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金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

キャメロン首相「英国と欧州」スピーチ

更新日:2013年1月25日

今週水曜日に、英国に住む私達が待ちに待ったキャメロン首相のスピーチがありました。私はこの国に住んで25年になりますが、首相の演説をこれだけ待ち焦がれたのは、はじめての経験です。

本当なら1月18日にアムステルダムで行われるはずであったスピーチですが、アルジェリア人質問題の悪化でキャンセルされました。同首相は『欧州大陸』の都市でこのスピーチを行い、EU関係者に直接訴えかけたかったという強い希望があったので、水曜日のスピーチがロンドンで行われたことは、同首相にとって非常に残念な結果になったと言えるでしょう。

38分に渡る演説は、私にとって衝撃的な内容となりました。既にスピーチ内容が漏れており、何も目新しい内容はない!と断定的な決め付け報道をしていたところもあったせいか、やはり最後まで聞いた時にはショックを受けました。

今回のスピーチに関する簡単な説明

かなり長いスピーチですので全内容は書けませんが、今回のスピーチについてのざっくりしたまとめです。

1)どうしてこのようなスピーチをしなければならなくなったのか?

先週のコラム記事内「英国のEU離脱について」でも書いたように、国民だけでなくキャメロン首相率いる保守党内部でも、「英国とEUとの関係をはっきりする時期が来た」という認識が急速に高まりました。

それ以外の理由としては、EU内の17ヶ国は単一通貨:ユーロを使用しており、EUの中でもユーロ使用国とそうでない国との『二極化』が避けられない状態となっています。英国は現在も、そして将来もユーロを使用することはないでしょう。キャメロン首相は、この二極化によって生じる問題点や解決方法を新たに明記したEU条約の改正を希望しており、その改正の際には是非とも英国とEUとの新しい関係を盛り込みたいという意欲を燃やしています。

2)英国とEUとの関係について、キャメロン首相はどう語ったのか?

EUから英国へ一部の権限を取り戻すための交渉に入ります。そして交渉内容が最終的に決定されたら、2017年に「EU残留・離脱」を問う国民投票を実施する予定となりました。(注:下記の「問題点」も併せて参考にして下さい)

3)どのような権限をEUから取り戻したいのか?

キャメロン首相はスピーチの中では具体的な言及は避けましたが、事前に出た数々の報道を見る限り、EUの影響力が強い『法律・雇用・環境問題』などについて変更を希望しているようです。具体的な例としては、労働時間の上限や年間有給休暇の日数設定に関してなどです。

4)この一連の動きの結果、英国はEUを離脱してしまうのか?

キャメロン首相自身の意見として、「EU離脱には反対する」とはっきり言っています。しかし最近行われたBBCラジオでのインタビューでは「万が一英国がEUから離脱したら、この国は崩壊するでしょうか?いいえ、そんなことは絶対にあり得ません。英国は他の選択をしながら、生き残っていける自信があります。」と答えている点も気になるところです。

キャメロン演説の問題点

・事前のマスコミの情報との食い違い

事前に漏れた内容としては2段階の国民投票となる予定だったようです。それは

1)EUとの関係内容変更後、新しいEUと英国との関係について国民投票実施

2)新しい関係の内容に国民がNOという意見を出せば、その後あらためて
 「EU離脱・残留」を問う国民投票を行う

  ↓

しかし、実際の演説では、いきなり「EU離脱・残留」を問う国民投票を行うことになりました。

・国民投票時期

事前のマスコミの情報では、国民投票は早くても2018年頃に実施

  ↓

実際の演説では、2017年となっています。

・キャメロン続投の可能性

2017年の国民投票が実現するためには、2015年の次期総選挙で保守党が政権をとり、尚且つ『キャメロン氏が首相を続投』することが大前提条件となります。言葉を変えれば、最大野党の労働党が政権を取る、または保守党政権が続いたとしても、それまでに党首が変更になっていれば、この国民投票の実施は白紙に戻る可能性が高いです。

