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マーケットビュー

金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

カーニー次期英中央銀行総裁の証言

更新日:2013年2月8日

先週日銀の白川総裁が任期満了の4月8日を待たずに辞任されるという報道がありました。私が住む英国でも、英国中央銀行 (以下、BOE) 総裁を8年間務めたキング氏が今年6月末に任期満了で引退します。そして次期総裁に決定したのは、現在のカナダ中央銀行総裁であるカーニー氏です。

カーニー氏って、一体どういう人物?」「BOE総裁として、どんなことをしようとしているの?」 今週木曜日に行われた英財務省公聴会での証言で、カーニー新総裁の横顔を知ることが出来ました。この公聴会は、議員が12〜13名出席し、矢継ぎ早に証言台に座った人物に対して、答えに詰まるような厳しい質問を浴びせかけるので有名です。一番最近では、昨年夏に金融市場を騒がしたLiborスキャンダルの責任を取り辞任に追い込まれたバークレイズ銀行の当時のCEOであったダイアモンド氏が、辞任の翌日にもかかわらずこの公聴会に呼びつけられ、証言台に座り必死で弁明していた姿が印象的でした。

英国では無名に近いカーニー氏にとって、木曜日の公聴会での証言が次期総裁任命後、初の公の場での登場となっただけに、金融市場関係者だけでなく報道関係や政府関係者も今回の証言には釘付けになったようです。

初の外国人総裁起用

319年という長い伝統を持つBOEですが、総裁に外国人を起用するのは今回がはじめてです。日本では考えられないことかもしれませんが、この国では中銀総裁を募集する時には、経済誌:エコノミストに広告が掲載され、条件を満たした人は誰でも応募出来ます。今回も50名ほどの応募者があったそうですが、最終的には異例とも言えるカナダ人の起用となりました。

オズボーン財務相が同氏を次期総裁に決定した最大の理由として、カナダ中銀の銀行監督能力の手腕が優れている点を挙げられています。皆さんもご存知のように、2008年秋に起きたリーマン・ショックによる世界規模の金融システム崩壊の影響で、英国では2つの大手銀行が一部国有化されたままとなっており、納税者による負担は未だに続いたままです。それと比較して、カナダ中銀の監督手腕が優れていたおかげか、カナダの金融機関は国有化や政府による大規模な財政支出による援助なしに、難を切り抜けたという経緯があります。

タカ派?それともハト派?

今回の証言に先立ち、私が最も知りたかったのが「カーニーさんの金融政策スタンス」でした。同氏は現在もカナダ中銀総裁ですが、残念なことにカナダ中銀は金融政策理事会の議事録を公開していないので、この人のスタンスは未知数となったままです。

ある大手欧州系銀行の調査部の書いたものを読んだところ、この銀行の見解として、カーニー氏はG7各国の中央銀行総裁の中では「タカ派」に属する人物であると書かれています。しかしそれに反して、事前の市場予想では、追加金融緩和策導入も辞さない「ハト派」または「超ハト派」という方向へ傾いていた***だけに、証言での発言は注目を集めました。

最終的には、予想よりもハト派でない。しかし決してタカ派でもない。かといって、簡単に「中立」と片付けるのも悔しいので、とりあえずBOE総裁になった時の議事録を読むまで判断は預けておこう… という非常に歯切れの悪い結果となっています。

インフレ・ターゲットなのか?名目GDPターゲット導入なのか?

次期BOE総裁指名を受けて以来、同氏は‘’緊急時に限った一時的措置‘’という前提を付け、伝統的にBOEが政策手段として使っている「インフレ・ターゲット」ではなく、「名目GDPターゲット」導入に前向きであると受け取れる発言を何度か繰り返しました。今回の証言でも、市場関係者の関心は、「果たしてBOEの政策手段が大きく変更されるのか?」に集中していました。

