TradingView操作ガイド
チャート設定-DMI(方向性指数)|
インジケーターの紹介㉒

DMI(方向性指数)とは?

TradingView操作ガイド b41 DMI(方向性指数)とは?

DMI(方向性指数)は、相場のトレンドの強さと方向性を分析するインジケーターです。英語では「Directional Movement Index」と呼ばれます。価格の動きを上昇・下降の両方向から分析し、トレンドの強さを数値化して表示します。

セントラル短資FXのTradingViewチャートで表示されるDMIは、以下の5つの要素で構成されています。

  1. +DI:プラスの方向性を示すライン
  2. -DI:マイナスの方向性を示すライン
  3. DX:トレンドの強さ(+DI/-DIの差の大きさ)を示すライン
  4. ADX:一定期間におけるトレンドの強さを示すライン
  5. ADXR:ADXの平滑化ライン

一般的な判断基準として、+DIが-DIを上回っている場合は上昇する力が優勢、-DIが+DIを上回っている場合は下降する力が優勢とされます。また、ADXが25を超えると強いトレンド、20を下回ると弱いトレンドや方向性のない相場と判断されます。

※本記事では、TradingViewチャートのDMIに実装されているロジックに基づいて解説します。

計算方法

ADXの計算式は、以下の通りです。

+DI = +DMのN期間移動平均 ÷ TRのN期間移動平均 × 100
-DI = -DMのN期間移動平均 ÷ TRのN期間移動平均 × 100
DX = | +DI - -DI | ÷ ( +DI + -DI ) × 100
ADX = DXのM期間移動平均
ADXR = 現在足/N-1期間前のADXの平均値

※ N/M:対象期間
※ +DM:現在足の高値 - 前足の高値(マイナスの場合はゼロ)
※ -DM:前足の安値 - 現在足の安値(マイナスの場合はゼロ)
※ TR:以下の3つの値のうち最大値

  1. 現在足の高値 - 現在足の安値
  2. | 現在足の高値 - 前足の終値 |
  3. | 現在足の安値 - 前足の終値 |

ADXは、+DM/-DM/TRという値幅を意味する値をもとに算出します。これらの値の意味は、それぞれ以下の通りです。

  1. +DM:前足と比較して高値が上昇した幅(上昇の勢い)
  2. -DM:前足と比較して安値が下降した幅(下降の勢い)
  3. TR:前足の終値とのギャップも考慮した価格の変動幅(True Range:真の変動幅)

+DIは、+DM/TRの設定期間(N)における平均値を取り、その+DMをTRで割って求めます。つまり、変動幅において上昇が強まった割合を意味します。-DIはこの反対で、変動幅において下降が強まった割合を意味します。

DXは、+DIと-DIの差の絶対値(上昇と下降の勢いの差)を、+DIと-DIの合計(上昇と下降の勢いの合計)で割って求めます。例えば高値ばかり更新していて安値が更新されていないなど、一方方向の動きが強いほど、DXは100を上限に大きくなる仕組みです。

ADXは、このDXを設定期間(M)で平均値を取った値です。ADXRは、このADXの現在足とN-1期間前の値の平均値を取る形で、さらに平滑化しています。

例えば、以下のように価格が推移した場合、+DI/-DI/DX/ADX/ADXRの値は次のように計算されます。なお、設定期間(N/M)は3/2とします。

期間 1 2 3 4 5 6 7
高値 102 104 106 114 115 106 103
安値 99 100 102 104 101 98 96
終値 100 102 104 108 105 100 98
+DM - 2 2 8 1 0 0
-DM - 0 0 0 3 3 2
TR - 4 4 10 14 8 7

【4期間目】
+DMの3期間移動平均:( 2 + 2 + 8 ) ÷ 3 = 4
-DMの3期間移動平均:( 0 + 0 + 0 ) ÷ 3 = 0
TRの3期間移動平均:( 4 + 4 + 10 ) ÷ 3 = 6
+DI:4 ÷ 6 × 100 = 66.66…
-DI:0 ÷ 6 × 100 = 0
DX:| 66.66 - 0 | ÷ ( 66.66 + 0 ) × 100 = 100

【5期間目】
+DMの3期間移動平均:⅓ × 1 + ⅔ × 4 = 3(後述)
-DMの3期間移動平均:⅓ × 3 + ⅔ × 0 = 1(後述)
TRの3期間移動平均:⅓ × 14 + ⅔ × 6 = 8.66…(後述)
+DI:3 ÷ 8.66… × 100 = 34.61…
-DI:1 ÷ 8.66… × 100 = 11.53…
DX:| 34.61… - 11.53… | ÷ ( 34.61… + 11.53… ) × 100 = 50
ADX:( 100 + 50 ) ÷ 2 = 75

