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マーケットビュー

金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

ドル安・株安となったイエレン議長の議会証言

更新日:2016年2月12日

昨年12月にアメリカが利上げに動いて以来、世界経済を取り巻く環境が著しく後退しました。原油安や中国の景気減速による打撃は金融市場を直撃し、最近は「第2のリーマン・ショックか?」というヘッドラインの報道も目立ってきました。

そんな中、待ちに待ったイエレンFRB議長の半期に一度の金融政策に関する議会証言(旧ハンフリーホーキンス証言)が金融サービス委員会で、2月10日と11日に続けて行われました。ここで発表される内容は、イエレン議長の個人的見解ではなく、連邦公開市場委員会(FOMC)全体の見解を議長が代表して報告するものであると言われています。次回3月の理事会まであと一ヶ月となった今、理事達がアメリカの経済動向や金融政策について、どう感じているのかを知る上で非常に重要な証言となりました。

声明文内容

証言席に座られたイエレン議長は、最初に声明文を読み上げます。この部分に関しては、10日の下院・11日の上院ともに同じ内容です。しかし、その後に続く質疑応答の内容は変わります。声明文の主な内容は、証言席に座られたイエレン議長は、最初に声明文を読み上げます。この部分に関しては、10日の下院・11日の上院ともに同じ内容です。しかし、その後に続く質疑応答の内容は変わります。声明文の主な内容は、

  • 労働市場は確実に改善している
  • ただし、アメリカで改善基調が続いていた期間、それ以外の地域では景気拡大が思うようなペースで進まなかったところもある。それに加え、強いドルの影響でアメリカの輸出の伸びが押さえられた
  • 昨年第4四半期になると、アメリカの経済成長のスピードは、輸出が弱くなったことや在庫調整の遅れで、弱まってきた
  • 労働市場が堅調に推移していたことと、原油価格下落による(眼に見えない減税効果で)個人消費は活発となった
  • 最近の米金融市場の動向は、株価の下落やドルの上昇などの影響もあり、景気拡大にとって向かい風となりつつある。もし、この傾向が長期化するようなことにでもなれば、景気見通しやインフレ予想に大きな影を落とすことになるかもしれない
  • ここからの世界景気は、海外の金融政策が超緩和的となっているため、徐々に回復するだろう
  • 海外の経済動向については、余談を許さない。海外の景気が減速すれば、当然アメリカにも影響を与えることにもなりかねない
  • その中でも最も顕著なのが、中国の景気後退だ。人民元も下落し、ここからの中国の為替政策の先行きが心配される
  • このような不安要素は、ますます金融市場のボラティリティーを上げる。
  • 世界の金融市場動向を注視している
  • FEDの2つの使命(完全雇用の達成と物価安定の維持)が満足行く水準となったと判断し、昨年12月に利上げに動いた。
  • FEDが金利の正常化を遅らせれば、将来の利上げ回数が増えるなどの弊害を生じる。急激な利上げが続くと、リセッションに逆戻りしかねない。
  • 12月の利上げ後も、米国の金融スタンスは緩和的であることに変化ない
  • 利下げが必要になるとは、考えていない
  • 海外での景気回復の遅れや、かなり強くなったドル高は、政策金利が長期的平均水準より低いレベルで推移することを正当化する。

声明文を読んで感じたことは、世界的な金融市場の混乱やアメリカ特有のドル高により、米国の金融環境はタイトニング化(逼迫)していることを、FOMC理事達は相当気にしていることが伝わってきたことでした。これは裏返せば、「12月のFOMCで示唆していた’年4回の利上げペース’が相当弱まわる」ことを意味しています。

2月10日、下院での議会証言時の質疑応答と為替の動き

声明文が終わると、質疑応答(Q&A)の時間となりました。ここではドル円のチャートを使って、その時のマーケットの動きを簡単にご説明します。

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超過準備の付利について

一番最初に出た質問が、超過準備の付利についての質問でした。為替をはじめたばかりの方は、この超過準備とか付利とかいう言葉に馴染みがないかもしれませんので、簡単に説明します。

どの国でも、そこにある民間銀行は、毎日一定額の資金を当該国の中央銀行に預ける義務があります。そして、その一定額を越した部分が超過準備と呼ばれ、中央銀行はそれに対しても利息を支払っています。アメリカの場合は、超過準備に対し、0.5%の利息を支払っているそうです。

そして、この日の議会では0.5%という利息を支払っている事について、議員が噛みつきました。つまり、「本来であれば企業や個人にお金を貸し出すべきである資金を中央銀行に預ければ、何もせずに0.5%の利子が受け取れる。これは、見方を変えれば、FRBが民間銀行に補助金を支払っているのと、同じ意味になってしまうのではないか?」という議論でした。