結論から先に申し上げますと、カーニー氏は、名目GDPターゲットよりも、‘’柔軟性を持たせた‘’インフレ・ターゲットへの変更を強く支持する発言内容となっています。

話が前後して恐縮ですが、カーニー氏の政策スタンスについて、市場が「ハト派・超ハト派」***と予想していた理由は、名目GDPターゲットを導入した場合、実質GDPとは違ってインフレ変動率を考慮せずに済みますので、ここから更にガンガン追加緩和策を実施して景気浮揚のきっかけを作ることが可能となります。まぁ、英国のように成長率はマイナス、でもインフレは高いというミックスした経済の国にとっては、非常に受け入れやすい政策手段であることには間違いありません。そして当然と言ってしまえば当然ですが、英国の金融政策手段などの枠組みを決定する権限は財務省にあります。カーニー氏が就任決定後から盛んに名目GDPターゲット導入を示唆するような発言を繰り返していたからには、オズボーン財務相もある程度は政策手段変更に対し柔軟な態度を示しているに違いないと、市場では勝手に解釈し、ますますカーニー・ハト派説が形を成してきたのです。

それでは同氏が推奨する‘’柔軟性を持たせた‘’インフレ・ターゲットとは何なのか?についてですが、カナダ中銀は5年に一度、インフレ・ターゲットの見直しをしているそうです。それに対し、英中銀の2%というターゲットは2003年12月に当時のブラウン財務相が決定したものを、現在も継続使用している状態です。このチャートは2003年から2012年12月までのCPI率の推移を表したものですが、2%ターゲットを青線・±1%の容認バンドを水色線で表してみました。英中銀の金融政策の目的である「物価安定」を維持するためには、上下の水色線の中でCPIが推移することが望ましいのですが、現実はご覧の通り、金融危機が悪化した2008年以降、何ヶ月にも渡って水色の線をはみ出してCPIが上昇しているのがわかります。

私はカナダ中銀がインフレ・ターゲットの見直しを5年に一度していることは今回の証言を聞くまで全く知りませんでしたが、必要に応じて臨機応変な柔軟性を持たせることは度を過ぎなければ有効な手段として使えるのではないか?という印象を持ちました。

英中銀の北米化 その1

カーニー氏の証言を聞き終えて、私が少し心配になったのは、英中銀がジワジワと北米化していくのかしら?ということでした。ここでいう『北米化』の代表的なものとして、フォワードガイダンスがあります。

この聞きなれない「フォワードガイダンス」とは何か?を簡単に説明しますと、中央銀行が現在の金融政策を‘’いつまで継続するのか?‘’を教えてくれることです。ここでは米FOMC (連邦公開市場委員会) を例に取りますが、2008年暮れに米FRB(連邦準備制度理事会)が政策金利であるFFレートを0〜0.25%に設定した頃から、このフォワードガイダンスを導入しています。金利をこれ以上は下げられないため、FOMCの声明文ではゼロ金利の継続期間を「For some time しばらくの間」 ⇒ 「For an extended period 長期に渡り」と変更し、ゼロ金利の長期化を市場に伝えました。そしてその後、「at least through mid-2013 少なくとも2013年中盤までは」と具体的な継続時期を明記しはじめたのです。つまり声明文を通じて市場とのコミュニケーションを図りながら、ゼロ金利はあと数年続きますよ…という明確なシグナルを送ったことになります。

今回この原稿を書くにあたって調べていくうちにわかったのですが、米FOMCがフォワードガイダンス導入に踏み切るきっかけを作ったのが、他でもないカナダ中銀だったそうです。リーマン・ショック後の世界同時低金利時代に突入した時に、G7加盟国の中で唯一、超低金利の具体的な継続期間を市場に伝え、その後米FRBが同じやり方を採用したという経緯がありました。

果たして英国でこのフォワードガイダンスという観念がすんなりと受け入れられるのか?ですが、あまり自信がありません。既に英中銀金融理事会の理事からは、事前に期限を設定したコミットメントを伝えることに消極的な声が聞こえてきています。たぶんこの背景にはカナダと英国それぞれの中央銀行が金融政策を決定する上で大きな違いがあるからかもしれません。英中銀は9名の理事による多数決で決定し、議事録を公開しています。それに対し、カナダ中銀では意思決定は総裁にかなり委ねられているようですし、議事録の公開もありません。

