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マーケットビュー

木曜 津田穣のG´Day! (グダイ!) 豪ドルレポート 豪州からホットな最新情報をお届け

景気減速懸念米国にも波及か

更新日:2014年10月16日

サマリー

10月に入り世界経済減速懸念からリスク回避相場となっているが、主役の欧州に加えて昨日は米経済への不安が高まり、株安・円高の急激なリスク回避相場となった。
9月以降のドル全面高の主因が米利上げ前倒し観測であったため、利上げ先延ばし観測が優勢となればドル高調整は必至であった。
FRBは緩やかな米経済の拡大を予想しており、9月以降のドル高は市場の読みが先回りし過ぎたということか。景気格差、金利格差、需給面、財政改善など米国優位の状況に著変はないが、取り敢えず“ドル高第一幕”は終了であり、より腰の据わった“ドル高第二幕”に期待したい。
豪ドルはRBAデベレ総裁補の豪ドル高けん制や弱いNAB企業信頼感にもかかわらず対ドルでは88セント台と底堅い展開となったが、対円では一時92円台前半に続落するなど軟調推移した。
米利上げの先延ばし観測が高まれば従来の金利格差縮小観測が後退して対ドルでは底堅い展開となるだろうが、対円では足元上値の重い展開となるだろう。

豪ドルここまでのレビュー

先週からの相場レンジ(10/9-10/16):
AUDUSD: 0.86511-0.88978 AUDYEN: 92.173-95.821

この1週間はリスク回避の動きが顕著で世界的に株価が大幅調整反落し、商品相場も下落した。NYKダウは昨日一時15,855ドルまで下落し、日経平均も本日一時14.471円まで値を崩した。4月に314まで上昇した商品先物インデックス(CRB INDEX)は年初安値277を下回り271まで昨日下落した。
地政学的懸念やエボラ熱に加えて欧州経済後退懸念がリスク視されたが、昨日は米経済に対する不安が一気に爆発し、株安、円高、米債利回り低下のリスク回避相場となった。
為替市場ではドル全面安となっている。一旦107円台を回復していたドル/円は、昨日ストップロスの売りオーダーを巻き込みながら一時105円台前半まで大幅下落。
また欧州経済不安で先週1.25台まで下落していたユーロは1.28台まで反発し、利上げ観測後退で1.58台まで下落していたポンドも1.60台まで値を上げている。
デベレ総裁補の豪ドル高けん制や弱い9月NAB企業信頼感/景況感を受けて、対ドルで86セント台まで下落していた豪ドルは、昨日のドル全面安で88セント台を回復したが、対円ではドル/円急落で一時92円台前半まで下落した。
先週1.43台に下落していたユーロ/豪ドルは1.45台まで反発し、先週の1.12台の高値にあった豪ドル/NZドルは1.10台に下落するなど、対ドル以外で豪ドルが軟調推移した。

豪ドル見通し

向う1週間の予想レンジ:
AUDUSD:0.8700-0.8900 AUDYEN:91.50-94.50

向う半年の予想レンジ:
AUDUSD:0.85-1.00  AUDYEN:85.00-105.00

足元のセンチメント…ややブルセンチメント
足元の予想…対米ドル強保合、対円弱保合

主要通貨の中期的バイアス:
・米ドル…保合からややブル(足元ベア)
・円…ベア(足元ややブル)
・ユーロ/ドル…ニュートラル(足元ややブル)
・豪ドル/ドル…ニュートラル(足元ややブル)