その議論の最中ずっと、議員はイエレン議長にケンカを売っているように声を荒立てているので、そんなに噛みつくべき重大な問題なのか不思議になり調べてみました。これは米セントルイス連銀のホームページに載っていた超過準備のチャートです。リーマン・ショック直後はほんのわずかの額でしたが、一番最新の数字を見ると、2兆2796億ドルまで膨れ上がっており、0.5%の利息として計算すると、約114億ドルというとんでもない額を支払っていたことが判明したのです。

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マイナス金利の合憲性について

次は、マイナス金利についての質問でした。欧州中銀(ECB)も日銀も、スイスもスウェーデンもデンマークも、マイナス金利を導入しているので、どうしてここで合憲性を議論するのか、私には理解出来ませんでした。この質問に対し、イエレンさんがお答えになったのは、

  • 2010年にアメリカでもマイナス金利導入を検討したが、金融市場への影響を懸念した結果、採用を見送った
  • FRBが政策金利をマイナスにすることに、違法性はないと考えているが、この点についてはまだ十分な調査が済んでいない。そのため、(FRBがマイナス金利導入をすることが違法でないかは)現在のところ疑問が残ったままで、確信できない状態だ。

と答えられました。私は、イエレン議長が即答出来ないことを知り、これは裏返せば、最近のFOMCではマイナス金利導入の可能性について一切協議されたことがないと証明したのと同じことだな…と思いました。最近議論されたのであれば、同議長は既に答えを知っているでしょう。

ストレステストでのマイナス金利に関する質問について

最近この話題が市場で噂になり、ドルが大きく落ちましたが、この点についてカリフォルニアの議員が「ストレステストでもマイナス金利に関した質問があるようだが、そういう質問をする理由は?」と質問しました。

これに対してイエレン議長は、「ECBも日銀もマイナス金利を導入した。そして、最近は金融市場が荒れているため、安全資産として米国債を購入する動きが出ており、結果として米長期金利は下落している。そのため、ストレス・テストでは、アメリカもマイナス金利に追い込まれ、国債利回りがネガティブ(マイナス)金利になった場面を想定して、質問している。」と答えています。

FOMCは今年利上げをするのか?

質疑応答での3番目の質問が、金融政策に関するものでした。その議員は、利上げの可能性だけでなく、利下げについても質問しています。それに対し、同議長は、

  • 世界の金融市場を注視せざるを得ないが、現状は景気回復をサポートする要素が徐々に減ってきている。つまりリセッション(景気後退)のリスクが高まっているとも言える。
  • 特に年明けからの中国人民元の下落と原油価格の急落による不確定要素は要注意だ。
  • ただし、アメリカがかなり近い将来、利下げが必要になるとは考えていない
  • もし(利下げが)必要な状況と判断すれば、FRBに与えられた雇用とインフレの2つの責務を達成するために、必要な手段を取るつもりだ(do what is needed)

特に一番最後に明記した 「do what is needed  必要な手段を取る」 という部分は、2012年夏にドラギ総裁が行った 「Whatever it takes (ユーロを守るためなら)何でもやる」という決意を彷彿させました。

これらの発言を受け、最初の議会証言を終えた2月10日、某米系投資銀行は、今年のFOMCでの利上げ回数予想を、4回から2回に変更しています。果たして他のマーケット参加者もこの銀行と同じく、年内に2回利上げがあると見ているのでしょうか?そこでFF金利先物の価格を基に利上げの可能性を数字で表わす便利なツールであるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の「Fed Watch」という指数をチェックしてみたのですが、全く違う景色が見えてきました。

このチャートの見方ですが、それぞれの棒グラフの色は、

・青=1ヶ月前の予想
・赤=2月9日、つまりイエレン議長の議会証言前日の終値
・緑=2月10日、イエレン議長が下院で証言を行った日の終値
・紫=2月11日、イエレン議長が上院で証言を行った直後のザラ場の水準

となっています。

1ヶ月前は、「2016年の利上げは11月に1回だけ」という予想でしたが、イエレン議長の2日間に渡る議会証言を終えた2月11日の原稿執筆時点では、88.5%の予想で今年12月も据え置きを予想しており、「今年は利上げなし」という結果になっていました。特に面白いのは、イエレン議長の議会証言前日9日から11日の終了にかけて、「据え置き」予想がグングン高まってきている点かもしれません。

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ドル高に関する言及

イエレン議長の議会証言を聞いていて、気になったのがドル高に関する言及でした。証言台に座り、最初の30分ずっと声明文を読み上げるのですが、そこで少なくとも3回か4回、質疑応答に入っても、何度かドル高に関する言及を耳にしました。

文頭でも申し上げましたが、今回の議会証言は、イエレン議長の個人見解を披露するのではなく、「FOMCを代表してFOMCの考え方を説明する」場となっておりますので、他の理事達も同様に、ドル高について何らかの懸念を持っているとも受け取れます。

