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マーケットビュー

木曜 津田穣のG´Day! (グダイ!) 豪ドルレポート 豪州からホットな最新情報をお届け

「リスク回避の円買い」いつまで存続?

更新日:2013年8月29日

豪ドルここまでのレビュー

この1週間(8/22-8/29)の相場レンジ:
AUDUSD: 0.88917-0.90693  AUDYEN: 86.450-89.396

この1週間は新興国不安に加えてシリア情勢の緊張が陰を落とし、株価はアジア株中心に冴えなかった。
商品相場は上昇したが前向きの理由というよりは中東不安から原油価格が110ドル(1バレル)まで上昇したり金価格が1,418ドルまで上昇したことが原因と言える。
為替市場ではリスク回避や安全資産への逃避の動きが活発化し“ドル高・円高”地合が顕著となった。

ドル円は99円台から昨日は一時97円割れまで下落し、またユーロも1.33台前半、129円台半ばに、ポンドも1.54台前半、150円台半ばまで一時下落した。
豪ドルはアジアや中東不安を受けて続落し先週の高値92セント台から昨日は一時89セント割れに、90円台から86円台半ばに反落したが、シリア情勢に対する懸念もやや一服で現在89セント台半ば、87円台半ばに小反発している。
またユーロ/豪ドルは1.48台に高止まりし、豪ドル/NZドルは1.16近辺から1.14台半ばに軟調推移するなど再び豪ドルがほとんどの通貨に対して軟調推移した1週間であった。

豪ドル見通し

向う1週間の予想レンジ :
 AUDUSD:0.8800-0.9100  AUDYEN:86.50-89.50

向う半年の予想レンジ :
 AUDUSD :0.85-1.00  AUDYEN: 83.00-105.00

足元のセンチメント――依然ややベアセンチメント
足元の予想――下値テストと押し目買いの交錯

主要通貨の中期的バイアス :
 ・米ドル―ブル(足元ミックス)
 ・円―ベア(足元ブル)
 ・ユーロ/ドル―ニュートラル
 ・豪ドル/ドル―ニュートラル(足元ベア)

今週の相場はシリア情勢緊迫化を受けて、flight to qualityやリスク回避の動きが活発化して“ドル買い・円買い”の様相となった。
また新興国不安や中東の地政学的懸念を受けて近隣のトルコリラやインドルピーは連日史上安値を更新し、豪ドルもほとんどの通貨に対して軟調推移している。
相場にはあまり関係ないが中東懸念はオリンピック誘致の見地からもトルコにとって逆風だろう。
アジア新興国通貨の下落は米国の量的緩和縮小観測による資金流出に加えてシリア情勢とダブルパンチを受けた状態である。

しかしこの「リスク回避の円買い」という言葉は一体いつまで存続するのであろうか?
先週は私見として将来的な“日本売り”に絡んだ大幅円安の可能性について述べたが、この“リスク回避の円買い”という言葉を聞くにつけ、世の中にはまだまだ“隠れ日本ファン”が多いのだと思ってしまう。
円が買われる理由は何度も言い尽くされているが、リスク懸案が高まる地合においては高金利通貨の利回りが低下する割合が大きく、それに比べてもう下がる余地のない円金利の相対的な評価が高まること、あるいは何十年も続く日本の経常黒字を信奉する向きも多いだろう。
しかし、昨日のニュースでも言っていたが日本の人口は4年連続で減少し、特に少子高齢化の影響から労働適格人口の減少が目立つ点は憂慮すべきであり、デフレの根本的な原因があるのではなかろうか?
現在リスク回避の局面で買われる通貨の代表格は円とスイスフランであることから分かるように安全通貨の資質と国の経済規模は必ずしも一致しない。
従って日本も今後人口が減少しようとも国としてのクオリティー(質)を高めていけば、安全通貨としてステータスは維持できるだろう。(それが必ずしも良いという意味ではないが)
一方先週述べたようなデザスター(デフレ脱却失敗、財政赤字悪化、経常赤字化、格下げなど)に陥るようであれば、「リスク回避の円売り」なる新たな言葉が生まれてくるだろう。

