あのマーケットビューのコラムニストたちがアメリカ大統領選挙後の相場を大胆予測!!

どっちが勝つかな!?円安?円高??マーケットビューコラムニストと当社為替ディーラーによる予想マップ

予想マップ

得意な通貨ペアの大統領選挙後の相場の行方を教えて!

野村雅道氏 野村雅道

ハリス氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

なだらかなドル高(円安)へ。先ずはご祝儀的な、アメリカ買い(株買い・ドル買い)が入る。国内では今まで通りの市場主義的な経済政策が継続される。国際的には協調的な政策が継続される。ファンダメンタルに沿った動きとなる。景気の波での変動はあるも、米国企業の強さは変わらず中長期にはドル高が続く。

メキシコペソ/円

ハリス大統領となれば、現在と同じく市場主義、自由主義、民主主義、海外との協調主義に基づいた経済政策が行われる。メキシコにとっても今まで通りのニアショアリングを中心とした経済成長が見込まれ、ペソ円は9円台、10円台へ上昇するだろう。

メキシコは米国との近さ、そして何よりも何千もの雇用が創出されることから、米国テクノロジー企業などが望む新たな投資を誘致する機会を逃すべきではない。両国関係が順調に進めばメキシコの成長力も強まり米国への輸出が増加すればペソ高となる。2026年のUSMCA見直しも大きな障害はなく進むだろう。

ただ現在、司法改革の不確実性で海外企業のメキシコへの投資姿勢が揺らいでいる。ニアショアリングの進展も懸念されている。重要なのは実務に反映する二次法にある。現時点では、司法改革については多くの不確実性があり、問題はまだあまり明確ではなく、投資はすでにメキシコに流入しているが、今後は適切な法の支配が重要だ。

多くの企業が収益性の高い米国市場に近づくために事業拠点のニアショアリング化を模索しているにもかかわらず、最近施行された司法改革と、議会による他の憲法改正案の承認の可能性により、メキシコの企業誘致能力が損なわれるのではないかとの大きな懸念がある。

エブラード経済大臣は、シェインバウム大統領が10月15日に開催される年次会合「米国・メキシコCEO対話」で大企業45社の代表者と会談すると述べた。大統領は6年間の任期中、メキシコと米国の企業幹部に対し、メキシコへの現在および将来の投資は尊重されると伝えるだろう、司法改革が企業にリスクをもたらさないことを再確認させると述べた。司法改革がどのように機能するかを説明するだろう。経済大臣は「我々は彼らの投資を尊重するつもりだ」と強調した。
エネルギーやインフラを含む他の問題も、シェインバウム大統領と米国およびメキシコのビジネス界との「直接対話」の一部となるだろうと述べた。「米国企業は我が国に多大な関心を抱いている」と語った。

最新のニアショアリングの事例としては、マイクロソフトがメキシコでのクラウドコンピューティングと人工知能(AI)のインフラ構築に向け、今後3年間で13億ドルを投資すると発表している。

トランプ氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

最初はドル高円安、その後失速する。米企業の国内回帰を標榜しているので誘致コストや国内の雇用コストが上昇、物価・金利も上昇しドル高。ただ落ち着けば、国内回帰のコスト増で財政赤字拡大でドルへの信認は失われ、ドルは売られる。トランプ氏は製造業回復のためドル安(円高)を望んでいる。

メキシコペソ/円

トランプ大統領となれば市場は混乱する、ペソ安が進む。7円割れも覚悟したい。
トランプ氏の経済政策、また対メキシコ政策からはまずは混乱が起きるだろう。トランプ氏の経済政策は製造業の国内回帰とドル安政策だ。ニアショアリングをやめて国内で生産すればコスト高となり物価が上がり金利も上昇する。
米国内への製造業誘致での補助金で財政赤字も増大する。これも金利上昇要因。ただ良い意味での金利上昇ではない。一時的に金利が上昇しドル高となる。その後は、財政赤字の拡大でドルが売られる。

