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金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

アジア通貨危機を振り返って

更新日:2013年8月23日

私事で恐縮ですが、英国政府とブリティッシュ・カウンシルが年に2回募集する『イギリス人大学生のための海外プログラム』にうちの娘の参加が決まり、この週末にインドへ向けて旅発ちます。この旅行のために、最近インド・ルピーの両替をしたのですが、物凄くルピーが安くなっていて驚いてしまいました。もちろん毎日のように入ってくるアジア株式市場下落のニュースや、アジア通貨が連日売られているのもニュースを読んで知っていましたが、ここまで通貨安になっていたとは...

今週に入ってから、改めてアジア関連の報道を読み返してみたら、現在アジアで起きている株安・通貨安を【アジア通貨危機の再来】という見出しをつけている報道がありました。1997年から1998年にかけて起きた【アジア通貨危機】、その当時私はロンドンのある米投資銀行で働いていました。本日はその当時の模様、今だから言える‘’ヘッジファンドによる恐怖の体験‘’、そして現在のアジアでの動きが、果たして通貨危機と呼ぶべきものなのか?について、書いてみたいと思います。

インド・ルピーの急落

過去2年間、対ドルで45%下落したルピー。このチャートは、インド準備銀行(インドの中央銀行)のウェブサイトで毎日更新されるドル/ルピーのレートをエクセルに載せ、自分で作った今年1月からの値動きです。5月22日バーナンキFRB議長が最初のTapering(QE3規模縮小)の可能性を示唆して以来、ルピーの下落が加速しているのがわかりますね。

5月に続いて、ルピー安が加速したのが、今月に入ってからで、月初からの3週間で5%下落。当然、インド準備銀行はルピーの下落を防ぐために、通貨市場でドル売り/ルピー買い介入を実施していますが、下落は止まりません。

アジア通貨危機を振り返って

当時の記憶を呼び起こしてみたのですが、アジア通貨危機の被害を最も受けたのは、タイとインドネシアだったと記憶しています。香港と韓国も被害は大きかったです。それに比べると、中国や台湾はあまり影響なかったはずです。

これは、1986年〜2008年にかけてのアジア各国の通貨の強弱を表したチャート。それぞれの通貨の【1997年の対ドル・レートを100】とし、強弱を表しました。これを見る限り、1997年に各通貨が同時に急落した後、韓国やタイなどはかなり回復したのがわかります。

通貨危機を受け、当然の結果として、これらの国のGDPは大きく悪化しました。タイやインドネシアでは、それまでは毎年平均7〜9%台で推移していたものが、一気にマイナス成長へと追い込まれたのが、これでわかります。

タイの場合

アジア通貨危機が起きるまでずっと、高金利を魅力に海外からの資本流入で潤っていたタイをはじめとする南アジア各国。1996年にクリントン米大統領再選が決まり、その年だけでも米株式指数は26%も上昇。当時のグリーンスパンFRB議長は、「根拠なき熱狂 (irrational exuberance)」という台詞を使い、米株式指数レベルに疑問を提示したのが有名です。この資産価値の上昇がインフレ懸念を引き起こし、FRBは1997年3月に政策金利を0.25%アップ、それがアジア通貨危機のきっかけとなったとも言われています。

米国の金利上げがどうしてアジア通貨危機を引き起こすのか?ですが、米国の金利や株式上昇に魅力を感じた投資家達は、危なっかしく見えてきたアジア地域から、いっせいに資金を引き上げ米国へ資金移動。そのお陰でアジア通貨安が加速。更に悪いことに、当時これらの国は自国通貨をドルに連動させる【ドルペッグ制】をとっていたため、ドル高は自国通貨安に直結してしまいました。つまり投資家達による資金引き揚げが続き、結果として通貨安は止まらなくなったことに加え、その資金がドルへ還流してしまったため、ドル高による自国通貨安にも拍車がかかってしまった訳です。

タイの場合も同様で、自国通貨安を食い止めるために、ドル売り/自国通貨買いの介入を連日実施しました。しかし、この介入は中央銀行が保有する外貨準備のドルを使って売るため、外貨準備高がぐんぐん減ってしまい、長続きはしませんでした。中央銀行は、介入だけでは足りず、政策金利を上げて対抗しましたが、高金利は国内経済を直撃し、GDPは一気にマイナスへ。この責任を取る形で、当時の財務大臣は辞任。

それでも当時の首相は「通貨切り下げは、絶対にしない!」と宣言したため、投機色の強いヘッジファンド達が一気に通貨切り下げ合戦に加わり、翌月の1997年7月、タイは管理フロート制へと移行し、ずっと25でペグしていたバーツは、1998年1月には56まで下落し、驚異的な通貨切り下げに追い込まれました。1997年はタイ株式指数も75%下落しています。

インドネシアの場合

この国は、タイとは違い、貿易黒字国であるだけでなく、外貨準備高も豊富であったため、通貨危機とは無縁の国と思われていました。

しかし、1997年7月にタイがドルペッグ制を撤廃したのと同時に、インドネシア中央銀行は「対ドルのドルペッグ制の変動幅を、従来の8%から12%へ拡大する」と発表。この発表をきっかけに、ルピア安が加速。結局、通貨安が止まらず、翌月には変動相場制への移行を余儀なくされました。

