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金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

欧州中銀、マイナス金利導入について

更新日:2013年5月10日

先週木曜日、欧州中銀(ECB)金融政策理事会で政策金利カットの発表がありました。そして、その後行われた定例記者会見でドラギ総裁は、「マイナス金利導入の可能性」について言及し、ユーロは対ドルで100ポイントを越す下落、ユーロ円では瞬間的に2円の円高/ユーロ安を引き起こしました。

ECBからの発表

長引くリセッションの影響で、ユーロ圏加盟国、特に南欧州各国では高失業率が大きな社会問題となっています。そして今年に入ってからは、コアである北欧州加盟国の景況感も低迷してきたことを受け、今月のECB理事会では利下げに対する期待感が高まっていました。

そして先週木曜日、ECBはその期待に答える形で、いくつかの発表をしています。

政策金利の変更

主要金利: Refi金利   0.25%カット (0.75% ⇒ 0.50%へ)
デポジット(預金)口座金利 0%据え置き
上限金利の限界貸出金利: Marginal lending rate  0.50%カット (1.50% ⇒ 1.00%へ)  を発表しました。

コリドー幅の縮小

ECBは“コリドー”と呼ばれる上下限金利の幅 (限界貸出金利からデポジット金利を差し引いた差) を、ずっと150bpsで維持していました。しかし今回の発表をもって、このコリドー幅が100bpsに縮小。

資金供給オペの運営方針

通常、6ヶ月先までの方針を発表しますが、今回は非常時の対応という前提で、無制限・固定金利両方の資金供給オペを、少なくとも2014年7月まで継続することを発表。

中小企業貸し出しについて

非金融機関向け融資を担保とした資産担保証券 (ABS Asset-backed Securities)の促進を目指し、正式に検討に入ると発表。

ドラギ総裁記者会見

今回のドラギ総裁記者会見で、市場の反応が一番高かったのは、マイナス金利導入に対する前向き発言だったのではないでしょうか?

この「マイナス金利導入」発言に関しては、ドラギ総裁自身、何度も意見を変えています。まず昨年12月の記者会見で、はじめて「マイナス金利導入は技術的に可能」と発言し、ユーロは急落。しかし今年3月の記者会見では、伊総選挙後の政治空白の長期化が心配されているにもかかわらず、「マイナス金利導入には、あまり乗り気ではない。」と発言し、一気にマイナス金利導入の可能性が消滅しました。

しかしあれから2ヶ月経った今月、ドラギ総裁はあらためて「マイナス金利導入」の可能性について語り始めたのです。

マイナス金利導入について

少し難しい話しになってしまい恐縮ですが、中央銀行は金融調整をする上で、いくつかの政策手段を保有しています。代表的なものとしては、1) 公開市場操作 2) 貸出/預金ファシリティ 3) 準備預金制度 となっています。ECBもこの3つ全ての機能を備えています。

1) 公開市場操作

ECBが加盟国の銀行に対して、一定期間に渡り資金の貸し出しをする手段。私達が一番よく耳にするのは、貸出期間が1週間のMRO(Main refinance operation 主要オペ)などです。これらのオペは毎週実施され、各銀行は必要な額をそこから借り入れます。その際には、担保が必要となりますので、各銀行はECBが認めた適格担保と引き換えに資金を借りいれることが出来ます。

2) 貸出/預金ファシリティ

加盟国の各銀行が当座預金の過不足を調整するための手段。貸し出しの場合、限界貸出ファシリティを、預け入れの場合、預金ファシリティを設置しています。もし市中銀行が資金不足に陥った場合、限界貸出ファシリティを通して、限界金利を支払い不足分の資金を調達します。逆に資金に余剰が生じた銀行は、預金ファシリティを通して預金ができます。

3) 準備預金制度

加盟国の銀行は、決められた期間に決められた一定額をECBの当座預金に預け入れることを義務づける制度。つまり一定額の当座預金を期間内にECBから調達しなければならないため、上記1)2)の利用が生じることになります。

