ファイナンシャルプランナー1級・AFP・日商簿記2級・年金アドバイザー3級
木内 菜穂子 氏
金融機関、税理士事務所、救急医療系財団法人を経て、結婚を機に退職。現在は、金融・保険ライターとして4年半ほど執筆活動中。
「セミリタイア(FIRE)」というライフスタイルが提唱されるようになり、「いつかセミリタイアして自分らしい人生を生きたい」と考えている人もいるでしょう。
しかし、セミリタイアするにはまとまった資金が必要になるうえ、セミリタイア後のプランもしっかりと固まっていなければ実現することは難しいです。
そこで、すでにセミリタイアを目指して取り組んでいる100人に独自にアンケートを実施し、「セミリタイアをする目的」や「目標とする貯金額」、「資金の準備方法」などを伺いました。
実際に取り組んでいる人のリアルな事情を参考にして、セミリタイアを実現するために役立ててください。
まずは、セミリタイアをする目的にはどのようなことがあるのか、アンケート結果を確認していきましょう。
【アンケート概要】
セミリタイアをしたい理由をピックアップして紹介しましたが、傾向として大きく分けると次の3つのタイプに分かれているようです。
いずれにしても、なるべく若く健康なうちに次のライフステージへ移りたいと考えている方がほとんどです。
次に、セミリタイアをするにはお金はどのくらいかかると思うかについて質問をした結果、次のような結果が得られました。
必要な金額 | 割合 |
---|---|
1,000万円未満 | 2% |
1,000万円~3,000万円 | 25% |
3,000万円~5,000万円 | 24% |
5,000万円~7,000万円 | 30% |
7,000万円~1億円 | 5% |
1憶円以上 | 14% |
わかりやすくグラフで表してみましょう。
最も多かったのが「5,000万円~7,000万円」で30%、次いで「1,000万円~3,000万円」で25%、「3,000万円~5,000万円」で24%、という結果となっています。
ただし、1億円以上必要と回答した人も14%いることから、「5,000万円~7,000万円」を目標にしつつも、できれば1億円に近い金額を準備したいと考えている人も少なくないといえるでしょう。
次に、セミリタイアを実現するには貯金だけで可能かどうかを質問しました。
先に結果をいうと、「貯金だけではセミリタイアできない」と答えた人がほとんどでした。まずはその理由を見ていきましょう。
今の貯金額では厳しいと答えた人が多く、仮にどんなに貯金があったとしても、常に不安が付きまとうと思います。多くの人が、収入を得る何らかの手段を確保しておく必要があると考えているようです。
特に、投資による資産運用に興味を持っている人が多く見られました。
一方で、貯金だけでセミリタイアできると回答した人の意見を見ていきましょう。
いずれも、「できる」とは回答していても条件付きであったり、何らかの収入を得る方法を確保したいと考えているようです。
やはり、貯金を崩しながらの生活には不安が常につきまとううえに、切り詰めた生活だと精神的に参ってしまうことが考えられます。また、長生きリスクやインフレに対応できないことも考えると、貯金だけでセミリタイア後を乗り切るのは現実的でないといえます。
セミリタイアを達成するためにどのようにしていきたいか、との質問への回答の一部を紹介します。
多くの人が、現在はとにかく貯金をすることと、資産運用で積極的にお金を増やすことに専念し、安心できる金額が貯金できたらセミリタイアしたいと考えているようです。
さらに、地方に移住して生活費を抑えたり、物価の安い海外に移住したりすることを検討している人もいます。
貯金だけでは効率よく貯められないので、多くの人が投資に興味を持っており、「すでに投資を始めている」、「現在勉強中」、「今後始めたい」といった状況のようです。
セミリタイアを実現させたい人たちの多くが、貯金だけではセミリタイア後の生活費をカバーできないと考えており、「投資」などで積極的に貯金を増やしていくことが必要だと考えています。
