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木曜 津田穣のG´Day! (グダイ!) 豪ドルレポート 豪州からホットな最新情報をお届け

ドル/円下落の余地を探る

更新日:2014年11月13日

サマリー

サプライズな日銀追加緩和やECBの追加緩和観測などにサポートされて相変わらずNYダウは史上高値を更新し、また日経平均も17,000円を固める動きとなっている。
為替相場ではドル全面高に加えて円全面安の様相となりつつある。
果たしてドル/円はこのまま120円に突き進むのか?
今回は敢えてドル/円下落の余地を探ってみた。
リスク要因は多数存在するが、果たしてそれらが顕現化するか?
それらなしでの単なるポジション調整による反落は限定的だろう。
ドル高地合の中豪ドルは87セントと健闘している。
10月雇用統計、11月NAB企業景況感、11月WESTPAC消費者信頼感が総じて強かったが、円やユーロなどとの豪ドルクロス取引の堅調が豪ドルをサポートしているようだ。
特に豪ドル/円は昨年5月以来の100円超えとなったが、当時とはドル/円及び豪ドル/ドルのレベルが全く異なっている。
投資家需要もあり豪ドル/円は基本的には堅調維持だろうが、ドル/円にまとまった調整が入る場合には100円維持が困難になるだろう。

豪ドルここまでのレビュー

先週からの相場レンジ(11/6-11/13):
AUDUSD:0.85400-0.87440 AUDYEN:98.048-100.896

先月末の日銀サプライズ追加緩和にECBへの追加緩和期待も加わり、世界的に株価堅調でNYKダウは連日の史上高値更新で、日経平均も17,000円を固めつつある。
ドル/円は日銀の追加緩和に加えて日本の12月衆院解散観測が高まり、早くも第二次安倍内閣による“更なる株高・円安期待”にもサポートされ、今週は一時116円台前半まで値を飛ばした。ユーロ/円143円台、ポンド/円182円台、豪ドル/円100円台など円全面安地合である。
ただ週末のブリスベンG20を控えてドル/円も一旦115円割れまで反落するなど、高値警戒感も芽生えつつある。
ユーロはECBの追加緩和期待に加えてユーロ圏成長見通しの下方修正もあり先週は1.23台まで2年ぶりの対ドル安値を更新した後、やや下げ止まっている。
豪ドルは商品相場安とドル高を受けて先週85セント台半ばに年初来安値を更新したが、10月月雇用統計で就業者数が予想を上回ったことや11月NAB企業景況感・11月WESTPAC消費者信頼感が強い結果であったことから、むしろショートカバーが入り、一時87セント台を回復した。
対円ではドル/円の急伸と豪ドルの堅調地合の相乗効果で2013年5月以来の100円台乗せとなり、同レベルをキープしている。
ユーロ/豪ドルは先週の高値1.45台から1.43割れに軟化し、一方で豪ドル/NZドルはNZのQ3失業率が5年ぶりの低水準になったことや、高めのNZインフレ指数を受けて1.10台に軟調推移している。

豪ドル見通し

向う1週間の予想レンジ:
AUDUSD:0.8600-0.8800  AUDYEN:99.00-102.00

向う半年の予想レンジ:
AUDUSD:0.85-1.00  AUDYEN:85.00-105.00

足元のセンチメント…ややブルセンチメント
足元の予想…利食い売りで頭が押さえられ、やや軟調推移か

主要通貨の中期的バイアス:
・米ドル…保合からややブル(足元ややブル)
・円…ベア(足元ややベア)
・ユーロ/ドル…ニュートラル(足元ややベア)
・豪ドル/ドル…ニュートラル(足元ややブル)

ドル/円は10月1日に110円を付けたのは一瞬で、その後は世界景気後退懸念に米国経済への不安も加わり月央には105円近辺まで下落した。しかし10月31日の日銀追加緩和を受けて109円台から115円台に続伸。一旦113円台に反落したが、一昨日は116円台まで値を飛ばし概ね115円台を維持している。
10月まで天井であった110円が11月以降フロアになったことは間違いないだろうが、ドル高材料と円安材料の相乗効果の結果であろう。
果たしてこのまま120円を目指すのであろうか。
日米両国の金融政策の逆行性、ドル需給、経済ファンダメンタルズ、財政ポジション、円キャリートレードなど多くのドル/円上昇要因があるが、既に顕現化している事実に加えて、今後影響を及ぼすであろう要因を先取りしてドル/円を買い進んでいる。
金融政策ではFRBは量的緩和を既に終了したが、将来の金融引き締め(利上げ)を市場は織り込みつつある。一方日銀は現在活発に量的緩和実施中だが、今後インフレターゲット実現に向けて更に量的緩和を拡大する可能性を市場は予測している。
一方、日本の原発停止でエネルギー輸入が急増し貿易赤字が拡大したのは事実だが、市場は原発再稼働の可能性を低いと読んでいるだろう。(ただし川内原発の件は後述)
また先月末に運用比率の見直しを発表した日本の年金ファンド(GPIF)が実際外貨資産投資を拡大させるのは来年以降と言われるが、こちらも市場は先取りしつつある。
それではドル/円下落のリスクはどこにあるか?一つには先取りしていた予見が変更を余儀なくされる事態となることだろう。たとえば:

