FXなら安心と信頼のFX|セントラル短資FX

  • 法人のお客さま
  • サイトマップ
  • よくあるご質問
  • お問い合わせ
  • 推奨環境
  1. セントラル短資FX
  2. マーケット情報
  3. マーケットビュー
  4. 2013年バックナンバー
  5. 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX

マーケットビュー

金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

キプロス危機

更新日:2013年3月22日

今週は日米英欧、それぞれのマーケットで重要な動きがありました。本日のコラムでは、その中でも特に印象が強かったキプロス危機にスポットライトを当ててみたいと思います。

キプロスからの飛び火懸念

ユーロ圏全体のわずか0.2%にも満たない経済規模のキプロス、そんな小国で起きた問題が、どうしてここまで大きくなってしまったのでしょうか?

そもそも2004年にキプロスのEU加盟が決定した時、同国の統一(ギリシャ系とトルコ系住民の統一)がなされていなかったために国連が仲介に入りました。現在も統一に向け国連仲介が継続されているようですが、一向にその溝は埋まりません。

その後、同国はユーロ圏のメンバーにもなりましたが、やはり政治的に問題のあるキプロスをメンバーとして迎えることに対し、反対の声もあったようです。

どういう理由にせよ、ユーロ圏に加盟したキプロスで問題が起きれば、当然その危機は他の加盟国へ飛び火するリスクを常に抱えています。今回の問題は「銀行部門」の問題なので、金融機関の基盤が脆弱なスペインが「次の犠牲者となるのか?」と心配されています。今週火曜日、キプロス議会がEU側から提示された支援条件を否決した時、株価下落幅が一番大きかったのも、スペインでした。

キプロスは特別な例なのか?

ユーロ圏で新しい金融・財政危機が発覚するたびに、ユーロ圏関係者は「今回は特別な例である」と繰り替えし発言しており、当然キプロスの場合も同様です。果たして、本当にキプロス危機は、ギリシャやポルトガルなど既に金融支援を受けている国のものとは違うのでしょうか?

この国は他のユーロ加盟国とは違い、1990年代からタックス・ヘイブンとして金融業で経済をたててきたという事実があります。
特にロシアからの犯罪絡みと思われる資金がタックスへイブンであるキプロスの銀行を経由してマネーロンダリング*されていたようです。

同国の金融支援要請は今に始まったことではなく、昨年春よりずっと続いています。欧州側がなかなかそれに応じなかったのは、ロシアからのマネーロンダリングの資金で汚れたキプロスの銀行救済に、ユーロ加盟各国の納税者が納めた税金を使用することは絶対に出来なかったからとも言われていました。その点から言えば、キプロス問題は特別な例であり、タックスへブンでないスペインやイタリアに飛び火することはない!と断言しているEU関係者の言葉には一理あります。

*マネーロンダリング …麻薬などの犯罪行為で得た不正資金・賄賂・テロ資金など口座から口座へと転々とさせ、資金の出所や受益者をわからなくする行為

キプロスとロシアの関係

今回のキプロス危機が悪化するにつれ、EU/キプロス/ロシアの三角関係が非常に目に付きました。タックスへイブンであるキプロスの銀行にロシアの資金が流れ込んできたことは、理解しましたが、それ以外に両国には何か深い絆があるのでしょうか?

それは天然ガスです。2年ほど前に話しは遡りますが、キプロス沿岸に大量の天然ガスが埋蔵されていることが発見され、その開発を巡りキプロス- トルコ - イスラエル間での緊張が高まりました。ロシアもなんらかの形でガス開発に関与するため、手っ取り早くキプロスに融資をする形で天然ガス開発の成り行きを監視しています。

それもあって、EUからの金融支援がなかなか軌道に乗らないキプロスは、今までずっとロシアからの融資で食いつないできました。

キプロスへの金融支援に関する詳細

・2012年6月
ギリシャ債務危機による悪影響のため、キプロスは銀行救済・財政支援の両方を視野に入れた支援をEUへ要請
支援額は170〜175億ユーロ(同国の経済規模と全く同じ額)そのうち、100億ユーロは同国の銀行への資本注入に使う予定。
しかし、金融支援の条件として、トロイカ調査団(EU/IMF/ECB)が提出した経済・構造改革や民営化に対して、当時のクリストフィアス大統領は否定的なため、要請交渉は滞っていました。

