HV(ヒストリカル・ボラティリティ)は、一定期間における価格変動の大きさを数値化するインジケーターです。英語では「Historical Volatility」と表記されます。値は0以上の範囲で表示され、理論上の上限はありません。基本的な見方は以下の通りです。
セントラル短資FXのTradingViewチャートでは、デフォルトで10日間の価格変動を基に計算されています。HVが低い場合は相場が安定しており、HVが高い場合は価格変動が激しくなります。一般的には、HVが適度な水準にあるかを見極めながら、取引を行うことが望ましいと考えられます。
▼豆知識
HVは過去の価格変動に基づいて計算した値であり、将来の相場状況を正確に予測するものではないことに留意する必要があります。また、「適度な水準」は通貨ペアや時間足によって異なるため、過去チャートを参考にしながら総合的に判断することが重要です。
※本記事では、TradingViewチャートのHVに実装されているロジックに基づいて解説します。
HVの計算式は、以下の通りです。
HV:直近N期間の対数変化率の標準偏差 × 係数 × 100
※ N:対象期間
※ 対数変化率:log ( 現在足の終値 ÷ 前足の終値 )
※ 係数:簡易的に年率換算するための値
HVは、設定期間(N)における対数変化率の標準偏差(バラツキ具合)を、簡易的に年率換算した値です。
対数変化率は、価格の変化の大きさを自然対数で表した値ですが、大まかには「変化した割合」をイメージして問題ありません。少し補足すると、値上がり/値下がりを同じ値で捉えられるのが特徴です。例えば100円→110円/110円→100円の変化率は+10%/約-9%と異なりますが、対数変化率ではほぼ同じ大きさの変動として扱うことができます。
価格が大きく動くほど対数変化率は大きくなり、そのバラツキ具合の平均値であるHVも大きくなっていきます。一方、もし仮に相場が一定のペース(対数変化率)で動き続けば、対数変化率の標準偏差は0となるので、HVも0となります。
例えば、以下のように価格が推移した場合、HVの値は次のように計算されます。なお、設定期間(N)は5として、係数は週足を想定して√(365/7)を使用します。
期間 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|
価格 | 100 | 102 | 106 | 102 | 103 | 104 |
対数変化率 | - | +0.019… | +0.038… | -0.038… | +0.0097… | +0.0096… |
【6期間目】
標準偏差:0.025…(後述)
HV:0.025… × √(365/7) × 100 = 18.35…
標準偏差は、データのバラツキ具合を数値化する統計的な指標です。標準偏差の計算式は、以下の通りです。
分散 = 対象期間の「価格と平均の差の2乗」の合計 ÷ N
標準偏差 = 分散の平方根
※ N:対象期間
先ほどのように対数変化率が推移した場合、標準偏差は以下のように計算します。
平均:( 0.019… + 0.038… - 0.038… + 0.0097… + 0.0096… ) ÷ 5 = 0.0078…
分散:{( 0.019… - 0.0078 … )2 + ( 0.038… - 0.0078 … )2 + {( -0.038… ) - 0.0078 … }2 + ( 0.0097… - 0.0078 … )2 + ( 0.0096… - 0.0078 … )2 } ÷ 5 = 0.00064…
標準偏差:√0.00064… = 0.025…
HVをチャートに表示する基本的な流れは以下の通りです。
表示したインジケーターは、主に以下の方法で削除することができます。
▼豆知識
チャート上で以下のようにキーボードを入力すると、マウスなしで素早くHVをチャートに表示することができます。
/ ⇒ hv⇒ ↓ ⇒ Enter
※インジケーターのウインドウは「Esc」を2回押下で閉じます
HVの設定ウインドウの「パラメーター」タブについて、①の項目で調整できる内容を紹介していきます。
HVの計算対象とする期間(計算式のN)を設定します。デフォルトは「10」です。