地区連銀は、全米50州をいくつかの州ごとに括った12の地区にそれぞれ1つあり、各地区における金融機関の監督や規制、決済システム運営などを担っています。
(出典:Board of Governors of the Federal Reserve System 2021” Federal Reserve Banks”)
地区連銀の総裁は、各地区連銀の取締役会が選任し、FRBの同意を得て任命されます。12の地区連銀は、政府機関であるFRBとは違い、地元の民間銀行が出資する株式会社の形態を取り、それぞれ独立性が確保されています。地区連銀は連邦準備法に基づいて、9名の理事による理事会を有し、理事は3つのクラス(A、B、C)から選任されます。
クラスAは地区連銀の株主である地元民間銀行から3人、クラスBは地元を代表する人物(大企業経営者が多い)から3人、クラスCはFRBが選んだ3人です。
12の地区連銀のうち、とくに重要な役割を担うのがニューヨーク連銀です。ニューヨーク連銀には、FRS全体として金融政策を運営するうえでの勘定(システム公開市場勘定)が置かれ、同行は金融市場に対する日々の資金供給・吸収オペレーション等の金融調節を全米レベルで一手に担うという重要な役割を担っています。
ニューヨーク連銀がこのように大きな役割を持つことについて、2015年4月6日当時のダドリー・ニューヨーク連銀総裁は、「連邦準備制度の金融政策に関する責務はFOMCによって振り分けられている。難しい局面においても金融政策が効果的に実行されるよう、ニューヨーク連銀は重要な役割を担っている」と説明しています。
各地区連銀は定期的に管轄地区の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」(ベージュブック)を、年8回行われるFOMCの2週間前の水曜日に公表しています。市場でも注目される材料です。
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/beige-book-default.htm