節約をして無駄遣いせずにコツコツと貯金をし、さらに投資で資産運用をすることでより早い段階でのセミリタイアが実現するでしょう。
投資にはいくつかの種類がありますが、中でも一般的に活用されている投資方法を紹介します。
不動産投資は、アパートやマンションといった不動産を購入し賃貸することなどで利益を得る投資方法です。入居者は年単位で契約するケースが多いので、一度決まれば長期的な収入が得られるため、退職後の不労所得として活用されるほか、最近では若い世代からも注目を浴びています。
また、相続対策や所得税・住民税の節税対策にも役立ち、住宅ローンを利用する場合は団体信用生命保険に加入することになるので生命保険代わりにもなります。
ただし、空き室リスクがある、物件の老朽化に伴い家賃が低下する、維持管理費用がかかる、火災や地震などの災害の被害に遭うリスクがあるといった注意点があることを事前に認識しておきましょう。
株式投資とは、企業が発行した株式を売買することによって利益を得る投資方法で、投資家が得られる利益には「売却益(キャピタルゲイン)」、「配当金(インカムゲイン)」、「株主優待」の3つがあります。
購入金額よりも高額で売却できると譲渡益が得られ、投資した企業の業績が良く利益が出たときに投資家に持ち分に応じた利益が配当金として還元されるのが株式投資の仕組みです。
株主優待は、すべての企業が実施しているわけではありませんが、企業の自社製品やサービスなどを投資家に贈呈するものです。
株式投資は、元本保証ではないため株価が下がると損失が発生します。また、投資した企業が倒産してしまった場合は株式の価値が0になることもあります。
FXとは「Foreign Exchange」の略で、正式には「外国為替証拠金取引」といいます。ドルやユーロなどの外国通貨を交換したり売買したりすることで、差益を得ることを目的とした投資商品です。
FXは、まとまった資金がない人でも少額から始められ、ほかの投資商品と比較して専門的な知識がそれほど必要ないので、手軽に始められることも魅力のひとつです。
しかし、少ない資金で大きな利益を狙える商品は、大きな損失が出てしまう可能性もあることから、自分で損切ラインを設定するなどしてリスク管理をする必要があります。
では、FXについての詳しい特徴を解説していきます。
FXは、株式投資や不動産投資などよりも手軽に始められるため、投資に興味のある人や収入アップを図りたい人に選ばれています。
FXには、「24時間取引可能」、「自動売買」、「レバレッジの活用」といった特徴がありますので、ひとつずつ確認していきましょう。
FXは、1日中どこかの国の市場で取引が行われているため、平日のほぼ24時間取引をすることができます。そのため、平日の昼間は本業で忙しい人でも、仕事終わりに自宅でゆっくりと取引をすることができます。
最も取引が活発になるのはニューヨーク市場とロンドン市場が重なる21時から翌3時位の間なので、自分のオフタイムと一致する点もメリットのひとつです。
FX会社では、「自動売買システム」を導入しているところもあるので、24時間チャンスを逃すことなく取引できます。
あらかじめ、自動売買システムの設定をしておけば、夜中や早朝に起きる必要がなく、本業に差し支えることなく日中でも自動的に取引をしてくれます。
また、FX初心者は売買するタイミングが難しいと考えがちですが、あらかじめ取引を設定しておけばシステムが自動的に取引をするので、売買のタイミングで悩むことがなくなります。
FX会社に証拠金を預けることで、預けた証拠金の何倍もの金額を取引することが可能です。現在、日本では最大25倍の取引をすることができます。
このように、少ない資金で高額な外国為替取引ができることを「レバレッジ効果」といい、FXの大きな魅力のひとつとなっています。
レバレッジを効かせれば効かせるほど得られるリターンは大きくなる可能性があります。しかし、その分リスクも大きくなるため、損失リスクについては十分に理解したうえで取り組む必要があります。
FX以外の投資商品の内容についてのお問合わせは受け付けていませんので、あらかじめご了承ください。