EMA(指数移動平均)は、直近の価格変動を重視し、過去の価格になるほど指数関数的に重みを小さくする移動平均線です。英語の正式名称は「Exponential Moving Average」です。
EMAは、SMA(Simple Moving Average:単純移動平均)に比べて、直近の価格変動に対してより敏感に反応します。そのため、短期的なトレンドの発生や、価格の急激な変化を捉えるのに有効です。
▼豆知識
セントラル短資FXのTradingViewチャートでは、ひとつのインジケーターで複数のEMAを使った分析が行える、便利なインジケーターが用意されています。興味のある方は、以下の関連記事もおすすめです。
EMAの計算式は、以下の通りです。
初期値 = 直近N期間の価格合計 ÷ N
2つ目以降 = α × 現在足の終値 + ( 1 - α ) × 前足のEMA
※ N:対象期間
※ α:2 ÷ ( N + 1 )
EMAの計算は、初期値と2つ目以降に分けて行います。初期値は、設定した期間(N)における価格を単純に合計して期間で割るという、最も基本的な平均値の計算方法で、SMAと同じです。
EMAの2つ目以降の値は、前足のEMAの値を使って算出します。αは「平滑化係数」と呼ばれ、0~1に収まる値です。新しい価格ほど大きな重みを持つように、現在足の価格にα、前足のEMAに「1 - α」の重みをかけて合計します。
例えば、以下のように価格が推移した場合、EMAの値は次のように計算されます。なお、設定期間(N)は4とします。
期間 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|
価格 | 97 | 98 | 101 | 104 | 106 | 110 |
α:2 ÷ ( 4 + 1 ) = 0.4
4期間目におけるEMA:( 97 + 98 + 101 + 104 ) ÷ 4 = 100
5期間目におけるEMA:0.4 × 106 + ( 1 - 0.4 ) × 100 = 102.4
6期間目におけるEMA:0.4 × 110 + ( 1 - 0.4 ) × 102.4 = 105.44
▼豆知識
6期間目におけるEMAは、6期間目の価格に0.4、5期間目におけるEMAに0.6の重みをかけて合計されます。これを各期間の終値に分解すると、6期間目(現在足)に0.4、5期間目に0.24、1~4期間目にそれぞれ0.09の重みがかかっており、直近の価格ほど影響力が大きくなっていることが分かります。
EMAをチャートに表示する基本的な流れは以下の通りです。
表示したインジケーターは、主に以下の方法で削除できます。
▼豆知識
チャート上で以下のようにキーボードを入力すると、マウスなしで素早くEMAをチャートに表示できます。
/ ⇒ em ⇒ ↓ ⇒ Enter
※インジケーターのウインドウは「Esc」を2回押下すると閉じます。
EMAの設定ウインドウの「パラメーター」タブについて、①〜⑤の項目で調整できる内容を紹介していきます。
EMAの計算対象とする期間(計算式のN)を設定します。デフォルトは「9」です。
EMAの計算に使用する価格を選択します。デフォルトは「終値」で、選択できる値は以下の通りです。
EMAを表示する位置を左右に移動させる期間を入力します。
デフォルトは「0」で、左右に移動させない状態です。プラスの値を入力すると右に、マイナスの値を入力すると左に移動します
平滑化ラインとは、EMAのさらに移動平均を計算して描く、よりなめらかなラインのことです。
このパラメーター項目では、平滑化ラインにおける移動平均の計算方法を以下から選択できます。デフォルトは「SMA」です。
なお、平滑化ラインはデフォルトでは表示されない設定になっています。平滑化ラインを表示する場合は、「スタイル」タブの「Smoothed MA」にチェックを入れてください。
平滑化ラインの計算対象となる期間を設定します。デフォルトは「9」です。
この値を変更すると平滑化ラインが変化しますが、EMAそのものへの影響はありません。