指値注文と
逆指値注文とは?
特徴や使い方等を解説
はじめてのFX講座-第16回

指値注文と逆指値注文とは? 特徴や使い方等を解説【はじめてのFX講座-第16回】

前回の講座では、2つのレート差を表す場合の共通単位として使われる「pips」について解説しました。FXにおいてpipsは主に値動きを表す際に使われます。

値動きといえば、あらかじめ指定した為替レートに到達したタイミングで注文できれば、便利だと思いませんか?

FX取引では、現在の為替レートで注文を入れられる「成行注文」だけでなく、指定の為替レートで注文できる「指値注文」と「逆指値注文」があります。あらかじめ為替レートを指定しておくことで、 希望どおりのレートで建玉(ポジション)を保有したり、決済することができるので、投資戦略の幅が大きく広がります。

今回は、これからFXを始める人や始めて間もない人向けに、指値注文と逆指値注文の特徴や使い方、メリット・デメリットについて解説していきます。

STEP01
指値注文・
逆指値注文とは

指値注文と逆指値注文は、希望する買値または売値をあらかじめ指定して発注する注文方法です。指定した買値、 売値に為替レートが到達すると取引が約定(成立)するため、常に取引画面を確認せずに済むなどのメリットがある、便利な注文方法の1つです。

いずれも、指定したレートで取引できる注文方法ですが、レートの指定の仕方が異なります。指値注文は、買い注文の際は現在よりも低いレートで、 売り注文の際は現在よりも高いレートで取引したいときに使います。

逆指値注文は指値注文とは反対に、買い注文の際は現在よりも高いレートで、売り注文の際は現在よりも低いレートで取引したいときに使います。

指値注文も逆指値注文も、為替レートが指定したレートに到達しないと取引が成立しない(約定しない)ことを理解しておきましょう。

なお、FX取引には、指値注文や逆指値注文以外にもさまざまな注文方法があります。詳しくはこちらの記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

指値注文とは

指値注文は、現在のレートよりも低い「〇〇円になったら買う」という注文や、現在のレートよりも高い「△△円になったら売る」という注文を出したい場合に使われます。

指値注文とは

たとえば、現在の為替レートが1米ドル=144円だとします。1米ドル=142円に下がったところで買いたい場合、 事前に142円で指値注文を出しておけば、1米ドル=142円に到達した時点で自動的に約定するという仕組みです。

反対に売り注文を指値で入れるケースでは、たとえば、現在の為替レートが1米ドル=142円のとき、1米ドル=144円に上がったところで売りたい場合、 事前に売りの144円で指値注文を出しておけば、1米ドル=144円になった時点で約定します。

逆指値注文とは

逆指値注文は、指値注文とは反対に、現在よりもレートが上昇した場合に買い、下落した場合に売るという注文方法です。 指値注文と同じく、「〇〇円になったら買う」という注文や、「△△円になったら売る」という注文を出したい場合に使われます。

逆指値注文とは

たとえば、現在の為替レートが1米ドル=142円だとします。1米ドル=144円に上がったところで買いたい場合、 事前に144円で逆指値注文を出しておけば、1米ドル=144円に到達した時点で自動的に約定するという仕組みです。

反対に売り注文を逆指値で入れるケースも考えてみましょう。たとえば、現在の為替レートが1米ドル=144円のとき、1米ドル=142円に下がったところで売りたい場合、 事前に142円で売りの逆指値注文を出しておけば、1米ドル=142円になった時点で約定します。

STEP02
指値注文の使い方

指値注文はどのような場面で利用されるのでしょうか。新規注文、決済注文それぞれの使い方を確認していきましょう。

新規注文での
指値注文の使い方

新規注文での指値注文は、現在の為替レートよりも有利な状況で建玉(ポジション)を持ちたいときに使います。

具体的には、現在の為替レートよりも下落した状態で買いたいときには「買い注文」を、 現在の為替レートよりも上昇した状態で売りたいときには「売り注文」を入れる方法です。