そのうちに2026年のUSMCA改定の時期となりさらに混乱する。米国はUSMCAを離脱するかもしれない。そうなるとメキシコに大打撃となるが米国も物価急騰となる。混乱という意味ではドル安となる。ただメキシコは対米貿易に大きな障害が発生するのでドル安でもペソ高とはなりにくい。

トランプ氏は、米国向け輸出を行うメキシコの企業に対し、直ちに米国に事業を移転しなければ関税引き上げに直面すると呼びかけ、米国市場向けに低コスト生産を行うというメキシコの経済モデルに再び疑問を投げかけた。

メキシコに進出している中国電気自動車メーカーに対し、米国への輸入に100%の新たな関税を課すとした。その後税率を200%に引き上げると威嚇している。また、メキシコで大規模な工場を稼働しているドイツの自動車メーカーに対し、「米国の自動車会社になる」よう呼びかけた。「私は彼らに米国内に工場を建設してもらいたい、そうすれば法人税率を15%に引き下げる」と約束した。

「この高額な関税をなくすための唯一の方法は、アメリカ国内にあなたたちが働くことができる工場を作ることだ」と述べ、各メーカーに対してアメリカでの生産を強化するよう訴えた。

メキシコはアメリカと比べて人件費が安く、日本の自動車メーカーも生産拠点を設けていて、こうした政策が実現した場合、悪影響が出る可能性がある。
トランプ氏は「私の経済計画の柱は米国製造業の復興だ」と強調している。優遇措置は製造拠点を米国に移し米労働者を雇用する企業が対象で、低税率の法人税や規制緩和、研究開発費に対する減税などが含まれると説明した。

松崎美子氏 松崎美子

ハリス氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

下院は共和党、上院は民主党という前提でのハリス氏当選となれば、当選確定の瞬間はドル高円安になる可能性を想定する。しかしその直後からは、増税が米経済の腰折れ要因となるリスクを市場は追いかけ始め、FRBによる利下げが予想以上に進む可能性が出てくるため、結果的にドル安円高へ。

英ポンド/米ドル

ハリス勝利後の注目通貨ペアは、ポンド買いドル売り。自分の中でドル売りはほぼ確定していたが、相手通貨に何を選ぶべきか悩んだ。ポンドに決めた理由は、G10通貨中、政策金利レベルの優位性と政権の安定性、EUから離脱したからこその安心感などを挙げたい。

■財政引き締め、金融緩和路線は本当か?

ハリス氏とトランプ候補との最大の違いは、財政政策と金融政策の方向性だと言われている。もちろんハリス氏の場合、バイデン大統領の政策踏襲の部分が大きいだろうが、法人税増税等により財政政策はやや引き締め気味となり、金融政策は緩和路線継続が予想されている。

しかし10月8日のTVインタビューでハリス氏は、小児税額控除(CTC)の拡大、所得税額控除(EITC)の拡大、医療保険法(ACA)の保険料補助の拡大、初回住宅購入者への頭金補助の提供などにより、低・中所得世帯への減税を口にしており、財源の一部として法人税等の増税を挙げた。つまり、ハリス政権下では市場が考えているほど財政引き締めとならないかもしれず、そうなった場合はFRBの利下げも予想ほどは進まないとも言えよう。この点は相場展開に影響を与えるだけに要注意だ。

■景気とインフレ見通し

増税は富裕層や企業が対象としているが、やはり緊縮財政は景気の腰を折る可能性が残り、インフレ懸念再燃リスクは下がる。その意味では、FRBの緩和政策のスピード感に相場は左右されるかもしれない。

■地政学リスク、ひとまず安心か?

