FIREとは「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」を略した言葉で、資産運用等で経済的に自立し、定年前に会社員生活を卒業するといったライフスタイルを指します。
自分のやりたいことにもっと注力したいという想いから、FIREを考えている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、元GAFA(※)系企業の部長を経験し、40代前半で資産1億円以上を達成して、FIREを成功させた「寺澤伸洋さん」にインタビューを行いました。
GAFA時代から作家活動を行っていた寺澤さんは、FIREしたことで、より落ち着いて執筆に向き合えるようになったと言います。
そんな寺澤さんの、お金の使い方に関するルールや、FIRE後の人間関係の作り方のコツも必読です。ぜひ最後までご覧ください。
※GAFAとは米国IT企業の大手4社Google(グーグル)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック、現メタ)、Amazon(アマゾン)の頭文字を取った言葉。
寺澤伸洋さん
40代前半で1億円を超える資産形成を達成し、夫婦でFIREを達成。元GAFA部長で、在籍中にこれまでの経験を書籍化。現在も作家活動を行いながら、資産運用を行っている。FIREしたことで、2人の息子とゆっくり一緒に過ごす時間を確保できている。
Twitter: https://twitter.com/ohtsuma?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
妻と息子2人です。長男が大学1年生、下の子が小学5年生です。
※年齢や学年はインタビュー当時(2022年2月)のものです。
長男は、最近Twitterで投資情報を発信しているインフルエンサーの投稿を見ており、投資に興味を持っているようで、一緒に資産形成の話をしたりしますね。
次男とは、ゲームの話で盛り上がったりしています。
スケジュールというほど決まっているものはないんですけど、毎日だいたい8時半とか9時に起きて朝ご飯を食べて、その後は友達とランチ行ったりすることも多いです。
ランチに行くとなると、新宿など中心地に行って、17~18時ぐらいまではいろいろ友人と喋って、家に帰って晩ご飯を食べて、そのあとに執筆をすることが多いですね。
今は原稿の依頼を何件か頂いているので、夜に執筆しています。寝るのは0時半から1時ぐらいです。
やっぱり、家にいると妻も子どももいるので、ずっと喋っているんですよ。なので、みんなが寝静まった夜に原稿を書くみたいな生活ですね。
まず、東大を出て新卒でメーカーに入りました。配属は経理だったんですけど、経理の仕事が自分に合わなくて、10ヶ月で辞めてしまいました。次の会社を決めずに辞めてしまったのは若気の至りですね。
しかしその後、別のメーカーの専務と知り合いになったことをきっかけに、その企業に入社することになりました。そこから17年間そのメーカーに勤め、営業やマーケティング、経営や企画などを経験しました。その間に、イギリスに語学研修に行って、英語も少しですが話せるようになりました。その後、GAFAの中の1社に転職したという経歴になります。
メーカーの時は、50代あたりの管理職が詰まってしまっていて、なかなか管理職に上がれない組織だったんです。でも、そのGAFAの企業からは運よく部長職のオファーをもらうことができたので、転職しました。
そこに4年間在籍したんですけど、その在職中に本を書くようになりました。まずは電子書籍で出版したのですが、それが思った以上に売れたことで出版社から声がかかり、1年間で3冊を同時並行で書いて商業出版しました。
当時、貯金も1億2,000万円くらい貯めていたことから、そろそろFIREできるんじゃないかという感覚がありました。
本を3冊出せたことで、大きいメディアなどにも名前がたくさん出て、執筆でやっていけるのではないかなという気持ちもありましたね。家族は応援してくれました。好きに生きたらいいじゃない、と。
FIREの「RE」って、「リタイア」じゃなくて「Restart(リスタート)」とか「Reborn(リボーン)」のREだと僕は考えているんですよね。アーリーリタイアって言ったら、おじいちゃん・おばあちゃんみたいなイメージあるじゃないですか、仕事をやめて何もせずゆっくり過ごすみたいな。
でも、僕が考えていたのはそうではなく、仕事を辞めて、今まで自分がやりたかったけどできなかったこととか、ここをもっと伸ばしていこう、こう生きていこうなど、そういう新しい人生に踏み切るというFIREでした。
僕はFIRE後、作家や講演家として生きていきたいなと常々考えていました。そのため資産が1億円を越した段階で、もう自由な生活に舵を切ろうと、2021年の10月1日に会社を辞めて自由人になったという感じですね。
2021年の6月のある金曜日の夜に会社を辞めることを決意し、「会社、辞めようと思うんだけど。」と妻に相談したら、2つ返事で「やっとその気になったか。」という反応で、OKみたいな流れでした。(笑)
