に向いています。リピート売買とは、事前に設定した注文条件にしたがって、新規注文と決済注文を繰り返す取引方法です。 リピート売買については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

スワップポイント狙いで取引をする場合も、ボラティリティが小さい通貨ペアの方が好ましいといわれています。日々スワップポイントで得られる利益より、為替変動での損失が大きくなってしまう可能性があるためです。比較的ボラティリティが小さく、スワップポイントで利益を狙いやすい通貨ペアとして、ハンガリーフォリント/円があります。 ハンガリーフォリント/円の特徴については、以下のページで解説していますので、興味のある方はあわせてご覧ください。

スプレッドの幅

FXで利益を狙うためには、スプレッドが狭い(小さい)通貨ペアを選ぶこともポイントです。

スプレッドとは、売値と買値の差のことで、FX取引にかかる実質的なコストといえます。たとえば、米ドル/円について、売値が150.000円、買値が150.002円の場合のスプレッドは0.002円(0.2銭)となります。 スプレッドが狭いほど低コストで取引できることになるため、取引の際には意識しておきたい重要なポイントの1つです。

スプレッドは主要経済指標の発表時などに変動することがありますが、通貨ペアによっても異なるため、できるだけ狭いものを選ぶことでコストをおさえることができます。マイナー通貨よりも、メジャー通貨のほうが、 スプレッドが狭くなる傾向があります。スプレッドについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

情報の取得しやすさ

情報が入手しやすい国や地域の通貨ペアを選ぶことも大切です。為替レートは、経済指標の公表や金融政策の動向、経済危機などの出来事、要人発言などのさまざまな要因によって変動します。 リスクを回避しながら利益を狙うには、こういった情報をどれだけ集められるかがポイントになります。

メジャー通貨を発行している国や地域の情報は取得しやすいため、市場の動向を総合的に分析し、最適な取引のタイミングを見極めるのに役立つでしょう。一方で、マイナー通貨を発行している国や地域に関する情報は、 日常的には取得しにくいのでマイナー通貨を取引する場合には注意が必要です。

このような理由から、日本人がもっとも関連情報を得やすい「米ドル/円」が、初心者におすすめの通貨ペアといえます。もちろん、オーストラリアの事情に詳しい方であれば「豪ドル/円」、 ヨーロッパの事情に詳しい方であれば「ユーロ/円」を選ぶなど、自分の知識に合わせて通貨ペアを選択してもよいでしょう。

STEP04
FX初心者に
おすすめの通貨ペア

これまでの解説を踏まえて、初心者がFXを始める際におすすめの通貨ペアの特徴は次のとおりです。

  • 対円通貨ペア
  • 高金利の通貨ペア

はじめのうちは、上記の特徴を持つ通貨ペアのなかから通貨ペアを選択するとともに、取引する通貨ペアを1つに限定するのがおすすめです。 1つの通貨ペアの値動きや特徴などの分析に集中することで、リスクをおさえながらFX取引についての理解を深められるでしょう。

対円通貨ペア

FX初心者には、「米ドル/円」や「豪ドル/円」、「ユーロ/円」といった対円通貨ペアから取引を始めるのがおすすめです。

特に、「米ドル/円」はFX取引の代表ともいえる通貨ペアで、スプレッドやボラティリティの観点でもおすすめです。また、米ドルは世界でもっとも取引量が多く、 アメリカに関する情報はニュースなどでも日常的に見られるため、政治や経済、金融などの情報を取得しやすい点もメリットの1つです。

高金利の通貨ペア

高金利の通貨ペアも、おすすめの通貨ペアの1つです。

FXで得られる利益には、「安く買って高く売る」といった形で利益を得る「為替差益」と、異なる2つの通貨間の金利差調整分である「スワップポイント」があります。 スワップポイントは、取引をする通貨間の金利差調整分のことで、建玉(ポジション)を保有している間は原則として毎営業日発生するものです。

スワップポイントによる利益を狙うには、高金利通貨と、それと比較して金利の低い通貨(たとえば日本円)を組み合わせた通貨ペアで取引するのがおすすめです。 代表的な高金利通貨としては、以下のものが挙げられます。

  • トルコリラ
  • メキシコペソ
  • ハンガリーフォリント

ただし、各国の政策金利や経済情勢、需給のバランスなどに応じて、それまで受け取り(プラス)だったスワップポイントが支払い(マイナス)に転じることもあります。 マイナスに転じたスワップポイントを「マイナススワップ」といいますが、「マイナススワップ」も原則として毎営業日発生するため、そうした状態で長期間保有すると支払う金額も大きくなります。

また、重要な注意点として、高金利通貨はメジャー通貨と比べると、金融政策の変更や要人発言、政治動向などにより急激な相場変動が起こる可能性が高いといえます。なお、ハンガリーはEUやNATOに加盟しており経済・軍事的に比較的安定した国家であり、 その通貨のハンガリーフォリントも高金利通貨の中では値動きが比較的安定しています。

いずれにしても高金利通貨ペアで取引をする場合は、その国の政治や経済の情勢をこまめにチェックしながら、慎重に取引することが重要です。

KEY POINT
通貨ペアごとの
特徴をふまえて
FX取引を始めよう

通貨ペアを選ぶときは、取引量の多さやボラティリティの度合い、スプレッドの幅、関連情報の得やすさに着目しましょう。取引に慣れない間は、メジャー通貨の対円通貨ペアがおすすめです。特に、「米ドル/円」など、日本人になじみ深く情報を得やすい通貨ペアを選ぶとよいでしょう。 また、取引に慣れるまでは、1つの通貨ペアに絞って取引を行うことをおすすめします。

次回の講座では、FX取引における取引数量を表す単位の1つである「ロット(取引単位)」について、初心者にもわかりやすく解説します。実際に注文する際は、通貨ペアだけでなく取引数量についても考える必要があるため、 ロットについてもきちんと理解しておきましょう。