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金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

スコットランド独立に関する住民投票

更新日:2014年9月12日

英国とは、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドから構成されている立憲君主制国家であり、正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」と呼ばれています。

皆さんにも御馴染みのユニオン・ジャックは2段階の工程を経て完成しましたが、1603年の第一回目はイングランド(白地に赤の十字)とスコットランド(青地に白いX字)の2つの国旗が合成。そして1801年の2回目には、アイルランドの「白地に赤いX字」を重ねたそうです。残念なことに、ウェールズの国旗が組み入れられていませんが、これはウェールズが13世紀末からイングランドに併合されていたため、ユニオン・ジャックには取り込まれていません。

連合王国のひとつ、スコットランドで独立をかけた住民投票が行なわれることは、日本でも報道されておりますが、私自身もこのコラムで、過去に2度に渡り記事を書いております。

本日のコラムでは、投票まで1週間に迫った住民投票に関して、知っている限りのことをお伝えしようと思います。少し長い記事になりますが、どうぞお付き合いください。

住民投票に関する豆知識

まず、今回の住民投票がどうして行なわれることになったのかについての「いきさつ」は、過去記事で書きましたので、それを参考にしていただけたらと思います。

今年の夏に日本へ一時帰国した時、セントラル短資FXさんでWEBセミナーをする機会を頂き、そこでスコットランド問題についてもお話ししました。豆知識での重要項目については、セミナー時に作成したパワポ資料を何枚か使用いたしますので、ご了承ください。

投票から独立までの過程

投票での質問内容

スコットランド経済に関する豆知識

スコットランド経済規模

1人当たりのGDP比較(2012年版)

スコットランド経済の生命線・北海油田

スコットランド政府と英政府(予算責任局)からの北海油田に関する発表によると、

  • 北海油田は1975年から発掘され、1999年にピークを迎えた
  • 現在までに、北海油田からは400億バレルの原油が産出された
  • 残存原油規模は、最大240億バレル (150億〜240億バレル)と想定される
  • これを全て使い切るには、30〜40年かかる
  • シェットランド島の西側に新たな油田が発掘される可能性あり
  • スコットランド政府は2018年までに、北海油田から570億ポンドの収入が得られると試算
  • 英国の予算責任局は、北海油田からの収入は、2013/14年度の67億ポンドから、2017/18年度には41億ポンドまで減額すると予想

ここでもわかるように、北海油田を巡る両国の見解は、大きく食い違っています。

スコットランド政府が2013年3月に作成した「原油と天然ガスの分析報告書」によると、北海油田から生産される石油・ガス収入は、スコットランド経済の17%を占めています。この点について、サモンド自治政府首相は8月25日のTV討論会で、「ノルウェーの原油生産・収入は、同国GDPの20%に匹敵する。スコットランドの場合は、15%程度となるだろう。ノルウェー経済という非常に成功した例がある限り、スコットランドも心配するに及ばない」と語っていらっしゃいました。本当にそうなのか、試しにセクター別のGDP構成比率を知るために、両国の統計局の数字を比較してみると、意外な結果となりました。

ノルウェーは、石油・ガス部門を含む鉱工業セクターが、経済全体の4割を超えているのに対し、スコットランドはわずか12% (2012年現在)。

更に掘り下げて、国家歳入に対する石油関連の比重に関しては、ノルウェー石油管理局(Norwegian Petroleum Directorate)とスコットランド議会それぞれのウェブサイトに詳しい数がでていました。それによると、ノルウェーが26%、スコットランドは15%となっており、ノルウェーの数字はスコットランドの約2倍に等しい規模となっています。

次は、北海油田を巡り、独立後に決定される海域での国境問題について考えてみましょう。

赤い点線は1987年に設定された海域での国境の目安青い線は1999年に設定された漁獲権を示すボーダーのようです。地図上にも書きましたが、独立後、赤い点線で国境が設定されますと、英国には北海油田収入が全く入らないことになります。もし青線に国境が設定された場合でも、9割以上の収入がスコットランドへ転がり込む計算になります。