・2015年次期総選挙

キャメロン氏にとって、次期総選挙で自分が首相に再選されるためには、「反EU票」の獲得が必要となります。そのため、反EU色の強い選挙公約を挙げるかもしれません。そうして首相に再選された場合は、EUから英国への権限奪取の要求がエスカレートしてしまう危険性と背中合わせになるかもしれません。

・最大野党:労働党の動き

今まで労働党は国民投票実施に反対姿勢を保ってきました。しかし遅かれ早かれ、2015年次期総選挙前には、「国民投票実施」を選挙マニフェストに入れるかどうかの決定をしなければなりません。労働党のミリバンド党首は特に国民投票に否定的であることを考えると、労働党の党首が変更せずに2015年の選挙戦に突入した場合、国民投票実施の選択を加えない選挙公約が出来上がる可能性が出てきます。その場合、保守党は「労働党は国民に選択の余地を与えない」という攻撃に出ることは間違いありません。

しかし逆に、労働党が選挙公約に「労働党政権の間(2015〜2020年)、英国はEUに残留する」と掲げた場合、労働党にとって有利になるとも考えられます。その理由は、その頃までに現在の「反EU」ムードがビジネス界を中心に変化することが考えられるからです。

・英国への投資意欲減退?

これは私が一番心配していることですが、EUにおける将来の英国の地位が不透明になるため、状況がはっきりするまで(早くて2015年、遅くて2017年)企業による英国への投資意欲が冷えるだけでなく、年金などの大口投資家達による英国投資も及び腰になると考えられます。

・EU側の対応

EU加盟国中、17ヶ国でスタートしたユーロですが、3年続いた債務危機が小康状態を保っています。昨年後半にはユーロ圏統合の深化を目指す4本の柱のひとつ『銀行同盟』の枠組みが設定されました。

一連の「ユーロ圏の統合」が進み、ユーロ圏の深化が決定的となれば、それと歩調をあわせる形でEU加盟国によるEUの深化が強まる可能性は、無きにしも非ずでしょう。英国がEUとの関係についてどのような交渉をするのかは判りませんが、内容の変更にはEU条約の見直し/変更が付きまといます。2017年頃になり、EU加盟国がEU条約変更を求めなかった場合、新たな問題が発生することも考えておくべきでしょう。

国内外からの反響

・連立相手である自民党:クレッグ副首相

英国は保守党と自民党との連立政権であり、国民投票実施も含めた政策決定に関しては、連立の両党が合意すべき問題である。なにごとにも「適切な時期」というものがあるが、この時期における国民投票の実施の約束は、将来の不透明感から生じる雇用機会の喪失や英国への投資意欲減退を生み出すため、国民が望むものではないという認識を私は持っている。

・英国独立党(UKIP):ファラージ党首

我々UKIP党が存在しなければ、キャメロン首相の演説は実現しなかった。そう考えると、UKIP党が有権者に与えた政治的意識の改革の意味は大きい。

・ブレア元首相

そもそもEU加盟国、特にユーロ圏加盟各国にとって非常に困難なこの時期を選んで、わざわざこういう内容の演説を行うこと自体、非常に心配なことである。EUと英国の関係を見直す際に、よりにもよって「EU離脱」という選択肢を追加してしまったことにより、困難な状況をますます悪くしている。もし次期総選挙で保守党が勝てば、わずか4〜5年先に国民投票が実施されてしまう。ユーロ圏やEUが新しい統合に向けて動き出した今、どうして我々英国は新しい統合がどういう方向に動くのか、どういう形に収まるのかを見極める時間が取れないのだろうか?統合の深化に英国が力を貸すことが出来ないのだろうか?
EUは世界最大の政治連合であり、ビジネス市場でもある。21世紀の英国が、この世界最大のマーケットの重要なプレイヤーでいられなくなるかもしれないという事実には恐怖さえ覚える。

  ↓

ブレア元首相は2010年に辞任して以来、現職の首相に対して‘’一切コメントを控えていました‘’。ですので、今回わざわざ同氏がキャメロン首相に対して自分の意見を伝えた事実は物凄いことなのです。

