火曜 和田仁志が斬る、相場のセンチメント 相場の今の"空気"を読み解く

ダイナミック

更新日:2017年6月20日

先週は、FOMCを挟んで市場はダイナミックな動きとなりました。前週末から米株式市場では、「ヒンデンブルグオーメンが点灯した」と、短期筋にとって恰好のネタが出回るなどの大騒ぎ。週明けのナスダック指数が1.5%の急落となると、日経平均先物も下落。ドル円は一時109.633円まで売り込まれることになりました。ただ、引けにかけてはナスダック指数もダウ平均も急速に買い戻されることに。引け方からすれば、一旦は目先の下値を確認したかたちとなりましたが、結果的にはFOMCを前にしたポジション調整の域を出ないものとなりました。

そして迎えた14日、ドル円はFOMCを前にして5月米CPIが▲0.1%と、予想の横ばいを下回る弱い数字となったほか、5月米小売売上高も予想を大幅に下回る結果(▲0.3%)になると、米10年債利回りが2.1013%まで一気に急低下。ドル円も7日の安値109.118円を下抜け、一時108.93円まで売り込まれました。

FOMCは予定通りに政策金利であるFF金利を1.00-1.25%の誘導目標へと、0.25%引き上げることを決定。発表直後こそ108.833円まで値を下げたものの、その後は一転して買い戻しの動きとなりました。声明文には「政策正常化の原則と計画」が添付されており、その中身は「バランスシート正常化プログラム」の詳細が記載されていることが判明したほか、イエレンFRB議長の定例記者会見でも、「バランスシート縮小は比較的早期の実行もあり得る」との見解を表明。さらには、直近の弱いインフレ指標に対しても、「一時的な現象であって、ノイズに過ぎない」などの、市場参加者を驚かせる「タカ派」振りを見せると、ドル円は一気に109.867円まで買い戻されることになりました。

市場では、このイエレンFRB議長の「チキン」からの変貌振りが意味するところを詮索することになりましたが、「退任が事実上迫っている中で、最後の仕上げをきちんと実行しておきたい」との不退転の決意が、市場のこのところの弱めのインフレに対する認識をはるかに凌駕していたのかもしれません。

一部からは「バランスシート正常化プログラム」の詳細が既に決定していることから、「あとは開始時期のみ」との声も聞かれています。7月FOMCで「8月からの開始を決定する可能性」も浮上していますが、市場では「遅くても9月FOMCで決定される」との憶測も高まってきています。

イエレンFRB議長がやろうとしていることが「かなり鮮明となった」ことから、今後は市場(特に米債券市場)が、議長の花道を飾ろうと、その姿勢を一転させるかどうかにかかってきています。現状では、まだまだ当局の意図に沿うというよりは、イメージ的には「最後にきて何をもがいているのか。勇み足過ぎる」と全く敬意を示さない様子。

ただ、今週に入ってからは、市場のこの米金融政策に対する過小評価が、少しずつではありますが、変化の兆しを見せてきていることも確かです。

前回の「注目通貨ペア!」の振り返り

先週の「注目通貨ペア!」

ドル円

先週のドル円は買われる展開となりました。週明けは株安から売りが先行。FOMC直後には一時108.833円まで値を下げる場面も見られましたが、「バランスシート正常化プログラム」の詳細が明らかになったほか、イエレンFRB議長がタカ派的な発言を行うと、一転して買い戻される動きとなりました。翌15日には英MPC後のポンド円の急騰をきっかけに、上値を試す展開。週末には一時111.419円まで買い上げられています。ただ、5月米住宅着工件数や建設許可件数などが予想を下回る弱い数字となったこともあり、引けにかけては110円台半ばまで下押ししました。

今週のワタシの「注目通貨ペア!」

今週の「注目通貨ペア!」

ドル円

今週のドル円は底堅い動きを予想しています。目先大きなイベントがないとあって、材料不足の中、動きづらい展開となりますが、14日に一時108.833円と下値を確認したことから、全般買い戻しの動きが先行しそうです。下値では、200日移動平均線の位置する110.70円や16日の安値110.649円がサポートレベルとして意識されています。上値では、一目均衡表雲下限の111.82円や5月24日の高値112.127円がとりあえずの目処となっていますが、5月17日の高値113.136円がレジスタンスレベルとして意識されています。今週は、昨日のダドリー米NY連銀総裁、本日のフィッシャーFRB副議長をはじめ、FOMCのメンバーによる講演が数多く予定されており、米金融政策に対する発言などに注意したいところです。