トランプ氏と違い、ハリス氏はウクライナと台湾支援を継続するようで、この点は安心材料となる。ただし下院が共和党となれば、サポート額の減額指示の可能性には留意したい。中東・イスラエルへのアプローチも、バイデン大統領と変わらないと想定している。

■コモディティ価格

米景気減速がある程度顕著となれば、原油を初めとするコモディティ価格の下落が予想される。しかしそれまでにイスラエル⇔イラン情勢が悪化していれば、世界の海上石油貿易の3割強が通過するホルムズ海峡の封鎖など、一夜にしてアメリカだけでなく世界を取り巻く環境が変わるリスクも忘れてはいけないだろう。

トランプ氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

トランプ氏再選の場合、外交、特にウクライナや中東紛争から手を引くのか?中国以外に欧州に対しても高関税を課すか?国内景気については、減税規模と大統領によるFRB金融政策への関与の有無が鍵を握ると予想。

ユーロ/米ドル

トランプ勝利後のマーケットで最も興味がある通貨ペアは、ユーロ売りドル買い。ただしトランプ政権が、上下両院とも共和党になるか、ねじれになるかで、政策運営スピードが左右され、通貨が動くスピード感にも差が出るだろう。

■ユーロ売りドル買いを選んだ理由

2つある。1つは、中国だけでなくEUも高い関税を押し付けられるリスク。2つ目は、ウクライナ戦争や中東への財政負担増。アメリカがこれらの戦争から完全に手を引けば、欧州とイギリスが今後の支援を一手に引き受けることになり、財政負担が大きく増えることは避けられない。特に地続きの欧州にとっては、今秋から緊縮財政に踏み切ると発表したばかりで、これ以上の歳出増はかなりキツイ。これはイギリスも同じだ。ただし、トランプ氏は自身が大統領になればウクライナ戦争はすぐに終わらせるとも語っているので、この言葉が本当であれば、状況は大きく変わる。

■欧州での過剰財政赤字

財政政策が厳しいのは特に南欧州各国で、パンデミック時の特別救済資金を受け取りながら、ここまでどうにか辻褄を合わせてきた。しかしその救済資金も2026年で終了するので、来年度予算案からは本気の財政再建を目指さないと格下げリスクと背中合わせとなる国もある。

■地政学リスク

トランプ氏は台湾支援もしない方針のため、万が一、台湾有事が現実のものとなれば、イスラエルと並び地政学リスクが大きく台頭、基軸通貨であり流動性が高いドルが第一の安全通貨となる点も、ドル買いを連想させた。

■FRBへの関与?

どこまで本気かわからないが、自身が大統領になればFRBの金融政策にも口を出すつもりのようだ。減税を実施し国内の景気回復に真っ先に手をつけるであろう事を想定すると、それによって長期金利が上昇し、FRBの思惑を無視したタイミングでの利上げというシナリオも無視できず、ドル高となる可能性が残る。財政拡大時は金融政策は引き締めで対応することが多いため、思わぬタイミングでの金利上昇には注意が必要かもしれない。

■緩めの財政政策の限界は?

このシナリオの弱点は、財政拡大の「限界」がいつ表面化するかであろう。仮に長期金利が5%台に突入すれば、国債利払い費が大きく膨れ上がり、格下げに伴い、何かの弾みで金融市場の安定が崩れるリスクがある。

津田穣氏 津田穣

ハリス氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

一つには民主党=米ドル安のアノマリー(経験的な規則性)により、初期反応は米ドル安/円高に反応するだろう。ハリス氏の大企業・富裕層への増税政策は株価にネガティブでありリスク要因となるだろう(円買い要因)。一方子育て家族に対する税額控除拡大、ウクライナ支援政策や中東など紛争地域における米国関与の継続姿勢は軍事費拡大から財政赤字悪化要因であり米ドル安要因。

豪ドル/円、豪ドル/米ドル

民主党勝利=米ドル安のアノマリーに従えば、米ドル軟調・豪ドル堅調となるが、対円ではドル円の下落は限定的で、豪ドル堅調と相殺し合って弱保合いに留まるだろう。
年末予想:豪ドルドル 72セント、豪ドル円 100.00
実際に2020年の大統領選でバイデン大統領が勝利した際には、豪ドルは大統領選のあった2020年11月の70セント割れを底値として翌年2月の80セント台まで上昇したが、その後は世界的なインフレ激化・米金利大幅上昇の下で豪ドルは長期下落トレンドに入ったのは旧知の事実。
対円でも2020年11月の73円台を底値に長期上昇トレンドとなって現在の100円超えに至るが、主因は豪ドル要因というよりは日米金利差・景気格差に基づく米ドル円の大幅上昇であると言えるだろう。
結論としては“民主党勝利直後の豪ドル上昇/米ドル下落のアノマリー”は正解と言えるだろう。
ただ過去を振り返れば、基本的に民主党は米ドル相場の水準に対する関心が希薄であり、政策的な米ドル水準の変更が豪ドルを動かす可能性は少ない。
民主党政権継続となればバイデン政権の諸政策の現状維持が前提となるだろう。足元の米ドル相場の堅調が継続する可能性があり、その場合は初期反応(米ドル下落)も一時的で米ドル堅調/豪ドル軟調地合が継続する可能性があるだろう。

