1級ファイナンシャル・プランニング技能士
中村 奈津紀 氏
岐阜県出身。10年以上の金融機関勤務経験を経て2021年5月独立。金融機関在職中の2019年3月、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得。2020年12月、宅地建物取引士試験に合格。
収入をもう少し増やしたいという気持ちでFX取引を始めた人もおられるでしょう。
FXで効率的に収入を得るには、FXの特徴である「レバレッジ」や「自動売買」という便利な仕組みを理解し、活用することがポイントになります。
今回は、労働以外で収入を得る方法を紹介するとともに、FXにおけるレバレッジや自動売買について解説していきます。
収入を得るには「〇時間働く」、「〇個作る」といったように「働くこと」が基本になります。
労働によって得られる収入はどのくらいか、ふたつのケースで計算してみましょう。
正社員として、たとえば毎月25万円の給料をもらっている人の月収を時給に換算するといくらになるか、計算してみましょう。
実際の労働日数を22日とすると、日給は「25万円÷22日=1万1,364円」、1日8時間労働なら、時給は「1万1,364円÷8時間=1,421円」と計算できます。
だとすると「少し高いランチを食べてしまうと、あっという間に時給分のお金はなくなってしまう」ことがわかります。
パートやアルバイトの場合に一般的な「時給」という角度から考えてみましょう。
時給1,000円で1日8時間、1か月20日働くと1か月の収入は16万円に、また、22日働くと17万6,000円になります。
時給で収入を計算する方法以外に、内職などのように「〇〇個作るといくらか」という形で収入が決まる種類の仕事もあります。
内職では、1個あたりの収入が1円にも満たず、時給に換算すると、200円から600円ぐらいという仕事も少なくありません。
スキマ時間を有効活用してできる内職もないわけではありませんが、それにしても1時間コツコツ働いて数百円の収入しか得られないとすると、余裕のある暮らしや貯金はかなり厳しくなります。
「それならば、労働時間を増やせばいい。」との考え方もあります、実際に今以上に自由に使える時間は限られていますし、そこまでして働くと、かえって健康や家庭にとって害がある可能性も高まります。
「限られた時間を有効に活用して、効率よく収入を得る方法はないのかな?」と考えている人は、ぜひ「投資」という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
投資は、「1日〇時間働く」や「時給〇円で働く」といった形で「労働」をしなくても、仕事以外の時間やスキマ時間などを活用して行うことで、効率よく収入を得られる可能性があります。
ひとことで「投資」といっても、「不動産投資」、「株式投資」、「投資信託」、「FX」などいくつか種類がありますので、それぞれの特徴について紹介します。
不動産投資とは、宅地や建物といった不動産に対する投資のことで、投資家が直接ワンルームマンションやアパート、オフィスビルなどを購入し、それを賃貸物件として他人に貸すことで収益を得ることを目指すものです。
老後の年金対策として活用されることが多いですが、若い世代から始める方も増えています。
不動産投資で利益を得るパターンにはふたつあり、ひとつは「家賃収入(インカムゲイン)」で、もうひとつは「売却益(キャピタルゲイン)」です。
部屋を賃貸する場合は、一般的に年単位で契約するケースが多いため、安定した収入が確保しやすいというメリットがあります。
また、購入価格よりも不動産価値が上昇したタイミングで売却することで差益を狙うこともできますが、バブル崩壊後はこの方法ではそれほど収益が期待できず、近年は主に家賃収入を得るために活用されることが多いです。
株式投資とは、企業が発行した株式を売買することで利益を追求する投資方法のことをいいます。
株価が安いときに購入し値上がりしたタイミングで売却することで、値上がり益(キャピタルゲイン)を得ることができます。
株式の売買単位は「1単元」として表され、上場企業の多くは100株や1,000株を1単元としていることが多く、購入するにはある程度のまとまった資金が必要になります。
また、株式投資のメリットとしては、値上がり益のほかにも、企業の利益が出た場合にその一部を株主に還元する「配当金(インカムゲイン)」や、企業が株主へ自社製品やサービスなどをプレゼントする「株主優待」が受けられるということもあります。
投資信託とは、不特定多数の投資家から集めたお金をひとつの大きな資金として、運用のプロ(ファンドマネージャー)が国内外の株式や債券などに投資・運用し、その運用によって得た利益を投資家それぞれの投資額に応じて分配する仕組みの金融商品のことをいいます。