・メルケル独首相

ドイツ人として、そして私個人として、英国がEUに残留することを強く望む。英国がEUと交渉するのであれば、ドイツは前向きに対応する用意がある。しかしここで忘れてならないのは、加盟各国全てがそれぞれの希望を持っているが、全ての希望を聞き入れることは不可能であるため、どこかで妥協点を見つけなければならないこともあることだ。

・ヴェスターヴェレ独外務相

ドイツは英国のEU残留だけでなく、今後も活発にEUのために行動してくれることを希望している。債務危機を乗り越え、よりよい欧州を実現するためには、分裂でなく統合が求められる。どの加盟国もブリュッセルの決定に対して全面的に合意している訳ではない。反対意見を持つこともあるだろう。しかし自分に都合のいい「いいとこ取り」は決して許されるべきではないだろう。

・モンティ伊首相

国民投票が実際に行われた時に、英国民が「EU残留」を選択することを切に希望する。EUは「心半分の加盟国」は必要ない。心の底からEUに残りたい国が残るのだ。

・ファビウス仏外務相

我々は英国の前向きな態度をEUに残してくれることを期待している。しかし英国が希望しているような「いいとこ取り」はEUには通用しない。先日英国のビジネス・グループと逢った際に、彼らは英国のEU離脱について非常に心配していた。そこで私はこう言ったのさ、「英国がEUから離脱したいのなら、我々はレッド・カーペットを引いてあげる」ってね。

・マンデルソン元欧州議員(通商問題担当)・労働党スピンドクター

キャメロン首相の演説により、英国はEUに対して「期限付きの三行半」を突きつけた形になってしまった。つまり2017年という期限をつけたことにより、EUとの交渉では英国にとって最善な選択が出来るという保証はなくなり、時間に追われた交渉となってしまうだろう。 キャメロン首相が行おうとしていることは、EUをセルフサービスのカフェテリアに置き換えれば、自分の都合のいい時間にカフェテリアに入り、好きな食べ物だけをトレーに乗せ、食べ終えたらそのままトレーをそこに置いて帰ってしまうことと同じである。 そして更に怖いことに、キャメロン首相はEU加盟国の頭にピストルをつきつけ、自分の欲しいものを奪おうとしており、最終的には同首相の思うようにはならないだろう。

・サザーランド元BP(英国石油)会長・元WTO事務局長

キャメロン首相の演説を聞いて、心底嫌な気分になっている。EUとの新しい関係を見直すというからには、今後数年に渡り英国を取り巻くビジネス環境に不透明感が出てくることを意味するからだ。

・EU高官

英国が交渉開始するということは、パンドラの箱を開けたようなものだ。他のEU加盟国も同様に自分達の要求を主張しはじめるかもしれない。下手をすると、交渉開始前にEUが英国に対してドアを閉めてしまうかもしれない。

・中国ビジネス界

2017年にEU離脱をかけた国民投票を実施する可能性があるということは、今後の英中関係に冷や水をかけることとなる。EUは中国の最大の貿易相手であり、英国がそこから抜けたら、中国のビジネス・リーダー達は英国投資に二の足を踏むだろう。 もし英国のEU離脱が実現したら、英国と米国の関係はますます強化される筈だ。米国は中国とは最高の関係を築いているとは言えないことを考慮すると、米英関係の強化は我々にとって問題となるかもしれない。

・インド外務省関係者

英国は「ヨーロッパ」へ向くか、「米国」へ向くかの選択に悩んでいるようだ。インドと英国の貿易関係はこれからますます重要となるが、英国がEUに残留しようが、離脱しようが、我々にとってはその決定にはあまり意味がない。

・仏ルモンド紙

キャメロン首相は一部の有権者や他のEU加盟国が「そんなことをしたら、大変な結果を招くことになるぞ!」という忠告を無視し、国民投票実施を支持する保守党内の反欧州議員の意見を取り上げた。