■ハリス政権の諸政策が豪ドルに与える影響分析

(豪ドル上昇要因):
①米ドル軟調=豪ドル堅調で70セントを上回る可能性。
②対中政策が現状維持に留まれば(トランプ氏の主張する大幅関税引き上げがない)、中国の輸出現状維持で豪州に対する資源需要も減退しないだろう。
(豪ドル下落要因):
①ウクライナ支援強化で更にウクライナ戦争が泥沼化し、中東紛争が長期化すれば世界経済低迷で豪州資源の需要減退。
②米株下落が主要国の株価下落に及べば世界経済減速懸念=豪ドル安。
③低所得者層支援で財政赤字拡大となれば、金利上昇=米ドル高で豪ドル安。

トランプ氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

トランプ氏の数兆ドル規模に上る減税策は景気浮揚をもたらし株価上昇・リスク選好地合となる。また対中輸入関税引き上げや、米史上最大規模の不法移民強制退去(安い労働力の喪失)、更に国境の壁完成により財政赤字は急拡大し、米国のインフレ再燃をもたらし、米ドル金利上昇=米ドル高を招来する。同氏は金利引き下げを主張しており、前回同様に米ドル安志向となるだろうが、本来大統領に金利引き下げ権限などなく、FRB(パウエル議長)との力関係も前回から逆転していて、パウエル議長も大統領の言いなりにはならないだろう。インフレ再燃となればトランプ氏の金利低下=米ドル安政策に現実味はない。

豪ドル/円、豪ドル/米ドル

共和党勝利=米ドル高のアノマリーに従えば、豪ドル軟調となるが、対円ではドル円の堅調が豪ドル軟調に勝り豪ドル円は堅調推移となるだろう。
トランプ政権の施政表明を分析すれば米金利上昇要因(インフレ上昇要因)が多く、本人の意図(金利低下、米ドル安)の実現は困難であると考える。
年末予想:豪ドルドル 65セント、豪ドル円 107.00
実際に2016年の大統領選でトランプ大統領が誕生した際には、同氏の勝利がかなりのサプライズであったこともあり、直後は米ドル急上昇となって豪ドルは2016年11月の77セント台を天井に翌12月には71セント台まで下落している(米ドル高/豪ドル安)。ただ翌年2017年はBrexit投票後のポンドの戻り高やユーロの上昇にフォローして、2017年9月の81セント台まで上昇している。対円ではドル円が大統領選のあった2016年11月の101円台を安値に、翌12月の118円台までの大幅上昇が豪ドルの下落に勝り、11月の安値76円台から翌年9月の高値90円台まで上昇トレンドとなった。
短期的には“共和党勝利後の米ドル高/豪ドル安のアノマリー”は正解と言えるだろう。

■トランプ政権の諸政策が豪ドルに与える影響分析

(豪ドル上昇要因):
①株高・リスク選好(特にリスク通貨ペア・豪ドル円の上昇要因)。
②ウクライナ戦争の早期終結が現実となれば世界経済の回復・豪州資源需要拡大。
(豪ドル下落要因);
①米ドル堅調=豪ドル軟調の可能性。
②対中関税引き上げや不法移民取り締まり(安価な労働力の喪失)がインフレ要因となり米金利高=豪ドル安。
③対中関税大幅引き上げは中国の輸出減=豪州資源に対する需要減退。
④米財政赤字の急拡大で米ドル金利上昇=米ドル高/豪ドル安。
⑤トランプ政権の孤立政策が新たな国際緊張を生み、イスラエルへの強い支持表明は今後も中東の緊張が継続することを意味する。リスク回避の米ドル上昇/豪ドル下落要因。

