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金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

「財政の崖」回避

更新日:2013年1月4日

年末から年始にかけ、私はテレビに釘付けになって米政府と上院指導部による「財政の崖」回避に関する報道を見ていました。クリスマスが終わった時点でオバマ大統領は何度か緊急的な声明を出したりインタビューに応じており、国民に対し政府の協議課程を説明する機会を設けていました。しかしその内容は歯切れの悪いものとなっていただけに「下手すると回避は無理かもしれない。」と心配したものです。

「財政の崖」から転落、その後救助

結果から申し上げますと、減税失効と歳出の強制削減が重なる「財政の崖」回避期限となっていた米東部時間2013年1月1日午前零時(日本時間同日14時)直前に超党派での合意に達したものの、議会による法案採決はそれまでに間に合いませんでした。最終的には回避期限を2時間過ぎた1月1日午前2時(日本時間同日16時)という異例の時間に上院での採決が行われ、賛成89票対反対8票という大差をつけ、同法案は可決されました。

その後、下院での採決が行われ、

賛成⇒ 民主党 172票+共和党 85票 (合計:257票)
反対⇒ 民主党 16票+共和党 151票 (合計:167票)

となって可決され、翌日にオバマ大統領が法案に署名しました。今回の決定を受けて、米国は一時的にせよ「財政の崖」からまっ逆さまに転落したものの、途中で救助された形となったとも言えるでしょう。

合意内容

今回可決された「財政の崖」回避に関する合意内容は以下の通りとなっています。

(1) 今後10年に渡り、富裕層への増税などを通じて6,200億ドル規模の歳入増をはかる
(2) 歳出の強制削減を2ヶ月先送り。その間に下院では代案を協議する
(3) ブッシュ前政権で導入された減税の恒久化
個人年収40万ドル以下、または世帯年収45万ドル以下に対する減税の恒久化、 この年収を超える層に対する所得税は現行の最高税率を35%から39.6%へ引き上げる
(4) 夫婦の住居が1,000万ドルを超える場合、固定資産税は現行の35%から40%へ引き上げる
(5) 所得の最初の11万3,000ドルに対し税率を現行の4.2%から6.2%へ引き上げる
(6) 個人年収40万ドル以上、または世帯年収45万ドルを超える層に対するキャピタルゲイン税/配当税率を現行の15%から20%へ引き上げる
(7) 個人年収25万ドル以上、または世帯年収30万ドル以上を対象に、所得税の基礎控除、項目別税額控除に上限を設定
(8) 200万人の失業者に対し、失業手当て金給付を1年間延長
(9) 子供税額控除、勤労所得税額控除、授業料に関する税額控除を5年間延長
(10) 研究開発投資税額控除、風力発電への設備投資に関する生産税控除を2013年末まで延長
(11) メディケア(高齢者向け公的医療保険)患者を診療する医者への報酬削減を回避

各業界からの反応

国際通貨基金(IMF)

米議会が増税と歳出削減を回避し、失業給付金支給を2013年中継続するという決定を歓迎する。この合意がなされなければ、米国の景気回復は大幅に遅れることになったであろう。しかし弱々しい景気回復を傷つけずに公的財政を持続可能な経路に戻すためには、さらなる努力が必要である。

特に、歳入増と中期的な歳出抑制をともに確保する包括的な計画を、可及的速やかに承認するべきだ。それに加え、議会が債務上限を迅速に引き上げ、歳出の強制削減と期限を迎えた歳出予算法をめぐる不透明感を取り除くことも重要だ。

強制的な歳出削減開始の2カ月先送りが盛り込まれたことを受け、今後数ヶ月は議会で再び激しい攻防が繰り広げられるとみられている。

格付け会社:S&P(2011年に米格付けをトリプルAからAA+へ格下げ)

米両院での可決は、財政の崖回避には有益であり、米国が今すぐリセッションに逆戻りするリスクは一旦なくなった。しかし今回の合意は我々の米格付け中長期見通しを大きく改善することに対しては、あまり意味を持たない。

当社の見方では、米国がリセッションに逆戻りするリスクは10〜15%とみており、合意前に予想していた15〜20%のリスクよりは若干改善した。当社の2013年米GDP予想は+2.2%、2014年予想は+2.7%

米ムーディーズ

米両院での可決報道は、米国の財政赤字対GDP比が中期的に改善するという約束は、してくれない。当社としては、米国債格付け見通しを現在の「ネガティブ」から「安定的」へと導くためには、今後数ヶ月以内に、更なる財政規律の導入を経て、将来の財政赤字対GDP比の減少をはからなければならないと予想する。

特にここで明記したい点としては、今回の合意が「連邦債務上限の引き上げ」問題には全く触れていないことであろう。

Capital Economics(英シンクタンク)

今回の合意を受け、米国がリセッション入りするリスクがとりあえず遠ざかった。そして納税者に対する税率が決定され、不透明感が払拭された点は評価する。

今回の合意が確定するまで、個人や企業は将来の投資・消費を実施せずに我慢しなければならなかった。今回の合意を持って果たして企業や個人は計画していた投資などを実行に移すのであろうか?ここで問題になるのが「連邦債務上限の引き上げ問題」であろう。特に企業投資は、その問題が明らかになるまで今後数四半期は投資に消極的になるかもしれない。