地政学的懸念やエボラ熱などのリスク要因に加えて、先週はIMFが今年と来年の世界経済見通しを下方修正し、中でも欧州経済後退懸念が意識された。
しかし昨日は-0.3%と弱い米9月小売売上高がきっかけとなって、景気減速懸念の中国に代わって世界経済の最大の牽引車と期待された米個人消費に対する懸念が一気に高まり、急激なリスク回避相場となった。
米10年債利回りは一時1.86%まで低下しFF金利先物は1年先までフラット化するなど利上げ期待が2016年以降に一気に後退した。
日本のQ2GDPは前期比年率で-6.8%と大幅に落ち込み、最近の消費者物価の伸び悩みから物価ターゲット達成を疑問視する声が内外で聞かれる。
景気減速懸念がある中での来年10月の消費増税を展望すれば、デフレ脱却シナリオそのものの脆さを感じる。
一方で欧州の優等生、独が成長見通しを引き下げたばかりか、リセッション懸念が浮上するなど、欧州の景気後退懸念が強まっている。
このような日欧の景気不安をよそに独り勝ち状態であった米経済の先行きに急きょ暗雲が立ち込めた。
いやその端緒は見た目の改善とは裏腹で賃金の伸びが鈍化し、労働参加率の低下が著しい9月の米雇用統計にあったのだろう。
その間日本の政界・財界からは円安のデメリットが指摘され、同時に米FOMC議事録での「ドル高懸念」が明らかになるなど、10月の初旬にピークを打った“ドル全面高”の調整のお膳立てが整った状態であった。
また昨日発表された米財務省の為替報告書で「日本は金融政策にのみ頼るべきでない」と指摘された、暗に“円安けん制”と受け取られたのかもしれない。
9月から始まったドル全面高の主因は米国の“利上げ前倒し観測”であった分、今現在“利上げ先送り観測”が優勢となる中の調整は当然なのかもしれない。
もちろん景気格差・金利格差・財政改善・需給面でのドルの優位性が根底から覆された訳ではないが、一旦崩れたドル高トレンドの修復は簡単ではないだろう。
FRBは米経済の“緩やかな成長”を予想しているが、経済の成長予想が緩やかであれば、“緩やかなドル高”が妥当なのだろう。 取り敢えずは“ドル高第一幕”は終了ということで、より腰の据わった第二幕に期待したい。

豪ドルは、デベル総裁補の豪ドル高けん制や、弱いNAB企業信頼感/景況感にはあまり反応なく、むしろ中国の金融緩和期待や中国9月貿易収支における予想を上回る輸出入の増加(特に鉄鉱石はじめとする輸入増)を好感して88セント近辺、94円台半ばまで上昇した。
一旦米ドル堅調やクロス円軟調地合の中87セント割れ、93円割れに値を落としたが、昨日のドル全面安を受けて再び88セント台へ上昇する一方、豪ドル/円は一時92円台前半に急落するなど荒い展開であった。
一時トン当たり77ドルまで下落していた鉄鉱石はIMFの中国成長見通し据え置き(2014年、2015年)や中国貿易収支における輸入増を好感して83ドル台まで反発している。
豪ドル軟調の一因であった米利上げ観測が後退すれば、対ドルではボトムアウトする可能性があるが、一方対円ではドル/円軟調に影響されるため上値が重い展開となるだろう。

【主なイベント】

10/16
(木)

(ユーロ圏)9月CPI、8月貿易収支
(米)9月鉱工業生産、9月設備稼働率、10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、新規失業保険申請件数

10/17
(金)

(米)9月住宅着工件数、建設許可件数、イエレンFRB議長発言、10月ミシガン大学消費者信頼感

10/20
(月)

(日)8月景気先行指数
(独)9月PPI

10/21
(火)

(豪)RBA議事録公表
(中)9月小売売上高、鉱工業生産、Q3GDP
(米)9月中古住宅販売 

10/22
(水)

(豪)Q3 CPI
(日)9月 貿易統計
(米)9月CPI

10/23
(木)

(中)10月HSBC製造業PMI(速報値)
(ユーロ圏)10月製造業PMI
(独)10月製造業PMI
(米)新規失業保険申請件数

10/24
(金)

(独)11月 GFK消費者信頼感
(米)9月新築販売件数

Joe式豪ドル週替わりindex

独自の手法で10項目について豪ドル相場にとっての好悪インパクトをそれぞれ重要度を勘案しながら最弱評価から最強評価まで「-10―+10」でランク付けし、現状を総合判断したもの。したがって総合indexは理論的には最弱-100で最強+100となる。Indexが大きくプラス、マイナスに傾いている時がチャンス。
現状分析であり、今後を予測する機能はあまりないが、ポジション造成や閉じる際の参考にして頂きたい。

構成要因

ポイント

今回
数値

前回
数値
(10/9)

豪州経済
ファンダメンタルズ

*Good
・10月WESTPAC消費者信頼感+0.9%(前回-4.6% )、94.8(前回94.0)(10/15)
・9月失業率6.1.%(予想6.2%、前回6.0%)(10/9)
・9月ANZ求人広告+0.9%(4ヶ月連続増加、前回+1.6%(10/6)