・2012年10月
格付け大手:ムーディーズ、キプロスの格付けを一気に3ノッチ引き下げ

・2013年1月
格付け大手:ムーディーズ、キプロスの格付けを更に3ノッチ引き下げてCaa3とする。見通しは「ネガティブ」

・2013年2月
格付け大手:S&Pが、キプロスがデフォルト(債務不履行)にせまる危険性を指摘したレポートを出した。

・2013年2月
キプロスで『EU/IMFによる金融支援受け取りの是非』が争点となった大統領選挙が実施され、2度の投票を経て、EUからの支援受け取りに前向きな中道右派・民主運動党(DISY)のアナスタシアディス党首が大統領に就任

新大統領が決定した後、キプロスを訪れ金融支援内容や交換条件の話し合いをしていたトロイカ調査団は、同国向けの支援額は当初予定されていた170億ユーロではなく、100億ユーロとなる模様だと発表。減額の背景には、キプロス自身が増税などでその部分を埋める覚悟があったからのようです。

支援金:100億ユーロの使用目的は、今後3年間に渡る銀行への資本注入と政府の財政補助とされていました。そして今回の金融支援がなければ、同国がデフォルトに陥るのは時間の問題であることも、先週金曜日に臨時ユーロ圏財務相会合の開催を急いだ理由だと言われています。

臨時ユーロ圏財務相会合での決定

その臨時ユーロ圏財務相会合で「キプロスへの100億ユーロ規模の金融支援に対する条件」について最終合意がされました。

支援に対する条件

1) キプロスの銀行の預金口座に対する特別課税(1回のみ)
    口座残高が10万ユーロ以上 ⇒ 9.9%
    口座残高がそれ以下 ⇒ 6.75%
    特別課税金と同額の銀行株が預金者に手渡される
2) 法人税上げ ⇒ 現行の10%から12.5%へ引き上げ
3) 民営化 ⇒ 14億ユーロ規模の民営化の決定
4) キプロスの公的債務残高対GDP比を2020年までに100%とする

この条件を見て、ギョッとしたのは、一般の預金者まで課税対象となっている点と、ギリシャやポルトガルなどの過去の金融支援の時とは違い、100億ユーロの金融支援のうち6割をキプロス自身が負担(預金口座への特別課税)しなければならない点です。

この決定を受け、同国の全銀行口座からの引き出しを制限する預金封鎖を開始。現金自動預払機(ATM)からの引き出し・インターネット上での資金移動も制限。

週明け、今週月曜日のマーケット

ユーロ圏財務相会合で提示された条件を嫌気したアジア市場では、日経平均やロシア株式指数が2.7%くらいの下落を記録。その流れを受けた欧州各国の株価指数もオープン直後より大きく窓を開けて下落。予想したとおり、銀行株の下落が激しく、英系各行は2〜3%、仏系は3〜4%、イタリア系は5%近くの下落を記録。キプロス市場の動きに眼を向けると、2020年満期の国債利回りは一気に2%程度も上昇(=国債価格下落)し10%台へ。当然CDSも大きく上昇しています。

為替市場でも、ポンドを除くほとんどの通貨は窓を開けて下落。ドル円は94.307まで下落したそうです。

キプロス議会での動き

本当であれば週末の日曜日現地時間14時より、EU側が提示した条件に対する採決を行う予定でしたが、それがキャンセルされ、最終的に火曜日まで延期。先送りされた理由として、今回の措置に反対する共産党系議員が多いことに加え、今まで聖域とされていた『一般個人の預金口座に対する課税措置』が実施された場合、今後他のユーロ加盟国(特にギリシャやスペインなど)で預金流出が加速される懸念が出てくることなどが挙げられていました。

火曜日の議会での採決は、賛成票 ゼロ、反対票 36票、棄権 19票という散々な結果となり否決。EU側はあくまでも提示した条件を受け入れるのであれば、交渉に応じるという強硬姿勢を崩さなかったため、この否決という結果を受け、キプロスは交渉の矛先をロシアへと向けたのです。

ロシアの反応

今回の特別課税決定に際し、何の相談もなしに独断決定したことにロシアは非常に腹を立てており、プチン大統領をはじめとする政界の人物や中央銀行関係者からの不満の声が、かなり聞こえてきました。

キプロス議会で否決を出した火曜日、急遽キプロスからは財務相・エネルギー相などが支援協議のため訪露を決定。緊急事態に直面していることを理由に、キプロスはロシアに対して50億ユーロの追加融資を要請したのに加え、既存の25億ユーロの融資の返済期限を5年間延長 / 利子を4.5%から2.5%へ下げることを要求しています。
今のところ、ロシア側はまだ首を縦に振っていません。

ロシアがキプロス支援にあまり積極的でない理由としては、ロシア抜きでキプロス支援条件をユーロ圏が勝手に決定したことに加え、先月新大統領として就任したアナスタシアディス大統領が、前任者である共産党右翼系のフリストフィアス大統領と比較して欧州寄りの考え方を持っているためとも言われているようです。

