水曜 山中康司の「わかる!」テクニカル分析 チャートから見たポジション分析

◆次回掲載は5月10日(水)の予定です◆

第419回:FX市場のギャップ(窓空け)

更新日:2017年4月26日

(文中のQCT+は、「クイックチャート・トレードプラス」の略、
ミラートレーダーは、「セントラルミラートレーダー」の略、
FXダイレクト+は、「FXダイレクトプラス」の略です。)

週初のフランス大統領選でも為替市場は大荒れとなりました。まさか月曜早朝にこんな動きで始まると考えていた人は少なかったと思います。私も未明のインターバンクレートを見て思わず飛び起きてしまった一人です。

さて、今回は週初に大きなギャップが出来ましたので、「ギャップ」について、一般的なギャップの解釈とFX市場におけるギャップの解釈についてまとめておこうと思います。

FX市場のギャップ(窓空け)

今週初はフランス大統領選の結果が事前予想通りだったにもかかわらず、ユーロ買い、そしてリスクオフの巻き戻しからの円売りとなり、ユーロドル、ドル円、ユーロ円の3主要通貨ペアが、ともに先週末の水準から大きくギャップアップ(窓を空けて上昇)してのスタートとなりました。

ユーロドルの日足チャートをご覧ください。

週初のインターバンク市場は午前4時頃から取引が開始されているため、「未明の乱闘」(スプレッドがワイドな状況下での極端な高値での銀行間取引)もあったのではないかと思います。セントラル短資FXのチャートを見ても、金曜終値1.07195から月曜始値1.08979まで178ポイントもの大きなギャップアップ(赤い矢印の値幅)を伴った週初となりました。

その後下押しする場面も見られましたので、金曜と月曜とでは金曜高値1.07382と月曜安値1.08209との間83ポイントほどのギャップを残したままとなっています。

FXの世界では、ギャップはその後埋めると考える人が多いのですが、「その後」というのが曲者で、すぐに埋める場合もあれば、埋めるのに時間がかかる場合もあります。そこで、今回はギャップの種類についてテクニカル分析の教科書的存在である『先物市場のテクニカル分析』(マーフィー著)から、ギャップについての解説を簡単に説明してみることにします。

ギャップは、トレンドの概念という章に紹介されていますが、そこには「決まり文句の一つに、『ギャップは必ず埋められる』というのがある。これは真実ではない。」と書かれ、更にギャップには種類があり、「埋められるものと埋められないものがある」とあります。同書においてはギャップは以下の4つに分類されています。

(1)コモン・ギャップ

よく見られる普通のギャップですが、これは先物市場や株式市場といった取引所取引において翌日まで取引されない時間が長いからこその表現です。FX市場の場合は基本的に24時間取引であり、週末週初以外にギャップが発生しないことを考えると、このギャップはFXでは発生しないタイプのギャップと言えます。

(2)ブレークアウェイ・ギャップ
(3)ランナウェイ・ギャップ

前者はもみあいのチャートパターン終盤からトレンドが発生する時に、後者はトレンドが発生してからトレンドが加速する時に発生するギャップですが、こうしたギャップは通常埋められることが無く、逆に埋められる場合にはトレンド転換の可能性を考えます。しかし、FXの場合には上述の通り週末を挟んでしかギャップは発生しませんので、あえて分けずに、まとめてトレンド発生後のギャップというとらえ方の方がわかりやすいと思います。

(4)エグゾーション・ギャップ

これはトレンドの終盤のギャップで、最後の踏み上げや投げが出ることで価格が飛ぶ時に発生します。このギャップは、直後に反転に繋がることから「埋めるギャップ」と言えますが、時に天井圏や底値圏で往復ともに値が飛び、その部分だけ独立したローソク足のパターンが出ることもあり、これを「島」に見立て、「アイランド・リバーサル」と呼びます。しかし、繰り返しになりますが、FXの場合には週末にそうした状況が重ならない限りウィークデイでの発生はありませんので、一般的には天井圏での「長い陽線+陰線」、底値圏での「長い陰線+陽線」といった反転の足型が観察される程度です。

こうして見るとわかりますが、FXの場合のギャップの考え方は、先物市場や株式市場とはやや違った視点で見る必要があるかと思います。

まず、埋めるか埋めないかという違いですが、これはトレンドの強弱で考えることになります。つまり強いトレンドの発生とともにギャップも発生した場合、そのギャップはすぐには埋めることが無いであろうと考えることが出来ます。今回の場合がまさにそれで、事前予想通りにもかかわらず大きく上昇したことから、市場参加者が買い遅れないように動いたために、ギャップを空けたまま昨日は一段高の値動きとなりました。

そして、少し長い期間で考えた場合、今回のトレンドが反転し再びギャップの水準に近づいた場合には、そのギャップを埋めることをターゲットとした値動きとなりやすいということです。今回のドル円では月曜か火曜の内にギャップを埋める可能性がありそうな動きとなっていましたが、その後はご存知の通りで111円台まで円安が進むこととなりました。

4月高値111.586から3月末高値112.194が今回の上値の目途と考えられますが、仮に反転する動きが見られ110円の大台を割り込む動きとなった時にはギャップを埋めに行く=109円台半ばをターゲットとする動きが見られると言えるでしょう。

なお、『先物市場のテクニカル分析』(マーフィー著)は、私自身1990年に出た初版を購入し、何度も読み返したものです。今回久しぶりに本を広げましたが、やはりよく書けている本だと改めて思いました。テクニカル分析に興味がある人は、一度は読んでおくべき教科書のひとつです。

セントラルミラートレーダーによるポートフォリオ経過

スタート以降の損益の変化(月後半の見直しのみ表示)は以下の通りです。

9月28日 2,565,230円(スタート時点)
10月29日 2,516,276円(10月後半見直し)
11月27日 2,210,582円(11月後半見直し)
12月26日 2,305,492円(12月見直し)
1月31日 2,390,572円(1月後半見直し)
2月28日 2,320,103円(2月後半見直し)
3月30日 2,096,099円(3月後半見直し)
4月17日 2,077,309円(4月前半見直し)
4月26日 2,101,877円(本日時点、口座清算価値)

4月前半の見直し以降は若干のプラス、大台200万円を前にV字回復とまで行かずともスタート時点の半値戻しくらいまでは頑張って欲しいところです。4月前半の見直しはシストレ広場のコラムをご覧ください。


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