興味深い世論調査結果

今週月曜日に世論調査会社:YouGovが発表した「英国EU残留・離脱」に関する世論調査結果ですが、ここ2〜3ヶ月の間に国民意識が随分変化したことが判ります。

1)EU残留・離脱について

  • 昨年11月27/28日
    ・英国のEU残留を希望 30%
    ・英国のEU離脱を希望 51%
    ・投票を棄権する 5%
    ・わからない 14%
  • 今年1月2/3日
    ・英国のEU残留を希望 31%
    ・英国のEU離脱を希望 46%
    ・投票を棄権する 6%
    ・わからない 16%
  • 今年1月17/18日
    ・英国のEU残留を希望 40%
    ・英国のEU離脱を希望 34%
    ・投票を棄権する 5%
    ・わからない 20%

2)支持政党別変化

(残留希望をプラス、離脱希望をマイナスとして、計算したもの。
プラスの数字が大きければ大きいほど、残留希望者が多い。マイナスはその反対)

  • 昨年11月27/28日
    ・全体の数字 −21%
    ・保守党支持者 −48%
    ・労働党支持者 −12%
    ・自民党支持者 +4%
  • 今年1月17/18日
    ・全体の数字 +6%
    ・保守党支持者 −23%
    ・労働党支持者 +31%
    ・自民党支持者 +31%

2つの世論調査結果から言えることは、昨年末のEU離脱ムードが高まった時には感情的になり「EU離脱」を選んだ有権者達も、時間が経つにつれ冷静に自分の考えをまとめることが出来たのではないか?と思っています。

私の考え

この演説を聴き終わった時に私が真っ先に感じたことは、「英国とEUの関係を決定する権限は、首相の手から離れ、国民に委ねられた」ことでした。一国の首相である限り、この決定は間違っていると思います。

私自身は英国のEU残留を望んでいますし、「残留か離脱か?」という二者択一式の国民投票実施には反対です。特に独仏それぞれの外務相が語っているように、英国はそういうつもりではないのかもしれませんが、いいとこ取りとも言えるアプローチをしている限り、得るものは少ないように感じてなりません。

英国に住み、今回の一連の動きを見ている者としては、国民投票実施の約束を含めた今回の演説は、有権者を納得させるためよりも、保守党内部の反欧州議員の機嫌取りとしか思えません。キャメロン首相は自分が党首を務める保守党をまとめきれずに、どうやってEUを相手に内容変更交渉をしていくのでしょうか?

私は労働党の支持者ではないので、ブレアさんが首相だった時は一日も早く首相が交代してくれたら嬉しいな… と考えていた一人です。しかし本日の演説に関するブレア氏の意見には、納得出来る点が数多く見られたことに、私は驚きました。

演説とポンド

最後になりますが、キャメロン首相の演説が及ぼすポンドへの影響を考えてみたいと思います。

正直言って、EUとの関係変更の交渉内容が全く判らないため、果たして交渉期間はどのくらい継続するのか?EUにとっては無理な要求なので、やたら時間がかかってしまうのか?そもそも、EU側が英国からの一方的とも取れる要求に耳を傾けてくれるのか?など、判らないことだらけです。

しかし、先ほども書いたように、この不透明感は少なくとも2015年の次期総選挙まで継続することは確実となりました。やっとユーロ圏債務危機が小康状態を保ち、中国の景気回復期待が高まりはじめた今、世界経済が穏やかな回復基調に入った可能性も考えられます。そんな大事な時に、今後2年間も英国を取り巻く環境が不透明になることは、英経済にとっては大きな打撃となるでしょう。

もし私がビジネスのために英国へ投資を考えていたとしたら、2017年にEUから離脱するリスクのある国への投資には二の足を踏むでしょう。同じく、年金などの大型投資をする人達にとっては、2015年の次期総選挙での展開を予想し、尚且つ2017年のEU離脱の可能性まで考えなければならないのであれば、英国から離れていくことになるのかもしれません。

2013年は英国の厄年になるのでしょうか?キャメロン首相が打ってでた政治的なギャンブルですが、大きな政治的ミスを犯したような気がしてなりません。私自身としては、今回の演説を受けて、ますますポンドに対するネガティブ要因が増えたように思います。

 

松崎美子

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