・8月貿易収支-787mio (予想-850mio、前回-1,075mio)(10/2)
・8月住宅建設許可件数+3.0%(予想+1.0%、前回+2.5%)(10/2)
・8月熟練工求人数+1.1%(前回+0.9%)(9/24)
・Q2GDP前期比+0.5%(予想+0.3%、前回+1.1%)、前年同期比+3.1%(予想+3.0%、前回+3.5%)(9/3)
・Q1民間設備投資(CAPEX)+1.1%(予想-0.9%、前回-2.5 ← -4.2%)(8/28)
・豪州Q2CPI前年比+3.0%(予想+3.0%、前回+2.9%)、前期比+0.5%(予想+0.5%、前回+0.6%)、RBAアンダーライイングCPI前期比+0.7%(予想+0.65、前回+0.55%)、前年比+2.8%(予想+2.7、前回+2.65)(7/23)
・Q1経常収支-57億ドル(予想-70億ドル、前回-117億ドル)(6/3)
・民間設備投資(CAPEX)2014/15予想上方修正$137.1bio、前年比-12.0%(前回予想$124.9bio)
2013/14は$167.1bioから$162.88に下方修正(5/29) ・Q1賃金コストインデックス前期比+0.7%(予想+0.7%、前回+0.7%)、前年比+2.6%(予想+2.6%、前回+2.6%)(5/21)

*Bad
・9月NAB企業信頼感+5(前回+7)、NAB企業景況感+1(前回+3)(10/14)
・8月住宅融資残高m/m-0.9%(giggest decline in 8 ms、予想+0.2%)、投資関連融資-0.1%(前回+6.8%)(10/10)
・9月就業者数-29.7千人(予想-30千人、前回+32.1千人←121千人から下方修正)(10/9)
、労働参加率 64.5%(2006年3月以来の低水準、前回65.0%)(10/9)

・8月小売売上高+0.1%(予想+0.4%、前回+0.4%)(10/1)
・Q2経常収支-137億ドル(予想-140億ドル、前回-57億ドル)(9/2)
・Q2建設活動(前期比-1.2%、予想-0.5%)(8/27)

----------------------------

・RBA四半期金融政策報告書(8/8)
2014 年GDP見通し +2.5%(前回5月+2.75%)
2015年GDP 見通し +2.5― +3.5%(前回+2.75%―+3.75%%)
インフレ見通し
2014年 2.0%(前回2.75%)
2015年 2.5%-3.5%(前回2.25%-3.25%)

・IMF世界成長見通し(7/24)(4月時)
2014年3.4%(3.6%)
2015年4.0%(4.0%)

-3

-2

市場センチメント
(リスク値に対
する円キャリーポジション造成・/解消などに関わる)

米経済不安から株価大幅下落でセンチメント悪化。
昨日NYKダウは-173ptsの16.141ドル、本日off shoreでは-14pts。 昨日VIX恐怖指数は+3.46ptsの26.25。

-4

+3

短期筋推定市場ポジションと調整具合

シカゴIMMの通貨先物ポジションは前週から売りが24,469コントラクト増えて26,486 コントラクト売り(10/7)。短期筋の豪ドル売りポジションは減る。

+2

+2

商品相場

原油は81ドル台に下落、金は1244ドル台に上昇、昨日CRBは-2.60の271.96。鉄鉱石は83ドル台に上昇、石炭(燃料炭スポット)は64ドル台に下落。

-3

+2

金利・為替(当局)

(10/14)デベレ総裁補「豪ドルの下落は均衡取れた成長達成にプラス、基礎的諸条件から依然過大評価」、(10/7)RBA理事会声明―暫くは金利の安定期が必要、為替レートは最近低下したが歴史的にはまだ高い、商品相場の下落を考えるとまだ高い。RBA Edwards理事―豪ドルの下落トレンド継続しそう(9/25)、(スティーブンスRBA総裁(議会証言)−労働市場の指標は改善したようだ、豪ドルは成長均衡に貢献していない、豪ドル急落リスクは過小評価、適切なら介入も排除しない(8/20)
スティーブンス総裁―85セント近辺に下落することが望ましい(2013/12/12)。米豪10年利回り格差は1.204%に拡大。

-3

-2

需給

アボット政権海外からの投資促進政策、昨年Q4からの海外投資家の豪州債投資$38bio、本邦機関投資家の豪ドル債投資、海外からの直接投資・M&Aに絡む豪ドル買い需要の話。

+3

+3

テクニカル
(チャート)

豪ドル/ドルはスパンAがスパンBの下で弱い。豪ドル/ドル、豪ドル/円ともに雲の下で雲の下限がレジスタンス。豪ドル/ドルは「ラウンドボトム」を形成中で底入れか。デッドクロス成立して大幅下落した豪ドル/円は昨日「長大下ヒゲ」で底入れか。RSIは豪ドル/ドル46.54%、豪ドル円33.15%で再び豪ドル/円はoversold増加。

