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マーケットビュー

金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

1〜3月のマーケットを振り返って

更新日:2013年3月29日

今年も早いもので、とうとう3月が終わろうとしています。今年は年明け早々、非常にボラティリティーの高いマーケットとなったため、皆さんの中でも予想以上の収益を上げた方が多数いらっしゃると思います。本日は3月最後の営業日ということもあり、1〜3月の相場を振り返り、反省や今後の展望などを考えてみたいと思います。

1月相場

第1位: 2013年は円安の年

新興経済発展諸国の総称として『BRICs』を提唱した新興国分析の第一人者:ゴールドマン・サックス投資顧問会長であるオニール氏は、2013年は 『円売り推奨』の年 と言い切り、今後12〜24ヵ月の間に100〜120円という水準に達することも考えられるという相場観を披露しました。

この相場観の土台となったのは、昨年12月末に発足した安部内閣が発表した『アベノミクス』。これはデフレ脱却と経済再生を最優先とした“財政出動・金融緩和・成長戦略の三本の矢”を織り込んだ経済政策となっており、為替市場では『インフレターゲット達成に向けた大胆な金融緩和政策』実施を先取りした形で、急速な円安相場が展開されました。

第2位: キャメロン首相スピーチ

ロンドンに住んでいるため、少し贔屓目に「第2位」に選びましたが、英国のキャメロン首相は、2015年の次期総選挙で保守党が政権をとり、尚且つ『自身が首相を続投』することを前提条件とし、2017年に「EU残留・離脱」を問う国民投票を実施する予定であると発表。結果として、この発言を境にポンド下落基調が強まっています。

第3位: 財政の崖、一部回避

昨年からずっと米国だけでなく世界経済の重荷となっていた「減税失効と歳出の強制削減が重なる財政の崖問題」が一部の内容を除き解決に向かいました。そのため、新たな格下げリスクが遠のき、米連邦準備理事会(FRB)がQE3からの出口戦略に着手するのではないか?という議論が出てきたのもこの時期です。いずれにしても、米国が今すぐリセッションに逆戻りするリスクは一旦なくなったため、米主要株価指数は大幅上昇を記録。

第4位: LTRO前倒し返済

欧州中央銀行(ECB)は過去2度に渡り、欧州系金融機関を対象に、無制限資金供給オペを実施しました。いずれも「3年物」ですので、資金の返済期限は2014年末〜2015年初。ただしECBは1年を過ぎた時点での前倒し返済を認めているため、今年1月より毎週金曜日に前倒し返済額の発表が始まりました。

第一回目の発表では、予定を大きく上回る返済額が確認されたことを受け、2015年の返済期限を待たず前倒し返済に動けるほど欧州系銀行の体質が改善されたことに加え、欧州の金融システムの健全化が好感され、ユーロは対ドルで久々の1.35台へ、ユーロ円も年初の105円台から一気に114円を目指す動きとなりました。

2月相場

第1位: 通貨戦争

2月に入ってからというもの、通貨戦争という言葉を耳にしない日はない!と言ってもよいほど頻繁にこの言葉が登場しました。この場合の「通貨戦争」は、通貨安戦争という意味であり、円・ポンド・スイスフランなどがその代表的通貨となっていました。

あまりにも通貨安の速度が激しいため、とうとう2月中旬に実施されたG7会合で『緊急共同声明』が発表されるという事態にまで発展。

気になる声明内容ですが、「為替レベルは市場にゆだねるものであり、FXマーケットで起こっていることに関しては常に協議していく。加盟各国はそれぞれの国内政策を考慮しながら、財政・金融政策を遂行する。加盟各国は自国の為替レベルに対し特定のレベルをターゲットとしない。外国為替市場における乱暴で不明瞭な動きは、経済や金融システムの安定に寄与しないことに関して合意している。我々は為替マーケットの動きに対して、必要に応じ協力しながら話し合いを継続する。」
となっており、『特定のレベルをターゲットとしない』の部分は明らかに日本を指していると思われます。

