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金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

欧州中銀の挑戦

更新日:2014年6月9日

先週木曜日に開催された欧州中央銀行(ECB)金融政策会合では、市場予想をはるかに超える大型追加緩和策が導入されました。

昨年11月の予想外の政策金利引き下げ以降、一気にデフレ懸念が高まった欧州。日本の「失われた15年」を繰り返さないためにも、早急な対応を市場は期待しておりましたが、ECBは何の対策も打たずに時間だけが過ぎるという最悪な結果へ。

今年に入ってからもインフレ率は1%を下回った状態から改善されず、さすがのドラギ総裁も焦りの色が濃くなってきました。そして先月の定例記者会見の席ではじめて、「次の理事会」という具体的な時間軸を伴った追加緩和策導入の可能性を示唆したのです。今月の理事会でのマイナス金利導入は既成事実化していたため、市場参加者の間では《プラスα》の部分を探る展開となりました。

本日のコラムでは、6月5日のECB理事会・ドラギ総裁記者会見で発表された追加緩和策の詳細をご紹介するとともに、ここからのマーケットに与える影響を自分なりに分析してみたいと思います。

ECB理事会の決定内容

6月の理事会で発表された決定内容は、主に分けると 1)政策金利のカット 2)市中銀行による貸し出しの強化 3)フォワードガイダンスの強化 4)QE策導入の準備段階 の4つに分かれます。具体的な内容を挙げますと、

主要政策金利のカット (6月11日より実施)

@ 限界貸出金利  0.75% ⇒ 0.40%へ  (0.35%のカット)

A レフィ金利 0.25% ⇒ 0.15%へ  (0.10%のカット)

B デポジット金利 0%  ⇒ −0.10%へ  (0.10%のカット)

コリドー(政策金利上限:限界貸出金利と、下限:デポジット金利の差)0.75%から0.50%へ縮小
準備預金制度の金利もマイナス化
条件付きLTROの導入TLTRO Targetted Long Term Refinancing Operations )
条件なしの2年物LTROの実施
SMP(証券市場プログラム)不胎化の停止
固定金利での全額供給オペを2016年12月まで延長
ABS(資産担保証券)買い切りオペ(QE=量的緩和策)導入に向けた準備

主要政策金利のカットとマイナス金利の導入、コリドー幅縮小

文頭でも触れましたが、政策金利の下限であるデポジット金利をマイナスにすることは既成事実化しておりましたが、準備預金制度*の金利も同時にマイナスにすることは、あまりコンセンサスが得られておりませんでした。この点については、過去のコラム記事でも書きましたが、デンマーク中央銀行が同様の措置をとった例があります。

今回の決定を受け、ECBが提供する口座全てに対しマイナス金利が適用されてしまうため、市中銀行に余剰資金が生じた場合、その資金を保有するコストが発生することになります。結果として、それら余剰資金が企業・個人向け融資に向かう保証がない限り、それは市場に流れてきますので、市場金利もマイナス化する可能性が高まります。

このチャートは、今年1月から6月5日までのユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)の推移を表したものです。今回の決定を受け、デポジット金利だけでなく準備預金制度の金利もマイナス圏へ突入したと同時に、コリドー幅も縮小したため、一気にEONIAの金利水準が低下しました。

私は今回のECBの決定を見て、おや?っと思ったことがあります。それは「それぞれの政策金利の下げ幅が同一ではない点」でした。つまり、限界貸出金利は0.35%引き下げたのに対し、残りの2つの金利は、0.10%の下げ幅に留まった結果、コリドー幅は以前の0.75%から0.50%へと縮小したのです。

通常、ヨーロッパの代表的短期金利:EONIAは、レフィ金利とデポジット金利の間で推移することが望ましいのですが、地政学的リスクや月末などの特殊要因が発生した場合、銀行間取引における翌日物金利の上限:限界貸出金利に近づいて上昇することがありますが、そこがEONIAの上限となります。

今回の《2種類の利下げ幅》を通じECB理事会は、「限界貸出金利を大幅にカット ⇒ コリドー幅を縮小 ⇒ EONIAの変動幅も縮小 (EONIAの上限が大きく下がった) ⇒ 短期金利急騰というような不安要素を取り除くことに重点を置いた」メッセージを市場に対して送ったと私は理解しています。

*準備預金制度とは?
世界各国の中央銀行は、自国の市中銀行に対し、保有する預金額の一定割合以上の金額を、一定期間に渡り中央銀行の当座預金に預け入れることを義務付けており、これを『預金準備制度』と呼んでいます。

マイナス金利は有効なのか?

