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マーケットビュー

金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

ECBの苦悩:Empty toolbox

更新日:2014年9月5日

9月に入り、マーケットのボラティリティーが一気に高まってきました。特に10日後に控えるスコットランド独立の住民投票を巡り、ポンド/ドルのオプションのボラティリティーが3年来の高さに跳ね上がっています。ドル円も安倍政権の内閣改造を先取りし、さっさと105円台に突入。

9月は株も為替も動く月なので、それなりに用心しておりましたが、ドル円の健闘ぶりには正直戸惑いを隠せません。103〜104円で、「下がるのを待ってから買おう」と考える日本人を横目に、高値掴みとも思えるレベルで積極的に買っていたのは海外のアカウントでした。

ドル高相場、または円安・ユーロ安相場、呼び方はいろいろあると思いますが、ここからの大相場に期待したいと思います!

欧州中銀(ECB)金融政策会合に向けて・事前予想

ECBの手段は尽きた?

今年に入り主要国の中央銀行として、はじめて≪マイナス金利の導入≫に踏み切ったECBですが、実際の行動に移すまで思わせぶりな発言を繰り返したドラギ総裁は、「狼少年」と呼ばれていました。6月になってやっとマイナス金利が導入されましたが、その後もユーロ圏のデフレ懸念は改善していません。そのため、今月は最後の切り札ともいえる≪QE導入≫に向け、否が応でもECB理事会への関心が高まっていました。

それに先駆け、8月に米ジャクソンホールで開催された経済シンポジウムでドラギ総裁は、量的緩和策(QE)の導入の可能性だけでなく、欧州のリセッション懸念を払拭するためには、赤字削減・緊縮財政策に代表される財政均衡に向けた規律優先という方針を変更し、成長重視の現実的な路線への転換も必要である点を指摘し、「景気回復目的とした財政支出の拡大は可能である」と語り、波紋を呼びました。シンポジウム終了後、米WSJ紙は、

「ECB's Mario Draghi Signals Departure From Austerity Focus
ドラギ総裁、緊縮政策重視からの離脱を示唆」

とセンセーショナルなタイトルで報道。

しかし、ECB理事会を控えた先週末の独誌:シュピーゲルでは、この発言が財政規律重視のメルケル首相の逆鱗に触れたとし、同首相がドラギ総裁に電話をし、総裁自身の財政規律に対するスタンスをあらためて確認したと報道されました。

ドイツからの発言はこれだけでは済まず、今週に入りショイブレ財務相は、「構造改革をやり遂げた国は、その効果があらわれはじめており、経済成長の足取りもしっかりとしたものとなっている。」と、特にスペインとポルトガルの努力を評価しています。

メルケル首相にしても、ショイブレ財務相にしても、『赤字削減と平行しながら労働市場を中心とした構造改革を遂行すれば、やがてそれが実を結ぶ』という考え方を変えておらず、同財務相は更に一歩踏み込み、金融政策はあくまでも時間稼ぎに過ぎず 「ECBはやることは既にやってくれた。もう、ユーロ圏を支援するための手段は限界にきており、ここからは各国政府が金融政策を補完するよう、過大な財政赤字を計上することなく成長を促進する責任を負う必要がある」 と語っています。

景気浮揚とデフレ対策

現在マーケットで展開されている議論は、【景気浮揚】と【低インフレ対策】の2つに分かれており、【景気浮揚】には、加盟各国政府による構造改革や企業投資が、 【低インフレ対策】には、QE策が、それぞれ功を奏するだろうと考えられています。

2009年からの債務危機が収束したあとも、継続的に断行された緊縮財政策の後遺症や、長引く低成長の影響で失業率は高止まりしていることからもわかるように、消費者による需要不足が解消されない限り、物価の上昇は非常に難しいと私は考えています。当然のことながら、消費者の需要が伸びない限り、企業も設備投資には消極的となるため、いつまで経っても負の堂々巡りとなったまま。

気になる【景気浮揚策】としては、9月18日に予定されているTLTRO(条件付き長期リファイナンス・オペ)を通して企業貸出が増加することが期待されます。ただし、11月から実施されるECBの銀行監督一元化に先駆けて実施されている銀行ストレステストやAQR(資産査定)の最終結果が出るまでは、銀行がバランスシートを大幅に拡大させたり変更する意欲は低いのではないか?という予想もあり、果たして欧州の銀行はどのくらいの金額でTLTROに参加するのか、非常に楽しみでもあります。

ECB理事会からの発表・ドラギ総裁記者会見

ECB金融政策理事会からの発表

Actions speak louder than wordsとなり、3つの政策金利全てを、0.10%カットすると発表。

  • 限界貸し出し金利 0.40% ⇒ 0.30%
  • レフィ金利 0.15% ⇒ 0.05%
  • デポ金利 −0.10% ⇒ −0.20%

ちなみに、今月の理事会は珍しく「明確な事前のコンセンサス」がありませんでした。例えば、ブルーンバーグ社が事前に行なった調査では、利下げを予想したエコノミストは全体の10% (57人中、6人)だけです。

