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金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

OMTに関するドイツ憲法裁での公聴会

更新日:2013年6月14日

日本ではあまり報道されておりませんが、今週のヨーロッパ市場で注目を集めたのが、ドイツ憲法裁での公聴会でした。

3年以上続いたユーロ圏債務危機の悪化や他の加盟国への飛び火を食い止めるため、昨年秋に欧州中銀(ECB)が発表した非標準的措置のひとつである「新たな国債購入計画」(OMT:Outright Monetary Transactions)。この発表の1ヶ月前、ドラギ総裁はロンドンで講演をし、「ECBはユーロの存続のために必要ないかなる措置も取る用意がある。Believe me!」と宣言したことで話題を呼びました。OMTは、ユーロ加盟国の中でも南欧州、特にスペインとイタリアの国債利回り低下を念頭に置いたものと言われていますが、未だにどの国もOMTによる救済を受けたことは、ありません。

ドイツ憲法裁での動き

昨年9月、ドイツ憲法裁は一定の条件付きで「ユーロ圏の恒久的救済基金であるESM(欧州安定メカニズム)と、財政協定の批准を認める」という合憲判決を下しました。ここでいう「一定の条件」とは、加盟国救済のための資金が不足し、今後ドイツからESMへの負担金を積み増す必要が生じた場合、議会の承認を得る必要があるというものとなり、議会に将来の負担増に対する拒否権を与える形となりました。

そして今週の6月11・12日の2日間に渡り、今度はOMTの合憲性について審理を開き、承認するかどうか判断する運びとなっています。

本来であれば、判決は公聴会後数週間で言い渡されるのが常のようですが、9月に独連邦議会選挙(総選挙)を控えているため、判決は選挙後になるという見方が一般的です。

この公聴会には、ショイブレ財務相、ドイツ連銀のバイトマン総裁、アスムセンECB理事という豪華メンバーが出席し証言を求められています。特に今回の公聴会では、OMTの合憲性を巡り、バイトマン総裁とアスムセン理事が真っ向から対決することになったため、否が応でも欧州では注目度が高まりました。

OMTの合憲性に関する判断材料

今回の公聴会で、憲法裁はどのような点に注意し、判決を下すのでしょうか?

  • ドイツ憲法によりユーロ使用を認めた際の決定条件に、OMTの主旨が当てはまるのか?
  • ECBが実際にOMTを開始した場合、ドイツ連銀法で定められた責務範囲内(他の国の財政支援をしない)での内容となるのか? 
  • ECBに対する出資額が一番大きいドイツ連銀の独立性を脅かす材料とならないのか?
  • OMTは、ドイツ憲法で禁止されている財政政策に関する条件を超える動きとならないのか?

OMT反対派 対 賛成派

今回の公聴会で、憲法裁はどのような点に注意し、判決を下すのでしょうか?

バイトマン連銀総裁 : OMT反対派

バイトマン総裁は、ドイツ連銀の立場を代表し意見を述べることになります。今回の公聴会に向けて事前に用意された書類によると、連銀の反対理由として下記になります。

  • (ギリシャ危機が悪化した時に、ユーロ崩壊説が市場を駆け巡ったが)欧州通貨同盟の維持/継続させることは、ECBの責務では、ない
  • OMTでは1〜3年物国債の購入を約束しているが、果たして短期債のみに限定した国債購入が、有効な手段となり得るのか?
  • 債務超過国の財政政策を救済するということは、ECBの責務を完全に超えている
  • 債務超過国の国債購入によるECB/加盟国中央銀行のバランスシートの劣化 

アスムセンECB理事 : OMT賛成派

アスムセン理事は、ECBの立場を代表して意見を述べることになります。

  • ユーロ加盟国、特に南欧州各国の長期金利上昇が過度になった場合、ユーロ崩壊のリスクが生じる。
  • 崩壊リスクを最小限に食い止め、金融市場の安定を維持することはECBの責務の範囲内である。
  • OMTの対象国はユーロ加盟17ヶ国に限定され、発動された場合の条件順守はトロイカ調査団の監視のもとに行われる。
  • OMTの対象となる国債残存年数は1〜3年物に絞られているため、『無制限購入』には値しないだけでなく、ECBの購入は流通市場のみとなるため、加盟国の財政に対する‘’直接支援‘’とはならない。

公聴会での主要メンバーの反応

・メルケル首相

公聴会には出席しておりませんが、初日の開催時間直前に、メルケル首相は、「OMTはユーロ圏の安定のために貢献している」と、OMT賛成派とも取れる発言をしています。

・ショイブレ財務相

初日のみ出席したショイブレ財務相は、「ECBがOMTを通じてやろうとしていることは、責務の範囲内であると信じている。少なくとも、それが現在のドイツ政府の見解である。我々はECBの独立性を尊重すべきである。」と発言し、かなりOMT賛成派に寄った発言をしました。同財務相はさらに、「もし憲法裁が違憲判決を下した場合、ドイツがユーロ圏から離脱を迫られるという覚悟をしなければならない。」とも警告。

