BB(ボリンジャーバンド)は、相場の変動性を視覚的に表現するインジケーターです。価格の変動幅を統計的に分析し、相場の変化を予測するツールとして広く活用されています。
このインジケーターは、ミドルバンドを中心に、価格の変動範囲を上下に示す以下の3つのラインで構成されています。ミドルバンドはSMA(Simple Moving Average:単純移動平均線)で、本ツールのMoving Averageと同じです。
相場の変動が大きくなるとバンド幅が広がり(エクスパンション)、変動が小さくなるとバンド幅が狭くなります(スクイーズ)。これにより、相場の状況を直感的に把握できるのが特徴です。
BBの構成要素の計算式は、以下の通りです。
ミドルバンド = 直近N期間の価格合計 ÷ N
アッパーバンド = ミドルバンド + ( M × σ )
ロワーバンド = ミドルバンド - ( M × σ )
※ N:対象期間
※ M:バンド幅を調整する倍率
※ σ:標準偏差
ミドルバンドは、設定した期間(N)における価格を単純に合計して期間で割るという、最も基本的な平均値の計算方法で、SMAと同じです。
アッパーバンドは、ミドルバンドに「σ(標準偏差)に設定値のMをかけた値」を足して求めます。ロワーバンドはこの反対で、ミドルバンドに「σに設定値のMをかけた値」を引いて求めます。
標準偏差は、対象期間における価格のバラツキを示す統計的な指標です(詳細は後述)。過去の価格変動が同じように続くと仮定した場合、標準偏差の範囲内に価格が収まる確率は以下のようになります。
つまり、アッパーバンド/ミドルバンドの間には、上記の確率でチャートが収まるという意味を持ちます。例えば、Mを2に設定している場合であれば、95.4%の確率でチャートがバンド内を推移するということになります。
▼豆知識
上記の確率は、あくまでも「過去の価格変動がそのまま続く」と仮定した場合における統計学上の値である点に注意が必要です。チャートがバンド外に出た場合は、過去の価格変動パターンが崩れた可能性を示唆しており、相場の新たな変化のシグナルとして解釈することがあります。
期間 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
価格 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 |
σ:1.41…(標準偏差の計算は後述)
ミドルバンド( 100 + 101 + 102 + 103 + 104 ) ÷ 5 = 102
アッパーバンド(+2σ): 102 + ( 1.41… × 2 ) = 104.82…
ロワーバンド(-2σ):102 - ( 1.41… × 2 ) = 99.17…
標準偏差はデータのばらつき具合を数値化する統計的な指標で、一般的に「σ」と表記されます。標準偏差の計算式は、以下の通りです。
分散 = 対象期間の「価格と平均の差の2乗」の合計 ÷ N
標準偏差 = 分散の平方根
※ N:対象期間
先ほどの価格推移の場合、標準偏差は以下のように計算します。
平均:( 100 + 101 + 102 + 103 + 104 ) ÷ 5 = 102
分散:{( 100 - 102 )2 + ( 101 - 102 )2 + ( 102 - 102 )2 + ( 103 - 102 )2 + ( 104 - 102 )2 } ÷ 5 = 2
標準偏差:√2 = 1.41…
▼豆知識
標準偏差は、テストの成績評価などで使われる偏差値とも関連があり、標準偏差の1σは偏差値10の大きさに相当します。ミドルバンドは平均(偏差値50)を示すラインなので、例えばアッパーバンド(+2σ)は偏差値70、ロワーバンド(-2σ)は偏差値30のラインともいえます。
BBをチャートに表示する基本的な流れは以下の通りです。
表示したインジケーターは、主に以下の方法で削除することができます。
▼豆知識
チャート上で以下のようにキーボードを入力すると、マウスなしで素早くBBをチャートに表示することができます。
/ ⇒ bb ⇒ ↓ ⇒ Enter
※インジケーターのウインドウは「Esc」を2回押下すると閉じます。
BBの設定ウインドウの「パラメーター」タブについて、①~②の項目で調整できる内容を紹介していきます。
ミドルバンドの計算対象とする期間(計算式のN)を設定します。デフォルトは「20」です。
アッパーバンド/ロワーバンドの計算に使用する設定値(計算式のM)を設定します。デフォルトは「2」で、アッパーバンドは+2σ、ロワーバンドは-2σのラインが表示されます。
標準偏差を大きくすると、ミドルバンドを中心にアッパーバンド/ロワーバンドの幅が広がり、小さくすると幅は狭くなります。