第2回2ウェイプライスを正しく理解しよう

テレビのニュースなどの市況のコーナーで、「ロンドン市場では、現在、ドル/円が103円50銭から52銭の間で取引されています」などとキャスターが読み上げますが、これは正確な表現ではありません。

金融機関などプロ同士が取引する外国為替市場(インターバンク市場)では、取引所を介さない「相対取引」が原則で、各参加者は基本的に、取引レートを「2(ツー)ウェイプライス」の形で提示するのが慣例です。

「2ウェイプライス」では、「ドルを買うレート」を「買値(BID:ビッド)」、「ドルを売るレート」を「売値(OFFER:オファーまたはASK:アスク)」と呼び、この双方を常に提示します。

各参加者がプライスを提示するに当たっては、ロイターやブルームバーグなどの相場情報、他の参加者の提示レート、自身が抱えるポジションなどを考慮します。

例えば、「500万ドルの買いポジション」を持つ銀行ディーラーが、そのポジションをスクエア(反対売買を行い、持っているポジションをなくす)にするために「500万ドルを売りたい」相手を市場で探す場合に、それに応じる相手は、それぞれの状況、判断に応じた「2ウェイプライス」が示しますが、これらが同じこともあれば違っていることもあるわけで、そのうちの「どれが正しい」というレートはありません。

「2ウェイプライス」が常にセットなので、取引レートを聞いてきた相手に「あなたは売りたいのか買いたいのか?」と最初に聞くことはありません。両者が異常に開いていたり、他の参加者の提示する価格と乖離している場合には、不正な動機が疑われかねず、両方が提示できて初めて「フェア」だと判断されるためです。

実際のインターバンク市場では、相場が大きく動いているような場合でない限り、取引が重ねられていく中で、参加者の提示レートは一定の水準とスプレッド(売値と買値の差)に収斂していくのが通常です。
一般的には、売値と買値の差(スプレッド)が収斂して、狭ければ狭くなるほど、フェアなプライスであると言え、他社より広い場合はそうした価格、提供者は自然に淘汰されていくことになります。

冒頭の例を、この「2ウェイプライス」で説明しますと、「今市場では、103円50銭でドルを買う人(=今ドルを売れるレート)」と「103円52銭でドルを売る人(今ドルを買えるレート)」が一番多い」ということを意味します。

なおFX取引においてはインターバンク市場と同様に「2ウェイプライス」方式でお客さまに提示することが法令で定められています。

―2ウェイプライス―
2ウェイプライス