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木曜 津田穣のG´Day! (グダイ!) 豪ドルレポート 豪州からホットな最新情報をお届け

依然としてトレンド見えず

更新日:2014年4月10日

サマリー

この1週間はウクライナ情勢や中国景気後退懸念が小康を保ったものの、NYダウは史上最高値を付けた直後に急落し、日経平均も15,000円台を付けてから14,300円台に大幅下落するなど、市場のリスク許容度は減少した。
為替市場では先週の米国3月雇用統計が予想を下回った影響が残り、ドル全面安地合となった。一時104円台を付けたドル/円も日銀政策決定会合での追加緩和の示唆はなく101円台まで下落している。
米国の3月雇用統計は、予想をやや下回る一方で1月や2月のNFPRが上方修正されており、溜まっていた市場ポジション調整の動きが主体で米10年債利回りの低下やドルの下落につながっている。
やや行き過ぎ感を否めないものの、この調整主体の動きは今年になってからのリスク回避とその巻き戻しの動きにも言えるわけで、2000年代半ばに見られたリスク選好の円キャリートレードやリーマンショック以降の大規模なリスク回避の動きとは種類を異にするものだ。
しばらくは目の前のリスク許容度の変化を敏感に嗅ぎ取って対処していく以外にないだろう。
豪ドルは米ドル軟調地合にあって上昇トレンドを継続し、本日発表された強い内容の3月雇用統計にサポートされて94セント台・96円台まで上昇した。
来週は、中国のQ1GDPや3月諸指標の発表が大いに注目される。

豪ドルここまでのレビュー

先週からの相場レンジ(4/3-4/10):
AUDUSD: 0.92050-0.94389  AUDYEN: 95.002-96.484

この1週間はウクライナ情勢や中国情勢は小康であったが、中国を除いて世界的に株価が軟調で市場のリスク許容度はやや低下した。
為替市場では、先週の事前予想を下回る米国3月雇用統計以降ドル安が進行し、ドル/円は101円台半ばまで下落、ユーロ/ドルは1.38台半ばに、ポンド/ドルは1.68台前半に上昇した。
ドル/円下落の背景には日銀会合で金融政策が据え置きとなり黒田総裁が「今追加緩和が必要だと考えていない」と発言したこともあった。

豪ドル/ドルは昨年11月以来の94セント台に上昇した。
米ドル軟調に加えて商品相場が堅調であったことから93セント台に上昇し、本日発表の豪州3月雇用統計が予想より改善を見せたことから94セント台乗せとなった。
対円ではドル/円の下落と相殺しつつも95円台後半で堅調さを維持している。
ユーロ/豪ドルは豪ドルの上昇が勝って1.47近辺の下値圏で、また豪ドル/NZドルは1.08近辺の高値圏でそれぞれ揉み合い相場となっている。

豪ドル見通し

向う1週間の予想レンジ:
AUDUSD:0.9200-0.9500  AUDYEN:94.00-97.00

向う半年の予想レンジ:
AUDUSD :0.85-1.00  AUDYEN: 85.00-105.00

足元のセンチメント…再びブルセンチメントに
足元の予想…買われ過ぎ状態で、利食い反落後再び上値テスト

主要通貨の中期的バイアス:
・米ドル…保合からややブル(足元ややベア)
・円…ベア(足元ミックス)
・ユーロ/ドル…ニュートラル(足元ややブル)
・豪ドル/ドル…ニュートラル(足元ややブル)

今週はドルが売られた。事の発端はやはり先週金曜日の“予想を下回る”3月米国雇用統計であるが、やや解せないとの印象もある。
失業率が予想値6.6%に対して6.7%にやや悪化しているが、労働参加率は63.0%から63.2%に上昇している。
また非農業部門就業者数については市場予想+200千人に対して+192千人とやや下回ったが、2月は175千人→197千人、1月も129千人→144千人と上方修正されている。
この結果をもって10年債利回りは2.789%から2.676%まで低下し、ドル円も104円近辺から101円台半ばまで大幅下落、ユーロやポンドも対ドルで今週は200ポイント以上反発するなど予想外のドル全面安となった。
市場ポジションの偏りとその巻き戻しと言えばそれまでだが、米雇用統計には予想以上にネガティブな反応を見せており、いつもながら理不尽な部分があると感じる。