しかし市場参加者は“声明文の中に日本という国名を名指しで挙げなかった”ことを好感し、声明発表後、ドル円・クロス円は更に円安方向へ動くという皮肉な結果となりました。

第2位: イタリア総選挙

投票前には優勢が伝えられていたベルサニ候補率いる中道左派連合の票が伸びなかった代わりに、反緊縮・ユーロ圏離脱の是非を問う国民投票を主張するグリッロ氏率いる5つ星運動の票が飛躍的に伸びるという恐ろしい結果になりました。とりあえず、選挙法に基づき下院では中道左派連合が過半数議席を獲得しましたが、上院では左派・右派・5つ星運動の三つ巴となってしまう激戦ぶり。この最悪の結果を受け、長引くリセッション・遅々として進まない債務削減・絶ち切れとなってしまった構造改革など、問題山積みのイタリアで政治の空白が長期化することが決定的となりました。

選挙結果が判明した翌日のマーケットは、欧州主要国の株価指数が大幅下落し、終値ベース(前日比)でイタリア−4.9%、スペイン−3.2%、ドイツ−2.3%、英国−1.3%と広範囲に渡り下落。特に下落が激しかったのは、銀行株でした。その背景には、金融機関が保有するイタリア国債の損失が膨らむという懸念があり、主要大手銀行の株価は軒並み4〜5%の下落を記録。イタリア国内の主要銀行はマーケット・オープン直後から10%以上の下落を記録し、即刻取引停止処分となりました。

為替市場では、イタリア総選挙の開票結果を受け、ドル高・円高・スイス高が加速しました。この3つの通貨が高くなるということは、完全なるリスク・オフ相場へ突入したと判断出来ます。

イタリアは未だに正式な政府が誕生しておらず、それまでの期間はモンティ暫定政権継続が決定していますが、政策決定能力はありません。

第3位: 英中銀金融政策理事会(MPC)議事録

英中銀は2月のMPCで、政策金利(0.5%)と資産買取プログラム(QE2)枠を共に据え置き決定しました。その2週間後の議事録公開でわかったことですが、QE2枠据え置き決定は6対3となっており、QE2増額/据え置きに対する投票配分がここまで大きく割れたのは、2012年6月以来となりました。これを受け、ポンドは1.54台から1.51台まで一気に下げ足を速めたのです。

どうしてここまで過剰な反応になったかと申しますと、理由は2つあります。

1) キング総裁のOutvote

2月のMPCでは、キング総裁はOutvoteされました。この聞きなれない“Outvote”という言葉の意味ですが、「キング総裁は少数意見に票を入れたため、同総裁の意見は最終決定とは違うものとなった」 ということです。

2003年に同氏が英中銀総裁に就任して以来、Outvoteされたのは、今回を入れて4度。
一番最近のOutvoteは2012年6月、やはりQE2増額に対する投票で「5対4」という投票結果となり、寸差で据え置きとなりました。しかし驚いたことに、その翌月には予想の2倍の規模である500億ポンドのQE2増額がいきなり発表されたのです。

こちらに住んでいるトレーダー達は、2月のMPCでのキング総裁のOutvoteは2012年の繰り返しとなるのではないか?つまり3月には大規模な追加緩和が実施されるのではないか?と考え、ポンド急落となりました。

2) MPC理事達の考え方の変化

今年1月のMPCでは、「これ以上の追加緩和をしても、実体経済の改善には、あまり効果が期待出来ない。」と話し合ったことが議事録公開で明るみに出たため、私も含めた英国のトレーダーたちは追加緩和の可能性をほとんど排除したばかりでした。

ところが、2月のMPCでは改めてQE2増額議論が再開されたことになり、1月から2月にかけて理事達のQE2増額に対する考え方が180度転換したことが確認されました。