豪ドルは米国の緩和縮小観測に新興国懸念、シリア情勢と次から次へと悪材料重なり回復の兆しが見えない。
おまけに下の<OZ NOW>でも述べたがアジア中銀の豪ドル外貨準備取り崩し観測もあり前途多難だ。
5月から下落を開始した豪ドルの8月回復説(自説)が外れ、2010年以降見られた大幅下落→大幅反発のパターンが崩れたとすると、回復も容易ではないと言わざるをえない。
ただリスク材料が永久に続くことはなく、リスクの狭間では豪ドル売られ過ぎ状態のポジション調整も起こるだろう。
昨日はウオールストリート・ジャーナルの記事でRBAのエドワーズ理事の「鉱業セクターの低迷による影響を緩和するために豪ドルは一段と下落する必要がある」という発言が載っていたが、これはRBA声明でも見慣れた文言だ。
ただBHPやリオ・ティントなどの資源大手は今後の生産計画を変更しておらず、どうもRBAを含めた政府関係者の景気認識は長い目で見た世界経済動向と必ずしも一致しないように思えてならない。

主なイベントは
29(木)独8月雇用統計、米Q2GDP改定値、米新規失業保険申請件数
30(金)日本7月雇用統計・CPI、ユーロ圏7月失業率、米8月ミシガン大学消費者信頼感
9/1(日)中国8月製造業PMI
2(月)豪州7月住宅建設許可件数、中国8月HSBC製造業PMI、ユーロ圏8月製造業PMI、
3(火)中国8月非製造業PMI、RBA理事会(金利据え置き予想)、豪7月小売売上高、米8月ISM製造業景況指数、
4(水)豪州Q2GDP、新規住宅販売、
5(木)豪7月貿易収支、BOE・ECB理事会、米8月ISM非製造業景況指数、米新規失業保険申請件数など。

Joe式豪ドル週替わりindex

独自の手法で10項目について豪ドル相場にとっての好悪インパクトをそれぞれ最弱評価から最強評価まで「-10―+10」でランク付けし、現状を総合判断したもの。したがって総合indexは理論的には最弱-100で最強+100となる。Indexが大きくプラス、マイナスに傾いている時がチャンス。
現状分析であり、今後を予測する機能はあまりないが、ポジション造成や閉じる際の参考にはなる。

 

ポイント

今回
index

前回
index

ファンダメンタルズ

*Good
・Q2民間設備投資(CAPEX)+4.0%(予想+0.0%。前回-2.1%)(8/29)
・7月DEWR熟練工求人+0.7%(前回+0.3%)(8/21)
・8月WESTPAC消費者信頼感105.7(5ms high、前回102.1)(8/14)
・Q2 Wage cost Index q/q +0.7%(前回+0.7%、y/y+2.9%(前回+3.0%)(8/14)

・7月失業率5.7%(予想5.8%、前回5.7%)(8/8)
・RBAアンダーライイングCPI前期比+0.6%(予想+0.5%、前回+0.4%)、前年比+2.4%(予想+2.25%、前回+2.4%)(7/24)
・Q1経常収支-8.5bio(予想-9.0bio、前回-14.8bio)(6/4)・Q1企業収益+3.0%(予想+1.5%、前回-0.5%)(6/3)

*Bad
・7月HIA新築販売-4.7%(前回+3.4%、過去5カ月で最初の現象
・Q2建設活動前期比-0.3%(予想+1.0%、前回-1.9%、2期連続のマイナス)(8/28)
・6月Conference Board Leading Index -0.2%(4.0%)(8/22)
・6月WESTPAC リーディングインデックス0.0(前回+0.2)(8/21)
・7月新車販売-3.5%(前月比、前回+3.6%)、前年比+3.0%(前回+6.9%)(8/19)
・7月NAB企業信頼感-3(7ms low、前回0)、企業景況感-7(前回-7)(8/13)
・7月就業者数-10.2千人(予想+5.0千人、前回+9.3千人)(8/8)
・6月貿易収支+602mio (予想+800mio、前回+670mio)(8/6)
・7月ANZ求人広告-1.1%(前回-1.6%5か月連続マイナス)(8/6)
・6月小売売上高0.0%(予想+0.4%、前回+0.1%)(8/5)
・Q2PPI 前期比+0.1(前回+0.3)、前年比+1.2%(前回+1.6%)(8/2)
・6月住宅建設許可件数-6.9%(予想+2.0%、前回-4.3%)(7/30)
・豪州Q2CPI前年比+2.4%(予想+2.5%、前回+2.5%)、前期比+0.4%(予想+0.5%、前回+0.4%)(7/24)
・Q2NAB企業信頼感-1(前回+2)、企業景況感-4(前回-3)(7/18)
・第1四半期GDP前期比+0.6%(予想+0.7%、前回+0.6%)、前年比+2.5%(予想+2.7%、前回+3.2%)(6/5)
・RBA四半期金融政策報告書 2013年GDP2.25%(前回2.5%)。インフレ予想2013年2.0%(前回2.25%)
(2013/8/09)