中期的に米財政の安定が不確かである点を考慮すれば、米国は今年、新たな格下げのリスクにさらされることは間違いない。もちろん、追加の格下げが自動的に米国債利回りを押し上げる訳ではないし、その結果ドルが急落することが約束されている訳でもない。

今回の「財政の崖」合意後の市場の反応は、株高・商品価格高・米長期金利高(国債価格下落)、そしてドル安となっており、この反応を見る限り、米国の将来の財政不安を懸念するというよりかは、投資家達はリスク志向を増しているというポジティブなものとなった。

最終的には、今後の米議会の財政問題に対する取り組みの内容いかんでは市場がネガティブに反応する機会が出てきて不安定な動きを増す可能性は高い。

米シティー銀行

米両院に於ける合意に至るまでの過程は醜いものとなっただけでなく、最終合意内容も十分に満足できるものとは言いがたい。そのため、米国の更なる格下げは避けられないと当行は予想する。

ここで問題となるのは、とりあえずの合意を受けて米国のマクロ経済的な面では改善が見られるであろうが、長期的な財政安定に関しては(今回の合意は)あまり意味を持たない点であろう。そのため、当行は長期的にドルに対しネガティブな材料となると見ている。

CDSや米長期金利の動向を見ると、ここから2ノッチかそれ以上の格下げが実際に起こった場合、米国債の利回りの上乗せ金利(リスク・プレミアム)が問題化し、米国の借り入れ金利の大幅上昇につながると考えられる。ただし米連銀(FED)が国債買い支えなどで協力体制を強化し長期金利上昇スピードを鈍化することに成功すれば、リスク・プレミアムの幅もだいぶ変わってくることは考えられる。

いずれにせよ、こういう危なっかしい状態が続く限り、市場の信頼はドルから離れていくことになるであろう。

今回の合意内容が与えると思われる影響

果たして今回の合意内容が不十分と判断され、実際に格下げが起こった場合、それが即刻ドル売りに繋がるか?については、個人的には懐疑的です。

しかし合意に至るまでにオバマ大統領が何度か行ったインタビューを全て聞いた私にとって、同大統領が『“アメリカのミドルクラス(中間層)”が絶対に損をしない合意内容にしなければならない』という言葉を繰り返し使っていたのがとても印象的でした。そこまでオバマ大統領が強調する『ミドルクラス』の人達とは一体誰なのか?そしてその人達にとって、今回の内容はそれほど好意的なものとなったのか?が非常に気になります。

まず米国の『ミドルクラス』の定義とは何か?を調べてみたのですが、昨年11月に実施された米大統領選挙中の両候補の演説を比較してみた場合、ロムニー候補はミドルクラスを「年収20〜25万ドル、またはそれ以下の人たち」と定義しているのに対し、オバマ大統領は「年収25万ドル以下の人たち」と語っていました。

年収20〜25万ドルという数字を単純に英国ポンドに直してみた場合、私が住む英国ではとんでもない高額所得者となるだけに、「アメリカのミドルクラスのハードルってそんなに高いの?」と腰を抜かすほど私は驚きました。そうなるとアメリカの平均賃金は英国と比較して何倍も高いに違いないと決めてかかり、早速一番最近の米国勢調査2010年版を見てみました。そこで更に驚いたことには、全米平均年収は50,502ドルとなっており、これは英国の平均年収25〜30,000ポンドと大差ないと知ったのです。

これは2010年版米国勢調査での所得配分表をもとに自分で作成したグラフですが、労働者のほぼ半分に当たる人たちの年収は25,000ドル以下となっており、所得を5つに分けた上での『厳密な中間所得層(ミドルクラス)』は年収38,500〜62,400ドルとなるそうです。「富裕層」つまり20〜25万ドル以上の年収を受け取っている人たちの配分比率を調べようとしたのですが、国勢調査の年収欄には「個人所得10万ドル以上」という区分けが最高額となっており、結局わからずじまい。いろいろな報道を読み漁った結果では、(個人ではなく)世帯収入が25万ドル以上の人達は全労働人口に対しわずか1.5%、逆に一番最新の貧困層の定義は「年収23,050ドル以下」となっているため、単純計算をした場合、全労働人口の約75%が『ミドルクラス』に属する計算となるようです。

これらミドルクラスの保護を前面に打ち出すはずであった「財政の崖」回避ですが、最初に書いた「合意内容」のD所得の最初の113,000ドルに対し税率を現行の4.2%から6.2%へ引き上げるという部分が、ミドルクラスが直面する『増税』となることが判りました。この2%の増税は年収35,000ドルの人にとっては年間700ドル(毎月約58ドル)、50,000ドルの人にとっては年間1,000ドル(毎月約83ドル)、そして113,000ドルの人にとっては年間2,275ドル(毎月約190ドル)の増税となります。これをアメリカ全体の数字で見た場合、年間で1,150億ドル分の可処分所得減少となります。この数字は米GDPの0.76%に値します。

しかし歳出の強制削減を2ヶ月先送りしたため、今年3月に代案が引き出されず一番被害が及ぶと思われる“国防費削減”が現実のものとなってしまった場合、それに伴う防衛関連業務に携わる人達の解雇が断行されるため、失業率増加が懸念されます。米連邦公開市場委員会(FOMC)で失業率6.5%というベンチマークを設定し、金融政策の目安にしていることを考えあわせれば、歳出の強制削減が直接失業率上昇に直結するのか?あと2ヵ月後の決定が非常に気になるところです。

 

松崎美子

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