火曜 和田仁志が斬る、相場のセンチメント 相場の今の"空気"を読み解く

もやもや感

更新日:2017年7月25日

先週は、東京市場が3連休となりましたが、週明けからトランプ米政権の運営執行能力に対する不安が再び台頭することになりました。3連休後の18日東京市場、為替市場はユーロドルの急伸につられるかたちで全般ドル売りに。ユーロドルが1.1500ドルを上抜け、断続的にストップロスを巻き込むかたちで上げ足を速めたのは、象徴的な動きでした。夏休みをずらしてまで米議会で続けられていた「ヘルスケア法案」が、一部米共和党議員の反対から「法案通過」の見通しが立たなくなったことも、ドル売りを後押ししました。

一部からは「財政の崖問題の時と同様に、ぎりぎりまで粘って、結局は成立させる以外に選択肢はないはず」との冷静な声も聞かれましたが、トランプ米大統領がツイッターで呼びかけたように、「白紙に戻して民主党と協力して法案を通過させる」には、まだまだ紆余曲折あり、といったところです。結局、「オバマケア廃止法案」だけを通し、「ヘルスケア代替法案」は作り直すことになっていますが、本日25日になってもその行方は定まっておらず、政権運営への不透明感は高まるばかりとなっています。

そして、現在の相場を示すには象徴的な動きとなったのが20日の海外市場でした。この日行われたECB定例理事会では、予想通り政策を据置き。声明文でのガイダンスが前回同様であったことを確認した市場は、ユーロドルを売り込むことになりました。ただ、その後に行われた定例理事会で、ドラギECB総裁は「インフレが目標に達することに自信」を示したほか、「景気の一層の上振れに向けて勢いが増している」との強気の見解。さらには「秋にも政策を決定する」と思わせぶりな発言が続くと、一転してユーロドルの買い上げとなりました。

ロシアゲート疑惑を捜査しているモラー特別検察官が「トランプ米大統領のビジネスに捜査範囲を拡大した」ことが一部で報じられたこともドル売りを後押しすると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが加速しました。

20日の東京市場では、日銀金融政策決定会合で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の継続を確認したほか、物価上昇率2%の達成目標を2019年度に1年間先延ばしした上で、目先のインフレ見通しも引き下げました。黒田日銀総裁の会見でも日銀の金融政策が他とは全く違う方向に向いていることを確認することになっています。

「金融政策の方向性の違い」といった、現在相場のテーマとなっている大きな動きに加え、トランプ米政権に対する不透明感の再浮上が、先週の市場を支配したといっても過言ではありません。

ドル円は、18日付けの投機筋の先物ポジションを見ても明らかなように、円ショートポジションは引き続き拡大しています。この数字が意味するところは、「市場が既に円キャリートレードを志向してその方向性を模索し始めている」ことの証にもなるわけで、目先のドル円の下落といった「短期筋中心のポジション調整」とは別々に認識しなければなりません。

前回の「注目通貨ペア!」の振り返り

先週の「注目通貨ペア!」

ドル円

先週のドル円は売られる展開となりました。3連休明けから米長期金利の低下を受けて、売りが先行。ユーロドルが急騰したことも、売りを後押し。週末には一時111.014円まで値を下げています。市場ではモラー特別検察官が捜査対象を「トランプ米大統領のビジネスまで拡大」したことが報じられるなど、米政権運営能力に対する不安が再び台頭したことで、ドルが全面的に売られる展開となりました。20日には日銀が金融政策決定会合で政策の維持を決めたものの、反応は限定的となっています。

今週のワタシの「注目通貨ペア!」

今週の「注目通貨ペア!」

ドル円

今週のドル円は引き続き神経質な動きを予想しています。下値では、一目均衡表雲下限の110.78円が目先の目処として意識されているほか、24日の安値110.624円がサポートレベルとなっています。5月18日の安値110.238円もポイントです。上値では、50日移動平均線の111.63円がとりあえずの目処となっていますが、200日移動平均線の位置する111.97円や、一目均衡表転換線の112.10円、20日の高値112.42円がレジスタンスレベルとして意識されています。今週は25-26日にFOMCが開催されますが、イエレンFRB議長の会見などは予定されておらず、政策の変更なども予想されていません。ただ、「資産正常化プログラム」の開始時期に何らかの言及があった場合には、市場の反応が大きくなる可能性もあり、注意したいところです。