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マーケットビュー

木曜 津田穣のG´Day! (グダイ!) 豪ドルレポート 豪州からホットな最新情報をお届け

ドル安・円高

更新日:2013年8月8日

豪ドルここまでのレビュー

この1週間(8/1-8/8)の相場レンジ:
AUDUSD: 0.88472-0.90890 AUDYEN: 86.410-89.066

この1週間は世界的にリスク回避の動きが目立ち、株式市場・商品相場ともに冴えない展開となった。
為替市場では株価の軟調からリスク回避の円買いが強まり、ドル/円は96円台前半、ユーロ/円は128円台半ば、ポンド円は147円台半ば、豪ドル円は86円台半ばとドル/円、円クロス共に値を下げた。
また米国の量的緩和縮小観測もドルをサポートせず、ユーロ/ドル1.33台半ば、ポンド/ドル1.55台前半まで上昇し、非常に頭の重かった豪ドル/ドルまで0.90台後半まで回復している。

豪ドルは先週0.88台半ばまで下落したが今週はむしろ堅調地合となっている。RBAは今週予想通りに政策金利を2.5%の史上最低レベルに引き下げたが、今後の示唆(追加緩和示唆)がなかったことから豪ドル/ドルは0.9000近辺に反発。

また豪州国内指標では6月小売売上高が0.0%(予想+0.4%、前回+0.1%)、6月貿易収支が+602mio(予想+800mio、前回+670mio)、7月雇用統計が就業者数-10.2千人(予想+5.0千人、前回+9.3千人)と総じて軟調な結果となったが豪ドル/ドルの下値は限定的で、本日の弱い雇用統計にもかかわらず発表された中国の7月貿易収支で輸出入の伸び(特に輸入は前年比で予想の+1.0%に対して+10.9%)が予想を上回ったことを好感して0.90台後半まで続伸している。

豪ドル/円は円高の流れで昨日は2012年12月以来の安値86円台半ばまで値を下げたが、本日は豪ドル/ドルの上昇に連動して87円台後半に反発している。
またユーロ/豪ドルは今週2010年5月以来の高値1.5000近辺まで上昇後現在1.4700まで反落し、NZ乳製品のボツリヌス菌騒ぎで週初1.15台に急反発した豪ドル/NZドルは再び1.13台に反落している。
豪ドルは対米ドル中心にやや底入れ感が見られた1週間であった。

豪ドル見通し

向う1週間の予想レンジ :
 AUDUSD:0.8900-0.9200 AUDYEN:86.50-89.50

向う半年の予想レンジ :
 AUDUSD :0.85-1.00  AUDYEN: 83.00-105.00

足元のセンチメント――豪ドル/ドルややブルだが、豪ドル/円依然ベアセンチメント残る
足元の予想――豪ドル/ドルは引き続きショートカバーか

主要通貨の中期的バイアス :
 ・米ドル―ブル
 ・円―ベア
 ・ユーロ/ドル―ニュートラル
 ・豪ドル/ドル―ニュートラル

先週は米国週間ということでQ2GDP、FOMC、7月雇用統計と材料が多かったが、結局為替市場ではドル安・円高地合が強まった。
中期的なドルブル・円ベアの見方は変えていないが、やはり相場はどこまでも一方方向に動く訳ではなく、大きなトレンドの中でも“上げ下げのサイクル運動”が基本ということであろう。
それにしても再び昔懐かしい言葉“リスク回避の円買い”が蘇ってきた。これもまた“相場は繰り返す”のたとえの通りということか。
なんでも8月は昔からネガティブサプライズが多い月なのだそうだ。
過去を振り返るといずれも8月―1993年欧州為替メカニズム(ERM)崩壊、1998年ロシアのデフォルト宣言、2007年パリバショックでサブプライム問題表面化、2011年米国格下げなどだそうだ。

ミラノの米総領事館爆弾騒ぎや元CIA職員の亡命に絡んで米ロ首脳会談が取りやめになったこともリスク要因として取り沙汰されている。
鶏と卵ではないが一旦リスク回避の動きが始まると全て悪い方にと市場の目が注がれる。
従来量的緩和縮小は米ドル金利上昇でドル買いであったはずが、ハト派の地区連銀総裁まで9月緩和縮小開始の可能性に言及するに及ぶと、今度は緩和縮小はリスク要因と認識され、株価が下落して債券が買われるという状況だ。
7月の非農業部門就業者数がたった2万人予想より少なかっただけで、しかも失業率が2ポイントも改善しているにかかわらずドル円が1円急落するなどやはり市場は既にドル買いに食傷気味だったのだろう。