第4位:カーニー次期英総裁の証言

英中央銀総裁を8年間務めたキング氏が今年6月末に任期満了で引退します。そして次期総裁に決定したのは、現在のカナダ中央銀行総裁であるカーニー氏。2月に入り、英財務省公聴会でカーニー新総裁の証言が行われました。

319年という長い伝統を持つBOEですが、総裁に外国人を起用するのは今回がはじめてです。日本では考えられないことかもしれませんが、この国では中銀総裁を募集する時には、経済誌:エコノミストに広告が掲載され、条件を満たした人は誰でも応募出来ます。今回も50名ほどの応募者があったそうですが、最終的には異例とも言えるカナダ人の起用となりました。

オズボーン財務相が同氏を次期総裁に決定した最大の理由として、カナダ中銀の銀行監督能力の手腕が優れている点を挙げていました。皆さんもご存知のように、2008年秋に起きたリーマン・ショックによる世界規模の金融システム崩壊の影響で、英国では2つの大手銀行が一部国有化されたままとなっており、納税者による負担は未だに続いたままです。それと比較し、カナダ中銀の監督手腕が優れていたおかげか、カナダの金融機関は国有化や政府による大規模な財政支出による援助なしに、難を切り抜けたという経緯があります。

この証言で、同氏は景気浮揚を目的とした新たな緩和手段の導入も考えていることを匂わせており、7月の就任以降は、証言内容よりも更なる緩和措置導入の可能性が高まり、ポンド下落予想が一気に増える結果となりました。

思い起こせば、円相場では安部内閣発足前の昨年末から金融緩和を先取りした形で円安が進行しました。それと同じ発想で、カーニー新総裁就任を先取りした形でポンド安が加速したとも言えるでしょう。

第5位: スペイン・ラホイ首相、辞任要求

スペインで一番購読数が多い日刊紙の『エル・パイス(El Pais)』は、ラホイ首相率いる国民党に対する政治献金から、同首相自身が10年間に渡り25万ユーロの不正所得を得たと報じました。続報によれば、国民党は二重帳簿を使い、違法と思える政治献金をラホイ首相を含む党員に支払っているだけでなく、その不正収入に対してラホイ首相は一切納税していない点に国民の一番の怒りが集中してきました。

過去3年に渡るユーロ圏債務危機の悪化に伴い、緊縮につぐ緊縮財政策を押し付けられ、失業や増税を余儀なくされている国民にしてみれば、納税すらしていない政治家達が許せないのは最もです。

第6位: キプロス大統領選

2月には2度に渡りキプロス大統領選挙が実施されました。『EU/IMFによる金融支援受け取りの是非』を争った今回の選挙では、支援受け取りに前向きな中道右派の野党・民主運動党のアナスタシアディス党首 対 支援受け取りに消極的な左派の与党・労働人民進歩党のマラス元保健相との一騎打ちとなりました。ちなみに、現職の共産党系フリストフィアス大統領は、景気悪化により支持率が大きく落ちたため、出馬を断念。

結果は、アナスタシアディス候補 57.48%に対し、マラス候補 42.51%と、アナスタシアディス候補の圧勝。

ギリシャ危機の影響をまともにうけたキプロスは、過去ずっと金融支援をロシアにだけ頼って生きながらえてきましたが、今回の選挙を通してEUやIMFからの支援確保に向け、緊縮財政策や構造改革、民営化などを受け入れる用意があることを伝える結果となりました。

3月相場

第1位: キプロス危機

ギリシャ債務危機の悪化により、ギリシャ国債保有率が高く大きな損失を抱えたキプロスの銀行システムを救済するため、昨年からずっとEUに対し金融支援を要請していたキプロス。今年に入りやっと支援要請に前向きに対処し始めたEU側ですが、最近になって、支援額を当初の170億ユーロから100億ユーロへ減額し、そのうちの6割をキプロス自身が負担するという異例の結論を下しました。