  • 米景気が予想通りに回復せずに金融引き締めが遠のく場合。
  • 日本がインフレターゲットを達成し、出口戦略が俎上に上る場合。
  • 日本の原発再稼働が実現しエネルギー輸入が減って貿易収支が再び黒字転換する場合。
    九州電力川内原発の再稼働に知事が合意したことが他の原発再稼働にも影響するか?
  • 世界的な株高が終えんし、GPIFの外物投資がとん挫しリスク回避相場に。
  • 日米当局、産業界及びG20各国からの円安けん制、ドル高けん制。
    昨日ルー米財務長官は「(通貨安による外需振興という)“近隣窮乏化政策”は世界経済が直面する課題を解決しない」と述べており、足元の円安地合に鑑み今後の発言が注目される。ブリスベンG20が最初の円安試金石か?
  • 地政学的リスクの増大や世界経済減速などからリスク回避相場となる場合。
  • 蓄積された短期筋のドル/円買いポジションの調整→ただしアセット投資に連結した“円キャリートレード”に組み込まれる場合には、より長期保有の円売りポジションとなるだろう。

かかるドル/円反落要因の中で過去の事例に鑑みて実現性が比較的高いと思われるのは、当局による“行き過ぎたドル/円上昇へのけん制”と、“リスク回避相場の再来”が考えられる。
その場合は当然蓄積されたポジションの巻き戻しを交えた大きな反落となろうが、それらリスク要因なしでの純然たるポジション調整による自壊作用は、ドル全面高地合にあって可能性が低いと言わざるを得ない。

豪ドルはドル高地合にあって87セント台とむしろ堅調であり、また対円でついに100円台を示現、ユーロ/豪ドルは1.43台などクロスでも堅調だ。 RBA理事会声明では相変わらず「最近の商品相場の下落にもかかわらず豪ドルは依然高い」と述べられたが一時ほどの厳しいけん制が見られず、アボット首相まで「豪ドルはより快適なレベルになった」と発言している。ただ商品相場は依然軟調であり、ドル高地合を考えるとやはり10月の高値89セント台から心理的レベルの90セント台は強いレジスタンスだろう。
対円では昨年5月以来の100円超えとなったが、当時はドル/円103円―豪ドル/ドル1.00超えであり、現在のドル/円115円―豪ドル/ドル0.8700と構成内容が大きく異なる。
ドル/円が120円に向かえば豪ドル/円も100円を固めるだろうが、一方ドル/円に調整が入る場合には100円台の滞在時間は短くなる可能性があるだろう。

【主なイベント】

11/13
(木)

(日)10月国内企業物価指数、9月鉱工業生産
(中)10月鉱工業生産、小売売上高
(独)10月CPI
(仏)10月CPI
(米)新規失業保険申請件数

11/14
(金)

(独)Q2GDP
(仏)Q2GDP
(ユーロ圏)Q2GDP
(米国)10月小売売上高、11月ミシガン大学消費者信頼感

11/15
(土)-
11/16
(日)

G20(ブリスベン)

11/17
(月)

(日)Q3GDP
(米)10月鉱工業生産、設備稼働率

11/18
(火)

(日)日銀会合(第一日)
(豪)RBA理事会議事録
(独)11月ZEW景況感調査
(ユーロ圏)11月ZEW景況感調査
(米)10月PPI

11/19
(水)

(日)日銀会合(第二日)、9月景気先行指数・一致指数
(米)10月住宅着工件数、建設許可件数

11/20
(木)

(日)10月貿易統計
(中)11月HSBC製造業PMI(速報値)
(独)11月製造業・サービス業PMI
(ユーロ圏)11月製造業・サービス業PMI
(米)10月CPI、新規失業保険申請件数

11/21
(金)

