STOCH(ストキャスティクス)は、一定期間内の価格変動と現在値の位置関係から、相場の過熱感(買われすぎ/売られすぎ)や転換点を判断するインジケーターです。英語では「Stochastic Oscillator」と呼ばれます。
セントラル短資FXのTradingViewチャートのSTOCHでは、以下の2本のラインがチャートに表示されます。
それぞれの値は0~100の範囲で表示され、以下が一般的な目安とされています。
本ツールのSTOCHでは、デフォルトで80/20の水準にラインが引かれており、%K/%Dの交差やこれらの水準との位置関係を分析しながら売買タイミングを判断します。
STOCHは特に短期的な価格変動への感度が高く、細かい値動きを捉えることが得意なインジケーターです。ただし、その分ノイズも多くなるので、使用する際は注意が必要です。
▼豆知識
本ツールのSTOCHは、デフォルトでは「ファスト・ストキャスティクス」が表示されます。パラメーターの調整で、より緩やかに動く「スロー・ストキャスティクス」も使用可能です。
※本記事では、TradingViewチャートのSTOCHに実装されているロジックに基づいて解説します。
STOCHの計算式は、以下の通りです。
X = ( 現在足の終値 - LOW ) ÷ ( HIGH - LOW ) × 100
%K = 直近M期間のX合計 ÷ M
%D = 直近L期間の%K合計 ÷ L
※ HIGH:N期間における最高値
※ LOW:N期間における最安値
※ N/M/L:対象期間
Xは、設定期間(N)における変動範囲(最高値/最安値の間)の中で、現在の終値が最安値から何%上昇したかを示した値です。例えば、終値が期間内の最高値に近ければXは100に近い値となり、最安値に近ければ0に近い値となります。
%Kは、このXの設定期間(M)における合計をMで割った値です。つまり、XのM期間のSMA(Simple Moving Average:単純移動平均)となります。%Dは、この%KのさらにL期間のSMAです。
▼豆知識
計算式の「X/%K/%D」は、一般的にはそれぞれ「%K/%D/Slow%D」と呼ばれます。後者の一般的な呼称のうち%K/%Dを表示するのがファスト・ストキャスティクス、%D/Slow%Dを表示するのがスロー・ストキャスティクスです。
本ツールでは、デフォルトで計算式のMが1に設定されており、Xと%Kは同一です。つまり、デフォルトのSTOCHは、一般的な%K/%D(ファスト・ストキャスティクス)が表示されていることになります。
例えば、以下のように価格が推移した場合、%K/%Dの値は次のように計算されます。なお、設定期間(N/M/L)は4/2/2とします。
期間 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|
高値 | 102 | 104 | 107 | 105 | 110 | 107 |
安値 | 99 | 100 | 100 | 103 | 106 | 103 |
終値 | 100 | 102 | 104 | 103 | 106 | 103 |
HIGH | - | - | - | 107 | 110 | 110 |
LOW | - | - | - | 99 | 100 | 100 |
終値 - LOW | - | - | - | 4 | 8 | 3 |
HIGH - LOW | - | - | - | 8 | 10 | 10 |
X | - | - | - | 50 | 80 | 30 |
%K | - | - | - | - | 65 | 55 |
%D | - | - | - | - | - | 60 |
【6期間目】
X:( 103 - 100 ) ÷ ( 110 - 100 ) × 100 = 30
%K:( 80 + 30 ) ÷ 2 = 55
%D:( 65 + 55 ) ÷ 2 = 60
STOCHをチャートに表示する基本的な流れは以下の通りです。
表示したインジケーターは、主に以下の方法で削除することができます。
▼豆知識
チャート上で以下のようにキーボードを入力すると、マウスなしで素早くSTOCHをチャートに表示することができます。
/ ⇒ sto⇒ ↓ ⇒ Enter
※インジケーターのウインドウは「Esc」を2回押下で閉じます
STOCHの設定ウインドウの「パラメーター」タブについて、①~③の項目で調整できる内容を紹介していきます。
%Kの計算で使用する最高値/最安値を判定する対象期間(計算式のN)を設定します。デフォルトは「14」です。
%Kを平滑化するために行う移動平均の計算期間(計算式のM)を設定します。デフォルトは「1」で、平滑化されていない%Kが表示されています。
%Dを平滑化するために行う移動平均の計算期間(計算式のM)を設定します。デフォルトは「3」です。
▼豆知識
一般的なスロー・ストキャスティクスを使用したい場合は、%K Smoothingを「3」、%D Smoothingを「3(デフォルト値)」に設定すると良いでしょう。