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マーケットビュー

金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

今年の隠れた注目通貨 : トルコ・リラ

更新日:2017年1月13日

毎年1月の相場は例外なく荒れ模様となりますが、今年も非常に神経を使う相場展開となっています。私はだいたい年末に翌年のイメージを作りますが、年が明けてからの相場動向を占う上で楽しみにしているのが、ユーラシア・グループが発表する「10大リスク」です。毎年だいたい三が日の間に出ますが、今年も発表と同時に目を通しました。

【2017年版 10大リスク】は以下の通りとなっています。

  •  1位 わが道を行くアメリカ
  •  2位 中国の過剰反応
  •  3位 弱体化するメルケル独首相
  •  4位 改革の欠如 (世界的な構造改革の頓挫)
  •  5位 テクノロジーと中東
  •  6位 中央銀行の政治化
  •  7位 ホワイトハウス対シリコンバレー
  •  8位 トルコ
  •  9位 北朝鮮(核問題)
  • 10位 南アフリカ・ズマ大統領を巡る政治危機

私が住む英国で一番話題となっているBrexit(英国のEU離脱)は、トップリスクに入っておらず、その代わりに「中国・中東・トルコ・北朝鮮・南アフリカ」と、新興国の名前がやけに目に付きます。

このリストにもありますが、今年の秋には中国で5年ぶりに共産党第19回全国代表大会が開催され、そこで中国の指導部が交代します。アメリカではトランプ新大統領の誕生を受け、否が応でもロシアへの関心が高まります。しかし、大穴はトルコかもしれません。

そこで今週のコラムでは、年初来12%という非常に大きな下げ幅を記録しているトルコ・リラ、そしてトルコという国についても一緒に考えていきたいと思います。

2014年からのトルコ・リラ

まず、2014年夏にエルドアン氏が大統領に就任してからのトルコ・リラの動きを調べてみました。

※クリックで拡大できます

就任当時のトルコ・リラ/円は、50円を少しだけ割ったレベルでした。このチャートを作りながら思ったのは、本格的にリラ相場が崩れだしたのは、2015年7月にトルコがISIS(イスラム国)に対する空爆開始と同時だったということです。つまり、1年半くらい前から既にリラ安相場は始まっていたということになります。

トルコ・リラを取り巻く環境

投資家のトルコ離れが加速していて、リラは大きく売られています。どうしてこれほど売られなければいけないのか?それを調べるために、いろいろな角度からトルコという国について考えることにしてみました。

 政治リスク

トルコが直面しているリスクの中で、私が一番深刻だと思うのが、政治です。極端な話しをすれば、エルドアン大統領が独裁者のように振舞い、それを政府や有権者が許している間は、この国への投資環境は冷え込んだままかもしれません。

2015年7月にトルコがISISを空爆してから、報復措置と思われるテロ行為がトルコ国内で連続して起きました。それと平行して、同年11月に実施された総選挙では、エルドアン大統領が所属する公正発展党(AKP)が第一党にはなったものの、過半数の議席を獲得することが出来ませんでした。連立政権を組むことにより自分自身の影響力が低くなることを恐れた大統領は権限拡大を図り、あの手この手を使ってきたのです。当時、首相であったダウトオール氏さえもそれに我慢がならず、大統領と対立関係となり、辞任しています。

それからちょうど1年後の昨年7月には、とうとうクーデター未遂事件が起き、エルドアン大統領は非常事態宣言を発令。それと同時に世界を敵に廻す動きに出ています。

まず、対欧州政策では、難民問題を巡りEUとの軋轢が深まったことを受け、トルコは欧州にさっさと見切りをつけ、ロシアに擦り寄っていきました。それもあって、昨年11月に欧州議会はトルコのEU加盟交渉の一時凍結を可決しました。

次に、対アメリカですが、過去のコラムでも書いた通り、エルドアン政権は、アメリカ亡命中のイスラム教の聖職者:ギュレン師をクーデター未遂事件の黒幕と考えていて、アメリカ政府に身柄の引渡しを要請。しかし、ケリー国務長官はきちんとした証拠がないため、アメリカの裁判所では執行命令が出せないという理由をつけて、引渡しには応じていません。

ここで問題となるのは、アメリカは中東での拠点として、トルコのインジルリク空軍基地を使用している点です。特に心配な部分は、この基地にある戦闘機用格納庫内の保管庫に、アメリカの核爆弾が多数備蓄されていることが挙げられ、万が一アメリカとトルコの関係が悪化した場合、非常に危険な事態も想定しておかなけばなりません。