指値注文のよくある活用方法として、レンジ相場(為替レートがある一定の範囲内で上昇と下落を繰り返している状態)での注文が挙げられます。

新規注文での指値注文の使い方

具体例としては、上の図表の例のように、サポートライン付近(これ以上は為替レートが下落しにくいと分析されるライン)からの反発を期待して、 サポートライン付近のレートで買いの指値注文を入れるケースが挙げられます。また、同じくレンジ相場でレジスタンスライン付近 (これ以上は為替レートが上昇しにくいと分析されるライン)からの反落を期待して、レジスタンスライン付近のレートで売りの指値注文を入れるケースも挙げられます。

なお、サポートラインやレジスタンスラインなどの用語については、こちらの記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

決済注文での
指値注文の使い方

決済注文における指値注文は、主に想定どおりに為替レートが動いて利益を確定させたいときに使います。

決済注文での指値注文の使い方

買い建玉(ロングポジション)を保有しているときは、買ったときよりも高い「〇〇円になったら売る」という決済指値注文を入れておけば、 為替レートが上昇したときに利益を確定することができます。

一方、売り建玉(ショートポジション)を保有しているときは、売ったときよりも低い「△△円になったら買う」という決済指値注文を入れておけば、 為替レートが下落したときに利益を確定することができます。

STEP03
指値注文の
メリット・デメリット

指値注文を戦略的に活用するためには、その特徴についてきちんと知っておくことが大切です。どのようなメリット・デメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

指値注文のメリット

指値注文には、主に次のようなメリットがあります。

  • 希望どおりのレートで
    取引できる
  • 取引を自動的に
    成立させられる

指値注文は、あらかじめ指定した為替レートになったタイミングで自動的に売買が行われるため、取引のチャンスを逃しません。 現在よりも低いレートで買いたい場合や、高いレートで売りたい場合に有効な方法です。

また、取引は自動的に行われるため、常に為替レートをチェックする必要がありません。指値注文を出しておけば、 忙しくて為替レートをチェックできない人でも、希望どおりのレートで約定することが可能です。

指値注文のデメリット

一方で、指値注文には次のようなデメリットがあります。

  • 約定までのタイミングが
    読めない
  • 大きく離れたレートを指定すると取引が
    約定しない(成立しない)可能性が高くなる

指値注文では、指定したレートに到達しないと取引が成立しないため、いつ約定するのかはわかりません。現在の為替レートに近いレートで指値注文を出した場合は、 早期に約定する可能性があります。しかし、現在の為替レートから大きく離れたレートで注文した場合は、長期間約定しないことも考えられます。

保有している建玉(ポジション)の利益確定のために決済指値注文を出しても、指定した為替レートによっては、いつまでも約定しない可能性があります。 結果として建玉(ポジション)をいつまでも決済できず、利益を確定するチャンスを逃してしまうケースがあるので注意しなければなりません。

なお、指値注文は基本的に指定したレートで約定しますが、月曜朝の取引開始のタイミングなどでは、より有利なレートで約定することもあります。

STEP04
逆指値注文の使い方

逆指値注文は、指値注文と同様にあらかじめ希望する売買レートを指定する注文方法です。ただし、指値注文とは反対に「〇〇円より上昇したら買う」 もしくは「△△円より下落したら売る」といった使い方をします。

新規注文、決済注文それぞれでどのような使い方をするのかを解説していきます。

新規注文での
逆指値注文の使い方

新規注文で逆指値注文を使うのであれば、レンジ相場からのレンジブレイク(レンジ相場を上下に抜ける動き)が 見込まれる場合に利用するのが効果的な使い方だといわれています。