しかし時間が経つにつれて、同財務相の発言内容が慎重になり、「OMTを通じて国債購入の支援を受けた国は、構造改革などの条件を順守しなければならない。そして、これが一番大事な点だが、OMTはまだ実際に行われた実績がない。私やドイツ政府が持っているOMTに対する見解は、あくまでも‘ドラギECB総裁が語った内容に基づいたもの’となっている点を強調したい。」とトーンダウンしました。

・アスムセンECB理事

「OMTで購入した加盟国の国債は、時期が来れば売却する。つまりOMTは国債の購入だけでなく、売却も含まれる。」「OMTはユーロ圏の安定を提供しており、ECBの責務の範囲での内容となっている。ただし、OMTの法的見解を証明する手続きを、ECBは未だに取っていないし、その必要性も今のところない。とりあえず、加盟国が実際にOMTを通じた救済を要請してくる場合、それに先駆けて作成されなければならないことは理解している。」と語っています。欧州でもOMTが市場に安心感を与えている点は認めているものの、『OMTの法的立場』が未だにはっきり設定されておらず、特に加盟国の国債購入に動いた場合、その規模に法的制限が設けられるのかどうか?をはっきりして欲しいと思っています。ドラギECB総裁の毎月の定例理事会でも、記者団から「一体いつになったら、OMTの法的枠組みがはっきりするのか?」という質問が出てくるのですが、それに対してもドラギ総裁は「近いうちに発表する。」と語るに留まっています。

・バイトマン・ドイツ連銀総裁

「OMTを通じて自国の国債を購入してもらえる加盟国政府は、それに甘んじてしまい、構造改革などの着手を遅らせる危険性がある。それは最終的にECBの信用性を傷つける結果になりかねない。」「昨年秋にOMTを発表して以来、加盟国の長期金利が低下し、市場に安定が戻ってきた点は認めるが、それが原因で加盟国政府が財政再建に真剣に取り組むことを遅らせる要因となっている。本当の意味での長期金利低下・安定した財政基盤というものは、加盟各国の財政政策に向けた努力によってのみ得られるものであり、ECBによる救済に依存すべきではない。」「OMTで損失が発生した場合、それをかぶるのはドイツ政府であり、最終的には納税者負担となる。これ(他国の財政赤字をドイツがファイナンスすること)はドイツ憲法で禁止されている。」「ECBがOMTをはじめてしまったら、次から次へと購入を継続することになり、自分で自分の首を絞めることになりかねない。」と発言しています。

ドイツ憲法裁の判決予想

1) 合憲判決

独憲法裁は、OMTはEU法に基づいた内容となっており、違憲性はないと判断。欧州司法裁判所(ECJ)も同様の判決を下す可能性もある。

考えられる反応:

これが現実に起こりうる可能性は、かなり低いと見られています。 その理由は、 
1)昨年9月のESMに関する判決では、‘条件付きで合憲’という結果となった  
2)OMTは『ドイツ連銀がECBを通じて加盟国の財政支援をする』と受け取れる行為となるため、そう簡単に合憲判決を下すとは考えにくいとされています。

2) 欧州司法裁判所(ECJ)へ判決を仰ぐ

独憲法裁ではドイツ憲法にのっとった形での判決を出さず、最終的な判断をECJへ仰ぐ可能性があります。ただし、独憲法裁からは、「OMTが実際に行われた場合、ドイツ憲法に違反する行為となる可能性が高まるだけではなく、ECBの責務を超える行為にもなり得る。」という独自の考え方を披露し、その上でECJに最終判決を仰ぐことになるという見方が一般的のようです。

考えられる反応:

ECJに最終的な判決を仰ぐとしても、ドイツ政府は憲法裁の警告を尊重する姿勢を貫く可能性が高いと思います。ECBへの最大の出資国であるドイツで、これだけ政治的な対立を起こしたという事実を重視し、ECJも一方的にECBを擁護するような判決を出しづらいかもしれません。

独憲法裁のユーロ専門家判事であるFabio氏は、「OMTが実施されれば、救済を要請した加盟国の借り入れ金利が低下するため、自国に義務付けられている財政規律を順守する責任を放棄し、結果としてECBがその国の財政を救済したことになってしまうかもしれない。それはECBが法的に定められている責務を超える行為とみなされると判断し、ドイツ政府は欧州委員会や司法裁判所に対し控訴することは避けられない。」という見解を示しています。

3) 違憲判決

違憲判決となって、将来ECBがOMTを実施する場合、ドイツ連銀はそれに参加しないことを意味するだけでなく、ユーロという通貨同盟自身からも半分身を引いた形となってしまう危険性が高まります。

考えられる反応:

ドイツがすぐさま、ユーロから離脱することはないでしょうが、他のユーロ加盟国に対しドイツ主導で、OMTも含む現在の危機救済措置の見直しを迫ることになることは間違いなしと見られています。

それと並行して、ドイツ憲法の改正ということも課題として取り上げられるかもしれません。

これはたぶんあり得ないことでしょうが、それらのどれもが失敗に終われば、ドイツのユーロ圏離脱という選択肢も出てきます。どの選択をとっても、ドイツだけでなくユーロ圏に与える打撃が高すぎるため、このシナリオが起こる可能性はかなり低いと予想されています。