一方日本サイドでも秋に本格化するであろう消費増税問題が最大のリスク要因と認識されているし、本日の日銀会合の結果も“現状維持=ドル円売り”の反応である。
また今朝発表の本邦6月の貿易赤字が予想を上回っても、むしろ経常収支の5カ月連続黒字に反応して円が買われる。
さすがに“ミラクルなドル円上昇トレンド”の始まりからそろそろ1周年を迎えるに当たり、ドル買いサイドも円売りサイドも新規の材料なしではドルの新値を買っていくエネルギーが欠如しているのであろう。
6月にドル円が93円台まで大幅反落した原因はやはり日銀会合が期待に反して政策据え置き、米国のQE縮小観測に対する不透明感から日米の株価が大幅下落してリスク回避の動きが急激に活発化したことであった。
今回も状況は似ている訳でおそらく“ガス抜き”なしでは次の高みには行けないのであろう。
黒田日銀総裁の異次元緩和やアベノミクスの効果、更には米国の量的緩和縮小を市場がポジティブにとらえていた局面が終わってネガティブサイドを見出せば、再びリスク回避の円買いが横行する可能性がないとは言えない。
一方同時に日本のデフレ脱却政策や消費増税による財政再建が空振りに終わって日本格下げとなり、巨額の財政赤字がフォーカスされた時の“恐怖の悪い円安”の可能性も併存している点も忘れるべきではないだろう。

今週のRBAの利下げの後、豪ドルは0.89台前半から0.9000近辺まで急反発した。
典型的な“SELL ON RUMOR BUY ON FACT”である。
これも結果論ではあるが「万が一利下げがなければ豪ドル急騰、利下げはほぼ織り込み済み」となれば、やはり発表直前にポジションを持つなら“ロング”ということになる。
もっともその後も豪ドルが底堅い主な原因は、やはりBUY ON FACTに加えてRBA声明に今後の(追加緩和)示唆が抜けていたことであろう。
また本日の7月豪雇用統計も含めて軟調な経済指標にも豪ドルの下値は限定的で、むしろ本日の中国7月の貿易収支は黒字幅は予想を下回ったものの、輸入の大幅増加に対してポジティブな反応を示す豪ドルを見ると、豪ドル自律反転もそう遠くない気がする。
RBAの利下げに対しては下記<OZ NOW>で述べたように、むしろ批判的な見方が目につくのも事実である。
ただせっかく底値を固め出した豪ドルの新たな不安要因は“リスク回避の円買い”が再度豪ドルの足を引っ張ることかもしれない。

主なイベントは8(木)米新規失業保険申請件数、9(金)RBA四半期金融政策報告書(再びハト派的内容になるか?)、中国7月諸指標、12(月)日本Q2GDP、13(火)NAB7月企業景況感、独ZEW景況感調査、米7月小売売上高、14(水)独Q2GDP、EUQ2GDP、15(木)米新規失業保険申請件数、NY連銀8月製造業景気指数、米7月CPI、フィラデルフィア連銀8月製造業景気指数 など。

Joe式豪ドル週替わりindex

独自の手法で10項目について豪ドル相場にとっての好悪インパクトをそれぞれ最弱評価から最強評価まで「-10―+10」でランク付けし、現状を総合判断したもの。したがって総合indexは理論的には最弱-100で最強+100となる。Indexが大きくプラス、マイナスに傾いている時がチャンス。
現状分析であり、今後を予測する機能はあまりないが、ポジション造成や閉じる際の参考にはなる。

 

ポイント

今回
index

前回
index

ファンダメンタルズ

*Good
・7月失業率5.7%(予想5.8%、前回5.7%)(8/8)
・RBAアンダーライイングCPI前期比+0.6%(予想+0.5%、前回+0.4%)、前年比+2.4%(予想+2.25%、前回+2.4%)(7/24)

・6月新車販売+4.0%(前月比、前回+0.3%)、前年比+2.1%(前回+0.8%)(7/15)
・6月の雇用統計就業者数+10.3千人(予想0.0千人、前回-0.7千人)(7/11)
・6月NAB企業信頼感0 (前回-1)(7/9)
・5月HIA新築販売+1.6%(前回+3.9%、3カ月連続増加)(7/3)
・6月AIG 製造業PMI 49.6(前回43.8、17ms連続縮小ではあるが)(7/1)
・Q1経常収支-8.5bio(予想-9.0bio、前回-14.8bio)(6/4)・Q1企業収益+3.0%(予想+1.5%、前回-0.5%)(6/3)