最後に、石油以外のセクターでは、金融が有名です。スコットランドの首都・エジンバラは年金運用の街として知られており、スコットランド経済に占めるサービス業関連の数字が大きいのは、当然のこと。しかし、独立した場合には、金融関連企業の多くが、本社または業務の多くを英国へ移すことを検討しているため、スコットランド経済の縮小が心配されます。

とりあえず現在までに、独立決定後に移転を公式に発表したのは、スタンダードライフ保険、RBS銀行、HBOS(ロイズ銀行)など。

金融・通貨問題

独立スコットランドの使用通貨

独立後の使用通貨が未だにはっきりしていない点が、独立反対派やビジネス業界関係者が、独立を認めたくない最大の根拠となっています。サモンド自治政府首相はTV討論会で、「独立後は、「英国との通貨同盟なし」でポンドを継続使用する」という決意をあらたにしましたが、これは非常に危ない賭けとなるでしょう。ちなみに、こちらではそれをSterlingisationと呼んでいます。中米・パナマでは、通貨発行国の承認を得ずにドルを使用しており、それを「米ドル公式通貨dollarization」 と呼んでいますので、それのポンド版と言ったところでしょうか?

Sterlingisationとは?

Sterlingisation = ≪通貨統合なしでのポンド使用≫の意味です。つまり、スコットランドは今までと同じように、英中銀が設定する政策金利を共有しながら、ポンドを継続使用します。ただし、英中央銀行が金融政策の決定を行なう際には、スコットランドの経済・財政状態には全く配慮しません。つまりこれが意味することは、スコットランド政府が何らかの手を打たない限り、「最後の貸し手」が不在の金融政策をスコットランドは選択することになります。

わかりやすい例をあげますと、スコットランドはデフレで苦しんでいるが、イングランドやウェールズでは、インフレ・ターゲットの2%を越えてしまったと仮定します。英中銀は【物価安定の維持】という責務に忠実な判断を下し、早速利上げを行なうことにしました。ただし、この決定を下す際には、通貨同盟を組んでいないスコットランドのことを考慮する義務は、英中銀には全くありません。万が一、スコットランドに何か問題が生じた場合でも (例:バンク・ラン)、英中銀は一切関与する義務はありません。

ユーロ圏でも、デフレに陥った加盟国と、インフレが高い国が同じ金利を共有していますが、この場合いずれかの国で何か問題が起きた場合は、欧州中銀(ECB)が最後の貸し手として、資金供給なり信用枠供与などのヘルプをしますので、スコットランドが置かれる立場とは、全く意味が変わってきます。

極端な話、スコットランドは独立後、ジンバブエ・ドルだろうが、ロシア・ルーブルであろうが、好きな通貨を使うことが可能です。ただし、その場合は最後の貸し手となる中央銀行が不在となりますので、独立国家としての継続が難しくなることは覚悟しなければなりません。

独立前と独立後

9月18日の投票でスコットランドが独立を選択しても、実際の独立までには18ヶ月程度の時間があります。この移行期間は、英中銀が今まで通り、スコットランドの中央銀行であり、最後の貸し手となります。ですので、もし独立賛成を受けて、スコットランドからバンク・ランが発生した場合でも、英中銀はヘルプしますし、英政府の預金保険制度も、スコットランド系銀行の口座に適用されます。

しかし、2016年3月の独立後もポンドを継続使用する場合には、スコットランドは中央銀行、またはそれと同格の機関を設立し、外貨準備金を積むなりして、自衛する以外手段はなさそうです。預金保険制度もスコットランド版を設置すると予想されます。

*バンク・ラン(Bank Run)
危ないと噂が出た銀行に預金している顧客が、預金を引き出そうと長蛇の列を作ること

どうして、ポンド使用にこだわるのか?

