火曜 和田仁志が斬る、相場のセンチメント 相場の今の"空気"を読み解く

先を越された

更新日:2017年5月16日

先週は「ダブルスコアでのマクロン候補の勝利」という、市場予想に極めて近いかたちでの仏大統領選挙を受けて、ドル円は週明け早朝のオセアニア市場から買いが先行することになりました。「当然のように利食い売り」に押される場面も見られたわけですが、その後は日経平均の大幅な上昇や米長期金利の上昇につれて再び下値を切り上げることになりました。

そして、市場参加者からは「材料がもうない」との声も聞かれていた中、GW明けの本邦実需勢のフローを目先は淡々とこなすしかない状況。輸入のビッドは112.00円付近からまとまって断続的に観測されている一方、輸出の売りは「3ヶ月先の出来上がりレートで113.00円を作りたいということで、スポットを113円台半ばで少し予約を入れたい」向きがいる程度。GW中のリーブオーダーでは、「113.00円の売りは既にこなしてしまった」わけで、売り方もまた「それほど焦って売ってくるような地合ではない」ことから、予想以上に本邦実需勢の動きは鈍いものとなりました。

そんな中、唯一目立っていたのが一部大手マクロファンドでした。まさに「何もない中での動き」が観測されました。週明けのNY時間に入ると、一時2.3253%まで低下していた米10年債利回りが一転して2.3886%まで上昇。日経平均先物も買い戻される展開になると、一時113.297円と早朝の高値113.134円を上抜けて上げ足を速めました。短期の5分足などのチャートを見ていると、あたかも機関投資家がNY時間ずっとビッドを出しながら買い続けていたようなかたちとなりました。市場では「一部米系ファンドが断続的にドル円のショートカバーを行っていた」との声も聞かれ、翌日のアジア時間に入ってからも、「NY時間に買っていた同じファンドが再び上値を買っていった」様子が話題となりました。市場では、「リスクオフポジションとしての米債ロングとドル円のショートがまだまだ残っている証拠」との認識となっていますが、だからこそ、「何もないとき」にこういった動きとなってしまったのかもしれません。ドル円は結局、11日には一時114.37円と戻り高値をつけています。

ところで、先週はそういった買いが続く中、9日のNY市場で「北朝鮮は6回目の核実験を実施へ」とのヘッドラインが飛び込んできました。あたかも「実施間近」といった連想を掻き立てるには格好の表現だったこともあり、「とりあえずはドル円を売っておかなければ」という動きとなりましたが、非常に鈍い反応に終わっています。実はこのヘッドライン、英スカイニュースが北朝鮮の駐英大使に対して行った初めてのインタビューからのものでした。HP上で公開されてはいますが、要するに「我々は米国などからの圧力を受けても、ミサイルや核実験をやめるようなことはない」という、当たり前の見解を表明。また、「6回目の核実験は実施されるだろうが、私は英国にいるので、いつどこで実施するのかはわからない。将軍様が決めると思う」とも発言しています。こちらも、極めて当たり前のことを言っているに過ぎず、実際は「核実験を実施へ」とのヘッドラインからのニュアンスとは、かなり違っていることが確認できます。市場では常に存在しているこういった「ヘッドラインリスク」ですが、今回はまさに教科書通りの展開となりました。

前回の「注目通貨ペア!」の振り返り

先週の「注目通貨ペア!」

ドル円

先週のドル円は買われる展開となりました。仏大統領選挙の結果を受けて、週明けから買いが先行。上値の目処として意識されていた一目均衡表雲上限を上抜けて値を上げました。市場では「米系ファンドの断続的な買いが目立った」こともあり、一時114.329円まで上昇しました。WTI原油先物価格の急上昇を受け、クロス円中心に上昇したことも買いを後押し。11日には一時114.37円まで値を上げています。週末にかけては利食い売りに押される動き。4月米CPIコアや4月米小売売上高が予想を下回る弱い数字となると、米長期金利の急低下とともに一時113.201円まで下押ししています。

今週のワタシの「注目通貨ペア!

今週の「注目通貨ペア!」

ドル円

今週のドル円は底堅い動きを予想しています。週末に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したものの、下押しも限定的。下値での買い意欲が強いことを確認したようなかたちとなっており、底堅く推移しそうです。目立った材料がないこともあり、株価や米長期金利の動向に敏感に反応する可能性が高そうです。下値では、一目均衡表転換線の113.23円や週明け早朝の安値113.124円が目先の目処として意識されているほか、一目均衡表雲上限の112.55円がサポートレベルとなっています。上値では、11日の高値114.37円がとりあえずの目処となっていますが、3月15日の高値114.885円や3月10日の高値115.505円がレジスタンスレベルとして意識されています。