Envelopes(エンベロープ)は、移動平均線を基準に上下に一定の乖離幅を設けた2本のバンドを表示するインジケーターです。このインジケーターは、相場のトレンドや価格の過熱感を視覚的に把握するために利用されます。
Envelopesは、以下の3つのラインで構成されています。
デフォルトでは、平均ラインには20期間のSMA(Simple Moving Average:単純移動平均線)が使用され、上下のバンドは基準ラインから±10%の乖離幅で描画されています。
Envelopesは、主に「買われすぎ/売られすぎ」の判断や、トレンドの方向性の確認に用いられます。価格が上側のバンドに近づくと「買われすぎ」、下側のバンドに近づくと「売られすぎ」と判断するのが、基本的な見方です。
Envelopesの構成要素の計算式は、以下の通りです。
平均ライン = 直近N期間の価格合計 ÷ N
上方バンド = 平均ライン + 平均ライン × Pa ÷ 100
下方バンド = 平均ライン - 平均ライン × Pb ÷ 100
※ N:対象期間
※ Pa/Pb:乖離率(%)
平均ラインは、設定した期間(N)における価格を単純に合計して期間で割るという、最も基本的な平均値の計算方法で、SMAと同じです。
上方バンドは、平均ラインよりもあらかじめ設定した乖離率(Pa)だけ上側の位置に表示されます。下方バンドはこの反対で、平均ラインよりも乖離率(Pb)だけ下側の位置に表示されます。
例えば、以下のように価格が推移した場合、平均ライン/上方バンド/下方バンドの値は次のように計算されます。なお、設定期間(N)は5、乖離率(Pa/Pb)は10/10とします。s
期間 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
価格 | 100 | 101 | 102 | 103 | 104 |
平均ライン:( 100 + 101 + 102 + 103 + 104 ) ÷ 5 = 102
上方バンド:102 + 102 × 10 ÷ 100 = 112.2
下方バンド:102 - 102 × 10 ÷ 100 = 91.8
▼豆知識
Envelopesは、分析対象の時間足に応じて乖離幅を調整することが重要です。短い時間足では価格変動が小さいため狭い乖離幅を、長い時間足では広い乖離幅を設定します。過去の値動きを確認しながら、各時間足に適した値を設定すると良いでしょう。
Envelopesをチャートに表示する基本的な流れは以下の通りです。
表示したインジケーターは、主に以下の方法で削除することができます。
▼豆知識
チャート上で以下のようにキーボードを入力すると、マウスなしで素早くEnvelopesをチャートに表示することができます。
/ ⇒ en⇒ ↓ ⇒ Enter
※インジケーターのウインドウは「Esc」を2回押下で閉じます
Envelopesの設定ウインドウの「パラメーター」タブについて、①〜⑤の項目で調整できる内容を紹介していきます。
平均ラインの計算対象とする期間(計算式のN)を設定します。デフォルトは「20」です。
上方バンドを基準線からどれだけ離して表示するか、乖離率(計算式のPa)をパーセントで設定します。デフォルトは「10」です。
下方バンドを基準線からどれだけ離して表示するか、乖離率(計算式のPb)をパーセントで設定します。デフォルトは「10」です。
平均ラインの移動平均の計算方法を、以下の3つから指定できます。デフォルトは「単純」です。
各移動平均線の計算方法の詳細は、関連記事をご覧ください。
平均ラインの計算に使用する価格を選択します。デフォルトは「終値」で、選択できる値は以下の通りです。