ドルに対するドルペッグ制を導入していたお陰で、自国通貨がずっと安定していた国ですから、同国の企業は伝統的にドル建てで借り入れをしていました。しかし変動相場制に移行した途端、ドルに対してルピアの価値がどんどん切り下がってしまい、通貨危機前2600だったドル/ルピアは、変動相場制に移行してわずか5ヶ月後に14000までルピア安が加速。このため、企業の財務内容が悪化し、その影響で同国の株式市場は急落に次ぐ、急落を遂げました。これを懸念した格付け大手:ムーディーズは、インドネシアの格付けをジャンク債扱いにまで下げています。

当時のスハルト大統領は、これら一連の動きの責任を取る意味で、インドネシア中央銀行総裁を解雇しましたが、その3ヵ月後の1998年5月、とうとう国民の怒りが収まらず、スハルト大統領自身が辞任に追い込まれています。この年のインドネシアのGDPは、-13.5%。

香港の場合

香港も他のアジア諸国同様、ドルに対するドルペッグ制を導入していました。アジア通貨危機がどんどん悪化する1997年7月1日に、香港はイギリスから中華人民共和国へ返還されました。この返還から3ヵ月後の10月には、株式指数が23%という急落をし、ドルペッグ制で守られていた香港ドルも急落を余儀なくされました。しかし香港の中央銀行である香港金融管理局( HKMA Hong Kong Monetary Authority)はドルペッグ制の維持を最優先課題として、介入をしまくっていたのを強烈に覚えています。

HKMAも他のアジア諸国の中央銀行同様、通貨防衛のために高金利誘導をしました。このチャートの黒い実線が、当時(1997年10月〜12月)の3ヶ月物香港ドルの銀行間取引金利 (HIBOR) を表していますが、一時的に25%近くまで高騰していますね。

しかし金利高騰の結果、香港株が大きく崩れ、HKMAは株式市場での買い支え介入を余儀なくされただけでなく、住宅市場も一気に冷え込みました。

香港ドルのペグ撤廃をめぐる攻防

通貨危機が起こった当時、香港は1ドルに対して7.80香港ドルというドルペッグ制をとっていました。その頃、私はロンドンのある米系投資銀行のディーリング・ルームで働いていたのですが、そこで物凄い事件に遭遇しました。

タイがドルペッグ制を撤廃してからというもの、「次はどの国がドルペッグ制を撤廃するのか?」が話題になっていました。当然、ヘッジファンド連中は、次の獲物探しに繰り出してきますので、香港が餌食にされるのは時間の問題。

その日は、いつになくマーケットが静かだったことを覚えています。その静寂を破るかのように、あるヘッジファンドのホットラインが鳴り、担当のセールス・ディーラーが電話を取りました。そして一言、「とにかくマーケットで売れるだけ香港ドルを売ってくれ!」

それを聞いた途端、「あ!とうとう、香港ドルのドルペッグ制、崩壊かな?」ということが頭に浮かびました。

銀行のディーリング・ルームで働くには、守秘義務を徹底することを強制されます。ですので、私達が香港ドルを必死で売っていることは、本来であれば他の銀行に知られるはずはないのです。しかし、そこですかさずドイツの中銀であるドイツ連銀から電話が入りました。用件は、「香港ドルを売ってる銀行があるというけれど、これはどういう意図からですか?」というような内容だったと記憶しています。ドイツ人のセールス・ディーラーが顔をみんなの方に向けながら話しているのですが、ディーリング・ルームにいる全員が彼に向かって「俺達がやってること、話すんじゃないぞ。守秘義務だからな。言ったら首だからな」という意味で、手のひらで首を切るしぐさをしていました。

その直後に、今度は、香港の中央銀行であるHKMAから直接電話が来たのです。当たり前ですが、HKMAは毎日必死で香港ドル買い介入をし、ペグを守っているのに、私達が死に物狂いで香港ドルを売っていたので、それを嗅ぎ付けてきたのでしょう。

この電話が来た頃には、かなりの量の香港ドルを売っていたので、ヘッジファンドのお客さんは上機嫌です。問題はうちの銀行が抱えたポジションでした。当時は朝銀行に着いた途端、‘’アジア時間の間に、どこそこの国のドルペッグ制が撤廃され、変動相場制に移っていた‘’ などというのは当たり前の時代でしたから、手元に抱えたポジションを手遅れにならないよう一刻も早く処理しなければなりません。

そこで大問題が起きてしまったのです。つい先ほど電話をしてきた怒り心頭のHKMAが、何の前触れもなく『香港ドルの為替市場を一時的に閉鎖する』と発表したのです。ディーラーの一人が、「お〜い、HKMAが市場閉鎖したってロイターに出てるぞ!」と叫んだのがきっかけで、もうディーリング・ルーム中が蜂の巣を突っついたような騒ぎになりました。

さすがにこの騒ぎで、ディーリング・ルームのヘッドも自分の部屋から出てきました。この当時のヘッドというのが、現在のニュージーランドの首相であるジョン・キーさんです。普段は絶対に動揺を見せないジョンも、この時だけは揺れていましたね。

このニュースを知った途端、私達のような末端の人間は違う意味で茫然自失です。その理由は、「今回のトレードで損失が出た場合、私達の来年のボーナスは減額になるのか?」が心配になるからです...

