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マーケットビュー

木曜 津田穣のG´Day! (グダイ!) 豪ドルレポート 豪州からホットな最新情報をお届け

米ドル優勢だが買いポジションも溜まりやすい

更新日:2013年7月4日

豪ドルここまでのレビュー

この1週間(6/27-7/4)の相場レンジ:
AUDUSD: 0.90372-0.93381   AUDYEN: 90.154-92.396

この1週間はFOMC後、米国のQE縮小観測が高まったことや中国金融不安が残り、主要国株価は総じて軟調推移したが、後半は日経平均が14,000円台、NYダウが15,000ドル近辺、また上海総合指数も2,000近辺まで回復した。
原油価格(WTI)が1年2ヶ月ぶりに101ドル台まで上昇しているのはエジプト政情不安や需給逼迫が背景。一方金価格も一時の1,200ドル割れから1,250ドルに反発し、商品相場( CRB INDEX)も281と小戻ししている。

為替相場ではドル高・円安が顕著となりドル円は一時100円台後半まで反発したが、昨日はポルトガルの政局混迷など先行き不透明感から久しぶりにリスク回避の円買いも見られて、99円台前半に反落後再び100円台を回復するなど不安定な動きとなった。

ユーロ/ドルは本日のECB理事会における金融緩和観測もあって1.29台前半まで反落したが調整買戻しで1.30台を回復。またユーロ円は円安の流れで126円台から131円台まで上昇したが昨日はリスク回避の円買いで一時128円台半ばまで反落した後で130円まで戻すなど行って来いの展開となった。

豪ドルは大きく値を下げた。今週のRBA理事会は予想通りに金利据え置きであったが、下の<OZ NOW>でも述べたように、声明文や昨日のスティーブンスRBA総裁講演での同趣旨の豪ドル高牽制を嫌気して、昨日は一時2010年10月以来の安値0.90台前半、90円台前半まで下落した。
ユーロ/豪ドルは2010年8月以来の1.43台後半に上昇し、また豪ドル/NZドルは2008年11月以来の1.16台に下落するなど、再び豪ドル全面安地合となっている。

豪ドル見通し

向う1週間の予想レンジ :
 AUDUSD:0.8950-0.9250  AUDYEN:89.00-92.00

向う半年の予想レンジ :
 AUDUSD :0.88-1.05   AUDYEN: 85.00-105.00

足元のセンチメント――再び豪ドルベアセンチメント強まる
足元の予想――下値テストと買い戻しの揉み合い

主要通貨の中期的バイアス :
 ・米ドル―ブル
 ・円―ベア
 ・ユーロ/ドル―ニュートラル―足元ややベア
 ・豪ドル/ドル―ニュートラル―足元依然としてベア

ドル円は再び一時100円台後半に上昇し、ユーロは本日のECB理事会での量的緩和拡大観測やポルトガル問題で軟調、豪ドルはRBA当局の豪ドル安誘導とも取れる発言で数年来の安値を付けている。

最近のドル独歩高は、例えて言えば今年のウインブルドン・テニス大会のように負傷者続出、棄権多発で、競争相手が次々と脱落している状況だ。
本日のECB理事会では量的緩和の拡大が決定されると予想する。
一方、FRBのハト派関係者は最近になって「依然緩和的政策が妥当、QE縮小と利上げは全く別問題」と盛んにQE縮小観測の独り歩きを牽制しているが、QE縮小が開始されれば市場実勢金利は当然のことながら更に上昇していき、むしろFRBの利上げを催促する相場となるだろう。

ドル/円については繰り返しになるがドル高(米国の景気回復とQE縮小観測)に加えて、日本サイドの円売り材料“アベノミクス+異次元の金融緩和+貿易赤字の拡大+年金など機関投資家の外債投資”がオンパレードするだけに円安トレンドが中期的に継続するだろう。
ただ、これらの円安材料は万人が認めるところであり、市場のドル/円ロング・円クロスロングポジションは蓄積している訳で、何かリスク回避の材料が現出するたびに昨日のようなかなりきついポジション調整売りが入ることは忘れてはいけない。

豪ドルは筆者の“底打ち予想”を打ちのめすようなRBA当局の“豪ドル安誘導とも取れる発言”が相次ぎ新安値(対米ドル)に下落した。 最近の経済指標は小売が弱く、貿易収支が大幅改善など好悪まだら模様は従来と変わらず。本日発表された5月建設許可件数は好調な住宅部門にもかかわらず前月比-1.1%と不冴えであったが、これは前月が+9.5%とジャンプアップした反動だろう。
ただ先週発表されたIMFのQ1の外貨準備に占める各通貨割合では、豪ドルとカナダドルのポーションが初めて発表されたが、豪ドルは1.47%と前期の1.63%からやや減少した。
もっとも米ドル(61.23%から62.21%に増加)とカナダドル(1.48%から1.56%に増加)以外は全ての通貨のポーションが減少している訳だが、市場が思っていたほど豪ドルポーションが大きくなかったことも売り材料にされた。
米国QE縮小や資源ブームの終了観測に中国金融不安と悪材料が重なり、ダメ押しがRBA当局の“豪ドル安誘導”(下の<OZ NOW>参照)とも取れる発言で、まさに豪ドルは踏んだり蹴ったりである。