新規注文での逆指値注文の使い方

具体的には、今後為替レートが上昇すると見込んだ局面で、現在の為替レートの水準を上回ったところで買いたいときに新規の逆指値買い注文を入れます。 反対に、今後為替レートが下落すると見込んだ局面で、現在の為替レートの水準を下回ったところで売りたいときは、新規の逆指値売り注文を入れます。

ブレイクアウトが見込まれる方向に合わせて逆指値注文を入れることで、その後トレンド相場に転換すると利益が発生します。

決済注文での
逆指値注文の使い方

決済における逆指値注文は、損失の広がりを食い止める効果があることから、主に、想定とは反対に為替レートが動いた場合などに損切りするために使われます。 そのため、逆指値注文は「ストップロス注文」ともいわれています。

決済注文での逆指値注文の使い方

買い建玉(ロングポジション)を保有しているときは、指定したレートまで為替レートが下落したときの損切りとして逆指値注文が使われます。 対して、売り建玉(ショートポジション)を保有しているときは、指定したレートまで為替レートが上昇したときの損切りとして使われます。

逆指値注文を入れることによって、予想に反した値動きによる損失を限定することができます。

STEP05
逆指値注文の
メリット・デメリット

逆指値注文には、リスクコントロールができる以外にもメリットがあります。しかし、注意したいデメリットもあるため、利用する前に理解しておきましょう。

逆指値注文のメリット

逆指値注文のメリットとして、主に次の2つがあります。

  • 自動で損切りができる
  • トレンドフォローに
    使える

建玉(ポジション)を建てる際に逆指値注文も設定しておくことで、相場が不利な方向に変動した場合でも、損失を限定することが可能です。指値注文と逆指値注文を併用すると自動で利益確定と損切りができるため、 常時チャートを見続ける必要がなくなります。このメリットを活用すれば、時間を有効に使うことができるでしょう。

また、レンジ相場がブレイクアウトした直後に逆指値注文を入れることで、その後のトレンドに乗るチャンスをつかめます。

ただし、逆指値注文の約定直後にリターンムーブ(ブレイクしたラインが戻ろうとする動き)が生じた場合は、高値つかみや安値つかみとなるリスクがあるため、 損切りなどの措置もあわせて利用することも検討する必要があるでしょう。

逆指値注文のデメリット

逆指値注文のデメリットとして、次の3つが挙げられます。

  • 約定するまでの
    タイミングが読めない
  • 「スリッページ」が発生するおそれがある
  • 重要経済指標の発表前後やボラティリティの
    大きい通貨ペアに向いていない

逆指値注文も指値注文と同様に、設定したレートに到達しなければ約定しないため、いつ約定するのかタイミングを計るのが難しいという注意点があります。 また、為替レートが急激に変化する局面では、「スリッページ」が発生する可能性があることにも注意が必要です。「スリッページ」とは、 注文したレートと実際に約定したレートの差のことをいいます。約定までのわずかな時間で発生するレートの変動によりスリッページが発生し、 予期せぬ損失を被る可能性があります。

重要経済指標の発表前後やボラティリティ(為替レートが変動する度合い)の大きい通貨ペアの場合、値動きが激しいうえにスプレッドが広がる傾向もあります。 こういった局面では逆指値注文を入れて間もなく約定してしまい、損失が発生する可能性もあるので注意しましょう。

KEY POINT
FX取引は指値注文・
逆指値注文を
使い分けて
利益を目指そう

FX取引では、指値注文や逆指値注文を利用することで、希望するレートをあらかじめ設定して約定させることが可能です。 取引できる時間が限られている人でも希望したレートで注文を出すことができるため、使いこなすととても便利な注文方法です。

一方で、指値注文や逆指値注文には、デメリットや利用する際の注意点もあるため、それらに気をつけながら取引を行うことが重要です。 それぞれの内容や特徴をよく理解したうえで活用しましょう。

次回の講座では、FXの取引時間について、わかりやすく解説していきます。おすすめの取引時間帯も紹介しますので、 自分のライフスタイルと照らし合わせて考えてみましょう。