さて、ここで大きな問題となるのが、ドラギ総裁が言及した「マイナス金利」導入とは、一体どの金利を指して言っているのか?ということです。

考えられるのは 2)預金ファシリティ 3)準備預金制度の2つです。

預金ファシリティにマイナス金利導入、準備預金制度はゼロ金利のまま

文頭で紹介しました「コリドー」(限界貸出金利からデポジット金利を差し引いた差)幅を変えず、現在の1%を維持するという前提に立った場合、限界貸出金利が切り下がれば、現在0%であるデポジット金利は当然マイナスとなります。

ただし、この場合、市中銀行の余剰資金はマイナス金利の預金ファシリティに向かわず、利率が0%と設定してある準備預金制度の口座へ向かうでしょう。そうなると、万が一預金ファシリティ口座がマイナスとなっても、ECBのマイナス金利政策は市中銀行に対して影響が出ません。

これとほぼ同じことを、スウェーデンの中央銀行(リクス・バンク)が、2009年夏から実行しました。しかしマイナス金利導入後、同国の市中銀行の貸し出しなどが増えた実績はなかったようです。ただし、スウェーデン中銀は特にマイナス金利導入に向けて虎視眈々と機会を狙っていた訳ではなく、ECBと同じく設置されているコリドーのお陰で、政策金利を0.25%引き下げたため、預金ファシリティ金利が自動的にマイナス化しただけのことであると説明していたようです。事実、預金ファシリティ金利がマイナスになった後でも、市場で取引されていたレポ金利はプラスで推移。

本格的なマイナス金利政策の導入

本格的なマイナス金利政策の導入は、預金ファシリティ金利をマイナスに引き下げると共に、準備預金制度の枠組みを「預金ファシリティ金利と預金金利を連動させる」などと変更する場合です。これが決定された場合、ECBが提供する預金口座全てに対しマイナス金利が適用されてしまうため、市中銀行に余剰資金が生じた場合、その資金を保有するコストが発生することになります。

結果として、その余剰資金が企業融資などに向かうという保証がない限り、それは市場に流れ込み、市場金利もマイナス化する可能性が高まります。

これとほぼ同じことを実施したのが、デンマーク中銀です。同国の政策金利はECBの金利に連動しているため、2012年7月にECBが主要政策金利を1%から0.75%へ、デポジット金利を0%へそれぞれ下げた時、デンマークも主要政策金利を0.25%利下げしたため、CD(譲渡 性預金)金利がマイナスになってしまいました。その結果、同国の市中銀行は余剰分の資金に対して、0.2%の金利を支払うこととなり、それを受けた短期市場金利もマイナス圏に突入したという前例があります。

英国でのマイナス金利導入論

話がユーロ圏から逸れますが、2009年にスウェーデンがはじめてマイナス金利を導入した時に、私が住む英国でも「英中銀(BOE)もスウェーデンに倣って、マイナス金利導入に踏み切ったらいかがなものか?」という議論が盛んに行われていたのを覚えています。

当時、BOEが資産買取プログラム(QE)を通じて、大量の資金を市場へ供給したにもかかわらず、融資や貸し出しに活用されていないことに対する批判が高まったことが背景にあったからでした。たしかFT紙だったと記憶していますが、「マイナス金利が導入された場合、準備預金をBOEに預けたら、その銀行は利息をBOEに対して支払わなければならない。そんなことをするくらいなら、銀行は超過分の資金を市中に流すだろうから、その結果英国の景気は活性化するのではないか?」という論調でした。

しかし結果としては、BOEはマイナス金利導入に動きませんでした。たぶん企業融資の促進に向け、マイナス金利導入が解決策にならないと判断したからに違いありません。それに、たとえマイナス金利を嫌って銀行が貸し出しを増やしたとしても、それが将来不良債権化しないとも限りません。その際の損失補てんを英政府が引き受けてくれる保証がない以上、自己資本比率を高める義務を課せられていた銀行としては、矛盾する動きに自ら身を投じる用意がなかったことは明らかです。

