第3回「円高」と「円安」の基準

「円高」と聞くと円の値段(価値)が高くなる(上がる)とのイメージから、例えば、1ドル=100円だったものが120円に上がる状態を指すと思ってしまう人も多いようです。
90円、80円と値が下がる状態を「円高」と言われても、ピンと来ない人もおられるようです。

海外旅行に行くときには、「円高」の方がお得だとよく言われます。一方、「円高になって、輸出企業の業績が悪化してリストラが行われた」といったニュースを耳にすることもあります。

この点を、簡単な例でご説明します。

米国旅行に行って、500ドルのスーツを買った際に、「円高」、「円安」はどのように影響してくるか考えてみましょう。ここではわかりやすく1ドル=100円(下の2)の場合)を基準とします。

1) 1ドル=110円のとき ⇒ スーツは55,000円相当
2) 1ドル=100円のとき ⇒ スーツは50,000円相当
3) 1ドル= 90円のとき ⇒ スーツは45,000円相当

つまり、2)の1ドル=100円のときに、50,000円で500ドルのシャツが買えていたのが、3)の1ドル=90円になったとしたら、45,000円分しか払わなくても500ドルのシャツが買える、つまり、「円の価値が上がった」(=円高)と言えます。

逆に、1)110円になった場合には、55,000円分を払わなければ500ドルのシャツを買うことができません。つまり「円の価値が下がった」(=円安)ということになります。

このように、「円高」とは、1円単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に大きい状態を指します。
逆に、「円安」とは、円の他通貨に対する価値が相対的に小さい状態を指します。
「円高」、「円安」と言っても、それはある時点の為替レートより高かったり低かったりするだけで、基準となるレートがある訳ではありません。

FX取引をするうえで、どの時期を基準にして、「円高」、「円安」などの水準を評価するか(=軸足)については、いろいろな考え方があります。今後は、そうした軸足の種類についても説明します。

「円高」と「円安」の基準