・豪政府経済見通し(2013/8/2)
GDP 2013/14 2.5%(5月2.75%)に下方修正、GDP2014/15 3.0%(5月3.00%)に据え置き。
2013/14財政赤字301億ドル(5月180億ドル)、2016/17 40億ドル黒字転換
(参考)2013/14 連邦予算案
2013/14連邦予算案― 2012/13年度 194億ドルの財政赤字(オリジナルは15億ドルの黒字予想)、2013/14年度―180億ドル財政赤字、15/16年度は黒字転換予想、GDP予想12/13年度3.0%(従来3.0%)、13/14年度2.75%(従来3.00%)、GDP比債務比率12/13年度-1.3%、13/14年度-1.1%(2013/5/14)

-2

-3

市場センチメント
(リスク値)

シリアリスク回避やや一服だが全体としてはセンチメント依然悪い。
昨日NYダウは+48 ptsの14,824ドル。本日オフショアでは-20pts。昨日VIX恐怖指数は-0.28の16.49。

-3

-4

市場ポジション

シカゴIMMの通貨先物ポジションは豪ドル売りコントラクト63,183売り(前週比売りが462コントラクト増える)(8/20)。短期筋は再びショート増える。

+2

+3

商品相場

原油は109ドル台に小反落、金は1408ドル台に反落、CRBは+0.98の295.69。鉄石は139ドル台に上昇、石炭(燃料炭スポット)は72ドル台で小康。

+3

-4

金利・為替(当局)

RBA議事録―一段の緩和の可能性を  閉ざすべきではない。利下げは差し迫ってはいないが可能性を示す必要性。豪ドルは過去の基準では依然として高い(8/20)8月は予想通りに2.5%に利下げ―近い将来成長はトレンド下回る、成長を支援するために必要な政策を調整、豪ドルは一段と下落する可能性、“今後の示唆は特になし”米豪10年利回り格差1.127%にやや縮小。

-3

-4

需給

豪ドル下落で新たな買いが出るか(本邦機関投資家の外債買い増加)、個人投資家は豪ドル買いにやや躊躇あるいは円転の動きも、アジア中銀の買いはアジア不安で減少、海外からの直接投資、M&Aに絡む豪ドル買い需要の話。潜在的な輸出の豪ドル買い需要。

+2

+2

テクニカル

豪ドル/ドル、豪ドル/円共に一目均衡表の雲を再び放れて下落。豪ドル/ドル、豪ドル/円共に依然スパンAがスパンBの下で基本は弱い。ボリンジャーバンドの下限に下落。RSIは豪ドル/ドル39.35%、豪ドル/円は40.34%で再びoversoldに傾く。昨日の「下ヒゲ」で足元反発か?