このクーデター未遂事件以来、軍の力は弱まり、テロ行為も増え、経済・政治以外に安全保障の面でも不安が残ります。そんなタイミングで、エルドアン大統領は自身の権限をメディア・司法・官僚機構全般へと更に拡大/強化するため、年内に国民投票を実施すると発表しました。現時点での国民の賛否は50/50とやや厳しい状態ですので、同大統領はこれから強烈なキャンペーンを展開することが予想されています。

 金融政策

為替取引をする上で知っておきたいのは、政策金利を決定する中央銀行の仕組みと動きです。まず、変動相場制移行後の主な動きをチェックしてみました。

次は、政策金利を調べてみましょう。日本では個人投資家の皆さんの間でも、高金利のリラを買い、スワップ狙いのポジションを持たれていらっしゃる方が多いようですが、2008年から現在までのトルコの政策金利をまとめてチャートにしてみました。

簡単に説明しますと、翌日物借入金利(青線)を下限に、貸出金利(赤線)を上限として、コリドーを作り、1週間者レポ金利をその間に収める形をとっています。そして緑の点線で表示された1週間物レポ金利が主要政策金利となっていて、現在8%です。

現在に至るまで、通貨安防衛に向けトルコ中銀はいろいろとやってきました。一番記憶に新しいものは、今週火曜日(1月10日)に声明を通じて、「市場における過度の変動を注視しており、経済のファンダメンタルズに一致しない不健全な価格形成に対して行動する」と表明。具体的な措置として、

  • 銀行の外貨建て預金準備率を0.5%引き下げ
  • 流動性を高めるため、15億ドル相当の流動性供給
  • 銀行の借り入れ限度額を220億ドルに引き下げ

を発表していますが、政策金利の変更は行っていません。

その前の通貨安防衛策は、昨年11月24日に行った「予想外の利上げ」でした。しかし、その決定直後に欧州議会から、トルコのEU加盟交渉の凍結を求める決議案が可決してしまい、一気にリラ安/円高となりました。あまりにも悪いタイミングでの発表でした。

ちなみに、同国の外貨準備高は、2016年11月現在1,143億ドルです。この額を多いか少ないかと判断するのは難しいですが、トルコの場合は通貨安防衛ですので、ドルを売ってリラを買います。そのため、介入をすればするほど、外貨準備を使うため、そう頻繁には出来ません。ですので、トルコ中銀が手っ取り早く通貨安防衛に動くとすれば、政策金利を上げることになります。しかし、エルドアン大統領は、利上げはトルコの経済成長にブレーキをかけるという持論を展開していて、中銀の動きがここでも制限を受けている状態です。

さて、次回のトルコ中銀金融政策会合は、1月24日に開催されます。エルドアン大統領は最近のリラ安を【経済的クーデター】と呼んでいるそうですが、中銀は通貨防衛のため、エルドアン大統領に逆らってでも、政策金利上げに動くのか、動向が注目されます!

 経済

残念ながら、あまり芳しくありません。テロがこれだけ日常化しているので、仕方ないと言えばそれまでですが…。それに加え、最近の通貨安を受け、物価上昇も顕著となってきました。

最初は、マークイット社が毎月発表しているトルコ製造業PMI(購買担当者景気指数)のチャートです。一番最新の数字は、2017年1月2日に発表されましたが、昨年12月の数字は、経済の良し悪しの分岐点である50を下回る47.7でした。

次は、気になるインフレ率ですが、一番最近では、今年1月4日に昨年12月分の数字が発表されました。

11月インフレ率 +7% → 12月分予想 +7.6% → 結果 +8.53%
となっていて、通貨安によるインフレ率の上昇が始まっているように見えます。

下のチャートは、昨年10月27日に発表されたインフレーション・レポートに載っていたものですが、その後インフレ率は上昇に転じています。

ちなみに、トルコ中銀が設定している【インフレ・ターゲット】は5%となっていて、物価安定のためには、エルドアン大統領が反対しても、利上げは避けられないのかもしれません。

 財政

ここでは経常収支をチェックしましたが、最新の経常赤字幅は、今週水曜日に発表された昨年11月分で、336億5,000万ドルとなっていました。この数字は、10月分の336億2,000万ドルよりも3,000万ドルの増加。

ちなみに下のチャートは、昨年10月27日のインフレ・レポートからの引用です。

 格付

昨年のクーデター未遂事件以降、格付大手3社のうち、S&Pとムーディーズがともに、トルコの格付をカットし、投資不適格(ジャンク債)扱いとしました。この動きに対し、エルドアン大統領は、「格付会社は大きな間違いを犯している。トルコ経済は力強く伸びている。彼らの確信犯的な格付カットなど、全く気にしていない。」と語りました。

