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マーケットビュー

金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

中国人民元切り下げと米利上げのタイミング

更新日:2015年8月14日

8月のマーケットというものは、世界中の市場参加者がホリデーに出かけるため、「たいして動かないだろう。」と脇を甘くしていると、思わぬ乱高下に巻き込まれて慌てる経験が多い気がします。参加者が減るということは、流動性が極端に薄くなることを意味するため、値動きが激しくなるのは当然と言われればその通りです。しかし今年の8月相場は、予想もしなかった「乱入者」が参入したことを受け、今年下半期の相場展望を大きく塗り替えることになるかもしれません。その乱入者とは、中国人民元の切り下げ発表でした。

中国人民銀行からの発表

8月11日、中国人民銀行は、毎日の営業日ごとに設定する人民元の中心レートを、1.9%引き下げると発表しました。全く予期せぬタイミングでの切り下げ発表を受け、世界中のありとあらゆるマーケットに衝撃が走ったことは、ここであらためて繰り返すまでもありません。

その発表では、切り下げは「One off 一度限りの措置」と語っていたのですが、人民銀行は翌日12日も更に1.6%の切り下げに動いたため、マーケットは大騒ぎでした。「一体、中国は何をしようとしているのか?このままで行くと、規定路線であった9月のアメリカの利上げが、なくなるのではないか?」と不安になった市場参加者は、既存ポジションの収益確保を優先したため、今まで順調に上がっていた株式市場は大きく下落し、一方通行で下げていたユーロは上昇に転じることを余儀なくされました。

この表は一連の出来事をまとめたものですが、12日は特に、午前中に追加切り下げを発表したと思ったら、午後には「ドル売り/人民元買いの介入」が出たので、マーケット参加者は中国のやっていることの真意が判らず、市場は混乱を極めました。

午前中に人民元安誘導しながら、午後には人民元買いの介入… 全く整合性に欠ける行為ですが、専門家の見方では、人民元の切り下げが加速してしまうと、中国から外資がキャピタル・フライトを引き起こしてしまうリスクが高まるため、人民銀行は介入により操作しているようです。やはり今回の切り下げがきっかけで、新たなアジア通貨危機の火蓋が切られるのでは困るからでしょう。

通貨切り下げの整合性

果たして人民元は切り下げが必要なほど、通貨高となっているのかを知りたくて、通貨の実力を表わす実効レートをチェックしてみました。このチャートは、世界のあらゆる国の通貨の実効レートを公表している国際決済銀行(BIS)のウェブサイトからデータを取って自分で作ったものです。

作っているうちに、人民元がメチャクチャ強くなっていることを発見し、本当に驚きました。赤い線がその人民元ですが、過去5年半で27%ほどの通貨高となっています。それに続くのが、緑線の英国(ポンド)と青線のアメリカ(米ドル)となっており、それぞれ15%前後の通貨高に留まっています。そして、欧州・日本・トルコは総じて通貨安となっているのが判ります。

市場の反応

最初に人民元切り下げ報道を聞いた時に私が真っ先に行ったのは、独DAX株価指数の売りでした。独BMW社の株価が下落していたのを確認し、指数を売ったのです。ただし、「一度限りの措置と前提しているので、せいぜい落ちても100ポイントくらいかな…」と勝手に結論づけて、早々とポジションを整理して、溜まっている仕事をひとつづつ片付けていた私です。しかし、その後も株価下落は止まらず、とうとう300ポイントも下げていました。恥ずかしいですが、事の深刻さに気がついていなかったことが悔やまれます。

今年上半期のマーケットは、

① アメリカの最初の利上げが実施される
ただし、上げ幅や頻度は穏やかとなる。これは裏返せば、ドルの上昇材料になると同時に、株式市場にとっては、「穏やかな…」という部分が重視され、株価の暴落は、ない。
為替/株双方にとって、Win-Winな状態。