欧州中銀(ECB)からの驚くべき発表

欧州対キプロス対ロシアという三角関係がうまく機能せず、何も前向きな結果を生み出さないまま数日が過ぎましたが、今週木曜日の朝、ECBは驚くべき発表をしました。

ECBウェブサイトで確認出来ますが、「キプロスがEUから提示された条件を受理しない限り、ECBがキプロスに対しELA**を実施するのは、3月25日まで」という声明文が載ったのです。

この耳慣れないELA**という言葉ですが、簡単に言ってしまえば、市中銀行がECBが実施するオペに参加して資金供給を得るには、
「担保が必要」  「担保には『適格担保基準』が設定されている」  「キプロスの民間銀行が保有している国債などの担保は、格付けが低すぎて、ECBが設定している適格担保基準に見合わないものばかり」  「その結果、普通のオペに参加できない」  「キプロスの銀行は資金繰り難に苦しむ」  「キプロス中銀がECBからELAを通して資金供給を受ける」  「その資金を自国の民間銀行に流す」 という仕組みです。

**ELAとは? …Emergency Liquidity Assistance(ELA 緊急流動性支援)とは、ユーロが誕生した時から、中央銀行として「最後の貸し手」機能を発動する手段と想定して用意された枠組み。極めて特殊な状況下で金融機関が流動性不足に陥り、金融システム全体へのリスクが差し迫るようなケースに用いられる。そのため、十分な透明性が確保されておらず、適用金利や条件などが公表される形となっていない。
このELAを受ける民間銀行は、ECBが定めた適格基準に見合った担保を保有していないため、ECBが行う資金供給オペに参加して資金供給を受けることが出来ない。そのため、その銀行がある国の中央銀行がECBの承認のもとで、銀行に資金供給をするシステム。
ECBの理事会がELAの実施を許可することになっており、2週間ごとに見直され、供給を断つにはメンバーの3分の2の賛成が必要。

現在でもキプロスの銀行はこのELAから得た資金でどうにか営業をしている状態ですので、この道が絶たれることは銀行倒産を意味します。このECBからの発表を受け、急遽キプロス中銀は、同国第2位のポピュラー(Laiki)銀行を「良い資産と悪い部分(バッドバンク)」に2分割し、預金者保護を優先すると発表しました。

預金者保護の視点から言えば、ECBからのELAが完全にストップしてしまうと、キプロスの預金保険機構も財源確保の道が絶たれ、預金保護が出来なくなるとも報道されています。

キプロス議会の否決という結果に業を煮やしたEUが、ECBを使って脅しとも取れる行動に踏み切ったのかもしれませんが、泣いても笑っても、残された時間は『来週月曜日まで』となってしまいました。

今回の決定に関する各国の反応

ドイツの変化

今までは他の加盟国への飛び火が怖くて、言われるがままに支援金を支払っていたドイツですが、9月に総選挙を控えていることに加え、加盟国の支援の際には独連邦議会での採決が義務づけらえたこともあり、加盟国支援そのものに対する態度にかなりの変化が見受けられます。

ECBにはOMTがありますし、恒久的支援機関としてESMが機能しはじめたので、「もう、ユーロ圏はこれで安心だ!」と思っていましたが、ドイツの姿勢がこのように変化していくのを見ると、果たしてユーロ危機は新たな顔を見せ初めてきたのか?と少し心配にもなります。

IMFの態度の変化

ドイツだけでなく、IMFも加盟国支援に対して強硬な態度に出てきているな、という印象を私は強く受けています。先週金曜日のユーロ圏財務相会合に出席したラガルドIMF専務理事は、今回のキプロスの預金口座に対する特別課税率として、30〜40%というべらぼうな税率を主張したと言われています。

英国での反応

英国でもキプロスに課せられた『一般人の銀行口座に対してまでも特別課税が課せられる』という事実を非常に重く見ており、今週月曜日の議会では「今回の措置を通じて、人々は銀行というものが信じられなくなり、皆が皆マットレスの下やたんすの引き出しにお金を寝かせる方法を選ぶようになってしまうのではないか?」という議論が延々と続きました。ただでさえ銀行不信が強い英国ですが、さすがに今回のキプロス口座への課税については驚きを隠せない様子です。

格付け会社:フィッチの反応

キプロス支援条件を巡ってフィッチは声明を出しました。その内容を見ると、「EU関係者は支援金支払いに対する加盟国の納税者に対する負担を軽減した代わりに、今回はじめて問題発生国(キプロス)の預金口座保有者より、金融支援金の一部を捻出するという試みを行った。しかしこの試みを支える枠組みは整っていない。こういう前例を作ったということは、今後、ユーロ加盟国の特に銀行セクターの基盤が弱い国へと飛び火しないとも限らない。」と警告を発しています。