もっとも、ドル円の下げは黒田日銀総裁が「今追加緩和の必要なし」と発言したことも原因だろうが、消費増税の直後に追加緩和を匂わせて、“財政再建のしわ寄せを全て金融政策で吸収します”との印象を海外に与えたくないのだろう。
このようなポジションワイズな動きは米雇用統計に対する反応のみならず、リスク回避/選好全般にも言えることである。
今年に入ってからも米国の緩和縮小に絡んだ新興国での金融不安、ウクライナ問題、中国の社債等のデフォルト懸念と多くのリスク材料が出てきたが、結局はリスク回避とその巻き戻しによるup & downが繰り返されているということでトレンドはまだ出ていない。
リスク材料自体が解決されないが、特に悪化しているわけでもない。そんな中、その時々の市場ポジションの偏りと調整により相場が動かされるのだ。
つまり歴史に残るような大きなモーメンタムを伴うリスク選好や回避の動きは何年かに一度しか来ないのだ。

例えばリスク選好の代表例は2000年の米国ITバブル崩壊と翌2001年9.11後の混乱から世界経済が立ち直り、2003年から2007年にかけて世界経済が4.5%程度のかつてない巡航速度で安定成長を見せた時期で、いわゆる“円キャリートレード”が全盛を極めた頃だ。
そして有無を言わさぬリスク回避に市場全体が凍りついたのが、金融機関のみならず国の存亡の危機まであった2008年秋のリーマンショックとその後の欧州ソブリンリスクであろう。
これと比較して、現下のリスク要因は世界経済が拡大基調を取り戻す過程において散発的に出てくる“中規模リスク”という位置づけであろうし、より短いサイクルでのリスク回避とその巻き戻しと言えるだろう。
今は、リスク回避局面なのか、それとも選好局面なのか?自分の立ち位置を常に確認しながら一喜一憂する市場に対処していく以外にないだろう。

この週末に向けてはG7、G20、IMF世銀総会と国際会議が続き、世界経済並びにウクライナ情勢が議論される。
今週世銀、IMF共に今年の世界経済見通しをやや下方修正しており、米国をはじめとして主要国に対して“慎重な金融政策継続”が要請されるだろう。
またウクライナ情勢については国際会議へのロシアの出欠が定かではないが、事態の急速な改善は望めないだろう。

豪ドル/米ドルは予想外に健闘している。ドル安に加えて、12月、1月と冴えなかった雇用統計が、今度は2月、3月と非常に強い結果となった。時に6%台を上昇するとエコノミストが予想する失業率が2月の6.1%から5.8%に大幅改善したのはサプライズだった。
ただ上述のように先週の米雇用統計に起因するドル売りもやや行き過ぎ感があるように思われ、ドルが反発に転じれば豪ドル/ドルの上値も重くなるだろう。
今回、ドル円が2円50銭下落したが、豪ドル/円の下落は1円50銭に留まっており、95円割れでは既に投資家需要が観察できる。

また日豪がEPA交渉で基本合意した牛肉の関税引き下げは豪州農業にとって大きな朗報であり、一方日本車の自動車関税引き下げは豪州生産の海外自動車会社撤退となる中、豪州に大きなデメリットはない。総括すれば今回のEPA交渉は将来にわたり豪州産業に大きなフェイバーをもたらすだろう。
豪ドル/ドルは上向き、豪ドル/円は“ラウンドトップ形成”で反落とやや異なった顔つきであるが、かなり買われ過ぎであった豪ドル/円への調整が入っており、95円割れは押し目買いでサポートされる展開と考える。
来週発表される中国のQ1GDPや3月の小売売上高、鉱工業生産に注目したい。

【主なイベント】

4/10
(木)

(豪)3月雇用統計
(中)3月貿易収支
(ユーロ圏)ECB月報
(米)新規失業保険申請件数
(その他)G7(ワシントン)

4/11
(金)

(日)日銀議事録
(中)3月PPI/CPI
(独)3月CPI
(米)3月PPI、4月ミシガン大学消費者信頼感
(その他)G20・IMF世銀総会

4/14
(月)

(ユーロ圏)2月鉱工業生産
(米)3月小売売上高

4/15
(火)

(独)4月ZEW調査
(ユーロ圏)4月ZEW調査
(米)3月CPI

4/16
(水)

(日)2月鉱工業生産・設備投資
(中)Q1GDP、3月小売売上高、3月鉱工業生産
(ユーロ圏)3月CPI
(米)3月住宅着工・建設許可・鉱工業生産・設備稼働率

4/17
(木)

(ユーロ圏)2月経常収支
(米)新規失業保険申請件数

Joe式豪ドル週替わりindex

独自の手法で10項目について豪ドル相場にとっての好悪インパクトをそれぞれ重要度を勘案しながら最弱評価から最強評価まで「-10―+10」でランク付けし、現状を総合判断したもの。したがって総合indexは理論的には最弱-100で最強+100となる。Indexが大きくプラス、マイナスに傾いている時がチャンス。
現状分析であり、今後を予測する機能はあまりないが、ポジション造成や閉じる際の参考にして頂きたい。