(ユーロ圏)10月消費者信頼感
(米)11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、10月中古住宅販売

Joe式豪ドル週替わりindex

独自の手法で10項目について豪ドル相場にとっての好悪インパクトをそれぞれ重要度を勘案しながら最弱評価から最強評価まで「-10―+10」でランク付けし、現状を総合判断したもの。したがって総合indexは理論的には最弱-100で最強+100となる。Indexが大きくプラス、マイナスに傾いている時がチャンス。
現状分析であり、今後を予測する機能はあまりないが、ポジション造成や閉じる際の参考にして頂きたい。

構成要因

ポイント

今回
数値

前回
数値
(11/6)

豪州経済
ファンダメンタルズ

*Good
・11月WESTPAC消費者信頼感+1.9%(前回+0.9% )、96.6(前回94.8)(11/12)
・10月NAB企業景況感+13(1998年統計開始以来の高水準、前回+1)(11/11)
・10月就業者数-29.7千人(予想-30千人、前回+32.1千人←121千人から下方修正)・9月失業率6.1.%(予想6.2%、前回6.0%)(11/6)
・9月小売売上高+1.2%(予想+0.3%、前回+0.1%)(11/4)

・Q2GDP前期比+0.5%(予想+0.3%、前回+1.1%)、前年同期比+3.1%(予想+3.0%、前回+3.5%)(9/3)

*Bad
・11月NAB企業信頼感4(前回5)(11/11)
・9月貿易収支-2,261mio (予想-1,850mio、前回-1,013mio)(11/4)
・9月住宅建設許可件数-11.0%(予想-1.0%、前回+3.4%)(11/3)

・豪州Q3CPI前年比+2.3%(予想+2.3%、前回+3.0%)、前期比+0.5%(予想+0.4%、前回+0.5%)、RBAアンダーライイングCPI前期比+0.4%(予想+0.5、前回+0.8%)、前年比+2.5%(予想+2.7、前回+2.9)(10/22)
・Q2経常収支-137億ドル(予想-140億ドル、前回-57億ドル)(9/2)
・Q2建設活動(前期比-1.2%、予想-0.5%)(8/27)

----------------------------

・RBA四半期金融政策報告書(11/7)
2014 年GDP見通し +2.5%(前回8月+2.5%)
2015年GDP 見通し +2.5― +3.5%(前回+2.5%―+3.5%%)
インフレ見通し
2014年 1.75%(前回2.0%)
2015年 2.5%-3.5%(前回2.5%-3.5%)

・IMF世界成長見通し(7/24)(4月時)
2014年3.4%(3.6%)
2015年4.0%(4.0%)

+3

+2

市場センチメント
(リスク値に対
する円キャリーポジション造成・/解消などに関わる)

ロシア軍部隊ウクライナに侵入、中東リスク、世界経済減速懸念でセンチメントやや悪化。 昨日NYKダウは-2ptsの17,612ドル、本日off shoreでは+3pts、 昨日VIX恐怖指数は+0.1ptsの13.02。

-2

+3

短期筋推定市場ポジションと調整具合

シカゴIMMの通貨先物ポジションは前週から売りが4,417コントラクト増えて売り38,268 コントラクト(11/4)。短期筋のポジションは豪ドル/ドルあまり偏りなし、豪ドル/円は依然としてロング水準高い。

-2

+2

商品相場

原油は76ドル台に反落、金は1160ドル台に下落、昨日CRBは-1.22の269.59。鉄鉱石は75ドル台に下落、石炭(燃料炭スポット)は64ドル台で小康。

-4

-4

金利・為替(当局)

RBAケント総裁補―豪ドルは基本的価値を上回っている、為替介入除外しない(11/13)、(RBA理事会声明)―金利安定期になる見通しと改めて表明、最近の商品相場の下落にかかわらず豪ドルは依然高い、失業が継続的に減少するまで若干の時間(11/4)、(スティーブンスRBA総裁(議会証言)−労働市場の指標は改善したようだ、豪ドルは成長均衡に貢献していない、豪ドル急落リスクは過小評価、適切なら介入も排除しない(8/20)
スティーブンス総裁―85セント近辺に下落することが望ましい(2013/12/12)。米豪10年利回り格差は0.982%に縮小。

-3

-2

需給

アボット政権海外からの投資促進政策、昨年Q4からの海外投資家の豪州債投資$38bio、ソブリンウエルスファンド(SWF)の豪ドル債投資、本邦機関投資家の豪ドル債投資、海外からの直接投資・M&Aに絡む豪ドル買い需要の話、潜在的な輸出の豪ドル買い需要(輸出増加―過去最高レベルに)。