この決定を受けたマーケットは、「ECBは予想外の利下げをしたのだから、QE策に代表される非標準的措置の導入の可能性はかなり薄くなったに違いない。」と結論づけ、ドラギ総裁の記者会見を待ちました。

この時点で、欧州各国の国債利回りは大きく低下(債券価格上昇)し、フランスの2年債までもがマイナス圏へ突入。為替市場では、ユーロ/ドルが1.30台ギリギリまで約100ポイント下落、ユーロ/豪ドルは、あっさり1.4台を抜けて急落となっています。

【ECB理事会後のユーロ/ドルの値動き】

※クリックで拡大できます

ドラギ総裁記者会見での発表

・声明文

冒頭で読み上げる声明文で、ドラギ総裁は、 @ 住宅ローン担保証券(RMBS)を含む資産担保証券(ABS)に加え、域内銀行が発行したカバード・ボンドを買い入れる枠組みについて言及  A これは来月から開始予定 B 実施に伴う詳細は10月2日の次回理事会後に提示する と述べています。

これを受け、欧州各国の国債利回りは急落(国債価格上昇)し、ドイツ市場では、4年物国債とそれより短いものは全て、マイナス金利へ。

・ 今回の発表のまとめ

(1) 景気刺激、低インフレ対策として、政策変更や将来の変更を発表
(2) 政策金利は一律 0.10%のカット
(3) スタッフ予想では、GDP・インフレ率ともに、下方修正
(4) 政策金利水準は下限に来ており、これ以上の利下げはないことを示唆
(5) 量的緩和策導入の可能性が高まる ⇒ ただし、その決定は全会一致ではない。
(6) 今月の理事会で、QE策導入について、協議した
(7) RMBSを含むABSに加え、カバード・ボンドも対象とした買い入れる枠組みについて協議
(8) 地政学リスクと加盟国の構造改革の遅れが、ユーロ圏全体の景気回復を遅らせる可能性
(9) 低インフレはエネルギー価格の下落が最大の要因
(10) 今月利下げに動いた理由は、18日に実施されるTLTROの参加銀行を高めるため

ユーロ急落へ

チャートをご覧になってわかりますように、ユーロは記者会見が終了してからも、どんどん下げ足を速め、政策金利カットの発表から200ポイント以上の下落を記録しました。ここまで急激なユーロ安が演じられた背景には、来月発表される予定であるQE策では今まで候補に挙がっていなかったRMBS(住宅ローン担保証券)が含まれることが明らかになり、ECBは本気で流動性を増加させる決意が強いと市場は受け止めたことが、かなり影響したと私は考えています。

ABS、RMBSについて

私はRMBSという言葉には馴染みがないので、果たしてそれが含まれるのと含まれないのとでは、どのくらい規模が変わってくるのか知りたくなりました。しかし、どうやって調べてよいのかわからず、2時間くらいGoogleを連打していたら、見つかりました!

欧州の金融機関の業界団体である欧州金融市場協会(AFME Association for Financial Markets in Europe)が四半期ごとに発表している報告書にしっかり載っていたのです。

データ: 欧州金融市場協会  2014年第1四半期報告書

※クリックで拡大できます

これは一番最新のデータで、2013年第4四半期時点の残高。赤く丸で囲んだ部分は、

  • 資産担保証券(ABS)の規模 2,013億ユーロ (約27兆円)
  • 住宅ローン担保証券(RMBS)の規模 8,628億ユーロ (約117兆円)

ヨーロッパ全体のアセット残高規模(国債を除く)が、1兆4864億ユーロ、そのうちの半分以上をRMBSが占めています。つまり、ECBがABSを対象とした量的緩和をする時に、RMBSを含むと含まないとでは、大きな差があることがわかりました。

カバード・ボンドについて

さて、次はカバード・ボンドの規模を調べなければなりません。これもどうやって探していいのか全然わからず、Googleを1時間以上ウロウロしていたら、見つかりました!

欧州カバード・ボンド協議会(ECBC European Covered Bond Council)というところがあるそうで、そこが毎年発表している報告書を発見!しかし、こういう調べものをしていると、思いがけない機関やカウンシルのようなものを発見して、驚きます。

ECBC報告書の最新版は見れませんでしたので、次に新しい2012年末時点におけるカバード・ボンドの発行残高を調べてみました。それによると、この市場は全世界で 2兆6,000億ユーロという膨大な規模。

国別の市場規模に目を移すと、 6大カバード・ボンド市場国は、ドイツ・デンマーク・スペイン・フランス・スウェーデン・英国の順となっています。

チャート: 欧州カバード・ボンド協議会(ECBC)ウェブサイト

※クリックで拡大できます

カバード・ボンドについては、過去にユーロ圏債務危機が悪化しECBがいくつかの非伝統的政策手段を実施した際に、これの買い入れオペを実施した前例があり、現在ECBのバランス・シートには、4,466億ユーロ規模のカバード・ボンドの残高があります。

