前回は、取引する通貨ペアの選び方等について解説しました。取引を始めるには、通貨ペアの選択だけでなく、どのくらいの量で取引するのか、つまり「ロット(Lot)」について理解しておく必要があります。FXにおいて、ロット(Lot)とは取引数量を表す単位のことであり、 「取引単位」といわれることもあります。あまり耳なじみのない言葉のため、FX初心者には理解しにくいかもしれません。
しかし、ロット(Lot)を理解することは、FX取引のリスクを管理するためにも大切です。FX初心者も、どの程度のロット(Lot)で取引するか慎重に検討しなければなりません。 今回は、FXにおけるロット(Lot)とは何なのか、初心者にもわかりやすく解説していきます。
はじめに、ロット(Lot)とはどのような意味なのかについて解説した後で、取引の単位としてロット(Lot)使われる理由やレバレッジとの違いについて解説します。取引を始める前にきちんと理解しておきましょう。
FXにおける「ロット(Lot)」とは、取引数量の単位(取引単位)のことです。
FXの注文はロット(Lot)を使って行われます。1ロット(Lot)あたりの取引数量の設定は、FX会社や通貨ペアによって異なりますが、多くの場合、1,000通貨または10,000通貨となっています。1ロット(Lot)の取引数量を把握しておかないと、意図せずに大きな数量で注文してしまう可能性もありますので、注意しましょう。また、1回で取引できる数量や、 保有できる建玉(ポジション)の数量に上限があるケースもあるため、取引の前にしっかりと確認しておくことをおすすめします。
なお、セントラル短資FXの「FXダイレクトプラス」では、誤解が生じないように、ロット(Lot)という表記は使っていませんが、取引画面上に分かりやすく、 1,000通貨単位(ハンガリーフォリントは10,000通貨単位)で取引できるよう表示しています。
セントラル短資FXの「FXダイレクトプラス」の取引画面等の詳細は下記のサービス概要をご覧ください。
FXでは、米ドル/円をはじめ、英ポンド/円やユーロ/米ドルなど、多種多様な通貨ペアが大量に取引されます。それぞれの通貨ペアでは取引単位が異なることがあるため、 単位をロット(Lot)に統一することで、シンプルな画面で取引を行えるようになるというメリットがあります。
その一方で、FX会社や通貨ペアによって、1ロット(Lot)あたりの取引数量が異なる状況は、投資家が本当に取引したい数量を間違ってしまうというデメリットもあります。ロット(Lot)を採用しているFX会社では、 本当に取引したい数量を間違えないように、常に取引数量を意識して取引を行うようにしましょう。
このように、ロット(Lot)という表記にはメリット、デメリットの両面がありますが多くのFX会社ではロット(Lot)が採用されているため、その意味についてはしっかりと理解しておく必要があります。 以降の説明ではロット(Lot)を基準としていますが、取引数量であることを意識して読み進めてください。
レバレッジとは、担保となる証拠金を預けることで、預けた資金の最大25倍(個人口座の場合)の取引ができる仕組みです。 レバレッジの倍率は、次のように求められます。
たとえば、1ロット(Lot)=1,000通貨の場合に、1米ドル/円=150円のとき、米ドル/円の通貨ペアを1ロット(Lot)、 30,000円の証拠金を入金して取引するとします。このケースでは、レバレッジの倍率は以下のように求められます。
同じ証拠金の額でも取引するロット(Lot)数が変わるとレバレッジの倍率も変わる、という関係性になっています。低レバレッジでの取引を行うには、 証拠金の額を増やすか、ロット(Lot)数を小さくおさえる必要がある点を覚えておきましょう。
なお、レバレッジの意味や取引の際のポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
実際のFX取引の中で、ロット(Lot)を使った計算が行われる場面がいくつかあります。
それぞれの計算方法について、初心者向けにわかりやすく解説します。
なお、以降の例では、1ロット(Lot)=1,000通貨として計算していますので、 留意してください。FX会社によって1ロット(Lot)の取引数量は異なります。
1ロット(Lot)の注文を出す際の取引金額は、以下のように求められます。
たとえば、米ドル/円=150円で1ロット(Lot)の取引をする場合、取引金額は150,000円になります。ただし、この金額は外貨両替で必要になる現物の価格となります。FXは外貨両替とは異なり、 レバレッジの仕組みがあるため、より少ない資金(証拠金)で取引できます。 一方で、証拠金を減らすほどレバレッジの倍率が高くなり、取引のリスクが高くなる点には注意しましょう。
1ロット(Lot)の取引を行うのに最低限必要な証拠金の額は、以下のように求められます。
米ドル/円の通貨ペアを、米ドル/円=150円のときに1ロット(Lot)取引する場合を例に考えてみましょう。
前述したとおり、FXではレバレッジという仕組みがあるため、最低でも6,000円あれば取引自体はできるということになります。しかしながら、実際は、25倍という高レバレッジでの取引には大きなリスクが伴いますので、為替レートがほんの少し動いただけでも強制ロスカットされる可能性が高まります。 特に初心者のうちは、証拠金を多めに入れて、レバレッジを低くおさえる形で取引を行うことをおすすめします。
なお、証拠金についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
1ロット(Lot)あたりの損益は、以下のように求められます。
たとえば、米ドル/円で10ロット(Lot)の買い注文が150.00円で成立し、その後155.00円で決済したケースでの利益を考えてみましょう。
この場合、計算式における「決済価格-新規価格」は「pips」(ピップスと読みます)という単位を使って表すことができます。pipsとは、為替レートの変動幅を表す共通の単位で、 スプレッド(買値と売値の差)の単位として利用されることがあります。たとえば、セントラル短資FXの「FXダイレクトプラス」の場合、対円通貨ペア(円を含む通貨ペア)では1pips=0.01円(=1銭)となります。 なお、pipsは共通の単位といっても絶対ではなく、一部の会社では独自の単位を採用している場合もありますので、取引の前に必ず確認しましょう。