+3

+3

テクニカル
(チャート)

豪ドル/ドルは依然雲の下、豪ドル/円は雲の上で対照的。両ペアとも一昨日長大陽線だが本日陰線だと「カブセ」の可能性も。豪ドル/円は「ゴールデンクロス」が効いて昨日大幅上昇か。ただ豪ドル/円はやや伸び過ぎ感があり調整も。RSIは豪ドル/ドル49.63%、豪ドル円76.19%で豪ドル/円は依然大きくoverbought。

-2

+2

米ドル(ユーロ)強弱

ドルインデックスは87.87に上昇、ユーロは1.24台半ばで小康。

-2

-4

中国関連

10月CPI +1.6%(予想+1.6%、前回+1.6%)、PPI-2.2%(予想-2.0%、前回-1.8%)(11/10)、9月貿易収支は+45.4bioドル(予想+42.0bio前回+31.0bio)、輸出+11.6%(予想+10.6、前回+10.8%)、輸入+4.6%(予想+5.0%、前回+7.0%)(11/8)、10月中国サービス業PMI(改定値)52.9(前回53.5)(11/5)、10月HSBC製造業PMI(改定値)50.4(予想50.2、前回50.4)(11/4)、9月小売売上高+11.6%(前年比予想+11.7%、上海総合指数は今年の最高値(10/31)、前回+11.7%)、9月鉱工業生産+8.0%(予想+7.5%、前回+6.9%)(10/21)、中国Q3GDP 前年比+7.3%(予想+7.2%、前回+7.5%)(10/21)、(10/13)、李克強首相―中国経済はガードランディングを避けて今年7.5%の成長を達成する(10/11)、IMF経済見通し2014年7.4%(据え置き)、2015年7.1%(据え置き)(10/7)、中国首相―今年の成長率は+7.5%(7/17)
本日上海総合指数は-1ptsの2,493。

+2

+3

国内政局・産業界等・国際機関

ブリスベンG20で保守連合支持率上昇、(Fairfax/Ipsos national poll)(10-30-11/1実施)( )は前回7月
二大政党支持率―保守連合49%(46%)、労働党51%(54%)、各政党支持率―保守連合42%(39%)、労働党37%(40%)、緑の党12%(12%)、首相適任者Abbott 41%(41%)、Shorten 41%(46%) 豪ドル高懸念、やや和らぐ。政府は非居住者の不動産投資に申込手数料賦課を検討、BHPビリトン・三菱商事はクイーンズランド州の石炭事業で全従業員の7%に当たる700人を解雇(9/23)、国内テロ警戒レベル高位に引き上げ(9/17)、社会保障見直しや増税を嫌気、住宅バブル懸念、資源税廃止上院で可決(9/3)、炭素税廃止を評価(7/17)。

+2

-2

“現状”総合判断
(必ずしも今後の予測とはならず)

やや売りバイアス

-5

+3

*Good、Badは豪ドルにとってという意味

【豪ドル/ドル チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

【豪ドル/円 チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

OZ NOW

豪ドル安で更に高まる中国資本の豪州不動産投資

今回の北京APECにおける豪中首脳会議の最大の焦点は、今後の両国間自由貿易協定締結を前提とした豪州酪農製品の中国市場への販路拡大の可能性が高まった点である。
一方豪州国内の不動産ブームのけん引役はやはり中国本土からの中国資本である。
9月以降の約10%の豪ドル下落(対ドル)により豪州不動産はそれ以前と比較して最大1/5割安になるのだ。
つまり昨年から今年9月まで豪ドルが95セント近辺であった時に、中国人バイヤーの最大の関心は「いかに有利な豪ドルレートを得るか?」であったが、現在レートはそのレベルから約1000ポイント下のレベルで落ち着いた動きをしており、彼らは豪ドルレートを気にする必要なく、存分に物件をショッピングできることになる。
海外投資家にとって不動産価格動向と同じか、またはそれ以上に為替レートが重要な要素となる。
最近の豪ドル下落を受けて豪州不動産会社には中国のよりスケールの大きい富裕層からの照会が急増している。
「従来投資用物件の中心は$500,000-600,000中心であったが、最近では$2mioより上の物件への引き合いが増えており、いかに中国富裕層が豪ドル安をテークチャンスしているかが分かる」とCBRE project marketingのダイレクター Peter Li氏は語る。
正に豪ドル相場が5%下がれば、5%高い物件を探るというのが中国式投資法である。


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