*Bad
・7月就業者数-10.2千人(予想+5.0千人、前回+9.3千人)(8/8)
・6月貿易収支+602mio (予想+800mio、前回+670mio)(8/6)
・6月小売売上高0.0%(予想+0.4%、前回+0.1%)(8/5)
・Q2PPI 前期比+0.1(前回+0.3)、前年比+1.2%(前回+1.6%)(8/2)
・6月住宅建設許可件数-6.9%(予想+2.0%、前回-4.3%)(7/30)
・豪州Q2CPI前年比+2.4%(予想+2.5%、前回+2.5%)、前期比+0.4%(予想+0.5%、前回+0.4%)(7/24)

・Q2NAB企業信頼感-1(前回+2)、企業景況感-4(前回-3)(7/18)
・6月失業率5.7%(4年ぶりの高さ、予想5.6%、前回5.6%)(7/11)
・7月WESTPAC消費者信頼感-0.1%(前回+4.7%)、102。0(前回102.2)(7/10)
・6月NAB企業景況感-8 (前回-4)(7/9)
・6月ANZ求人広告-1.8%(前回-2.5%4か月連続マイナス)(7/8)
・第1四半期GDP前期比+0.6%(予想+0.7%、前回+0.6%)、前年比+2.5%(予想+2.7%、前回+3.2%)(6/5)
・Q1民間設備投資(CAPEX)-4.7%(予想+0.5%。前回-2.1%)(5/30)
・Q1建設活動-2.0%(予想+1.0%、過去5四半期で最大の下落(5/29)
・RBA四半期金融政策報告書
2013年GDP2.50%(前回2.5%)。インフレ予想2013年2.25%(前回2-3%)(2013/5/10)

・豪政府経済見通し(2013/8/2)
GDP 2013/14 2.5%(5月2.75%)に下方修正、GDP2014/15 3.0%(5月3.00%)に据え置き。
2013/14財政赤字301億ドル(5月180億ドル)、2016/17 40億ドル黒字転換
(参考)2013/14 連邦予算案
2013/14連邦予算案― 2012/13年度 194億ドルの財政赤字(オリジナルは15億ドルの黒字予想)、2013/14年度―180億ドル財政赤字、15/16年度は黒字転換予想、GDP予想12/13年度3.0%(従来3.0%)、13/14年度2.75%(従来3.00%)、GDP比債務比率12/13年度-1.3%、13/14年度-1.1%(2013/5/14)

-5

-2

市場センチメント
(リスク値)

世界的に株価軟調でセンチメント悪化したが、本日日米株は上昇。
昨日NYダウは-48 ptsの15,470ドル。本日オフショアでは+47pts。昨日VIX恐怖指数は+0.26の12.98。

+2

+2

市場ポジション

シカゴIMMの通貨先物ポジションは豪ドル売りコントラクト72,573売り(前週比売りが8,591コントラクト減る)(7/29)。短期筋の豪ドルショートポジションは減る。

+2

+3

商品相場

原油は104ドル台に反落、金は1292ドル台にやや反発、昨日CRBは+0.17の281.54。鉄石は131ドル台で小康、石炭(燃料炭スポット)は71ドル台で小康。

-2

+2

金利・為替(当局)

8月は予想通りに2.5%に利下げ、<声明>”近い将来成長はトレンド下回る、成長を支援するために必要な政策を調整、豪ドルは一段と下落する可能性”今後の示唆は特になし、米豪10年利回り格差1.097%に縮小。

-2

-5

需給

豪ドル下落で新たな買いが出るか(日本のボーナスシーズン)、個人投資家は豪ドル買いにやや躊躇あるいは円転の動きも、海外からの直接投資、M&Aに絡む豪ドル買い需要の話。潜在的な輸出の豪ドル買い需要。

+2

+2

テクニカル

豪ドル/ドル、豪ドル/円ともに一目均衡表の雲の下でスパンAがスパンBの下で依然弱い。豪ドル/ドルはボリンジャーバンドの下限から反発、豪ドル/円は下限に沿って続落。足元豪ドル/ドルは底入れか。RSIは豪ドル43.40%、豪ドル円は32.84%で豪ドル/ドルのoversoldが減る。