4) 条件付きの合憲判決

『OMTは、ドイツ憲法の枠組みからは外れていない』としながらも、「ドイツ政府の見解としては、独連銀は他の加盟国の財政支援に過度に関わらない方針を貫く」などの条件をつけることも考えられます。

考えられる反応:

ドイツ連銀がどこまでOMTに関与してもよいのか? またはECBやユーロ・グループの決定に、どこまでドイツ連銀が関わってよいのか?などについて、具体的な条件をつけてくる可能性があります。

さらに、憲法裁はECBに対し、OMTによる支援条件・金額などの詳細について、もっと情報開示を求めることも考えられます。OMTに関する情報が明らかになればなるほど、ドイツ連銀がOMTに参加した場合のリスクや、その行為が責務範囲内であるか?について、より厳密な判断が下せるからです。

憲法裁の権限

独憲法裁はECBに対し「ああしろ、こうしろ」と命令を出す権限、つまりECBの責務を制限する権限は、持ち合わせていません。ただし、今後ECBがOMTを通じて、スペインやイタリアの国債を大量に購入し続けるような状況になった場合、ドイツ連銀がOMTに参加することを禁止させる権限を持っています。それに加え、ドイツ政府に命じて、ECBの責務を変更する必要があると要求する権限も持ち合わせています。

ECBに対する最大の出資国であるドイツにしてみれば、既にギリシャやポルトガルに対する金融支援を通じてドイツの納税者に多大な負担を強いただけに、今度はOMTを通じて、新たな納税者負担を強いることだけは避けたいはずです。

まとめ

ギリシャ、ポルトガル、アイルランドと過去3年に渡り債務危機が拡大したにもかかわらず、今年になってからユーロ圏が平穏でいられるのも、OMTのお陰であると言っても過言ではないでしょう。

そうは言いつつも、OMT反対派の意見にも一理あるな!と思える点もあります。米国連邦準備理事会(FRB)のように、「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つの責務を持つ中央銀行とは違い、ECBの責務はあくまでも「物価の安定」の維持に絞られています。それを考慮した場合、加盟国の財政支援とも受け止められかねないOMTをECBが実施しなければならない責任は、責務の変更がない限りありません。今回の判決でOMTが違憲とみなされ、それが原因でユーロ崩壊の危険性が高まるのであれば、ECBの責務そのものを変更する必要があるということになります。もしその変更がなされなければ、最終的にはドイツのユーロ離脱にも繋がりかねないでしょう。個人的には、ドイツがユーロから出るという選択はあり得ないと信じていましたが、そもそもESMやOMTの合憲性について憲法裁の判決を求めるというお国柄である以上、何が起きてもそれを受け入れる柔軟性は持ち合わせるべきかもしれません。

今週の相場展開

先週後半から為替相場がかなり神経質な動きになっています。先週金曜日の米雇用統計発表を受け、一時的に95円を割ったドル円ですが、私はそのまま一直線に92円台へ下がると思っていました。しかしその予想を見事に裏切り、ドル円はグングン値を戻してしまったのです。

私は毎週末に翌週の相場展開を考えるのですが、どうしても95円を割ったドル円の戻しには納得が行かなかったので、『最大100円ミドルまでの調整を覚悟しつつも、そこからあらためて下落基調となり、少なくとも4月4日に黒田日銀総裁が異次元緩和を発表した時のレベルである92〜93円台までの下落をやるのではないか?』 という予想を立て直しました。ですので、今週の下げを見て、ある意味ホッと安心しているところです。

今週のドル円の下げの要因を調べてみると、日銀金融政策会合では現状維持が発表される ⇒ 長期金利安定化に向けた追加緩和策がなかった ⇒ 決定内容が不十分であり失望 ⇒ 投資家達が保有していた株・債券・ドルを売った結果、ポジション調整が加速 ⇒ 今まで買われていた主要国の国債利回り/長期金利上昇となっています。

今年に入ってから順調に利回りを下げていたギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの国債利回りも、この動きを受けて急上昇(=国債価格急落)しているだけでなく、米10年物国債利回り(米長期金利)も急騰しています。米長期金利は過去2年間に於ける最高値が2.4%となっており、既にそのレベルに接近してきているのが非常に気になってもいます。

過去の相場ですと、『米長期金利上昇=ドル高=ドル円も上昇』という非常に判りやすい相関性を描いていましたが、4月4日に黒田日銀総裁が異次元緩和策を発表して以来、その相関性は崩れており、現在までのところ『逆相関』(米長期金利上昇=ドル円下落)という動きに変わってきています。つまり今後も逆相関性が継続した場合、米長期金利が上がれば上がるほど、ドル円は下がることになってしまいます。ただし、目を日経平均株価に移した場合、日経とドル円は相関性が強いため、その関係が継続する限り、日経平均が下げ止まれば、ドル円も下げ止まる方向へ行くことも考えられます。

いずれにせよ、しばらく神経質な相場展開になることが考えられますので、思い込みを捨て、株価や債券市場の動きを睨みながら、臨機応変に対応するよう心がけましょう。

 

松崎美子

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