② 欧州中銀(ECB)の量的緩和策(QE)が開始される
「ECBトレード」の始まり。今までずっと、円が調達通貨(ファンディング通貨)の代表となっていましたが、今年は他の主要国と比較して、出遅れてQEがスタートしたユーロを売る「ECBトレード」が旬。そして、QE開始により、欧州各国の株価は更なる上昇を遂げる。

この2つをけん引役として、動いてきました。しかし、予想外のタイミングで発表された人民元安誘導により、上半期を支えてきたポジションのまき戻しが一斉に出てきたのです。当然ですが、これをきっかけに、マーケットは一気にリスク・オフ相場の展開を余儀なくされ、国債が買われ欧州各国の国債利回りは低下。通常のマーケットであれば、利回り低下=ユーロ安となるところですが、②ECBトレードのところでも書いたように、今年上半期は、「ECBのQE = 株高(DAX高)=ユーロ安」だった流れが、今度は逆流に転じ、ユーロは一気に上昇していきました。

IMFや格付け会社からのコメント

8月12日に2度目の切り下げを実施した人民銀行ですが、その前後に格付け大手:S&Pと国際通貨基金(IMF)が、それぞれコメントを出していました。

まずS&P社によると、

  • 通貨切り下げは、通貨安戦争のはじまりではない
  • 国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)通貨バスケットへの組み入れを目指しての動き

そして国際通貨基金(IMF)から出た発言は、

  • 人民元レートに市場の実勢をより反映させる決定を行ったことは「歓迎すべき第一歩」
  • 中国が経済における市場原理の強化を求め、急速に世界の金融市場への統合を進める中、為替レートの柔軟性拡大は同国にとって重要だ
  • 中国が今後2〜3年以内に実質的な変動相場制の実現を目指すことは可能であり、またそうすべきだと信じる
  • 今回の切り下げについて「特別引き出し権(SDR)の構成通貨への採用基準に対する直接的な影響はない」

通貨切り下げに動いたタイミングを探る

今回の動きを知った時に私の頭に一番最初に浮かんだ疑問が、「どうして、今週やったのか?」でした。別に先週でも来週でも特に支障はないように思えたからです。しかし、すぐ上に書いたIMFからの発言の一番最後に出ている「特別引き出し権(SDR)*の構成通貨への採用」、これがタイミングを探る最も重要な意味を持っていそうだということに気づきました。

* SDR(Sperical drawing rights 特別引き出し権)とは

特別引き出し権(SDR)は、加盟国の準備資産を補完する手段として、IMFが1969年に創設した国際準備資産

そもそも、SDRの構成通貨は5年に一度見直しがされ、最後にそれが行われたのは、2010/11年度でした。現在の構成通貨は、ドル・ユーロ・ポンド・円の4通貨。もし人民元が加わると、G7以外の通貨、そして新興国通貨としては、はじめての採用となります。

SDR構成通貨となるためには、2つ条件が付いており、

① 商品とサービスの輸出で過去5年間最大の価値を保有している
② 通貨が自由に使えること

となっています。①に関しては問題ありませんが、②に関しては未だ達成途中です。たぶん中国政府は、8月4日のIMFスタッフ報告書の中で、早急な人民元採用の可能性が一旦消えたことに慌てて、②の目標達成に向けて「早々とやる気を見せた」に違いないと思います。そして、中国の取った行動に対し、IMFは「歓迎すべき第一歩」と評価しています。

ちなみに、SDRの中に人民元を加えることに理解を示している国は、英国・ドイツ・フランス・イタリアとなっているのに対し、慎重なスタンスを示しているのが、アメリカ・日本です。

私の意見をここで述べても仕方ありませんが、SDR構成通貨となっている国を見ると、中央銀行の独立性が保証されている法治国家であるという共通点があります。世界の資金決済シェアにおいて、人民元は、SDR採用4通貨に続き世界5番目に浮上してきた点は評価したとしても、それだけではSDR構成通貨となるのは不十分な気がしてなりません。