+3

-4

米ドル強弱

ドルインデックスは81.38に下落、ユーロは1.33台前半に上昇。

+3

-2

中国関連

7月貿易収支 +178.2億ドル(予想269億ドル、前回+271.2億ドル)、輸出+5.1%(前年比予想+2.0%、前回-3.1%)、輸入+10.9%(予想+1.0%、前回-0.7%)、7月非製造業PMI 53.9(前回54.3)、7月製造業PMI 51.3(前回51.3)(8/5)、7月HSBC製造業PMI47.7(11ms low、予想48.2)(7/24)、李克強首相「7%は成長最低ライン」(7/23)、中国人民銀行は貸出金利の下限撤廃(7/19)、GDPは一部予想されたほど(6.5-6.7%)悪くはなく予想範囲内、Q2GDP+7.5%(予想+7.5%、前回+7.7%、前々+7.9%)(7/15)、6月鉱工業生産+8.9%(前回+9.1%)、6月小売売上高+13.3%(前回+12.9%)(7/15)、桜継偉財政相―今年後半成長率7%を大きく下回り、前半も7.7%を下回る可能性(7/12)、株価(上海総合指数)今年になって2番目の上げ幅(7/11)、6月CPI+2.7%(予想+2.5%、前回+2.1%)、6月PPI-2.7%(予想-2.6%、前回-2.9%)(7/9)、中国短期金融市場流動性不安(6/26)、金融緩和期待後退―中国国務院が穏健で中立的な金融政策維持で緩和期待後退、景気減速・短期金融市場不安、IMF中国GDP見通し下方修正(2013年 8.00−APR―→7.75%、2014年8.00%→7.50%)(5/29)人民元高6.17台(過去最高)、中国銀行業監督管理委員会が銀行に対して内需や環境関連への融資拡大を指示で株反発(4/19)、周中国人民銀行総裁は不動産バブル懸念を述べる(3/13)全人代では財政支出拡大提言(3/5)不動産規制強化で不動産株急落(3/4)、政府は不動産価格抑制を検討か、2012年GDP+7.8%本日上海総合指数は-3pts。

+2

+2

その他(政治、産業界など)

(豪州国内)
RBA利下げは賛否両論、労働党支持率やや後退(8/3-4、二大政党労働党48-保守連合52)、9/7総選挙、炭素税廃止を産業界は好感、ラッド新首相はギラード女史より強いイメージ、豪ドル下落を産業界は好感、予算案発表後S&P、ムーディーズは豪州トリプルA格据え置き、見通し安定的(5/14)、鉱山使用料(ロイヤルティー)引き上げ検討への反感強い、資源産業/非資源産業格差問題、IMFは資源ブームけん引による豪州の輸出は減速見通し。

+3

+3

総合index(現状)

やや買いバイアス

+8

+1

*Good、Badは豪ドルにとって好材料、悪材料という意味

【豪ドル/ドル チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

【豪ドル/円 チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

OZ NOW

RBAの利下げを手放しで歓迎は政府だけ?

今週のRBA理事会でRBAは予想通りにオフィシャルキャッシュレート(政策金利)を25bp下げて史上最低水準の2.5%とした。
ただ当地のFinancial Review(日本の日経新聞に相当する経済紙)の論調を見るとむしろ批判的な論調が目立つ。
まずは未だかつてRBAが選挙運動期間中に金利を変更したことがなく今回が初めての事例となるということ。

労働党政権は今回の利下げを「自分達の主張が聞き入れられた」として選挙戦でポイントを獲得したように喜んでいるが、一方野党自由党は「住宅バブルの懸念がある中、史上最低を更新するレベルへの利下げは景気をここまで悪くした労働党政権の無策の結果」と非難しており、まさにRBAの金融政策が政争の具にされていると冷めた見方をしている。

また豪銀は利下げに即応して住宅融資金利の引き下げを発表したが、過剰な金融緩和で更に住宅バブル化が進み、今後景気が更に減速すれば住宅価格と経済のアンバランスから住宅バブルが崩壊する可能性があると懸念する。

また景気の減速を金融政策のみで乗り切ることは不可能であり、むしろ財政政策を発動すべきだが、労働党政権下での財政赤字拡大から今後増税の可能性があり個人消費が減退する恐れがあると指摘する。

更に史上最低レベルへの利下げで年金生活者や資産運用者はよりリスクの高い商品への運用シフトを余儀なくされており、特に年配の年金生活者の生活を圧迫しつつあると述べている。

繰り返しになるがスティーブンス総裁の金融緩和オーバーランを懸念するのは私だけではなさそうだ。

 

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