構成要因

ポイント

今回
数値

前回
数値
(4/3)

豪州経済
ファンダメンタルズ

*Good
・3月就業者数+18.1千人(予想+2.5千人、前回+48.2千人←+47.3千人から上方修正)、失業率5.8%(予想6.1%、前回6.1%)(4/10)
・4月消費者インフレ期待指数+2.4%(前回+2.1%、9ms high)(4/10)
・4月WESTPAC消費者信頼感+0.3%(前回-0.7%、5カ月で初めてプラス )、99.7(前回99.5)(4/9)
・3月ANZ 求人広告 +1.4%(前回+4.7%―2カ月連続のプラス)(4/7)
・2月貿易収支+1,200mio (予想+800mio、前回+1,396mio)(4/3)

・Q4GDP前期比+0.8%(予想+0.7%、前回+0.6%)、前年比+2.8%(予想+2.5%、前回+2.3%)(3/5)
・Q4賃金コストインデックス前期比+0.7%(予想+0.6%、前回+0.5%)、前年比+2.6%(予想+2.5%、前回+2.7%)(2/19)
・豪州Q4CPI前年比+2.7%(予想+2.4%、前回+2.2%)、前期比+0.8%(予想+0.4%、前回+1.2%)、)RBAアンダーライイングCPI前期比+0.9%(予想+0.6%、前回+0.65%)、前年比+2.6%(予想+2.3%、前回+2.35)(1/22)

*Bad
・2月小売売上高+0.2%(予想+0.3%、前回+1.2%)(4/3)
・2月住宅建設許可件数-5.0%(予想-2.0%、前回+6.9%)(4/2)
・AIG製造業指数47.9(前回48.6、5カ月連続50以下)(4/1)

・2月NAB企業信頼感+7(前回+9)、企業景況感0(前回+5)(3/11)
・Q4民間設備投資(CAPEX)-5.2%(予想0.0%、前回+3.6%)(2/27)
・Q4PPI Q/Q +0.2%(前回+1.3%)、Y/Y+1.9%(前回+1.9%)(1/31)

----------------------------

・RBA四半期金融政策報告書(2/7)
2014 年GDP見通し +2.25―+3.25%(前回11月+2.0―+3.0%)
2015年GDP 見通し +3.0―4.0%(前回+2.75―+4.25%)
インフレ見通し
2014年 3.0%(前回2.5%)

・IMF成長見通し(4/8)
2014年+2.6%(前回+2.8%)
2015年+2.7%(前回+3.0%) 

+3

-2

市場センチメント
(リスク値に対する円キャリーポジション造成・/解消などに関わる)

株価持ち直しでセンチメントやや改善。
昨日NYダウは+181 ptsの16,437ドル。本日オフショアでは-11pts。昨日VIX恐怖指数は-1.07の13.82。

+2

+2

短期筋推定市場ポジションと調整具合

シカゴIMMの通貨先物ポジションは前週から売りが15,647コントラクト減って4,880 コントラクト売り(4/1)。短期筋のポジションは依然豪ドルロング。

-2

-2

商品相場

原油は103ドル台に上昇、金は1315ドル台に反発、CRBは昨日+1.54ptsの310.22。鉄鉱石は117ドル台に上昇、石炭(燃料炭スポット)は75ドル台に上昇。

+3

-2

金利・為替(当局)

(4月RBA理事会)―見通しは金利安定期間を予想、豪ドルは歴史的水準より高い、最近の豪ドル高は景気回復の支援を妨げ(4/1)スティーブンス総裁―豪ドルの方向性はファンダメンタルズの見通し次第、成長は今年後半強まる(3/26香港講演)、<スティーブンス総裁>―85セント近辺に下落することが望ましい(2013/12/12)、米豪10年利回り格差1.386%にやや縮小。

+2

+2

需給

新年度投資家の豪ドル投資に期待、向こう2-3年で豪ドル債発行額$200bio、海外からの直接投資・M&Aに絡む豪ドル買い需要の話(Glencorp、SPI)。潜在的な輸出の豪ドル買い需要(輸出増加)。

+2

+2

テクニカル
(チャート)

豪ドル/ドル、豪ドル/円ともに一目均衡表の雲でボリンジャーバンドの豪ドル/ドルは上限テスト、豪ドル/円は上部でやや伸び悩み。豪ドル/ドルは「上値遊び」から続伸、一方豪ドル/円は96円以上で「上ヒゲ」が出やすい。RSIは豪ドル/ドル73.85%と大幅にoverbought、一方豪ドル/円67.47%で一旦overbought解消したが再び増えつつある。