なお、「pips」については、セントラル短資FXの「よくあるご質問」のページでも解説していますので、ご覧ください。
ロット(Lot)数に応じて、pipsごとにどの程度の損益が出るのか、例を下表にまとめました。下表は対円通貨ペアで、1ロット(Lot)=1,000通貨の場合です。
pips | 1,000通貨 (1ロット) |
10,000通貨 (10ロット) |
---|---|---|
1pips (1銭) |
10円 | 100円 |
10pips (10銭) |
100円 | 1,000円 |
100pips (1円) |
1,000円 | 10,000円 |
このように、pipsが大きくなるほど、あるいはロット(Lot)数が増えるほど損益も大きくなることがわかります。 なお、pipsについてさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事もご参照ください。
その時点で入金されている証拠金で取引できるロット(Lot)数は、以下のように求められます。
たとえば、300,000円の証拠金が入金されている場合、米ドル/円=150円のときに、レバレッジ1倍で取引できる米ドル/円のロット(Lot)数を考えてみましょう。
レバレッジを5倍にする場合は、2ロット(Lot)にレバレッジ倍率の5を掛け、10ロット(Lot)で取引をします。
また、取引するロット(Lot)数は、受け取れるスワップポイントの額にも関わります。日本人に馴染み深い米ドル/円とスワップポイントが高いトルコリラ/円で、 1日あたりのスワップポイントとそれが1年間続くと仮定した場合の年間のスワップポイントの合計金額、年率換算の例を下表にまとめました。
通貨ペア | 為替レート | 1ロット (1,000通貨)の 取引金額 |
1ロットの スワップポイント (1日) |
1ロットの スワップポイント (年間) |
スワップ ポイントの 年率換算(%) |
---|---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 米ドル/円=150円 | 150,000円 | 16円 | 5,760円 | 3.84% |
トルコリラ/円 | トルコリラ/円=4円 | 4,000円 | 3円 | 1,080円 | 27% |
通貨 ペア |
為替 レート |
10ロット (10,000通貨)の 取引金額 |
10ロットの スワップポイント (1日) |
10ロットの スワップポイント (年間) |
スワップ ポイントの 年率換算(%) |
---|---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 米ドル/円=150円 | 1,500,000円 | 160円 | 57,600円 | 3.84% |
トルコリラ/円 | トルコリラ/円=4円 | 40,000円 | 34円 | 12,240円 | 30.6% |
※実際のスワップポイントは日々変動(増減)するため、年間で受け取れるスワップポイントの合計金額や年率換算もあわせて変動します。表中のスワップポイントはあくまでも一例であり、 当社の実績とは異なります。実際のスワップポイント実績は以下を参照してください。
特に、建玉(ポジション)を長期保有する場合は、その通貨ペアで得られるスワップポイントも意識してロット(Lot)数を検討しましょう。
FX初心者は、慣れるまでは1ロット(Lot)=1,000通貨で取引するとよいでしょう。損失が発生した場合も少ない額におさえることができるためです。 最初は小さいロット(Lot)数から始めて、少しずつロット(Lot)数を増やしていくのがおすすめです。
初心者のうちは低レバレッジになるように、ロット(Lot)数を調整しましょう。レバレッジが高いと得られる利益は多くなりますが、その分大きな損失が出るリスクも高まります。FXで継続的な利益を上げるには、実践を通じて経験値を高めることが何よりの近道です。 無理のない範囲で取引の経験を蓄積し徐々に取引をレベルアップしていくことをおすすめします。
FX初心者はこのタイミングではロット(Lot)数を増やすべき、といった明確なタイミングはありません。個人毎に証拠金として入金できる金額やそれまでの収支などが異なるためです。
ロット(Lot)数を増やすタイミングの例として、以下のようなケースが挙げられます。
※「損切り」とは、損失を自身が設定する許容範囲内におさえるための取引を行うことをいいます。
ロット(Lot)数を増やす際には、レバレッジの倍率が高くなりすぎないように慎重に行いましょう。
ロット(Lot)数を増やす方法の1つに、毎月決まった額の証拠金を追加で入金し、その額の範囲内でロット(Lot)数を増やす、という方法があります。
この方法であれば、証拠金も増えるため、レバレッジの倍率が高くなりすぎるのを防ぐことができます。ロット(Lot)数を増やすことを検討する際は、
ぜひこの方法も参考にしてみてください。いずれにしても、ロット(Lot)数を増やすと利益、損失の双方が大きくなります。
冷静に取引できず、損切りルールを守れないと感じた場合には、すぐにもとのロット(Lot)数に戻すことも重要です。
FXのロット(Lot)とは、取引数量の単位のことです。リスクを回避するために取引数量について慎重に判断することが必要です。 レバレッジを考える際にも、ロット(Lot)について正しい知識を身につけることが大切です。
初心者のうちは、取引に慣れるまでは1ロット(Lot)=1,000通貨から始めることをおすすめします。取引に慣れて、安定した収益が出せるようになってきたタイミングで、 ロット(Lot)数を徐々に増やしていくとよいでしょう。
次回の講座では、為替レートの値動きの幅を表す単位「pips」について解説していきます。単位の意味はもちろん、 具体的な計算の例についても、初心者向けにわかりやすくご紹介します。