アメリカの利上げへの影響

中国の切り下げを受け、マーケットが一番気にしているのが、「9月のアメリカの利上げは、予定通り行われるのか?」についてです。先ほどのBISの実効レートを見る限り、人民元は過去5年半の間に30%弱の通貨高となっています。それに対して、日本円やユーロは順調に通貨安が進んでいるので、この状況が変わらない限り、中国の輸出競争力は落ちるのも当たり前ですし、通貨高によるデフレ懸念も心配しなければなりません。

7月には中国の株価下落が激しかったことを受け、中国当局は株価下支え策を次々と打ち出したばかりです。この時の株価調整が同国の景気を一段と冷やした恐れがあり、下半期には国内の消費が大幅に減速するリスクも考えておかなければなりません。そうなると、今回の切り下げは、ただ単にIMFのSDR構成通貨への採用目的だけとも思えません。

中国のGDPの割合は、世界全体の16%ですが、世界のGDP成長率では30%を占める重要な国です。その中国の景気減速が顕著になれば、世界規模の景気減速や低インフレ懸念があらためて浮上しないとも限りません。もしそうなれば、アメリカの9月利上げが先送りされる可能性を織り込む動きが出てきても不思議ではないでしょう。

この表は、今回の切り下げが行われる前日と、切り下げ後のアメリカの利上げ織り込み度を、FF金利先物と翌日物金利スワップ市場それぞれで調べてみました。たしかに利上げ織り込み度は切り下げ後に下げていますが、思ったほど下がってないな…というのが素直な感想でした。

あと、長くなってしまって申し訳ありませんが、もう一点だけ私がここ最近気になっているチャートをご紹介します。それは、FEDのデュアル・マンデートである「完全雇用」と「物価の安定」のひとつである「物価の安定の見通し」を示す5年先5年ブレーク・イーブン・インフレ率です。まぁ、このチャートは原油価格とほぼ同じ形になってしまうので、原油価格が下がれば、アメリカの期待インフレ値も下がるということなのですが、それにしても最近の下げが結構きつく、一番最新の数値は+1.30%でした。これはFOMCで設定されている年率2%のインフレ率からは、ほど遠いです。 同じく連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注目している個人消費支出(PCE)価格指数も、全然2%に届いておりません。

チャート:セントルイス連銀ウェブサイト

※クリックで拡大できます

冷静に分析すれば、期待インフレ値が下がってきたのが今年の5月前後で、それから下げに転じている最中にも、イエレン議長や他のFOMC理事達は全くぶれずに、9月利上げを説いていたので必要以上に気にしなくてもよいのでしょうが、グングン勢いをつけて下がっているチャートを見るたびに、いらぬ心配をしている私です。

まとめ

人民元切り下げをきっかけとしたユーロ・ショートの巻き戻しにより、ユーロは対ドルだけでなく、対クロスでも上昇しました。それを反映し実効レートは上昇しており、今週木曜日の終値は、93.0373となり、直近高値である93.7868に近づいてきました。

チャート:欧州中銀(ECB)ウェブサイト

※クリックで拡大できます

ドルを見ますと、今年上半期のひとつのテーマだった「ドル高」の巻き戻しで、こちらは下落に転じています。

チャート:インターコンチネンタル取引所(ICE)ウェブサイト

※クリックで拡大できます

これら2つの実効レートを組み合わせ、「ユーロ・ショートの巻き返し→ユーロ上昇」 + 「ドル買いの巻き返し→ドル安」のコンビネーションで、ユーロ高/ドル安となりました。

今回の戻しで、5月からの高値/安値の61.8%である1.1215近辺まで来ましたが、原稿を書いている現時点では、1.1138台まで戻しています。金曜日のユーロ圏GDP速報値が失望する内容にならなければ、1.1215付近まで上昇する可能性は捨て切れません。もしそこで、ダブルトップになればよいのですが、逆に上に抜けるようだと、1.13Lowが視野に入ってくることも考えておきたいと思います。

 

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