因みに当地の豪銀のうちCBAの通貨予想は:

 

Dec 13

Jun 14

AUD/USD

0.9600

0.9500

USD/YEN

114.00

126.00

AUD/YEN

109.44

119.70

豪ドルは5月ピークから11%強減価しておりM&Aなど直接投資意欲は高まっているが、一方豪ドル相場と豪ドル金利先安観が今後も継続するようであれば、金融資産への海外投資家の投資意欲は減退するだろう。

個人的にはそろそろ豪ドル安の弊害論が出てきてもおかしくないと思っているが、如何せん“長い物には巻かれろ”であり、RBAの豪ドル安執着がある限り戻りも限定的と言わざるを得ない。
豪ドル回復のきっかけはやはり中国発のポジティブなニュースや、国内インフレ率の上昇であろう。

主なイベントは4日(木)ECB、BOE理事会、米国独立記念日祝日、5日(金)米国6月雇用統計、8日(月)日本5月国際収支、9日(火)中国6月CPI・PPI、10日(水)中国6月貿易収支であるが、やはり明日の米国雇用統計が注目され、改善が確認されれば9月のFOMCでQE縮小が決定される可能性が高まるだろう。

Joe式豪ドル週替わりindex

独自の手法で10項目について豪ドル相場にとっての好悪インパクトをそれぞれ最弱評価から最強評価まで「-10―+10」でランク付けし、現状を総合判断したもの。したがって総合indexは理論的には最弱-100で最強+100となる。Indexが大きくプラス、マイナスに傾いている時がチャンス。
現状分析であり、今後を予測する機能はあまりないが、ポジション造成や閉じる際の参考にはなる。

 

ポイント

今回
index

前回
index

ファンダメンタルズ

*Good
・5月貿易収支+670mio (3カ月連続の黒字、予想+53mio、前回+28mio)(7/3)
・5月HIA新築販売+1.6%(前回+3.9%、3カ月連続増加)(7/3)
・6月AIG 製造業PMI 49.6(前回43.8、17ms連続縮小ではあるが)(7/1)

・5月の雇用統計就業者数+1.1千人(予想-10.0千人、前回+45.0千人)
失業率5.5%(予想5.6%、前回5.6%)(6/13)
・6月WESTPAC消費者信頼感+4.7%(過去前回-7.0%)、97.6(前回104.9)(6/12)
・5月NAB企業信頼感-1(前回-1―-2から改定)、企業景況感-4(数字はマイナスだが過去3カ月で最高、前回-6)(6/11)
・Q1経常収支-8.5bio(予想-9.0bio、前回-14.8bio)(6/4)・Q1企業収益+3.0%(予想+1.5%、前回-0.5%)(6/3)

*Bad
・5月住宅建設許可件数-1.1%(予想-1.0%、前回+9.5%)(7/4)
・6月AIGサービスインデックス41.5(前回40.6)(7/3)
・5月小売売上高+0.1%(予想+0.3%、前回-0.2%)(7/3)

・4月住宅融資残高+0.8%(予想+2.0%、前回+5.2%)(6/11)
・第1四半期GDP前期比+0.6%(予想+0.7%、前回+0.6%)、前年比+2.5%(予想+2.7%、前回+3.2%)(6/5)
・5月ANZ求人広告-2.4%(前回-1.7%)(6/3)
・Q1民間設備投資(CAPEX)-4.7%(予想+0.5%。前回-2.1%)(5/30)
・Q1建設活動-2.0%(予想+1.0%、過去5四半期で最大の下落(5/29)
・Q1PPI 前期比+0.3(予想+0.2、前回+0.2)(5/3)
・豪州Q1CPI前年比+2.5%(予想+2.8%、前回+2.2%)、前期比+0.3%(予想+0.5%、前回+0.6%)、アンダーライイングCPI前期比+0.4%(前回+0.55%)、前年比+2.4%(前回+2.4%)(4/24)―予想より弱め
・RBA四半期金融政策報告書
2013年GDP2.50%(前回2.5%)。インフレ予想2013年2.25%(前回2-3%)(2013/5/10)