+2

-3

米ドル強弱

ドルインデックスは81.49にやや反発、ユーロは1.33台前半に反落。

-2

-2

中国関連

中国国家統計局―中国経済により明確な安定化の兆し、2013年の成長目標を達成する軌道に乗っている(8/26)、8月HSBC製造業PMI速報値 50.1(4ms high前回48.2)(8/22)、7月レアアース輸出1.8kt+75%(y/y),+10%(m/m)、7月コンフェレンスボード・経済先行インデックス+1.4%(前回+0.8%)、(景気対策)―不動産規制は継続だが都市化政策、IT振興策が打ち出されて株価に好影響、7月鉱工業生産+9.7%(予想+8.9%、前回+8.9%)、7月小売売上高+13.2%(予想13.5%、前回+13.3%)(8/9)、CPI+2.7%(前回2.7%)、PPI-2.3%(前回-2.7%)、7月貿易収支+178.2億ドル(予想269億ドル、前回271.2億ドル、輸出+5.1%、予想+2.0%、前回-3.1%、輸入+10.9$、予想+1.0%、前回-0.7%)(8/8)、7月非製造業PMI 53.9(前回54.3)、7月製造業PMI 51.3(前回51.3)(8/5)、李克強首相「7%は成長最低ライン」(7/23)、中国人民銀行は貸出金利の下限撤廃(7/19)、GDPは一部予想されたほど(6.5-6.7%)悪くはなく予想範囲内、Q2GDP+7.5%(予想+7.5%、前回+7.7%、前々+7.9%)(7/15)、桜継偉財政相―今年後半成長率7%を大きく下回り、前半も7.7%を下回る可能性(7/12)、株価(上海総合指数)今年になって2番目の上げ幅(7/11)、金融緩和期待後退―中国国務院が穏健で中立的な金融政策維持で緩和期待後退、景気減速・短期金融市場不安、IMF中国GDP見通し下方修正(2013年 8.00−APR―→7.75%、2014年8.00%→7.50%)(5/29)人民元高6.17台(過去最高)、中国銀行業監督管理委員会が銀行に対して内需や環境関連への融資拡大を指示で株反発(4/19)、周中国人民銀行総裁は不動産バブル懸念を述べる(3/13)全人代では財政支出拡大提言(3/5)不動産規制強化で不動産株急落(3/4)、政府は不動産価格抑制を検討か、2012年GDP+7.8%。本日上海総合指数は+1pts。

+3

+4

その他(政治、産業界など)

(豪州国内)
保守連合勝利で豪ドル高か?(労働党の超金融緩和に保守連合は批判的) 二大政党支持率依然補修連合優勢(8/27、労働党47-保守自由連合53)、炭素税廃止を産業界は好感、豪ドル下落を産業界は好感、予算案発表後S&P、ムーディーズは豪州トリプルA格据え置き、見通し安定的(5/14)、9/14下院総選挙発表―労働党支持率低下→保守党(産業界寄り)勝利で豪ドル安?鉱山使用料(ロイヤルティー)引き上げ検討への反感強い、資源産業/非資源産業格差問題、IMFは資源ブームけん引による豪州の輸出は減速見通し。

+3

+3

総合index(現状)

やや買いバイアス

+5

-8

*Good、Badは豪ドルにとって好材料、悪材料という意味

【豪ドル/ドル チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

【豪ドル/円 チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

OZ NOW

外部要因で動く豪ドル

これが資源国通貨・高金利通貨・投機通貨の宿命なのであろうが、豪ドル相場は相変わらず国際情勢によって翻弄されている。
8月になってからは米国量的緩和縮小観測が足かせとなり、加えて新興国不安が影響し、今週になってからは特にシリア情勢緊迫化によりトルコリラやアジア通貨安に連動して豪ドルに新たな売り圧力となっている。

ブラジル中銀は大量のドル売り介入により同じ資源国通貨リアルの下落を何とか食い止めているようだが、RBAはむしろ豪ドル下落ウエルカムであり、リアルのように介入による回復など望むべくもない。

アジア新興国不安は実際に新興国の景気低迷により豪州からの資源輸出が減少するという負の側面があるが、加えて昨年まで活発な豪ドル買い手であったアジア中銀が、豪ドル買いどころか、資金流出補てんのために豪ドル外貨準備の売却を余儀なくされているとの見方が強い。

特に豪ドルとは特定していないが、インドネシアといくつかのラテンアメリカ諸国は自国通貨防衛のための外貨準備売却に言及している。
従来からアジア中銀(除く中国)の外貨準備高の増加と豪ドル相場の相関性が指摘されているが、アジア新興国は既に外貨準備を積み上げるだけの余剰資金にも事欠いているのが現状である。

1998年のアジア危機時にも豪ドルは高値82セント台、98円台 から54セント台、68円台まで下落したが、やはりアジア危機の連想が市場参加者の頭にないとは言えないだろう。
今回が第二次アジア危機に拡大するとの見方は少ないものの、アジア新興国不安に加えて中東の地政学的懸念からトルコ、マレーシア、タイ、ブラジル、南アなどの新興国通貨、資源国通貨が全般的に軟調推移しており、ただでも弱い豪ドルの立場を更に悪くしている。

 

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