ハリス氏 勝利後の相場予測
米ドル/円
なだらかなドル高(円安)へ。先ずはご祝儀的な、アメリカ買い(株買い・ドル買い)が入る。国内では今まで通りの市場主義的な経済政策が継続される。国際的には協調的な政策が継続される。ファンダメンタルに沿った動きとなる。景気の波での変動はあるも、米国企業の強さは変わらず中長期にはドル高が続く。
メキシコペソ/円
ハリス大統領となれば、現在と同じく市場主義、自由主義、民主主義、海外との協調主義に基づいた経済政策が行われる。メキシコにとっても今まで通りのニアショアリングを中心とした経済成長が見込まれ、ペソ円は9円台、10円台へ上昇するだろう。
メキシコは米国との近さ、そして何よりも何千もの雇用が創出されることから、米国テクノロジー企業などが望む新たな投資を誘致する機会を逃すべきではない。両国関係が順調に進めばメキシコの成長力も強まり米国への輸出が増加すればペソ高となる。2026年のUSMCA見直しも大きな障害はなく進むだろう。
ただ現在、司法改革の不確実性で海外企業のメキシコへの投資姿勢が揺らいでいる。ニアショアリングの進展も懸念されている。重要なのは実務に反映する二次法にある。現時点では、司法改革については多くの不確実性があり、問題はまだあまり明確ではなく、投資はすでにメキシコに流入しているが、今後は適切な法の支配が重要だ。
多くの企業が収益性の高い米国市場に近づくために事業拠点のニアショアリング化を模索しているにもかかわらず、最近施行された司法改革と、議会による他の憲法改正案の承認の可能性により、メキシコの企業誘致能力が損なわれるのではないかとの大きな懸念がある。
エブラード経済大臣は、シェインバウム大統領が10月15日に開催される年次会合「米国・メキシコCEO対話」で大企業45社の代表者と会談すると述べた。大統領は6年間の任期中、メキシコと米国の企業幹部に対し、メキシコへの現在および将来の投資は尊重されると伝えるだろう、司法改革が企業にリスクをもたらさないことを再確認させると述べた。司法改革がどのように機能するかを説明するだろう。経済大臣は「我々は彼らの投資を尊重するつもりだ」と強調した。
エネルギーやインフラを含む他の問題も、シェインバウム大統領と米国およびメキシコのビジネス界との「直接対話」の一部となるだろうと述べた。「米国企業は我が国に多大な関心を抱いている」と語った。
最新のニアショアリングの事例としては、マイクロソフトがメキシコでのクラウドコンピューティングと人工知能(AI)のインフラ構築に向け、今後3年間で13億ドルを投資すると発表している。
トランプ氏 勝利後の相場予測
米ドル/円
最初はドル高円安、その後失速する。米企業の国内回帰を標榜しているので誘致コストや国内の雇用コストが上昇、物価・金利も上昇しドル高。ただ落ち着けば、国内回帰のコスト増で財政赤字拡大でドルへの信認は失われ、ドルは売られる。トランプ氏は製造業回復のためドル安(円高)を望んでいる。
メキシコペソ/円
トランプ大統領となれば市場は混乱する、ペソ安が進む。7円割れも覚悟したい。
トランプ氏の経済政策、また対メキシコ政策からはまずは混乱が起きるだろう。トランプ氏の経済政策は製造業の国内回帰とドル安政策だ。ニアショアリングをやめて国内で生産すればコスト高となり物価が上がり金利も上昇する。
米国内への製造業誘致での補助金で財政赤字も増大する。これも金利上昇要因。ただ良い意味での金利上昇ではない。一時的に金利が上昇しドル高となる。その後は、財政赤字の拡大でドルが売られる。
そのうちに2026年のUSMCA改定の時期となりさらに混乱する。米国はUSMCAを離脱するかもしれない。そうなるとメキシコに大打撃となるが米国も物価急騰となる。混乱という意味ではドル安となる。ただメキシコは対米貿易に大きな障害が発生するのでドル安でもペソ高とはなりにくい。
トランプ氏は、米国向け輸出を行うメキシコの企業に対し、直ちに米国に事業を移転しなければ関税引き上げに直面すると呼びかけ、米国市場向けに低コスト生産を行うというメキシコの経済モデルに再び疑問を投げかけた。
メキシコに進出している中国電気自動車メーカーに対し、米国への輸入に100%の新たな関税を課すとした。その後税率を200%に引き上げると威嚇している。また、メキシコで大規模な工場を稼働しているドイツの自動車メーカーに対し、「米国の自動車会社になる」よう呼びかけた。「私は彼らに米国内に工場を建設してもらいたい、そうすれば法人税率を15%に引き下げる」と約束した。
「この高額な関税をなくすための唯一の方法は、アメリカ国内にあなたたちが働くことができる工場を作ることだ」と述べ、各メーカーに対してアメリカでの生産を強化するよう訴えた。
メキシコはアメリカと比べて人件費が安く、日本の自動車メーカーも生産拠点を設けていて、こうした政策が実現した場合、悪影響が出る可能性がある。
トランプ氏は「私の経済計画の柱は米国製造業の復興だ」と強調している。優遇措置は製造拠点を米国に移し米労働者を雇用する企業が対象で、低税率の法人税や規制緩和、研究開発費に対する減税などが含まれると説明した。