スコットランドが自分達の新通貨を作りそれを使用する場合、上記の3つのリスクに直面します。特に通貨切り下げリスクにより、経済は大打撃を受けることが避けられないでしょう。

これ以外のリスクとしては、バンク・ランが一番心配されています。スコットランドという狭い地域のみで流通する新通貨は、流動性の問題や通貨としての歴史がゼロという観点からも、相当売り浴びせられるはずです。それがわかっているスコットランドの住民は、自分の資産を全て引き出して、イギリスの銀行なり、スイスなり、ユーロ圏なり、どこか安全な場所へ移すことは間違いないでしょう。

EU/ユーロ圏への加盟

スコットランドは、「独立しても自動的に欧州連合(EU)の加盟国になる」と、サモンド自治政府首相は主張していましたが、そうでないことがあきらかになってきました。それに関する問題点は、

・ 欧州連合(EU)に加盟するには、現在の加盟国全てが全会一致で合意することが条件
⇒ 自国内部でも独立問題を抱えているスペインやベルギー、北部が英国連合に属しているアイルランドなどが、独立国家:スコットランドのEU加盟に対して、拒否権を発動する可能性が指摘されています。この問題についてEU関係者は、「拒否権発動は十分にあり得る。発動した国を、どうにか説得して、スコットランドのEU加盟を全会一致で決定するには、少なくとも5〜6年という時間が必要となると考えられる」と発言しています。

・ ユーロ圏に加盟し、ユーロという通貨を使用することは、ほぼ絶望的
⇒ サモンド自治政府首相は、ユーロを使用するという選択はしていません。万が一そうなった場合でも、スコットランドの公的債務残高対GDP比は、80%となっており、マーストリヒト条約で設定されている公的債務残高対GDP比 60%を越えているので無理。そして、ユーロに加盟するためには、まずスコットランド新通貨を設定 → ユーロと2年以上のペッグ制を設定 という荒治療が待ち受けています。絶対にないとは思いますが、ユーロ加盟に向けて新通貨を立ち上げたとしても、独立記念日である2016年3月までにユーロ使用は間に合いません。

独立スコットランドが直面するリスクのまとめ

カナダ・ケベック州の独立に関する住民投票から学ぶ

カナダのケベック州は、フランス系住民が多く、フランス語のみを公用語としています。私は学生時代にケベック州のボーダーまで車で30分もかからないカナダの首都:オタワに住んでおりましたので、この問題はかなり身近に感じている1人です。

ケベック州では既に2度に渡り【カナダからの分離独立を問う住民投票】が実施されていますが、最後に行なわれた1995年の投票は、

  • 独立に賛成 49.4%
  • 独立に反対 50.6%

となっており、反対派はかろうじて50%を超えたものの、賛否拮抗した結果となりました。

ケベック州での住民投票に関する世論調査内容

この投票直前に行なわれた世論調査が面白かったのでご紹介します。

Q:
あなたは、ケベック独立問題は、ケベックだけで決めるべきだと思いますか?
それともカナダ全体で、決めるべきだと思いますか?

A:

@ ケベック州の住民 ・ケベックだけで決める 45%
・カナダ全体で決める  40%
・わからない       15%

A ケベック州以外のカナダ人 ・ケベックだけで決める 24%
・カナダ全体で決める  65%
・わからない       11%

この結果を見て私が驚いたのは、カナダではケベックの独立について、カナダ全体で決めることを望んでいる人が6割以上もいたことでした。私が住むイングランドでは、スコットランドの独立はスコットランド人の問題なので、そこにいる人達が決めるべきであると考えており、エリザベス女王もこの考えを共有されているため、ご自分の考えを口にすることは避けています。

そうは言っても、イングランドでも関心は非常に高いことには変わりなく、インターネットでの検索件数を調べてみると、『スコットランド』『独立』という2つの単語を含んだ検索結果は、昨年8月 238件 ⇒ 今年7月 839件 ⇒ 今年8月 1,325件とどんどん増えてきました。

ケベック州住民投票直前の世論調査と実際の投票結果

これが一番面白いな!と思った点ですが、ケベック州での世論調査では、ほとんど毎回といってよいほど【独立賛成>反対】という結果が続いており、投票日直前のものは、賛成派 46% vs 反対派 40%と6%もの差がありました。しかし、実際の投票結果は僅差で反対派の勝利!となっています。

もしスコットランドでも同様の動きとなれば、まだまだ独立反対派の勝利となる可能性は残されていることになりますね!