将来何かのきっかけで、英中銀がフォワードガイダンスを導入したとしても、議事録公開により、9名の理事達の不協和音が決定的になってしまうと、逆にそれが市場をかく乱する悪い材料になってしまうことも考えあわせなければならないでしょう。

英中銀の北米化 その2

もうひとつの北米化とも取れる発言は、米FRBは「失業率目標(ターゲット)」の導入を昨年12月に決めましたが、英中銀も雇用やGDPなどのターゲットを導入したらいかがなものか?と示唆しています。

私はカーニー氏の証言を最初から聞いていたのですが、何度も何度も「長期失業者」とか「失業率」という雇用関連の単語がどんどん飛び交っていたので、「あれれ、ここはアメリカじゃないよ?」と思っていたのです。というのは、米FRBには『物価の安定』に加え『最大雇用の達成』という2つの金融政策目標が課せられています。それに対し、英国は『物価の安定』だけ。最近は『金融システムの安定』も加わりつつありますが、特に雇用という面からの催促はされていません。

しかしカーニー氏の証言では、もっと‘’市場とのコミュニケーション‘’をはかる手段のひとつとして、この雇用やGDPなどの具体的なターゲットを明記することを挙げています。私個人の意見としては、英国に住んでいる者として、雇用促進は政府だけでは出来ない仕事なのかもしれませんが、中央銀行が果たしてどこまで政治的なコミットメントに踏み込んでよいものなのか?正直疑問です。これに関しては、今後かなり議論を繰り返すことになると思っています。

最後に

英国に新しい風を吹き込んでくれるであろうカーニー新総裁の就任は、伝統という名に隠されてきた固定観念を取り払う上でも、歓迎すべきことかもしれません。

しかし北米型経済モデルと英国のそれが、どの程度似かよっているのか?北米式金融政策決定過程が、英国でも抵抗なく受け入れられるのか?万が一受け入れられたとしても、それが正しいことなのか?など、疑問が次々わいてきます。

緊縮財政策の手詰まり感から、オズボーン財務相が最大限の期待をかけている新総裁ですが、財政面で八方塞がりなので、是非とも金融で抜本的改革をして、景気浮揚につなげて欲しいという願望が強すぎて、その重荷をカーニーさん一人が背負い込むことだけは避けて欲しいと思いました。英中銀の政策決定はあくまでも「多数決」であり、カナダ中銀時代のような「総裁決定」が無理であることも、時としてはカーニーさんをイライラさせることでしょう。

私も英国に住んで25年になります。「日本の常識は世界の非常識」という言葉もあるほど日本は特殊な国ですが、英国も同じくらい変わった国です。この国の人達の頑固さ、柔軟なところは驚くほど柔軟なのですが、時と場合によっては変化を受け入れない頑なさなどがあります。

今回の証言を聞き終えた英国のメディアは、「カーニーさんが英中銀の伝統的なシステムに慣れるには、少なくとも半年、長ければ1年かかるだろう」という感想を書いていました。私も全く同感です。同氏は13年間、ロンドンのゴールドマン・サックスに勤務していた経験もあり、奥様も英国人のようですので、英国通かもしれません。しかしいざ中央銀行の総裁となれば、景気浮揚のきっかけを手探りで探し続けることになるでしょう。カーニー新総裁の活躍を祈るばかりです。

本当にこれが最後になりますが、カーニー氏は『中央銀行界のジョージ・クルーニー』という異名を持っており、言われてみると確かに他の中銀総裁と比較した限りでは、ハンサムな男性です。英メディア関係者の中でも、とりわけ女性陣の受けが非常に良いのには、納得してしまった私です。それに対して、男性陣からは、同氏がロック・グループのAC/DCのファンであることから、同グループのヒット曲「Highway to Hell (地獄への道)」にちなんで、英国の金融政策の舵取りを間違えて、英国を地獄に落とさないようにしてくれと書いている新聞があり、読みながら笑ってしまいました。

 

松崎美子

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