ギリシャやポルトガルなど過去の金融支援時には、他の加盟国への飛び火が怖くて、言われるがままに支援金を支払っていたドイツですが、今回の支援に対してはかなり強硬手段に出ています。その背景には、9月に総選挙を控えていることに加え、加盟国の支援に対し独連邦議会での採決が義務づけられたことがあるため、加盟国支援そのものに対する態度に変化が出て当然とも言えます。

キプロスの銀行システムは過去のタックス・ヘイブン時代からマネー・ローンダリング活動で汚されており、EU/IMFが支援金を支払ったとしても、それがマネー・ローンダリングにかかわる犯罪組織の手に落ちる危険性が指摘されており、ドイツは尚更支援金支払いに消極的となりました。

数々の紆余曲折を経て、キプロスは大規模な銀行再編を通し、資本規制や銀行資産凍結などの措置を導入しましたが、幸いにも預金保険対象となっている10万ユーロ以下の預金口座に対する特別課税は中止されました。同国第2のポピュラー(Laiki)銀行はグッドバンクとバッドバンクに2分割され、預金保険対象となっている10万ユーロ以下の預金全てと、同行がECBから受け取った緊急流動性支援による90億ユーロは、最大手のキプロス銀行に移管。預金保険対象外の10万ユーロ以上の口座はバッドバンクへ移管され、最大80%程度の特別課税(ヘアーカット)が課せられる予定となっています。

最大手のキプロス銀行が保有する預金対象外の10万ユーロ以上の口座に対するヘアーカット率は40%程度となると言われています。ただし状況が一段落し、同行への資本増強にどれくらいの資金が必要となるかが判明するまで、ヘアーカット率は不明のままとなります。16日間に及ぶ銀行閉鎖を経て、3月28日から銀行の営業が再開されましたが、引きおろし制限などを含む資本規制が最低でも1週間ほど継続する予定。

これら全ての条件の順守が確認されるという前提での話ですが、キプロス政府は4月第1週にEUからの条件に署名し、5月に支援金受け取りとなる運びのようです。

第2位: イタリア組閣作業

3月15日に選挙後初の議会招集があり、上下両院議長の選出が行われ、両院ともに中道左派連合の民主党から選出されています。

その翌週よりナポリターノ大統領は下院で過半数を獲得した民主党のベルサニ党首に組閣作業を一任したのですが、必死の組閣要請にもかかわらず、中道右派連合そして5つ星運動ともに、連立を組むことを拒否。3月28日の夕方、ベルサニ党首は組閣を断念し、ナポリターノ大統領の判断を仰ぐ形となっています。

29日ロンドン時間午前10時(日本時間19時)より、同大統領が各党の党首を呼び、新たな協議に入ると報道されていますが、今後の進展いかんでは2度目の総選挙突入の可能性も捨て切れません。その場合、後任大統領が5月15日に決定されますので、早くて6月末が投票日となる可能性が出てきます。

ただし、出来る限り新たな総選挙を避けるためにも、ナポリターノ大統領が各党首の和解に成功し、挙国一致内閣またはテクノクラット内閣のいずれかが誕生する可能性も残されています。しかしいずれにしても、これらの内閣が長続きするとは思えず、1年以内に再選挙となることは避けられそうにありません。

第3位: 英中銀金融政策決定責務の見直し

3月20日にオズボーン財務相が『2013年度予算案』を発表しました。例年ですと、新年度からの財政政策内容と、それに付随する増税や減税内容に一喜一憂するのですが、今年は少し違っていました。

というのも、予算案発表の前週に同財務相が「予算案発表時に、カーニー新総裁就任後の英中銀(BOE)金融政策決定責務の見直しも同時に発表する」とほのめかしたからです。