ECBの理想的なバランスシートのサイズ

ドラギ総裁は記者会見の中で、ECBにとっての希望的バランス・シートのサイズについても言及しており、【2012年のレベル】つまり3兆ユーロくらいまで拡大したいと洩らしました。そうなると、ここから更に1兆ユーロ規模のバランス・シート拡大をする魂胆のようですね。

どの手段を使い、1兆ユーロの増加を目指すのかわかりませんが、今月の理事会で協議したABSやカバード・ボンドを対象とした買い入れ枠組みについての詳細を、来月の理事会まで待つという決定の背景には、9月18日の第1回目のTLTRO(条件付き長期リファイナンス・オペ)の規模がはっきりするまで、決めるに決められないいきさつがあると考えられます。

まとめ

低インフレの長期化もあり、インフレ率はとうとう+0.3%まで下がってしまい、デフレ懸念が急速に台頭しています。中央銀行としては、Behind the curve(後手に廻る)の政策決定は、Credibility(クレディビリティー 信用性)を失うことになります。その意味では、予想外の利下げは、評価に値する決断とも言えるでしょう。

しかし他のエコノミストさん達が、どういう意見を持っているかわかりませんが、私の感想は、「随分早く切り札を全部使ってしまったな...」というものでした。このコラム記事のタイトルにつけた「Empty toolbox」という表現は、英語で頻繁に使われる言い回しです。意味は、例えば大工さんなどが使う工具入れ(toolbox)には、金槌やノコギリなど、いろいろな工具が所狭しと入っています。ある目的のために、大工さんはそこに入っている工具を次から次へと使ってみた。そうこうしているうちに、ほとんどの工具を使い果たしてしまい、工具箱の中はほとんど空っぽ(Empty)になってしまった。しかし、その目的は達成されず、どうにもこうにもならない状況を、Empty toolboxと表現します。中央銀行であれば、この状況は絶対に避けなければならないことは、明白な事実ですね。

とりあえず、10月の理事会でABS購入の詳細を発表すると語ったドラギ総裁ですが、反対する理事達も多いことが予想され、簡単に合意が取り付けられると考えるのは時期尚早だと私は考えます。特にドイツの反対を押し切っての決断となった場合、果たして世界中の投資家が、ECBの最後の切り札に対して、高い評価を下すかは、疑問符がつくでしょう。

もう一点、ドラギ総裁の会見で気になったのが、米ジャクソンホール経済シンポジウムの講演で語った≪景気回復目的とした財政支出の拡大は可能である≫という主旨の発言を、今月の記者会見では全くせず、構造改革の遂行と財政均衡を目指す努力を加盟各国政府に呼びかけるに留まった点です。

ECBが独立した中央銀行であることは十分に理解しておりますが、「財政支出の拡大」のところがメルケル首相の逆鱗に触れたという報道からもわかるように、ドイツの反対が強い政策を敢えて実行するためには、そのハードルがいかに高いかが、ここからもわかります。そう考えると、≪最後の切り札≫となるQE策の導入が、スムーズに行くとは正直思えません。最悪の場合、ABSを主流としたQE策を実施した後も景気は全く回復せず、デフレとなってしまった場合、もうECBには何の手段も残っていないのです。

そこまで追い込まれたECBに唯一残っている手段は、米英の中央銀行が実施した【国債購入によるQE策】です。しかし、欧州共同債がない現在、EU法を変更しない限り、ECBがそれを行なうことは不可能です。

さしあたりは、18日のTLTROの結果、そして来月の理事会でのABS購入の詳細を見てから、中期的にユーロがどこまで下がるか決めたいと思います。

ユーロ/ドルの週足をみると、今週で既に8週間連続の陰線が出現しています。過去のチャートを眺めながら、7〜8週連続陰線を探してみました。

・8週連続陰線  2010年2月
8週かけて、約1100ポイント下落 ⇒ (8週目の終値から) 2週間かけて、200ポイント弱戻す ⇒ その後、12週間かけて、2,000ポイントの下落

・8週連続陰線  1996年12月
8週かけて、約1200ポイント下落 ⇒ (8週目の終値から) 7週間かけて、200ポイント戻す ⇒ その後、18週間かけて、1,400ポイント以上の下落

・7週連続陰線 1999年10月
7週かけて、約900ポイント下落 ⇒ (7週目の終値から) 5週間かけて、400ポイントほど戻す ⇒ その後、17週間かけて、1,500ポイント以上の下落

まだこれ以外にあるかもしれませんが、とりあえずこの過去3回の動きと今回の動きを比較してみた場合、今回の8週連続陰線は、木曜日までに720ポイントの下げとなっており、過去の下げ幅と比較すると小幅です。これはユーロがドルに次ぐ基軸通貨の位置を獲得したことが、ある程度影響しているのかもしれません。いずれにしても、もし歴史が繰り返すのであれば、今後数週間で2〜300ポイントの戻しを経て、次の大きな下げが来る可能性が高いので、その波に乗れるよう頑張りたいと思っています。

 

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