+2

-2

米ドル(ユーロ)強弱

ドルインデックスは79.59に下落、ユーロ/ドルは1.38台半ばに上昇。

+2

-2

中国関連

3月貿易収支は+77億ドル(予想+18億、前回-230億)、輸出-6.6%(予想+4.8%、前回-18.1%)、輸入-11.3%(予想+3.9%、前回+10.1%)(4/10)、IMFは今年の中国GDP見通しを7.5%で据え置き(4/8)、世銀は7.7%から7.6%に下方修正(4/7)、3月サービス業PMI54.5(前回55.0)(4/3)、中国景気刺激策・預金準備率引き下げ観測(3/25)、3月HSBC製造業PMI(速報) 48.1(予想48.7、前回48.5、3カ月連続で50割れ)(3/24)、李首相―シャドーバンクを巡る金融商品で一部債務不履行は不可避(3/15)、2月小売売上高+11.8(予想+13.5%、前回+13.9%)、2月鉱工業生産+8.6%(予想+9.5%、前回+9.7%)(3/13)中国人民銀行―成長率が7.5%下回れば預金準備率引き下げの可能性(3/12)、2月CPI +2.0%(予想+2.1%、前回+2.5%)、中国全人代で今年のGDP目標値+7.5%(昨年と同じ)(3/5)、雲南省で無差別テロ(3/1)、中国信用リスク問題、中国Q4GDP +7.7%(予想+7.6%、前回+7.8%)(1/20)、中国政府30年ぶり大胆な経済・社会改革案を公表(3/18)、一人っ子政策緩和→労働人口増加策。 本日上海総合指数-4ptsの2,101。

-2

+2

国内政局・産業界等・国際機関

再び豪ドル高弊害論、3/13-15世論調査、二大政党支持率(2013年9月選挙時)自由連合81.05(53.5%)、労働党49%(46.5%)、フォード2016年10月の生産撤退を前倒しも、トヨタ2017年末までに豪州での生産から撤退を表明、リオ・ティント・BHPは今年も投資増計画、ホッキ―財務相―豪州政府債務は$500bio達する(12/11)。カンタス1000人人員削減、GMホールデン撤退表明、住宅価格上昇、鉱山使用料(ロイヤルティー)引き上げ検討への反感強いQLD州、WA州)、資源産業/非資源産業格差問題、IMFは豪州投資の縮小と中国成長の伸び悩みで豪州のGDP下方修正(4/8)。

-2

-2

“現状”総合判断
(必ずしも今後の予測とはならず)

買いバイアス

+10

-4

*Good、Badは豪ドルにとってという意味

【豪ドル/ドル チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

【豪ドル/円 チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

OZ NOW

アボット政権のアジア外交

日韓中のアジア歴訪中のアボット首相は、最初の訪問国日本で長年の懸案であった牛肉と車の輸入関税撤廃に向けた経済連携協定(EPA)で基本合意し日豪通商は大きな前進を見せた。
当地新聞でも日本で歓待を受けるアボット首相が大きく報じられている。

アボット首相は公式ディナー以外にも安倍首相のプライベートディナーに招待されたこと、また外国の首相としては初めて国家安全保障会議(NSC)に出席したこと、更にはお互いのプレゼント交換で、安倍首相からはサイクリング好きなアボット首相に地元選挙区に工場があるシマノ製の最新鋭自転車部品がプレゼントされ、またアボット首相から安倍首相へは祖父の岸総理が1957年に来豪した際の記念アルバムが贈呈された。
このように日本訪問で大きな成果を上げ現在は韓国に続いて中国を訪問中のアボット首相であるが、内心はやや憂鬱であるかもしれない。

通商面では韓国でも自由貿易協定(FTA)に前進を見せ、最大貿易相手国中国との更なる親交を計りたいところであるが、問題は日中並びに日韓の領土問題や歴史認識問題にあるようだ。
昨年10月にアボット首相は「日本はアジアにおける最も良い友人」と発言し、また特に中国の急激な軍備増強に絡んで、米国との軍事協定の手前日中領土紛争では日本寄りの見解を示していることが北京筋を苛立たせていることだ。
アボット政権は極力アジアにおける通商を国際政治と切り離して推し進める戦略であるが、 果たしてアジア・太平洋地域の安全保障に対して踏み込んだ意見の交換があるのか、本日のアボット―習国家主席会談の成り行きが大いに注目されるところである。

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