ケベック州の住民投票前後のマーケット

最後に、ケベック住民投票4週間前から投票翌日の為替市場の動きを調べてみましょう。

まず、投票4週間前から投票日数日前までの動きをみると、1.32Highから1.38台直前までの大幅なドル高/カナダドル安となっています。特に投票日前週の週末をはさみ、大きくカナダドル安へと動きました。そして投票結果は、僅差でNOが勝利を収めたとわかった途端、それまでのカナダ安の動きを全て取り戻す勢いで、カナダドル高/ドル安へと変化していきました。

今回のスコットランドの動きを見ると、ほとんど同じですね。つまり投票日の前週の週末をはさんで、ポンドが急落しました。

スコットランド独立決定後の問題点


@英国が抱えた問題

核と安全保障問題

スコットランドを母港とするトライデント核搭載潜水艦群の取り扱いに関して、調整が必要になるといわれています。

スコットランドは核兵器廃絶を公約しており、独立後はトライデントの母港を英国内に移して欲しいと表明しているのに対し、英政府は英国には適当な場所がないという姿勢を崩しておらず、独立後も引き続きスコットランドに母港を置き続けるよう交渉する意向を示しています。

もしスコットランドの拒否が決定的となった場合、英国の核防衛そのものが大きく変化せざるを得ない可能性も出てくるでしょう。

通貨の選択と金融安定

「スコットランドが独立したければ、勝手にしてくれ!」と突き放した態度を取れないのが、英国政府と中央銀行の苦しいところ。

「Uncertainty about the currency arrangements could raise financial stability issues. We will as you would expect us to have, contingency plans for various possibilities.
(スコットランド独立後の)使用通貨が決定されていないため、それがきっかけとなり、金融市場の安定を崩す危険性が出てくる。我々英中銀は数々の可能性を考慮し、万が一の場合に備えて対策を練っている。」

カーニー総裁はこう語っています。

先ほども説明しました Sterlingisation = ≪通貨統合なしでのポンド使用≫ですが、実際に開始されるのは2016年3月の独立記念日以降の話。それまでの約18ヶ月間は、今まで通り、スコットランドにとっての【最後の貸し手】は英国中銀という位置づけには、変化がありません。

そうなると、独立が決定した → しかし、実際の独立までには、18ヶ月という時間が残っている → スコットランド人が自分達の口座をイングランドの銀行に移動する → スコットランドでバンク・ランが起きる → 英中銀は最後の貸し手として、その事態を収拾する義務がある  という負の連鎖が続きます。そして、スコットランドの銀行に何か問題が起きた場合は、独立するまでの18ヶ月の間は、預金保険制度で5万ポンドまでは保護されます。

政府債務分担

当初の計画によると、英国の政府債務に関しては、人口比率分をスコットランドが引き受けるという約束になっていました。しかし、英議会の3大政党全てが、「スコットランドとの通貨統合は、あり得ない」と認めなかったことの報復措置として、人口比率分の債務引き受けを拒否しているスコットランド政府。

このままで行くと、英国の債務の対GDP比が上昇し、長期金利上昇・財政運営がやりづらくなる・ソブリンリスク(格下げ)が出てくることもありますので、ポンドにとってはネガティブになるでしょう。

政治的地殻変動

英下院 650議席のうち、59議席がスコットランドの選挙区によるものであるため、全て無効となります。59議席の内訳ですが、スコットランドでは労働党の支持率が高いこともあり、40議席が労働党、与党:保守党は1議席のみとなっています。

ここで問題になるのは2点、【総選挙の延期】または【保守党の単独過半数の達成】です。

@ 総選挙の延期

2015年5月の総選挙では、労働党政権が誕生するという予想が現在でも優勢を占めています。しかしスコットランドが独立した場合、スコットランド選挙区出身の労働党議員は、無効となるため、労働党議席が大きく減少することになります。