【6期間目】
+DMの3期間移動平均:⅓ × 0 + ⅔ × 3 = 2(後述)
-DMの3期間移動平均:⅓ × 3 + ⅔ × 1 = 1.66…(後述)
TRの3期間移動平均:⅓ × 8 + ⅔ × 8.66… = 8.44…(後述)
+DI:2 ÷ 8.44… × 100 = 23.68…
-DI:1.66… ÷ 8.44… × 100 = 19.73…
DX:| 23.68… - 19.73… | ÷ ( 23.68… + 19.73… ) × 100 = 9.09…
ADX:½ × 9.09… + ½ × 75 = 42.04…(後述)

【7期間目】
+DMの3期間移動平均:⅓ × 0 + ⅔ × 2 = 1.33…(後述)
-DMの3期間移動平均:⅓ × 2 + ⅔ × 1.66… = 1.77…(後述)
TRの3期間移動平均:⅓ × 7 + ⅔ × 8.44… = 7.96…(後述)
+DI:1.33 ÷ 7.96… × 100 = 16.74…
-DI:1.77… ÷ 7.96… × 100 = 22.32…
DX:| 16.74… - 22.32… | ÷ ( 16.74… + 22.32… ) × 100 = 14.28…
ADX:½ × 14.28… + ½ × 42.04… = 28.16…(後述)
ADXR:( 28.16… + 75 ) ÷ 2 = 51.58…

(補足)ADXにおける移動平均について

本ツールのADXでは、移動平均の計算にRMA(Running Moving Average:修正移動平均)が使用されています。RMAの計算式は、以下の通りです。

初期値 = 直近N期間の価格合計 ÷ N
2つ目以降 = 1/N × 現在足の終値 + (N-1)/N × 前足のRMA

※ N:対象期間

初期値はSMA(Simple Moving Average:単純移動平均)と同じで、単純に合計して期間数で割るというシンプルな計算式です。

2つ目以降は、現在足に1/N、前足以前に(N-1)/Nの重みをかけて合計します。EMA(指数移動平均)の計算式と似ていますが、α(平滑化係数)の値が「2/(N+ 1)」ではなく、「1/N」となっている点が異なります。平滑化係数を「1/N」で計算するEMAともいえます。

上の計算例では、設定期間(N/M)が3/2でした。そのため、5期間目以降における+DM/-DM/TRの計算で、現在値に⅓、前足以前の値に⅔の重みをかけて合計しています。また、6期間目のADXの計算で、現在値に½、前足以前の値に½の重みをかけて合計しています。

▼豆知識

ADXは、数多くのインジケーターを開発したJ・W・ワイルダー氏が考案しました。ワイルダー氏のインジケーターでは、移動平均の計算においてRMAがよく採用されています。

DMIをチャートに表示/削除する方法

TradingView操作ガイド b41 DMIをチャートに表示/削除する方法

DMIをチャートに表示する基本的な流れは以下の通りです。

  1. 上部メニューの「インジケーター」をクリック
  2. 検索ボックスに「dm」と入力
  3. リストの「DMI(方向性指数)」をクリック
  4. 右上の「×」をクリック

表示したインジケーターは、主に以下の方法で削除することができます。

  1. ステータスラインのインジケーター名にカーソルを合わせて表示される「×」をクリック
  2. 表示されているインジケーター上で「右クリック>削除」
  3. DMIが表示されているペインの右上の「×」をクリック

▼豆知識

チャート上で以下のようにキーボードを入力すると、マウスなしで素早くDMIをチャートに表示することができます。

/ ⇒ dm⇒ ↓ ⇒ Enter
※インジケーターのウインドウは「Esc」を2回押下で閉じます

DMIのパラメーター

TradingView操作ガイド b41 DMIのパラメーター

DMIの設定ウインドウの「パラメーター」タブについて、①〜②の項目で調整できる内容を紹介していきます。

① DIの期間

DI/ADXRの計算で使用する期間Nを設定します。デフォルトの期間は「14」です。この値を変更すると、全てのラインの推移が変化します。

② ADXの平滑化

ADXの計算で使用する期間Mを設定します。デフォルトの期間は「14」です。この値を変更した場合は、ADX/ADXRの推移のみが変化します。

TradingView操作ガイド b41 DMIのパラメーター

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