まぁ、今考えれば、ある国のドルペッグ制を破ろうとするからには、それを仕掛けたヘッジファンド自身も命がけでしょう。それをよく覚えているので、今でもどこかの大手ヘッジファンドが株式市場や通貨市場で命がけとも思える仕掛けをしてきたことを耳にするたびに、この時の状況が思い浮かばれ、「彼ら、本気だろうな、今度も...」と自分を戒めている私です。

今回の新興国危機

最後になりますが、1997〜98年のアジア危機と、今回の危機を比較してみると、

相違点

1)1990年代は、アジア地域に限定されていた (アジア危機)
2)今回は、ブラジルやトルコといった広域にまで渡っている (新興国危機)
3)1990年代とは違い、ドルペッグ制を撤廃するという大義名分がない
4)主に経常赤字国が標的にされている
(ブラジル、トルコ、インド、インドネシア、南アフリカなど)
5)ただし、財政収支は先進国と比較した場合、一般的に健全である
6)新興国の対外債務は対GDP比で減少
7)過去の教訓を得て、現在は通貨スワップ体制など安全網が構築されている
8)新興国は潤沢な外貨準備を有している

類似点

1) 米国の金融引き締め観測 (今回はQE3規模縮小観測) により、資金が米国へ回帰
2) 日本の消費税増税の可能性
3) 危機が発覚する前までは、アジアの他の国(1990年代は日本、今回は中国)が域内の経済の牽引役となっていた

数からすると、相違点の方が圧倒的に多いのですが、類似点の内容が偶然とは言え1997年当時と酷似している点が気になりました。

1997年3月、FEDは2年間の利下げサイクルの後、主要政策金利であるFFレートを、5.25%から5.50%へ利上げした途端、アジア通貨危機が悪化しました。今回も、文頭で申し上げたように、5月にバーナンキ議長がQE3規模縮小を示唆した時点から、アジア地域だけでなく新興国全体にばら撒かれていたリスク・マネーが引き揚げられ、米国へ還流していきました。

冷静に考えれば、2008年秋のリーマン・ショック後、米国をはじめとする先進諸国は、我先にと大胆な金融緩和策を採りました。そのお陰で、先進国通貨は総じて安くなり、投資マネーは新興国などに流れていったのです。ところが、今年に入ってからは、米国のQE3縮小期待や欧州や英国の景況感の改善により、そのお金が逆流を始めたということでしょう。

日本の消費税上げに関しては、1997年3月にFEDが利上げした翌月に、当時の橋本政権が消費税を3%から5%へ上げています。今回も偶然としかいいようがありませんが、安部内閣は、5%から8%へ上げる決定を今年の秋にする予定です。ただし、この消費税上げに関しては、海外の投資家にとって、『安部内閣の消費税上げ』は既成事実化しており、それが実施されるという前提で日経株価の買いや円売りをしてきた経緯があります。ですので、ここでこの計画を中止するというアナウンスをした場合、一気に日経の投げや、それにつられた円高相場突入ということにもなりかねません。

最後になりますが、経常赤字国の狙い撃ちという点も気になっています。今年に入ってから資金が流出していった国の経常赤字対GDP比を調べてみると、ブラジル 2.4%、トルコ 6.8%、南アフリカ 6.4%、インド 5%となっています。しかし、先進国でも特に資源国通貨と言われる国々での経常赤字対GDP比は新興国のものとあまり差がありません。例を挙げますと、オーストラリア 5.5%、ニュージーランド 5.8%、カナダ 3.5% (いずれもIMF −国際通貨基金 - の試算)となっています。

つまり更に商品市場の低迷や急落が引き起こされれば、新興国だけでなく資源国通貨を持つ国からの資金流出のリスクも考えなければならなくなるでしょう。

総合すると、1997年にアジア通貨危機が発覚した時のドル円は、だいたい120円台でした。それが翌年の夏には140円台まで円安が加速しています。今回の新興国危機がアジア危機と同じレベルまで悪化するとは思えませんが、金利先高観が出てくるドルに対して円を売るという取引が一番安全であるように感じます。

ユーロ圏に関しては、景況感の改善は嬉しいですが、まだそれにインフレ懸念がついて来ないため、金利先高観は出てきていません。その逆に、2011年12月と2012年2月に実施された総額1兆ユーロ規模の3年物LTROの前倒し返済がすすんでいるため、市場の流動性がタイトとなってきており、欧州中銀はもう一度3年物LTROを再導入し流動性を調整するのではないか?という憶測も出ているくらいです。それを考えると、やはり素直にドル円での買いが安全であるように感じてなりません。

 

松崎美子

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