そこで発表された内容は、今までの『物価安定の維持』に加え、『フォワードガイダンス制を導入』することとなりました。これは景気が圧迫される中、2%のインフレ目標達成に関して英中銀に今まで以上の自由裁量を与えることに加え、今後の政策に関して考えをより明確にする必要が生じる可能性があるとの認識を示し、「インフレ率がどの程度で目標に戻るか、それに付随する低金利政策が将来のどの時点まで継続するのかを提示するよう、はっきり義務付けた」としています。一番最初にこの「フォワードガイダンス」制が導入されるのは、8月に発行される英中銀四半期インフレーション・レポートの中とされています。

第4位:キング総裁発言と英中銀議事録

3月中旬、英中銀キング総裁が英最大手の民放:ITVのニュースで何か発言するという噂が市場で流れました。私も早速テレビの前に陣取って、インタビューを聞いたのですが、そこで驚く発言が飛び出してきたのです。その発言内容をまとめた部分ですが、

「Sir Mervyn also retreated from his earlier attempt to talk down the pound. Having said last year that the 8pc appreciation in sterling ‘was not a welcome development’, he cheered its recent decline to a two-and-a-half year low and suggested the pound had fallen far enough.‘’We’re certainly not looking to push sterling down,’’ he said. 『We are moving to a properly valued exchange rate. I think we’re probably there.』

キング総裁はポンド下落を誘発するようなトークダウンをすることは、もう止めた。昨年の話しであるが、8%も上昇したポンドについて、同総裁は『このポンド上昇の動きは歓迎すべきものでは、ない』と発言した。しかしここに来て、『今年に入り、ポンドは2年半来の安値をつけた。このポンド下落は来るところまで着た感がある。現在のポンドは実体経済を反映したレベルに近づいている、というか、実際にそのレベルまで来たのかもしれない。』」

となっています。この発言を受け、為替市場ではポンド売りポジションを閉める動きが加速し、ポンド上昇に結びつきました。

その数日後、英中銀MPC議事録が公開されましたが、そこでもやはり、「大半の理事達は量的緩和拡大で中銀の信頼性が損われ、ポンドが一段安となるリスクを警戒した」と出ています。このポンド安に対する発言に関しては、コラムの最後で私自身の意見を書きます。

第5位: イギリス南部での補欠選挙結果

イギリス南部のハンプシャー州イーストリー市で補欠選挙が実施され、キャメロン首相率いる保守党が第三党へ転落し、英国中にショックが走りました。

各党の得票数と率は

・自民党 13,342 (32%)
・英国独立党(UKIP) 11,571 (27.8%)
・保守党 10,559 (25.4%)

非常に自民党色の強い選挙区だったため、自民党勝利は最初から予想されていましたが、第二党に来るのは果たして保守党か?UKIPか?ということが、一番注目を集めていたのです。UKIP(英国独立党)はその名の通り、英国のEU離脱を支持している政党で、昨年くらいから急速に支持率を伸ばしています。

今回の補欠選挙結果を受け、キャメロン首相は厳しい選択を迫られると思います。たぶんUKIPに流れた票をいかに保守党が挽回するか?という方向転換をはかると予想されるため、ますますキャメロン首相の発言が「反欧州、反EU」に傾きやすくなる危険性をはらんでいます。来年は欧州議会選挙、再来年は英国総選挙と続きます。今後は政治関連のニュースが出やすくなる英国です。

ここからの展望

1) ユーロ

・ ユーロの価値の多様化

私は今回のキプロス危機を、最初から神経質なまでに追った一人です。過去のギリシャやポルトガル危機と違い、この国はタックス・ヘイブンとして金融業で経済をたててきたという事実があり、同時にEU/キプロス/ロシアという三角関係が出来上がってしまっていたので、過去のユーロ危機とはかなり違う結末を迎えるに違いないと考えていたからです。

しかしこういう展開は想像もしておりませんでした。ここでいう「こういう展開」とは、ユーロは今後、加盟国により『違う価値を持つかもしれない通貨』となる危険性が出てきたという点です。

そもそもユーロ加盟各国の間では金・人・物資全てが“自由に”移動出来ることが前提となっています。しかし今回のキプロス危機では、木曜日からの銀行の営業再開に伴い、預金引き出しや送金などの制限を含む資本規制が布かれました。

