火曜 和田仁志が斬る、相場のセンチメント 相場の今の"空気"を読み解く

絶対に違います

更新日:2017年4月25日

先週は、17日まで「イースター休暇」のロングウィークエンドとなったこともあり、週明けから市場流動性が薄れる事態となりましたが、休暇明け18日の海外市場では、ポンドの「殺人通貨」と呼ばれる所以をまざまざと見せ付けられることになりました。

欧州時間に入って直ぐに飛び込んできたのが「メイ英首相が何か会見するらしい」との話。市場では「健康上の都合から辞任するのではないか」といった、「いかにもありそうでもあり、なさそうでもあり、かなり微妙な噂」が広まると、ポンドドルは一気に1.2516ドルまでほぼ100ポイントの急落となりました。ただ、その会見が「6月8日に総選挙を前倒して実施する」ことだと判明すると、怒涛の買い戻しの動きへとつながっていきました。1.27ドル台半ばまで駆け上がった後、NY時間に入ってしばらくはもみ合いとなりますが、全く下押すことなくじりじりと下値を切り上げる動き。NY時間午後に入ってからは、「1.2800ドルを上抜けると大量のストップロスを誘発してしまった」ことで、ほんの数十秒で1.2905ドルの高値まで買い上げられるというカオスとなりました。その後は利食い売りから1.28ドル台半ばまで下押ししたものの、市場のショートポジションが一掃されることになりました。ポンド円も140.01円まで実に4円近く急騰しています。

ただ、この余波は翌日19日の東京市場へと波及することになります。市場参加者からは、「18日の海外市場では、珍しく本邦リアルマネーが遅くまでポンド円を買っていた」との興味深い声が聞こえてきました。ヘッジ外しの円売りの必要性に迫られている本邦勢にとっては、このところのドル円の下落を受けて、「一旦はその買いを引っ込めていた」状況でした。そういう中での突然の「ポンド円」の暴騰は、本邦機関投資家のファンドマネージャーにしてみれば、急速に高まっていた「まだまだ下がるだろうから待っていよう」といったイージーなイメージを一変させ、「ヤバイ、やっぱり買わなければ」といった緊迫感を与えたのは言うまでもありません。アジア市場に入ってから、日経平均やドル円に「本邦長期資金の買いがまとまって入った」こととも無関係とは言えず、市場にはただ単純に「ポンドドルの急騰」だけではない、実需勢のセンチメントの変化という思わぬ副作用をもたらしたといえます。

さらに、その日の欧州時間、17日にFTが行ったムニューシン米財務長官とのロングインタビューの「文字起し」の全文がFTウェブ版に掲載されると、ドル円の買い戻しを後押し。200日移動平均線を再び上抜けるきっかけとなっています。FTからは「為替介入はしないとおっしゃっていますが、先週の大統領のコメントがドルを押し下げたと言っている市場参加者もいるが」との問いかけに、財務長官はすかさず「いやいや、そんなことは絶対にないですよ。そういった見方には全く同意出来ませんね」(Absolutely not. Absolutely not. I disagree with that completely. )と慌てて否定しました。そして、FTが「了解しました。それでは、ドル押し下げというのは米国の戦略ではないのですね?」と念を押して問いかけると、「違います。大統領は短期的なドル高についての事実をコメントしただけなのです」ときっぱりと返答しました。市場の一部で台頭していた、「トランプ政権のドル安政策」といった思惑をかき消す結果となりました。

前回の「注目通貨ペア!」の振り返り

先週の「注目通貨ペア!」

ドル円

先週のドル円は底堅い動きとなりました。週明けこそ一時108.134円まで値を下げる場面も見られましたが、その後はムニューシン米財務長官が「強いドルは長期的には良いこと」との見解を改めて表明したことを受け、買い戻される展開となりました。その後、英総選挙が前倒しで実施されることになると、ポンド円が急騰したほか、黒田日銀総裁が「量的・質的金融緩和を当面現状維持する」と発言したことも買いを後押し。米長期金利の上昇とともに一時109.488円まで買い戻されています。

今週のワタシの「注目通貨ペア!

今週の「注目通貨ペア!」

ドル円

今週のドル円は底堅い動きを予想しています。先週末に実施された仏大統領選挙でマクロン、ルペン候補が決選投票に進むというメインシナリオの結果となったことを受けて、週明け早朝からユーロ円中心に買いが加速。一時110.64円まで窓を開けて急伸しました。北朝鮮を巡る地政学的リスクが引き続きくすぶってはいるものの、市場はポジション調整の買い戻しや、本邦実需勢の買い意欲が強く、下押しは拾っていきたいところです。下値では、先週末高値の109.425円が目先の目処として意識されているほか、一目均衡表転換線の109.24円がサポートレベルとなっています。上値では、11日の高値110.95円がとりあえずの目処となっていますが、10日の高値111.577円、3日の高値111.588円がレジスタンスレベルとして意識されています。いずれにしても、株価や米長期金利の動向に左右されそうです。