ドラギ総裁記者会見後のメディアの反応

FT紙では先週の利下げ後、「ECBの追加金利カット」に懐疑的とも取れる記事を載せています。読んでみた感想としては、

  • ECBのRefi金利と限界貸し出し金利カットは、利下げに対する強いコンセンサスが得られ それに基づいて利下げに動いた
  • 23名のECB理事のうち、1名かそれ以上の理事は、Refi金利のカット幅を0.25%ではなく、0.50%にすべきと主張した
  • 最低でも1名の理事は、利下げそのものに反対した

こういう内容となっています。私も記者会見を聞いていましたが、追加利下げは十分にあり得ると納得できるほど、欧州の先行き景況感に改善の兆しが全く見えない八方塞状態であると感じました。

ただしここで問題となるのは、ただ単に金利を下げたからといって、それが実体経済の押し上げ要因に直結する自信が誰にもないことでしょう。それに加えて、利下げそのものに反対したのが、ドイツのアスムセン理事だという観測が出回っていますが、この方はメルケル首相のブレインですので、問題は複雑です。

メルケル首相は先週、ECBは利上げをすべきと発言しており、アスムセンさんも、利下げ効果を疑問視しているため、今回の利下げに反対したということも十分理解できます。

ドイツは9月に総選挙を控えており、メルケル首相も有権者寄りの発言を繰り返す機会が増えてくるでしょうが、首相が、それもドイツ人が中央銀行の政策に口を挟むという異例の事態が起こるとは、私は全く想像していなかっただけに、この発言の真意が問われます。

ECBマイナス金利導入の可能性が高まった場合

もしECBがマイナス金利を導入するセンチメントが今後高まった場合、為替市場ではどのような反応が起こりうるでしょうか?まず最初に頭に思い浮かぶのは、一番わかりやすいユーロ売りでしょう。

しかし私はユーロ以上に売られる可能性がある通貨として、お隣のスイスを挙げたいと思います。同国では既に市中銀行が一部の預金金利をマイナスにしたり、スイスフラン建て預金から手数料を徴収するという形でのマイナス金利導入を実施しています。しかし中央銀行であるスイス国立銀行(SNB)は、1ユーロ=1.20スイスフランを維持するために無制限に介入する政策を導入したものの、マイナス金利導入には至っておりません。

もしECBがマイナス金利にして、ユーロが急落すれば、当然ユーロ/スイスも下がります。そうなれば、SNBは無制限で1.20のフロアーをサポートするため、介入の継続を迫られます。

最初のチャートはSNBの外貨準備高の推移を表したものです。リーマン・ショックが起きるまでの水準と現在の水準は、4〜5倍となっており、SNBはもうこれ以上外貨準備高を増やしたくないと思っていることでしょう。しかし一度1.20というフロアーを設定してしまった以上、ユーロ安に対抗する手段としては無制限の介入しか残っておらず、結果としてそれをすればするほど外貨準備高が増えることになります。

これは国際決済銀行(BIS)が発表しているスイスフランの実効レートです。数字が大きくなればなるほど、スイス高となります。

これを見るとわかりますが、ギリシャの金融支援要請後、どんどん悪化したユーロ圏債務危機の影響をまともに受けたスイスは、安全資産の代表通貨として人気を集め、その結果、通貨の強弱を示す実効レートは急騰しました。

もしECBがマイナス金利を導入し、SNBの政策金利が据え置きとなれば、当然市場参加者はユーロ売り/スイス買いを仕掛けてくることは明白です。そうなると、SNBに残された道は、無制限介入をし続けるか?それともECBより一足お先にマイナス金利導入に踏み切るか?いずれかの選択しかないように私は感じています。

ですので、ECBのマイナス金利導入論が盛んになればなるほど、結果としてスイス安が今後大きなテーマになるのではないか?と私は考えています。

 

松崎美子

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