労働党としては、議員数が減少したまま、総選挙に挑むことは出来ないため、例外的措置として、総選挙の12ヶ月延期を申し出る可能性が出てきました。

ちなみに英国で総選挙が延期されたのは、1940年だけ。そのときは第二次世界大戦が始まってしまい、やむを得ずの延期となりました。

A 保守党の単独過半数の達成

2015年5月総選挙の延期が認められず、予定通り総選挙が実施された場合、保守党にとっては神風が吹くことになるかもしれません。スコットランド選挙区の議員は1名だけであるのに対し、労働党は40人も一気に失うので、次期政権は(現在の自民党との連立ではなく)保守党が単独過半数の議席を獲得して、晴れて《保守党単独政権》も夢ではないかもしれません。

EU離脱の是非を問う国民投票

2015年5月に予定通り総選挙が実施された場合、保守党が勝利を収める可能性が高まりますので、予定通りに2017年までに「EU離脱の是非を問う国民投票」が実施されることが予想されます。

逆に、労働党の要求が受け入れられ、総選挙が12ヶ月程度の延期となったのちに労働党政権が誕生した場合ですが、労働党はEU離脱の国民投票実施は約束していませんので (のちのち、変更になるかもしれませんが、今のところは約束しておりません) 国民投票そのものが白紙撤回される可能性が出てきます。

2回目のスコットランド住民投票の可能性

今回の投票は、どちらが勝つかという事以上に、『どのような票配分となるのか?』が最も重要だと私は考えています。

特に、YES または NO のいずれかが、55%以下の得票率となり、ぎりぎり勝利に導かれた場合は、「次の住民投票」を呼ぶ声が高まるのは必須だからです。

特に独立反対派が僅差で勝った場合は、賛成派はかなり早い時期での「2度目の住民投票実施」を声高に要求してくるでしょう。


A スコットランドが抱えた問題

企業の脱スコットランド

既に保険会社や大手銀行が、一部の業務を英国へ移転すると正式に発表しています。そのため、スコットランドの経済規模の縮小は避けられないと思われます。

失業率の上昇

大手企業が英国やそれ以外の国へ業務移転することに伴い、失業者が増えることが想定されます。幸いなことに、会社の所在地を登記上だけイングランドへ移転し、業務は今まで通り、スコットランドで継続する会社も出てきたようですので、最終的にどの程度の失業者が出るのかについては、未知数となっています。

それに加え、独立賛成派は、法人税率引き下げを公約しており、英国よりも2%かそれ以上低い法人税を適用するようです。そのため、少し時間がかかるかもしれませんが、新規事業の勧誘は可能だと思いますし、そうなれば失業問題も自然解決する可能性も出てきます。

通貨問題と準備金の規模

今までの話を総合しますと、

通貨統合なしのSterlingisationを実施 → ポンドを継続使用 → 2016年3月の独立記念日までは、英国の預金保険制度が適用 → 英中銀も最後の貸し手となってくれる → 独立後は、(外貨)準備金を保有するスコットランドの中央銀行的な機関を設立 → そこが中央銀行として最後の貸し手となる

こんなイメージです。ただし、これは現在までの話を総合したものであり、来週の投票後、一気に変わってしまうリスクがある点は、ご理解ください。

独立後の準備金の規模について、9月11日、英中銀は報告書を財務省へ提出しました。そこではユーロと通貨同盟を結んでいるデンマーク、そしてドルとペッグ制を結んでいる香港それぞれの中央銀行が保有している外貨準備金の規模を例に出しています。

  • デンマーク中銀と同じ流動性比率 (38%) を適用した場合、スコットランドは1,620億ポンドの準備金が必要
  • デンマーク中銀と同じ国内預金残高比率 (50%) を適用した場合、スコットランドは3,890億ポンドの準備金が必要
  • デンマーク中銀と同じGDP比率 (26%) を適用した場合、スコットランドは340億ポンドの準備金が必要
  • 香港と同じ流動性比率 (23%) を適用した場合、スコットランドは980億ポンドの準備金が必要
  • 香港と同じ国内預金残高比率 (35%) を適用した場合、スコットランドは2,720億ポンドの準備金が必要
  • 香港と同じGDP比率 (119%) を適用した場合、スコットランドは1,550億ポンドの準備金が必要