+3

+2

米ドル(ユーロ)強弱

ドルインデックスは84.96に大幅下落、ユーロは1.28台前半に大幅上昇。

+4

+4

中国関連

9月CPI +1.6%(予想+1.7%、前回+2.0%)、PPI-1.8%(予想-1.6%、前回-0.9%)(10/15)、9月貿易収支は+31.0bioドル(前回+41.1bioドル)、輸出+14.9%(前回+12.1%)、輸入+7.0%(前回-2.0%)(10/13)、李克強首相―中国経済はガードランディングを避けて今年7.5%の成長を達成する(10/11)、9月HSBCサービス業PMI53.5(前回54.1)、IMF経済見通し2014年7.4%(据え置き)、2015年7.1%(据え置き)(10/7)、中国首相―今年の成長率は+7.5%(7/17)、9月製造業PMI 51.1(予想51.0、前回51.1)(10/1)、9月HSBC製造業PMI(確報値)50.2(予想50.5、前回50.2)(9/30)、中国株上昇―住宅ローンの審査基準緩和されるとの情報(9/24)、中国追加緩和期待後退(G20後の財務相発言)、中国人民銀行トップ5銀行に追加融資ファシリティー供与で株上昇8月小売売上高+11.9%(前年比予想+12.1%、前回+12.2%)、8月鉱工業生産+6.9%(6yrs low予想+8.8%、前回+9.0%)(9/11)、中国Q2GDP 前年比+7.5%(予想+7.4%、前回+7.4%)、中国国家統計局「上半期の中国経済は安定も今後試練に直面」(7/16)、
本日上海総合指数は-7ptsの2,366。

+3

+2

国内政局・産業界等・国際機関

政府は非居住者の不動産投資に申込手数料賦課を考慮、BHPビリトン・三菱商事はクイーンズランド州の石炭事業で全従業員の7%に当たる700人を解雇(9/23)、国内テロ警戒レベル高位に引き上げ、(9/17)、社会保障見直しや増税を嫌気、住宅バブル懸念、資源税廃止上院で可決(9/3)、炭素税廃止を評価(7/17)、(9/9)

-3

-3

“現状”総合判断
(必ずしも今後の予測とはならず)

やや売りバイアス

-1

+11

*Good、Badは豪ドルにとってという意味

【豪ドル/ドル チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

【豪ドル/円 チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

OZ NOW

中国9月貿易収支

今週発表された中国の9月貿易収支は黒字額が予想の41.1bioドルより少ない31.0bioドルとなった。原因は輸出が+12%予想に対して+15%となる一方、輸入は驚いたことに-2%予想に対して+7%となったことにある。
輸出の伸びは米国と欧州への増加が原因であり、日本へは前月から5%程度減少している。また輸入の増加は久しぶりに世界経済にとっての朗報と言えるだろう。
この報を受けて鉄鉱石価格は最近の底値77ドルから83ドル程度まで回復し、豪ドルも中国貿易収支の内容を好感して月曜日には86セント台から100ポイントほど上昇した。
輸出は中国経済の牽引車であり、過去3ヶ月間+14.5%、+9.4%、そして今回+15%と大幅な伸びを示している。
一方で輸入は住宅産業の不冴えから関連原材料への需要が弱く、停滞気味であった。
今回、輸入の増加から貿易黒字自体は8月の過去最高値49.8bioドルから31bioドルに減少したが、依然としてQ3全体では128bioドルと前年同期比倍以上の伸びとなった。
そしてこの輸出の増加は景気減速や住宅産業低迷にもかかわらず、大規模の景気刺激策を出しあぐねている中国の為政者にとってもウエルカムといえるだろう。
先のIMF世銀総会で李克強首相は「中国経済はハードランディングを回避し今年7.5%成長を達成する」と述べている。
一方、中国人民銀行のエコノミスト Ma Jun氏は住宅産業の低迷が中国経済の最大のリスクと指摘している。
ただ、世界経済減速懸念が後退すれば、今後とも堅調な輸出の推移が期待できる一方、住宅融資規制の緩和にもかかわらず住宅産業のオーバーサプライが近々解消する目処は立っておらず、関連原材料の輸入需要の低迷が続くと見るエコノミストは多い。
ANZは「輸入の急増は最近の資源価格の大幅下落に目を付けた資源ブローカーの在庫積み増しが原因」とし、「輸入の急増は一過性のもの」と指摘している。
資源価格の底入れはまだ先の話かもしれない。


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