まとめ

今週に入りキプロス危機が悪化するにつれ、ユーロ圏財務相や副財務相レベルでの電話会議が数回行われました。しかし驚いたことに、水曜日夜に行われた副財務相/ECB関係者による電話会議では、キプロスのユーロ離脱の可能性についても言及されたと言われています。そこでは、「もし離脱が起こるのであれば、(それが他の加盟国に被害を与える結果とならないよう)加盟国の保護を確実とする方法が必要となるであろうし、特にギリシャへの飛び火が起こらないよう、対策を練らねばならない」とも語られていたそうです。

ギリシャなどの過去の金融支援実施の際には、『ユーロの崩壊はあり得ない』『ギリシャはユーロの仲間だ』『ギリシャ抜きのユーロ圏はない』など、ユーロ圏の統一姿勢を白々しいほど強調していましたが、今回のキプロス危機になってからというもの、統一の度合いがぐっと落ちてきたことを認めざるを得ません。キプロスが最初の条件内容を否決した時も、EU側は「とにかく支援額の6割(正確には58億ユーロ)を自分達で調達出来れば、細かい内容にまでは拘らない」とは言ったものの、58億ユーロはあくまでもキプロス自身の負担となる点については全く譲歩なし。それに続いて、ECBがELA継続を打ち切ると宣言したことも、見方によっては「キプロスの切捨て」とも受け取れます。

この態度の変化は、ドイツが総選挙を控えているから...という単純な理由ではなく、もう少し根が深いように思えてなりません。唯一考えられるのは、タックスへイブンとしてキプロスの銀行がマネーロンダリングにも加担していた可能性がある、ロシアとの距離が近すぎるというのが、その背景に見えてくるような気がしています。

今回のキプロス危機が為替市場に与える影響ですが、過去のユーロ圏債務危機の時と同じく、意外とユーロ売りが加速していません。米欧の主要銀行によるユーロの相場観を見ても、「キプロス危機はユーロ売りだ!」という銀行と、「キプロス問題は特殊なケースなので、逆に現在の1.28〜2.9台のユーロは絶好の買い場で、じきに1.30を超えて上昇する」という意見と綺麗に分かれているのが面白いなと思いました。私自身はユーロ売り/ポンド買いで攻めていますが、下落は予想していたよりずっと浅いままです。

キプロス危機を追っていて感じたのですが、一度出たニュースがその後否定されることが何度も繰り返され、一部の市場参加者の間では「サーカス相場」と呼ばれているようです。そういうマーケットである以上、損切りを徹底し、万が一ストップ・オーダーが付いたとしても、自分の信念を持って相場と対峙しなければならないと自分に言い聞かせています。

木曜日に予定されていたキプロス議会での新条件内容に関する採決が、金曜日まで延期されました。来週月曜日のECBによるELA終了期限まで、キプロス危機が一転二転することは避けられそうにありません。市場に参加されている皆さん、シートベルトを閉め忘れずに安全運転(無理のない取引と、損きりオーダーを必ず入れる)を心がけましょう。

松崎美子

メルマガ無料配信中!

メルマガの配信をご希望の方は右のボタンより登録ページへお進みください。

マーケットビュー メルマガ登録

セントラル短資FXで取引をはじめる 当社でお取引をご検討の方

無料セミナ―を受講する

セントラル短資FXが提供する無料セミナー

「マーケットビュー」執筆陣も出演中。外貨投資の基本からFXのトレードテクニックまで各種セミナーを開催しています。

取引をはじめる

オンラインでスピード口座開設 最短翌営業日で開設

口座開設

!
  • ※当社による情報サービスは、お客さまの投資判断に当たって参考となる情報の提供を唯一の目的としており、断定的な判断の提供や特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
    当社および情報提供者は、情報の正確性、完全性、適時性等を保証するものでは一切なく、情報の内容を予告なく変更する場合があります。また、当該情報の利用によって生じたいかなる損害についても、一切責任を負うものではありません。投資の最終判断は、お客さま自身で行ってくださいますようお願いします。
    当社が提供する情報の著作権は、セントラル短資FX株式会社または情報提供者に帰属します。当社の事前の承諾なく情報の全部または一部を引用、複製、転送などにより利用することを禁じます。
マイページログイン
口座開設
わからないことは
0120-30-8806 携帯電話・PHSからもご利用いただけます。
ご利用いただけない場合 03-6833-0250

受付時間:午前08:00〜午後07:00(平日)