山中康司氏 山中康司

ハリス氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

バイデン政権の政策をそのまま引き継ぎ、金融政策もFRBの緩和策を支持するため、ドル安・円高の流れは継続。また法人増税への懸念が米国株安につながりドル安・円高の流れを強める方向に動く。

ドル円相場に与える影響について考察する。長期的シナリオをメインに年末までの動きは日柄も考慮した。

ハリス副大統領はバイデン政権の政策をそのまま引き継ぎ、金融政策についても現在のFRBの緩和策を支持するため、長期的なドル安・円高の流れは継続すると見られる。現時点の政策金利から就任時点で4.0~4.25%へと低下、さらに2025年末には3.25~3.5%へと緩やかな米金利低下が見込まれる。いっぽうで日銀もインフレ率が2%のターゲットよりも高い水準で推移する可能性から2025年末には現状よりもやや引き締めの度合いを強め翌日物金利は0.5%へと上昇していると見ている。つまり、日米金利差は現時点と比べ1.75%程度縮小する見込みであり、これは近年の金利差と円相場との相関から考えてもドル安・円高の大きな要因として働くこととなる。

また法人増税への懸念が米国株安につながりドル安・円高の流れを強める方向に作用する。増税は公約であり現在の21%から28%へと上昇、中間層への支援を厚くするとは言うものの米国の大企業にとっては大きな減収につながり、そのことが米国株安を招くこととなる。リスクオフの動きから世界の主要株価指数の下落に波及し日本株もその影響は避けられないだろう。為替市場にはドル安・円高として作用することとなるが、米国企業の減収が景気後退懸念を招くとすると、FRBが金融緩和のペースを想定よりも速める可能性が高まり、これもドル安・円高につながると見ている。

金融占星術的考察はどちらの候補が勝利しても結論は同じになるため、ここでは金融市場に与える影響が強そうな配置について見て行きたい。10月後半以降の年末に向けての重要な配置は、10月17日スーパームーン(近地点での満月)、11月26日~12月15日の水星逆行、12月7日~来年2月24日の火星逆行がある。火星逆行は約2年に1回しか起きず、しかも12月7日~12月15日は水星逆行とも重なる。水星逆行はボラティリティの上昇、かつ逆行終了時(順行に戻る)に円高に動きやすく、また火星逆行は地域紛争の激化が起きやすくリスクオフとの関連が高い。こうしたことを考えると年末に向けての円相場は円高に注意と言わざるを得ない。

トランプ氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

金融政策は緩和を支持しているが、関税引き上げ実施による輸入物価の上昇がインフレ再燃につながり、長期的には米金利上昇がドル高・円安に転じてくる可能性が高い。また法人減税も米国株高とともにドル高・円安に動く材料となる。

こちらもまずは金融市場との関連を見て行きたい。

トランプ前大統領は、金融政策については緩和を支持しているものの、長期的な緩和傾向の維持には疑問が残る。これは関税の大幅引き上げ実施による輸入物価の上昇がインフレ再燃につながる恐れがあるためだ。例として対中国では60%の追加関税、さらにイランとの貿易を続ける場合には100%の追加関税を実施するとしている。また追加関税は対中国だけであっても、全ての国からの輸入に対して一律で関税を20%にするという発言も飛び出した。これは、米国が輸入する物の価格が大幅に上昇し、インフレ率は1%以上の上昇につながると言われている。FRBは現在でこそインフレ率が収まってきたことから雇用を重視するスタンスとなっているが、以前の3%台に戻るようなことがあれば、緩和は停止、状況によっては再度引き締めへの転換という流れになる可能性も高い。つまり日米金利差の縮小が止まることとなれば、為替市場はドル高・円安の再開を見込むこととなる。