集めた資金の投資・運用は、投資信託ごとの方針に基づきファンドマネージャーが行うため、投資家は投資信託の知識がなくても問題なく取引できます。
FXとは、「外国為替証拠金取引」という意味の投資方法で、たとえば日本円や米ドルといった異なる通貨を売買したときに生じる差額によって利益を得ることを目指します。
たとえば、1米ドル=100円で購入したものを1米ドル=110円になったタイミングで売却すると、10円の利益が得られるということです。
また、FXは平日のほぼ24時間いつでも取引ができるという特徴があります。日本の市場が終了しても、イギリスやアメリカなど世界中のどこかの国の市場は取引を行っているので、日中は本業で時間が取れない会社員でも、仕事終わりやスキマ時間を活用して取り組むことができるのです。
さらに、FXの大きな特徴として、「レバレッジをかけられる」ということがあります。FX会社に証拠金を預けることで、日本では証拠金の最大25倍までレバレッジをかけることができます。つまり、証拠金を10万円預けた場合は、250万円までのFX取引ができるということになります。
ほかにも、売りと買いの両局面で利益を得られるチャンスがある、取引手数料が安いなどのメリットもあるため、会社員が収入を増やす手段としておすすめです。
紹介した4つの投資方法の中で、取引しやすいのは「FX」ではないでしょうか。
株式投資の場合は、ある程度のまとまったお金が必要になりますし、不動産投資は不動産を購入するにあたり住宅ローンを組む必要がでてくることがあります。
その点FXであれば、少額から取引ができ、仕事終わりの時間を有効活用して取り組むことができます。
また、「レバレッジ」や「自動売買」を活用することで、仕事で忙しい人でもより取り組みやすくなります。
すでに解説しましたが、FXにおけるレバレッジとは、担保として預け入れた保証金の何倍もの金額を取引することができる仕組みのことをいいます。
FXのメリットとしては以下のことが挙げられます。
証拠金の25倍までのレバレッジで取引ができるので、手持ちのお金が少なくても十分な金額の取引をすることができます。
また、外貨預金では外貨を買ってから売るという方法でしか取引できないため、市場が下落している局面では利益を出すことが難しいです。
しかし、FXは「売ってから買う」という方法でも取引ができるため、市場が上昇している局面だけでなく下落している局面でも利益を狙いやすくなります。
さらに、FXには「強制ロスカット」といって、損失が一定レベルに達したときに、それ以上の損失の拡大を防ぐために反対売買をすることで、強制的に決済される仕組みがあります。
レバレッジをかけた取引は損失も大きくなることが多いため、FX業者には投資家保護の観点からこの仕組みが義務づけられているのです。
ここまでFXのメリットについて解説しましたが、次のような注意点もあります。
FXのメリットとして大きな利益が狙えることに触れましたが、ハイリターンが期待できる反面、同程度のリスクも内包していることを忘れてはいけません。
レバレッジを抑えたり、自分なりに損切ラインを設定したりすることで、大きな損失を被ることを回避しましょう。
自動売買(「システムトレード」や「シストレ」ともいう)とは、あらかじめ取引内容をルール付けしておくことで、システムが取引を自動的に行ってくれる仕組みのことをいいます。
自動売買には主に以下のようなメリットがあります。
自動売買システムを利用すれば、本業中はもちろんのこと、夜中や早朝の取引でもルールを設定しておくだけで自動的に取引をしてくれるのです。
また、あらかじめルールを設定しておくので、その場の感情に流されずに冷静に取引ができることや、FXの知識がない人や分析力に自信がない人でも取引できるといったメリットもあります。
一方で、次のような注意点もありますので十分に気を付けてください。
自動売買は便利な仕組みではありますが、資金の管理をおろそかにしないなど、意識的に気を付けなくてはならないこともあります。
自動売買に任せたら後は何もしなくても良いということではない点に注意しましょう。
労働を伴わずに収入を得る方法には「投資」という選択肢もあり、具体的には不動産取引や株式投資、投資信託、FXなどがありました。
その中でも取り組みやすいのがFXで、レバレッジを効かせられるのでまとまった資金がなくても少額から取引ができ、ほぼ24時間いつでも取引できるという特徴があります。
また、自動売買を利用すれば、本業中や夜中、明け方もシステムが自動的に取引を行ってくれます。
FXは、取引内容や特徴、メリットや注意点をしっかりと理解し取り組むことで、収入を増やす有効なひとつの手段となり得ます。
FX以外の投資商品の内容についてのお問合わせは受け付けていませんので、あらかじめご了承ください。