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ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)|
インジケーターの紹介⑩

ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)とは?

TradingView操作ガイド b29 ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)とは?

ATR(アベレージ・トゥルーレンジ)は、相場のボラティリティ(価格変動の幅)を測定するためのインジケーターです。英語表記は「Average True Range」で、「真の変動幅の平均」という意味があります。

ここでいう「真の変動幅」は、現在足の高値と安値だけでなく、前足の終値とのギャップも考慮した変動幅のことです。ATRは、この「真の変動幅」の一定期間の平均値です。

ATRは1本のラインとして表示され、その値が高いほどボラティリティが大きく、低いほどボラティリティが小さいことを示します。価格の方向性ではなく、一定期間内の価格変動の大きさに焦点を当てているのが特徴で、主に相場の不安定さやリスクを評価する際に使用されます。

▼豆知識

ATRとよく比較されるのが、「ADX(平均方向性指数)」というインジケーターです。どちらも相場の動きを数値化しているという点で同じですが、測定対象が異なります。ATRは相場の方向とは関係なく「価格がどれだけ動いているか」を示す一方で、ADXは「一方向への動きがどれだけ強いか」を示します。

ADXの詳細はこちら

計算方法

ATRの計算式は、以下の通りです。

ATR = TRのN期間移動平均

※ N:対象期間
※ TR:以下の3つの値のうち最大値

  1. 現在足の高値 - 現在足の安値
  2. | 現在足の高値 - 前足の終値 |
  3. | 現在足の安値 - 前足の終値 |

ATRは、TR(True Range:トゥルー・レンジ)を用いて計算します。TRとは、「現在足の高値と安値の値幅/現在足の高値と前足の終値の値幅/現在足の安値と前足の終値の値幅」のうち、最も大きな値幅のことです。3つのパターンを図解すると、以下のようになります。

TradingView操作ガイド b29 ATR

TRは、3つの値幅のうち最も大きな値を採用することで、「前足の終値も考慮した現時点の最大値幅」を表現しています。ATRは、そのTRの設定期間(N)における移動平均(計算方法は後述)ということです。

例えば、以下のように価格が推移した場合、ATRの値は次のように計算されます。なお、設定期間(N)は5とします。

期間 1 2 3 4 5 6 7
高値 102 103 103 106 110 109 107
安値 99 100 99 102 104 106 100
終値 100 102 101 105 106 108 101
高値 - 安値 4 3 4 4 6 3 7
| 高値 - 前足の終値 | - 3 1 5 5 3 1
| 安値 - 前足の終値 | - 0 3 1 1 0 8
TR - 3 4 5 6 3 8
スクロール

6期間目におけるATR:( 3 + 4 + 5 + 6 + 3 ) ÷ 5 = 4.2
7期間目におけるATR:⅕ × 8 + ⅘ × 4.2 = 4.96(後述)

(補足)ATRにおける移動平均について

セントラル短資FXのTradingViewチャートのATRでは、移動平均の計算にRMA(Running Moving Average:修正移動平均)が使用されています。RMAの計算式は、以下の通りです。

初期値 = 直近N期間の価格合計 ÷ N
2つ目以降 = 1/N × 現在足の終値 + (N-1)/N × 前足のATR
※ N:対象期間

初期値はSMA(Simple Moving Average:単純移動平均)と同じで、単純に合計して期間数で割るというシンプルな計算式です。

2つ目以降は、現在足に1/N、前足以前に(N-1)/Nの重みをかけて合計します。EMA(指数移動平均)の計算式と似ていますが、α(平滑化係数)の値が「2/(N+1)」ではなく、「1/N」となっている点が異なります。平滑化係数を「1/N」で計算するEMAともいえます。

上の計算例では、設定期間(N)が5でした。そのため、7期間目におけるATRの計算で、現在値に⅕、前足以前の値に⅘の重みをかけて合計しています。

▼豆知識

ATRは、数多くのインジケーターを開発したJ・W・ワイルダー氏が考案しました。ワイルダー氏のインジケーターでは、移動平均の計算においてRMAがよく採用されています。

ATRをチャートに表示/削除する方法

TradingView操作ガイド b29 ATRをチャートに表示/削除する方法

ATRをチャートに表示する基本的な流れは以下の通りです。

  1. 上部メニューの「インジケーター」をクリック
  2. 検索ボックスに「atr」などと入力
  3. リストの「ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)」をクリック
  4. 右上の「×」をクリック

表示したインジケーターは、主に以下の方法で削除することができます。

  1. ステータスラインのインジケーター名にカーソルを合わせて表示される「×」をクリック
  2. 表示されているインジケーター上で「右クリック>削除」
  3. ATRが表示されているペインの右上の「×」をクリック

▼豆知識

チャート上で以下のようにキーボードを入力すると、マウスなしで素早くATRをチャートに表示することができます。

/ ⇒ at⇒ ↓ ⇒ Enter
※インジケーターのウインドウは「Esc」を2回押下で閉じます

ATRのパラメーター

TradingView操作ガイド b29 ATRのパラメーター

ATRの設定ウインドウの「パラメーター」タブについて、①の項目で調整できる内容を紹介していきます。

① 期間

ATRの計算対象とする期間(計算式のN)を設定します。デフォルトは「14」です。

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