また法人減税はハリス副大統領とは全く逆の公約だ。米国内の生産であれば法人税を15%に下げ、研究開発に対しての税額控除も拡大される。これは米国企業にとっては好材料であり米国株高につながり、結果としてドル高・円安に動く材料となる。しかし、財源をどうするのかという点は赤字国債発行に頼ると考えざるを得ず、米国債の価格下落も米金利上昇となる。トランプ大統領誕生時にはイーロン・マスク氏を支出削減のトップに据えると言っているので、お手並み拝見というところだろうか。

金融占星術的にはハリス副大統領が勝利した場合と同じなのだが、ここでは何故トランプ前大統領が勝利するとしたのかを日柄の観点から解説する。ここでは一般的な占星術の考え方を披露するが、現在の良い天体が出生時の良い天体と良い角度を取る時期が幸運期、逆に現在の悪い天体が出生時の悪い天体と悪い角度を取る時期が不運気となる。トランプ前大統領とハリス副大統領の大統領選までの天体の動きを見ると、トランプ前大統領には現在の良い天体(最大の吉星である木星)が出生時の複数の良い天体と良い角度を取っているのに対して、ハリス副大統領は現在の悪い天体(最大の凶星である土星)が出生時の複数の悪い天体と悪い角度を取っている。現在はハリス副大統領が2ポイントをリードしているが、ここからの2週間でトランプ大統領が五分に持ち込み、選挙戦当日には勝利するというシナリオを示しておきたいが、大接戦になるのではないだろうか。

トレジャリー・パートナーズ社 トレジャリー・パートナーズ

ハリス氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

両氏の選挙対策ページから、基本的には政党の方向性を継承していることを確認した。そのため大統領のカラーというよりも党の方針の観点で考えていきたい。1971年から現在まで、民主党の大統領は敬称略でカーター、クリントン、オバマ、バイデンと4人、4タームあるが、この間のドルの総合的な強さを示すドルインデックスはカーターを除く3タームで上昇している。貿易、マクロ経済政策、投資家の期待など変数が多く断定はできないが、共和党と比べて規律的なマクロ経済対策を果たそうとすること、また国際的な協調姿勢を示そうとすることからG7など先進国の間で米国の信認が高まり、結果としてドル高に繋がりやすい政党と理解している。

そもそも論になるが、米大統領選という不確実、不透明なイベントをスケジュール的に越えること、これそのものがリスクオンのきっかけになる可能性が高い。リスクオンは株高、円安を連想しやすく、どちらが大統領になったとしてもその方向に振れやすいと見ている。

中国人民元/円

人民元で考えると、ドル高に振れる分は人民元安に振れるためドル円の方がより上昇しやすいと考えるが、それでも日本円を積極的に買う材料は乏しく、中国の国際収支構造が非常に強固であることを考慮すれば、1人民元あたり21.3円~21.5円辺りでの年末着地が見込めるだろう。

中国に関しては現在の政治体制から変化がない限りは、様々なことに対して内向きにならざるを得ず、結果として大きな経済成長は見込めない状況にある。デフレ期の日本を連想すると分かりやすいが、過去の経済活動における貯金で走る期間がしばらく続き、その間の通貨価値は大きく崩れないだろう。

トランプ氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

トランプ氏が大統領になる可能性が高いと考える。
両党、両氏の政策は対照的であり、結果的に票は割れやすく、接戦になりやすい。そのためよく言われることではあるがスイングステートにおける投票結果が鍵を握るだろう。そのスイングステートであるペンシルバニア州での共和党の選挙集会中にトランプ氏の耳をかすめる銃撃が発生、またフロリダ州では銃撃未遂を乗り越えトランプ氏に神風が吹いているものと見ている。また長らく続いた高インフレや、直近の失業率上昇も、国内景気をより重視する共和党に有利に働くと考えている。
1971年から現在まで、共和党が大統領を務めたタームはニクソン&フォード、レーガン&ブッシュ、ブッシュ(jr)、トランプと4タームあるが、このいずれの期間もドルインデックスは下落している。民主党と比べて積極的なマクロ経済対策を行う傾向があること、またグロバールな枠組みよりも自国の利益を優先する傾向にあることから、結果としてドル安に振れやすく、諸外国のドル離れを誘発しやすい政党と言えるだろう。