銀行に現金がなくなってパニックに襲われるより、予め規制を徹底すべきだという意見には一理ありますが、極端な話をしてしまえば、キプロスの銀行にあるユーロには引き出し制限がかけられているため、ドイツやスペインにあるもの(例:不動産)を買うことが出来なくなります。それに加え、現在凍結されている10万ユーロ以上の大口預金口座に対しては、資本規制が解かれた後、40〜50%という特別課税(ヘアーカット)が課せられると予想されるため、預金残高は当然目減りします。つまりキプロス危機前には、どの加盟国のユーロでも同じ価値を持っていましたが、ヘアーカットされるキプロス・ユーロはドイツ・ユーロと比較すると、約半分の価値しかなくなるのです。

こういう動きがどんどん加速されてしまうと、加盟国内の格付けが低い銀行や、その銀行を救済する立場にある中央銀行や政府の格付けが低い国などでは、万が一新たな金融危機が発覚し、預金に対しヘアーカットが課せられる前に、他の国の安全な銀行へ移してしまおうと考える預金者が増え、預金流出のリスクと背中合わせになる危険性が出てくると私は考えています。

つまり、『キプロス・ユーロと他の加盟国のユーロの価値が違ってくる』という発想が更に飛躍し、今度は『格付けがよい銀行/国の「ユーロ」は、悪い銀行/国の「ユーロ」と比較してヘアーカットのリスクがない分、価値が高まる』という“ユーロの価値基準の選別”が今後起こることも考慮すべきだと、私は思っています。

そうなると、同じ『ユーロ』という仮面を被っているものの、キプロスや格付けが低い国のユーロはドイツやフィンランドのユーロと同じ価値を持っていないことになってしまい、一体何のための『単一通貨』なのか?と首をひねることにもなりかねません。

・ 支援金の払い手

ユーロ・グループのダイセルブルーム議長(オランダ財務相)は、「キプロス危機の解決方法は、今後ユーロ圏で同様の危機が起きた時の雛形となるであろう」と発言しましたが、これは最終的には否定されたようです。しかしいくら否定されたとしても、「今後、銀行が自力で資本を増強できない場合、株主や債券保有者に負担を要請し、必要なら預金保険対象外の預金者(10万ユーロ以上)にも協力を要請する」ことが定番化しないとも限りません。これがキプロスだけで終わると誰も断言出来ないところが恐いです。

もしそのような状況が続いた場合、極端な話しとして、ユーロ圏の恒久的支援機関である欧州安定メカニズム(ESM)が不要になってしまうことにも考えられるのです。

* *ここからのユーロ
もしいかなる理由にせよ、キプロスの預金口座に対するヘアーカットを嫌気して、他のユーロ加盟国で取り付け騒ぎが起きた場合、ユーロ圏の銀行の預金口座を閉じて、スイスや英国・米国へ移す動きが出ないとも限りません。それらの国でもそのままユーロ口座が開設出来れば話は別ですが、そうでない限り、スイス・ポンド・米ドルなどの買い/ユーロ売りという動きに繋がることも十分考えられます。

先ほども書きましたが、ユーロ圏の中では物資・人・金などが自由に移動出来ることが『ユーロ圏統一』の大前提であり、今回の資本規制導入により、経済・金融連合は名ばかりのものとなってしまいました。キプロスは小国だから..とか、資本規制は1週間の予定だから..という問題ではなく、こういう規制を導入しなければ問題解決が出来なかったことが、既にユーロの汚点となってくることが考えられます。

そして、今度はイタリアですが、ギリシャの時と同様に2度目の総選挙実施の可能性がどんどん高まってきています。

マクロ経済の悪化も考慮した場合、ユーロは戻ったら売りというスタンスをしばらく続けようと私は思っています。個人的には、ユーロ売り/ポンド買いを継続していますが、ユーロ/ドルも1.27ミドルのサポートを下抜けした場合、1.22台くらいまでの急落もあるのではないか?と考えているところです。