そして今週、ムーディーズは、「トルコ系銀行の不良債権比率は年内に4%台まで悪化するだろう。それ以外でも、トルコへの投資環境は、今年は著しく悪化する。」という見通しを発表しましたが、エルドアン政権はそのムーディーズに対し、【経済界のテロリスト】という汚名を着せています。

大統領権限拡大に必要な条件

エルドアン大統領が権限拡大という自分の夢を叶えるためには、2つのシナリオがあるようです。

最初は、国民投票を実施して、国民の判断を仰ぐ場合です。大統領率いる公正発展党(AKP)の議席数は、316ですので、他党の協力が必要です。AKPは既に民主主義者行動党(MHP)に協力をお願いしていて、MHPの合意を得ています。MHPの議席数は39ありますので、余裕で330議席を獲得するはずです。

しかし、ここでひとつ問題が生じました。というのは、この採決は【無記名方式】での投票となるため、誰が賛成票を入れたのかわからないという点です。つまり、MHPの39人全員が正直に賛成票を入れる保証はどこにもなく、かなり高いリスクが付きまといます。

次は、国民投票をせずにそのまま権限拡大が可能になるシナリオです。

議会550議席のうち、367以上の賛成が得られた場合、国民投票をせずに、即刻大統領権限の拡大が認められます。

最後に、最悪のシナリオも描いてみました。この場合は、解散総選挙という危険性が出てくる嫌な内容です。

トルコ・リラについて考えたこと

昨年11月のアメリカ大統領選でトランプ候補が当選して以来、財政出動と規制緩和による景気刺激策を期待し、ドル高・金利高が起こり、ほとんどの新興国通貨は売られました。しかし、その中でもトルコは、
①政治的リスクが高い 
②テロ・リスク  
③企業の借り入れにおける外貨の割合が高い 
④中央銀行の外貨準備高が通貨安を防衛するには、あまり多くない
⑤銀行の不良債権問題 
⑥大統領の権限拡大
などを理由に、トルコ・リラ売りが止まりません。これは見方を変えれば、トルコ・リラという通貨に対する市場の信頼が一気に低下してしまったことに他なりません。

通貨安ということに対する見解は、日本を一歩出ると大きく変わります。私が日本に住んでいた当時も今もですが、輸出企業にとって有利になる【円安(円という通貨が安くなること)は好ましい】というのが一般的世論となっていて、私自身もそう思っていました。

しかし、いざ日本を出て他の国に住んでみると、【自国通貨が弱いということは、恥じるべきこと/好ましいこととは言えない】という考えが存在することを知り、目からウロコでした。つまり、【自国通貨に対する市場の信任=通貨高】という考えです。その市場の信任を測る物差しが、格付であり、国債利回りに代表される長期金利なのです。

昨年のBrexit(英国のEU離脱)が、そのいい例でしょう。前例のないEU離脱という状況を敢えて選んだ英国に対し、市場が下した判決は大幅な通貨安でした。「この先、英国で何が起こるかわからない、とてもじゃないが投資など出来ない…」、そういう理由で、資金が流出し、通貨は昨年後半の半年で20%近い下落を強いられました。格付会社も同じです。大手3社のうち、唯一AAA格付をくれていたS&Pも、国民投票を終えた翌週月曜日に、いきなり2ノッチカット(AA)を発表しました。そして、メイ政権がハードBrexitを選択した場合、新たな格付カットをすると警告を発しています。

このように、ある国の将来に対して強い不透明感や不安が生じると、その国から投資が引いていき、結果として通貨は売られ、格付は下がります。そうなると、必然的にその国が発行する国債の買い手も減り、長期金利が上昇します。結果として、国の財政運営の舵取りが難しくなり、国債利払い額が増え、財政政策の「糊代」が一挙に減ります。

そう考えた場合、経済的にも政治的にも、そして安全保障の面でも重大な問題を抱えているトルコに、そう簡単に投資資金が戻ることは考えにくいのではないでしょうか?そして、より深刻な問題として、トルコはこれら複雑な問題の解決に、ロシアを頼る気でいるのかもしれず、それが新たな不透明感を生み出しています。私にとって、昨年末の駐トルコ・ロシア大使銃殺後も、両国の関係は変わっていないことが不思議でならず、何らかの取引なり裏工作なりが両国の間で行われたのかもしれないなぁ…と思っています。

かなり長くなってしまいましたが、結論としては、エルドアン大統領が権限拡大の夢を捨て、独裁者気分の行動を控えない限り、トルコへの投資は限定的となり、トルコ・リラが大きく買われる日はすぐには来ないという考えに変わりはありません。

最後になりましたが、今年トルコ・リラを取引する方のために、通貨が動く可能性がある重要イベント日をまとめました。是非ご参考にしてください。

 

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