主要国初のマイナス金利導入を巡り、既にドイツ銀行協会から「預金者保護の視点から、賛成できない」とコメントが出ただけでなく、プライベート銀行組合は「マイナス金利導入による企業貸し出しの強化は期待出来ない。デンマーク中銀がマイナス金利を導入しても、そういう実績は得られなかった」ともコメントしています。

過去のコラムでも書きましたが、私が住む英国でも《英中銀(BOE)のマイナス金利導入の是非》に関する議論が盛んに行われていた時期がありました。当時、BOEが資産買取プログラム(QE)を通じて大量の資金を市場へ供給したにもかかわらず、融資や貸し出しが全く伸びなかったため、それに対する批判が高まりこの議論が展開されたのです。結論から先に申し上げますと、BOEはマイナス金利導入には動きませんでした。

たぶん企業融資の促進に向け、マイナス金利導入が解決策にならないと判断したからに違いありません。それに加え、たとえマイナス金利を嫌って銀行が貸し出しを増やしたとしても、それが将来不良債権化しないとも限りません。その際の損失補てんを英政府が引き受けてくれる保証がない以上、自己資本比率を高める義務を課せられていた銀行としては、矛盾する動きに自ら身を投じる用意がなかったことは明らかです。

条件付きLTROの導入
(TLTRO Targeted Long Term Refinancing Operations)

今回発表された追加緩和策の中で、マイナス金利の次に注目を集めたのがTLTROでした。以前からLTROという言葉はよく耳にしておりましたが、今度は最初にT(Targeted 条件付き)という文字が追加されています。

過去にECBが導入したLTROと今回のTLTROの違いを簡単な表にまとめてみました。

前回のLTRO

ユーロ圏債務危機の悪化により、ECBは2011年12月と2012年2月の2度に渡り、合計1兆ユーロ規模のリファイナンスオペを実施し、マーケットに資金供給をしました。本来であれば、ユーロ圏の市中銀行はそこで入手した資金を使い、企業や個人向けの融資を充実させるため、経済回復のきっかけとなるはずでした。しかし、いざ蓋を開けると、ヨーロッパの銀行はLTROを通じて1%の固定金利で入手した資金を自国の国債購入にあて、金利差の利ざやを稼ぐという手段に出ました。ただし、この行動には良い側面もあり、彼らが国債購入に動いたおかげで各国の長期金利は低下したため、それらの国の政府借り入れ金利も低下し、一石二鳥の効果を生んだとも言われています。

今回のTLTRO

私の理解が間違っていなければ、TLTROは民間企業向けの貸し出し促進策という位置づけであり、2012年8月に英中銀が実施したFunding for Lending Scheme(FLS 融資促進のための資金調達スキーム)と似た措置となっています。具体的な内容を見ると、オペは2段階に分かれており、オペ実施後24ヶ月経由後は前倒し返済が可能となります。

@ 第1段階 (2014年9月と12月の2回実施)

2014年4月30日時点のユーロ圏の民間非金融部門への貸し出し残高から、家計向け住宅ローンを除いた額の7%相当を上限として借り入れが可能となる。当初予定総額は、4,000億ユーロ。

A 第2段階 (2015年3月〜2016年6月)

上記期間に四半期ごとに実施。オペ対象金融機関は、ユーロ圏の民間非金融部門への純貸出から、家計向け住宅ローンを除いた額の最大3倍までの追加調達が可能。

ここで問題となるのは、第1段階で4,000億ユーロ規模の貸し出しが可能となりますが、実際にヨーロッパの銀行による利用額がどこまで伸びるのか? 企業、特に中小企業貸し出しが本格的に活性化されるのか?が注目されます。

条件なし2年物LTRO

ECBは、上記の最長4年のTLTROに加え、使用目的に条件を付けない【2年物LTRO】も同時に発表しました。企業貸し出しに特化する気がない銀行や、他の使用目的で資金を引っ張ってきたい場合、0.25%という固定金利で2年間借り入れが可能となります。ECBの発表を聞く限り、特に金額も設定していないため、2011年〜12年にかけて実施した前回のLTROと同じ目的、つまり長期金利の高い南欧州各国の国債を買い、金利差の利ざやを稼ぐという行為が繰り返されるのではないか?と私は考えています。