ただし、目先の動きとしては、この1.27台のサポートはかなり強烈に見えますので、一旦1.30〜1.32台くらいまでの戻しがあれば、そこを丁寧に売ってみたいと思っています。

2) ポンド

3月相場の第4位で書いた通り、英中銀理事達の間では、最近のポンド安に対し、かなり警戒心が高まってきたようです。

これは、2007年から現在までの英中銀が毎日発表しているポンド実効レートです。これを見ると判りますが、歴史的な実効レート最安値は、リーマン・ショック後につけた73.754となっていますが、リーマン・ショックという『非常に特殊な要因』があったから付けたレベルであり、もしこの事件がなければ実効レートはここまで下がらなかったかもしれません。

リーマン・ショック後に2009年と2010年に数回に渡り76.70台を試しましたが、結局割れず、また戻っています。この時期はギリシャ危機が表面化する直前の世界金融危機が泥沼化した時で、これまた『特殊要因によるもの』だったとも言えるでしょう。

そして2013年、なんの特殊要因もなく、世界を揺るがす事件も起きない中、ポンドは急落し、実効レートは80を割り77台まで下げてしまいました。この動きに当局は危機感を抱いたのではないか?と私は思っています。

こちらでは「通貨のレベルは市場が決定するもの」という考え方が徹底していますが、特に悪材料がない中、ポンドの価値を表す実効レートが歴史的最安値まであと一歩というところまで落ちた事実に、当局関係者は『英国の信用性の喪失』という眼で見始めた可能性があります。そして「信用性の喪失」ということを、この国は極端に嫌い、恐れます。

事実、今月のMPC議事録では、「英中銀は『物価安定の維持』という英中銀金融政策の目的の遂行をするうえでポンド安がその信用性を損ねるような結果とならないよう、注視する」と書かれていました。「これ以上のポンド安」を「英中銀の信用性の問題」と結びつけているようで、私は非常に気になります。

* *ここからのポンド
年初からの急速なポンド下落は一段落したものの、この国を取り巻くファンダメンタルズの改善が全く見えないことを考えると、積極的に買いで攻めるセンチメントでないことは確かです。オズボーン財務相が発表した2013年度予算案を見て、格付け会社のひとつが、トリプルAからの格下げを既に示唆していることも、ポンドの頭が依然として重い理由のひとつであることは間違いありません。

私自身はどうか?というと、7月にカーニー新総裁が就任してから、果たしてどのような景気浮揚に向けた努力がされるのか?それを見極めるまでは、正直あまり手を出したくない通貨のひとつと位置づけています。

ただし通貨の不美人投票をした場合、ドル>ポンド>ユーロという順番を今はつけているため、特に欧州でのキプロスやイタリア問題の解決が見えない限り、ユーロ売り/ポンド買いは継続するつもりでおります。

対ドルですが、米非農業部門雇用者数(NFP)の数字に注目しています。過去4ヶ月(2012年12月〜2013年3月)の数字を見ると、20万人以上の雇用増加を確認した月が3回もありました。連邦公開市場委員会 (FOMC Federal Open Market Committee)の一部の理事は、6ヶ月連続で20万人以上の雇用創出が確認されたら、QE3の減額 ⇒ 出口戦略を探る時期と認識していると伝えられています。そうなると今後2〜3ヶ月の数字が非常に重要となりますね。

もし米雇用市場の改善が確認されれば、今年に入って一人勝ちしているドルが、更に上昇することも考えられ、その場合は素直にポンド売り/ドル買いで攻めても面白いと思います。少し難しい話になってしまいますが、その時のポンド安は「ドル高による」ポンド安となり、英中銀理事達が心配しているであろうポンド実効レートの下落とは別問題のポンド安となるため、売り安心感が出てくるからです。

松崎美子

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