中央銀行が保有する外貨準備金の規模について、明確なルールや基準が存在しているのか、私にはわかりません。しかし、9月10日の議会証言で、、カーニー総裁は「スコットランド政府が準備金として用意できる金額は150億ポンドが上限となると見られている」 と語っていたことを考えると、どの比率をスコットランドが適用するかは判りませんが、莫大な追加額が必要になることは、疑いの余地がありません。

この報告書を受け取った財務省特別委員会議長は、「どの数字をとっても、スコットランド政府は、べらぼうな金額の準備金を用意する必要性に迫られる。これだけの金額を集めるには、市場からの借り入れでは到底間に合わず、長期にわたる増税なり歳出の大幅カットを覚悟する必要があるだろう。」と話していました。

もし独立が決定した場合には、これは大きな論点となることは避けられなさそうです。


B それ以外の国が抱えた問題

今週に入ってから目立った動きとして私が気にしているのが、スペインなどの長期金利(10年物国債金利)の上昇が挙げられます。9月18日に第一回目のTLTRO(条件付き長期リファイナンス・オペ)を控えており、長期金利は下がったとしても、上がる理由はどこにも見当たりません。

しかし、マーケットは、「万が一スコットランドが独立したら、次はどこの国が騒ぎ出すだろう?」と考えたのかもしれません。そうなると、独立問題とは無縁ではいられないスペイン・ベルギー・アイルランド・イタリアあたりが、ターゲットとして浮上してきます。偶然にもこれらの国の長期金利は今週に入り例外なく上昇しており、皮肉にも以前のユーロ圏債務危機の時のように【独立機運の飛び火】という結果を生んでいます。

特にスペイン・カタルーニャ州に関しては、スコットランドに続き、11月9日に「カタルーニャ州の今後のあり方に関する住民投票」を実施する計画となっておりますが、スコットランドとは違い、住民投票結果には合憲性がありません。しかし、9月11日に、カタルーニャ市民は、この投票結果に合憲性を持たせるよう、運動を開始した模様。

これら独立問題の恐いところは、カナダの例を見てもわかるように、投票結果がどう出ようと、独立賛成派からの雑音が今後もずっと続くであろう点です。

念のためにヨーロッパ各国の独立機運が高まりそうな地域を挙げますと、

  • スペイン → カタルーニャ州、そしてバスク地方
  • ベルギー → オランダ語圏のフランダース地方
  • アイルランド → 共和国制として独立したアイルランドと、英国連合王国に残っている北アイルランドの統合
  • イタリア → スイス国境近くのチロル地方、そしてベニス

などが挙げられます。

まとめ

週末に発表された世論調査で、賛成派が独立派をはじめて追い抜いた結果を受け、今週に入ってから大手銀行のポンド見通しが一斉に修正されました。

それらの予想の共通点は、

スコットランド独立が決定した場合、ポンドは(対ドルで)5〜10%の下落
ターゲットとして、1.55台、もしくは、1.50台へ

一番大胆な銀行は、1.45台までの下落を予想しているようです。

投票まであと1週間となりましたが、今後劇的な変化がない限りは、1.6000の心理的サポートは割れず、レンジ相場になるのではないかという見方が優勢。この1.6000は、節目としての心理的なサポートだけではなく、@ 最近の高値/安値の50%戻しレベル A 200週移動平均線も通っており、テクニカル的にも意味があるレベルなのです。

ただし、独立賛成という投票結果となれば、1,6000を割り急落するという予想には、私も同感です。これはあくまでも私の予想ですので、参考程度にして欲しいのですが、

・独立反対派勝利
得票率が55%以下であれば、マーケットのリアクションはすぐに解消

・独立反対派勝利
得票率が60%を超えての勝利であれば、ポンドは200〜400ポイントくらいの上昇

・独立賛成派勝利
得票率が55%以下での勝利であっても、ポンドは一気に300ポイントくらい下落

・独立賛成派勝利
得票率が60%を超えての勝利であれば、ポンドは500ポイントくらい下落しても不思議ではない

こんなイメージでおります。

 

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