第9回米国の連邦準備制度 (2)FRB

FRBはFRSを総括する機関として、金融政策会合のFOMCでの方針決定等に非常に大きな力を持ち、FRB議長の発言はマーケットにおいて常に注目されます。
理事7名の任期は14年で、再任はなく、2年ごとに1人の理事の任期が満了します。議長(1名)・副議長(2名<金融政策担当、銀行監督担当>)は、大統領が理事の中から指名し、いずれも任期は4年です。議長、副議長、理事は、大統領が指名した後、上院での承認手続きを経て任命されます。議長、副議長は任期終了後も同じプロセスを辿れば再選可能としています。

FRBは「理事会」であり、「銀行」機能は有しないため、各地区における金融機関の監督や決済システムの運営等は、各地区連銀が行います。

(1)で説明したとおり、FRBとFOMCは、金融政策における二つの法的使命「最大雇用と物価安定」(デュアル・マンデートDual mandate)を掲げます。FRSのもう一つの目標である「適度な長期金利」については安定したマクロ経済環境でのみ達成されるものと考えることができるため、「最大雇用と物価安定」の二つの使命を全うできれば、長期金利に関する目標は自ずと達成されるという考え方を採っています。

原則毎月第一金曜日に公表される「米雇用統計」が市場関係者の間で「卸売物価指数」や「消費者物価指数」とともに重要視されるのは、FRBが「最大雇用」を法的使命として掲げているためです。