具体的にドル高が明記されていた箇所を挙げますと、

  • ドル高の影響で、輸入価格が低下し、それがコア・インフレ率を約0.5%下げている
  • ドル高の影響もあり、インフレ率は低いレベルでの推移が予想される
  • 世界の主要銀行の金融政策の乖離によりドル高が進み、米国の輸出にも影響を与えた
  • ドル高の影響もあり金融市場がタイトニングしているため、金利上げに遅れが出る可能性もある
  • ドル高が進む速度と上昇の度合いは、FOMCが想定していた以上であった

などが挙げられます。決して、これ以上のドル高を望まないとは言っておりませんが、強いドルという単語がやけに耳についたことが印象的でした。

イエレン議長の議会証言の要点と最近の発言との違い

それでは、まとめに入る前に、もう一度復習をしてみます。

議会証言の要点

1) 世界的な景気後退や金融市場の混乱により、アメリカ経済の回復に水が差される可能性があると指摘
2) 先行きの見通しがより不透明となったが、具体的に利下げを検討しているとは、言わなかった
3) マイナス金利については、合憲性に問題があるかもしれないとしながらも、絶対にあり得ない選択だとは、言っていない
4) 中国の通貨政策や金融安定について、警鐘を鳴らした
5) 労働市場は堅調に推移しており、このままその傾向が継続すれば、賃金の上昇がしっかりした軌道に乗る可能性を指摘

12月のFOMC記者会見との違い

1) 中国の通貨政策や金融安定について、警鐘を鳴らした (上でも書きましたが…)
2) 海外の経済動向がアメリカにも影響し、景気下揺れリスクが出てくれば、利上げベースの速度が弱まるのは妥当
3) 世界同時株安や、市場のボラティリティーの上昇により、金融市場を取り巻く環境はタイトニング化している
4) マイナス金利の導入に対し、「絶対にあり得ない」とは言わなかった
5) もし(利下げが)必要な状況と判断すれば、FRBに与えられた雇用とインフレの2つの責務を達成するために、必要な手段を取るつもりだ (do what is needed) と、かなり強い口調で決意を語った

まとめ

今週2日間に渡り行われたイエレン議長の議会証言を生で聞けて本当に良かったと思っています。特にドル高に対する懸念を、ここまではっきり明確に伝えてきたことに、驚くと同時に「やっぱりキツかったのか…」とも思いました。

今週に入り、ドル円はとうとう110円台まで突入し、木曜日には介入の噂まで出ました。しかし、イエレン議長の口から、何度にも渡るドル高懸念が表明されている以上、日銀がどれだけドル買い・円売り介入を実施したいと思っていても、アメリカ側の了解を得るのは難しいかもしれませんね。

ただし、通貨防衛の面からではなく、株安が今後もっともっと加速し、第2のリーマン・ショックやアジア危機のような事態を引き起こす恐れが出てくれば、アメリカ側も「金融危機の事前防御・金融安定・株価保護」という視点で判断するでしょうから、何らかの協調的な対策が出される可能性は捨て切れません。

日銀の単独介入があるのか、株価保護などをメインとした世界的な協調体制がとられるのか、何もしないのかはわかりませんが、2月26/27日に上海でG20財務相・中央銀行総裁会議が開催されますので、この日は要注意かもしれません。

最後に通貨に対する見方ですが、祝日明けの12日(金曜日)は日経やTopix先物のSQですので、株式市場の乱高下が予想され、それにつられるようにして、ドル円もかなりナーバスな動きになると予想します。ただでさえ、113円台を下抜けし、一気に110円台まで下げたことを考えれば、SQでなくても動きが乱暴になることは予想できます。

この原稿を書いている時点での米ダウ・ジョーンズ株価指数は、15,560あたりをフラフラしておりますが、200週移動平均線(SMA)が通る15817.46は既に下抜けしています。もし今週金曜日の終値ベースで下抜けして終わると、昨年8月のチャイナ・ショックでつけた15,370.33が視野に入ってきます。

もし、この通りの展開になってしまうと、資金は安全志向を優先し、主要国の国債に流入するでしょうから、米国債利回り(長期金利)のもう一段の低下を引き起こし、結果としてドル下落というシナリオが有効になるかもしれません。その場合は、ユーロやポンドが対ドルでもう一段高となることも考えられます。

両通貨の実効レートを調べてみると、ユーロがどんどん強くなっていることが判ります。たぶん3月10日の次期欧州中銀(ECB)金融政策理事会まで高値圏での推移を強いられる可能性も捨てきれないため、50%戻しが来る96.7639で上昇が一段落するとしても、ユーロ/ドルのレベルは、しばらく1.1250-1.1450のレンジに入ることが考えられます。日銀だけでなく、欧州中銀関係者からの口先介入も含めた要人発言には、特に注意が必要です。

※クリックで拡大できます

最後にドルを見てみましょう。これを執筆している時点でまだ米国市場は開いておりますので、現在のレベル 95.625にピンクの星印をつけてみました。当然ですが、本日の終値は、まだわかりません。

※クリックで拡大できます

日銀やスイス中銀が、ドル買い介入でもしない限り、ドル・インデックスは94-97くらいのレンジでの推移になるように見えて仕方ありません。

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