トランプ氏(共和党)が勝利した場合には株高、ドル安、円安で反応しやすいだろう。ドル円は初動で下げるように思うが、大きくは下がらないと思う。この場合のドル円は年末で148~151円辺りをイメージ。よりクロス円のロングに妙味が出てくるだろう。

メキシコペソ/円中国人民元/円

移民対策を強化する観点からメキシコペソには向かい風が吹く。またメキシコの司法改革に対する懸念もあり、しばらくはペソのキャリトレード戦略がワークしにくくなるだろう。一方でファンダメンタルズの強い豪ドル、国際収支構造のしっかりした人民元とのクロス円は上昇しやすくなるはずだ。中国人民元/円は21.5円~21.8円辺りでの年末着地が見込めるだろう。

なおトランプ氏の場合に中国との貿易摩擦が強まるのではないか?という見方もあるが、個人的には懐疑的。そもそも米国の中国に対する外交姿勢は「米国の中国に対する戦略的なアプローチ(United States Strategic Approach to the People’s Republic of China)」にて明確に競争相手として捉える指針が既に定められており、そもそもどちらの党になったからといって大きく変わるものではなく、基本的に米国の自由を脅かす相手に対して厳しく対応するということになっているので、トランプになったから対中姿勢がうんぬんという議論は本質的ではないと考えている。

為替タンシロウ氏
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ハリス氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

住宅供給の促進化や中低所得者層の家計を支援する税制優遇の拡充、医療補助の強化など、財政拡張路線を全面に押し出す政策が中心になっている。こうした政策の財源は国債発行に頼る形で賄うことが想定される。国債の増発は、将来的に財政悪化への懸念を強め、現在の格付けが維持されない場合、ドルの信頼が揺らぎ、ドル売り材料となる恐れがある。一方で、長期的には大規模な財政支出が中低所得者層の家計を下支えし、消費を刺激することで国内景気の浮揚も期待される。これにより、米国への資金流入が増加し、結果的にドル高へと転換する可能性もある。

各政策のベースはバイデン政権の方針を踏襲する形で、独自政策を織り交ぜていくことが想定される。足許の米国景気は、FRBによる高金利政策の効果が徐々に反映され、失業率の上昇や非農業部門雇用者数の低下からも観察できるように、景気減速感が出ている。インフレ率も順調といっていいほど、FRBが目標としている2%近辺に収束してきている。こうした状況下で、ハリス陣営が掲げる新たな政策がどのような経路をたどり、今後のドル円相場にどの程度影響を及ぼすかを評価するために、まずは主要な政策の内容を確認する必要がある。

■税制関連

大企業の法人税率を引き上げる一方、低中所得者層への税制優遇を図り、家計部門の購買力を下支えすることを狙う。また、トランプ陣営同様にチップ収入に対する非課税化も政策に加え、生活コストの負担軽減を目指す。

■住宅供給の強化

バイデン政権の「目標200万戸」から拡大し、4年間で300万戸を住宅市場に供給。住宅購入費の頭金も補助する。

■通商政策

バイデン政権からの方針を引き継ぎ、多国間貿易協定を維持し、国際協調路線の方向性を示す。不要な貿易摩擦を避ける一方で、対中政策はトランプ政権時代からの強硬姿勢を堅持すると考えられる。トランプ氏のように具体的な関税率まで言及していない点が気になるところではあるが、今のところ対中規制を緩める可能性は低い。

■食品・住宅価格の規制

不当な食品価格の値上げ企業に対し、値上げを規制する法案を成立させ、中低所得者向けの支援の拡充を図る。大統領就任から100日以内に実現すると公言しているものの、不当な価格の定義が困難で、実現できるかは不透明。

■年末に向けて、ドル円の水準は?