SMP(証券市場プログラム)不胎化の停止

このコラムでも何度も紹介しましたが、ギリシャに端を発した欧州債務危機の解決手段のひとつとして、ECBは2010年春にギリシャやポルトガルなどの国債購入を通じて長期金利の低下をはかり、加盟国政府の借り入れ負担を和らげる行動に出ました。これをSMP(証券市場プログラム)と呼びます。

SMPは、加盟国の長期金利低下に加え、ECBが流通市場で国債を購入した資金が市場に流れるため、流動性を高めるという利点もありました。しかし、ECBはその資金を市場に残しておくとインフレを誘発するきっかけになると判断し、全ての資金を吸収する【不胎化オペレーション】をずっと継続しています。

具体的なオペ内容は、1週間物預金入札と呼ばれ、7日で満期を迎える預金を毎週火曜日にロールオーバーし、そのたびに欧州の市中銀行が余剰資金を入札を通じて預金するという形をとっています。

昨年12月に3週間連続不胎化失敗という異例の事態となって以来、今年に入ってからも不胎化失敗を繰り返しており、ある意味‘’SMP不胎化停止‘’は既に始まっていると言っても過言ではありません。とりあえず今回の正式停止を受け、約1,645億ユーロの資金が市場に戻ってくることになります。

固定金利供給オペの延長

流動性供給強化策の一端として、固定金利・金額無制限の1週間物と3ヶ月物の資金供給オペの実施期間を 、当初の2015 年半ばから、少なくとも2016年12月まで延長することに決定。

QE(量的緩和策)導入に向けた準備

これは非常に微妙な決定でした... ABS(資産担保証券)買い切りオペ(QE=量的緩和策)導入に向け、規制見直しをする時間が必要となり、その準備期間に入ったようです。言い方をかえれば、詳細は未定となっているだけでなく、最終的にQEが導入されるのか?についても、今のところ不明。ただし、ドラギ総裁は「We are not finished これで終わったわけではない」と付け加えているため、将来のQE策導入の可能性はまだまだ残っていると私達は理解しています。ちなみに、大手の米欧系金融機関は、「ECBが最終的にQE策の導入に踏み切る可能性」を、15〜40%としているようです。

個人的には、今後インフレ率が大幅に悪化するような局面では、ABS購入によるQE策導入という選択肢が現実味を帯びてこざるを得ないと読んでいます。

まとめ

ドラギ総裁は記者会見で、「実務上、(政策金利は)下限に達した」と発言しているため、ECBによる利下げは今回で打ち止めになる可能性が高いと考えられます。万が一、今後発表されるインフレ率が遅々として改善しない場合でも、早急に追加利下げを実施するのではなく、「6月の理事会で発表した多岐にわたる追加緩和策の影響を見極める」というスタンスを取ると、私は考えています。

果たして、今回のマイナス金利は《アナウンス効果》を狙ったものなのか? 英中銀が導入を見送ったように、欧州の市中銀行は(マイナス金利分の)コストを企業の貸し出し金利に上乗せするのか?など、未知数の部分が非常に多いこともあり、ユーロは動きづらい局面に入った可能性もあるでしょう。中長期的には、マイナス金利の効果がじわりじわりと浸透してくるという前提でユーロは下落方向で見るとしても、短期的には1.35台を割り1.33台方向へ急落するイメージがどうしてもつかめません。

ユーロがサポートされるであろうと考えられる他の理由は、ユーロ圏が経常黒字であることに加え、今年に入ってからのボラティリティーの低下を受け、機関投資家は引き続きスペインやイタリアなどユーロ周縁国の国債や欧州株の購入などを手がけてくる可能性は高く、それがユーロサポート要因になることも考えています。

今年11月に予定されているECBの銀行監督一元化に先駆け、欧州の金融機関の資産査定(AQR)とストレステストが現在進行中です。そのため、今回新しく導入されたTLTROや条件なしの2年物LTROの資金需要が増えるのであれば、資産査定を終了する秋以降になるかもしれません。その時期になれば、米国のテーパリングも終了しているでしょうから、純粋にドル買い・ユーロ売りという動きが出てくる条件が整います。ひとつだけ言えることは、今回の決定がもっともっと前に発表されていたのなら、ユーロは100〜200ポイントほど下落したと思いますが、やはり決定が遅すぎマーケットが先に先にと緩和策を織り込みすぎた結果、もう下がるに下がれないのかもしれません。

どうしてもユーロを売りたい方は、ユーロをファンディング通貨として、RUBやTRYなど高金利通貨を買うキャリー取引をする方が賢明かもしれません。

 

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