その次の日に、妻の親と、自分の両親や子供たちに会社を辞める話をし、翌週月曜日の朝一に上司との1on1ミーティングで辞意を伝えました。なので、辞めようと思ってから、2日、3日で話がまとまった感じですね。
改めてですが、FIREまでの流れは以下の通りです。
年月 | 出来事 |
---|---|
2020年3月 | 電子書籍出版開始(思考法) |
2020年3~5月 | 電子書籍が売れ、KADOKAWA/ダイヤモンド社/世界文化社の3社からオファー。すべて受け、3冊の違う本を同時に書き出す |
2020年11月,12月 2021年5月 |
KADOKAWA、ダイヤモンド社より商業出版 世界文化社より商業出版 ![]() ![]() ![]() |
2021年10月 | 2020年12月に資産1億円に到達したこと、また本を書くことに自信をつけ、作家として独立することを決意。FIRE生活開始。同日にFIREの電子書籍を出版。
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寺澤さんの夫婦円満に生活していくポイントについてのツイート。
基本的に僕は「地位材」にあまりお金をかけたくないと思っているんです。
地位材って何かっていうと、高いブランド物の装飾品や、きらびやかなバックなどです。すごく高級な腕時計とかには、お金をかける気がしないというか、興味がないんですよね。
物を買うときはどちらかというと、機能にフォーカスします。時計なら「時間がわかれば別に何でも良くない?」、バッグなら「ものが入れば別に何でもいいじゃん!」というタイプです。(笑)なので、そういう点ではあんまり無駄な支出はないなという風に思っています。
一方で、人生の時間をできるだけ確保するための道具、例えば、食洗機だったりとか、自動掃除機だったりとか、そういったものにはお金をかけます。自分の時間を作る手助けをしてくれるものに、価値を感じますね。
最近は、調理家電なども充実していますよね。今までは、料理するときはフライパンの前でずっといなくてはいけなかったのが、おまかせボタン1つで自動調理してくれたり。そういうふうに、できるだけオートメーション化していくところにはお金をかけていますね。
寺澤家のお金の方針として、限度額の指標を設けるというルールがあるんですが、人との交際費だけは上限を設定しないと決めています。
人と会うことに対して、「もう今月支出がオーバーしそうだから、飲みに行くのはやめておこう」とか、月末に「今月は交際費がこれだけ減った」と喜ぶのは家族のルールとしてNGです。
「どんどん飲みに行け」、「どんどん遊びに行け」というモットーのもと、僕も妻もそうやって人との交流を広げていくようにしています。なので、FIREした後も僕がいつ飲みに行こうが、家に帰って来なかろうが、家族は何も言わないですね。人と交流して遊んでいるならいいでしょう、みたいな。
そんな感じで、しっかり人生を楽しんでいくことを家族みんなで大切にしていますね。やっぱり人と関わらないと人生楽しくないので、そこにお金をかけようねっていう方針です。
寺澤さんのツイート。交友関係では自分から動くことが大事とのこと。
FIRE生活では、新しいコミュニティに入ることが必要だと思います。僕はあるオンラインサロンに所属しているんですが、全体で何千人もが所属している集団でして。
そこで知り合う方の中にも、FIREしている方がたくさんいて、今も交流しています。平日休みの方もいて、会いやすいので交流が続いています。
僕、いろんな飲み会に顔を出したり、知らない人と会ったりするのがめっちゃ好きなんですよ。交流のため、年100回ぐらいイベントに行っていたこともあります。そこで会う人たちと交流が続いていくことが多いです。
FIRE後も、より豊かな交友関係を築くために外に出ていくことは重要だと思っています。
考え方や境遇が近い、同世代の友人を作るのはやや難しいかなと思います。肌感覚として、FIREしていて年齢が近い方の絶対数が少ないと感じていて。平日、昼間に自由な30代、40代ってなかなか、いないんですよね。これが50代、60代ならもう少しいるのでしょうけど。
さすがに15歳とか歳が違うと、こちらもなんだか遠慮しちゃって。友達というよりは、知り合いみたいな感じになってしまうので難しいかなと思います。なので、境遇が近くて同世代の友人が欲しいですね。
僕は妻と子供がいるので、FIREしたからといってあまり孤独を感じたことはないですね。
妻と話したり子どもとゲームしたりして交流しているので。それで毎日楽しいですね。
夫婦でお金のことを議論・実践することの大切さについてツイートされている。
今回は、作家として新たな人生を歩むためFIREした寺澤さんに、FIREについてのインタビューを行ってきました。
引退のイメージが強い「リタイア」ではなく、「リスタート」とFIREを捉えている寺澤さん。これまでやりたかった事にチャレンジする人生を選べたのは、会社員時代から執筆活動に挑戦し、資産運用にも積極的だったことが重要な点と言えるでしょう。
リスタートという意味のFIREを考えている方は、自分のやりたいことと、資産運用の2つについての準備を早いうちから始めると良いかもしれませんね。