ハリス陣営の政策は、低中所得者層の生活コスト減少による個人消費の活性化が期待される一方で、法人税率引き上げは設備投資意欲の減衰・賃上げ抑制を招く可能性がある。また、住宅関連の建築資材の高騰や建築関連従事者の賃金上昇を誘発させ、インフレ懸念を強めることも考えられる。こうした流れは、FRBの政策スタンスに変化をもたらし、再び利上げ方向に舞い戻るようなことになれば、短期的にはドル買いを促すことも十分考えられる。しかし、実現に疑問符が付く政策があることや上院で民主党優勢の状況を維持できない場合、円滑な政権運営が困難となり、大きな政策的変化は期待できないとの見方もできる。こうした観点からすると、ドル円の動向は、利下げ方向へ転じたFRBの政策と日銀によるさらなる利上げ期待が交錯する中で、金融政策の違いが大きく影響を与えると考えられる。よって、年末にかけて円高が進行し、139円程度まで水準を切り下げると予想する。

トランプ氏 勝利後の相場予測

米ドル/円

1期目のトランプ政権時代と同様に、保護主義的な通商政策や大型減税を実施し、移民政策については、強い立場を維持する可能性が高い。移民政策で強硬姿勢を取った場合、労働供給が抑制される恐れがある。また、対中政策で一段と厳しい措置を取れば、報復関税による輸入物価の上昇が再びインフレを招くリスクもある。こうしたことで、現在利下げ方向にあるFRBが、再び利上げへの政策転換を余儀なくされることも考えられ、ドル高への流れが強まると考えられる。

トランプ氏と言えば、短期間に2度の暗殺未遂事件を経て、「米国の力強さの象徴」から「やはり、トラブルメーカー」との印象を持った方も多いのではないか。1期目のトランプ政権時代には、「アメリカ・ファースト」を掲げ、貿易赤字の改善と国内製造業の復興を目指し、保護主義的政策を強め、他国と貿易再交渉を進めた。特に対中政策では、報復関税の応酬が続き、米中関係の悪化も顧みない強硬な姿勢はまさに「トランプが動けば、常に何かと揉める」ことを象徴する政策方針の1つである。一方で、法人税率の大幅引き下げや個人所得の一部を減税したほか、環境保護や金融業界に対する規制も緩和したことで、企業の成長と個人消費の拡大を促し、経済成長に寄与する政策を実現したとの評価もある。2016年の大統領選挙前後の金融市場は、英国のブレグジット問題 が欧州全体の政治的・経済的な不安定さを浮き彫りにしたことで、リスク回避的な動きが強まっていた。しかし、予想に反して勝利を収めたトランプ大統領の下で、前述した大規模な減税やインフラ投資・規制緩和が米経済の成長を促すとの楽観的な見通しが拡がり、こうした動きに変化をもたらしたことは間違いないだろう。

そして今回、トランプ氏が掲げた共和党政策綱領は2016年と比較して共通したテーマも多いようだが、より強硬的かつ拡充を図った内容である印象が強い。主要な政策を見ると、移民政策では米史上最大規模の強制送還プログラムを実施し、犯罪者や違法移民を排除する方針を示したほか、大型減税の恒久化に加えてチップ収入を非課税化、エネルギー政策はバイデン政権から大転換させるようだ。また、対中政策はこれまで挙げた他の政策のなかでも、一段と厳しい姿勢で臨むことが想定される。このように、前述した一連の政策は沈静化の兆しを見せているインフレ率を再び上昇へと反転させる可能性がある。波及経路のイメージとしては、「労働力の供給元となっていた移民が減少し、雇用情勢のタイト化に伴い、賃金が上昇」、「税制優遇により個人の可処分所得の増加が消費を活性化」、「対中関税の引き上げは、輸入物価の上昇を招く」、といったところではないか。再びインフレ上昇の兆候が見られた場合、利下げ方向へ舵を切ったFRBは金融政策のスタンスを変更する必要性に迫られる。こうした流れを織り込む形で、2期目のトランプ大統領誕生後のドル円は、米金利上昇を見込んだドル買いの動きが強まり、155円を目指す展開を予想する。

最後に、緊迫の度合いが増している中東情勢に関して、トランプ氏が大統領へ返り咲きした場合、イスラエルへの支援がさらに強化される可能性が高い。その結果、紛争が拡大し、長期化することも想定され、リスク回避的な動きが強まることへ留意する必要がある。

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