・経済・財政中間見通し(2012/10/22)
GDP 2012/13 3.25%→3.00%に下方修正
2013/14 3.00%据え置き
2012/13財政黒字5月時の15億豪ドル→11億ドルに下方修正
(参考)2013/14 連邦予算案
2013/14連邦予算案― 2012/13年度 194億ドルの財政赤字(オリジナルは15億ドルの黒字予想)、2013/14年度―180億ドル財政赤字、15/16年度は黒字転換予想、GDP予想12/13年度3.0%(従来3.0%)、13/14年度2.75%(従来3.00%)、GDP比債務比率12/13年度-1.3%、13/14年度-1.1%(2013/5/14)

+2

+2

市場センチメント
(リスク値)

中国懸念残り、ポルトガル懸念あるがセンチメントやや改善。
昨日NYダウは+56ドルの14,988ドル。本日オフショアでは+2pts。昨日VIX恐怖指数は-0.24の16.20。

+2

+2

市場ポジション

シカゴIMMの通貨先物ポジションは豪ドル売りコントラクト61,644売り(前週比売りが1,877コントラクト減る)(6/25)。短期筋の豪ドルショートは再び増え出す。

+3

+3

商品相場

原油は101ドル台に急伸、金は1253ドル台に反発、CRBは+2.1の281.79、鉄石は119ドル台に上昇、石炭(燃料炭スポット)は72ドル台に軟化。

+3

-3

金利・為替(当局)

6月は金利据え置きも声明「一段の緩和余地ある可能性、豪ドルは依然高水準、豪ドル一段と下落する可能性」、スティーブンス総裁講演(7/3)「豪ドルの下落が経済を支援する可能性、豪ドルは豪経済の多くの部門にとって高過ぎる水準、資源ブームからのシフトは大きな試練」米豪10年利回り格差1.243%にやや縮小。

-5

-3

需給

個人投資家は豪ドル買いにやや躊躇あるいは円転の動きも。豪ドル下落で海外からの直接投資、M&Aに絡む豪ドル買い需要の話。潜在的な輸出の豪ドル買い需要。

+2

+2

テクニカル

豪ドル/ドル、豪ドル/円ともに一目均衡表の雲の下、かつスパンAがスパンBの下で弱い。ボリンジャーバンドの豪ドル/円は上限から反落、豪ドルは下限に沿って再度下落。豪ドル/ドルは3年ぶりの新安値で次のターゲットは2010年8月の0.8770。豪ドル/円は2012年10月安値79.40と4月高値105.40の半値戻し92.40を下にブレークしており、90.00、その下は87.60近辺がターゲット。RSIは豪ドル/ドル31.75%、豪ドル/円41.43%でoversold再び増え出す。

-3

+3

米ドル強弱

ドルインデックスは83.47に小幅反落、ユーロは1.30近辺に小反発。

+2

-3

中国関連

景気減速・短期金融市場不安、中国6月製造業PMI 50.1(予想50.1、前回50.8)、6月HSBC製造業PMI 48.2(予想48.2、前回49.2)、5月鉱工業生産+9.2%(予想+9.4%、前回+9.3%)、5月小売売上高+12.9%(予想+12.9%、前回+12.8%)(6/9)、5月CPI+2.1%(予想+2.5%、前回+2.4%)、5月PPI-2.9%(予想-2.5%、前回-2.6%)(6/9)、5月中国貿易収支+20.4bio(予想+20.0bio、前回+18.2bio)(輸出+1.0%、輸入-0.3%でやや弱)(6/8)、IMF中国GDP見通し下方修正(2013年 8.00−APR―→7.75%、2014年8.00%→7.50%)(5/29)人民元高6.17台(過去最高)、5月のHSBC製造業PMI(速報値)は49.6(7カ月ぶりの縮小、予想50.0、前回50.5)(5/23)、中国銀行業監督管理委員会が銀行に対して内需や環境関連への融資拡大を指示で株反発(4/19)、Q1GDP+7.75(予想+8.0%、前回+7.9%)、周中国人民銀行総裁は不動産バブル懸念を述べる(3/13)全人代では財政支出拡大提言(3/5)不動産規制強化で不動産株急落(3/4)、政府は不動産価格抑制を検討か、2012年GDP+7.8%。本日上海総合指数は-29ts。

-4

-4

その他(政治、産業界など)

(豪州国内)
ラッド新首相はギラード女史より強いイメージ、豪ドル下落を産業界は好感、予算案発表後S&P、ムーディーズは豪州トリプルA格据え置き、見通し安定的(5/14)、9/14下院総選挙発表―労働党支持率低下→保守党(産業界寄り)勝利で豪ドル安?鉱山使用料(ロイヤルティー)引き上げ検討への反感強い、資源産業/非資源産業格差問題、IMFは資源ブームけん引による豪州の輸出は減速見通し。
6/27世論調査(党首選後)
労働党49.5%、保守連合50.5%。

(6/13-15AFR/Nielsen poll)<各政党支持率>労働党29%(前回32%)、保守連合47%(44%)、緑の党11%(11%)、<二大政党間>労働党支持率43%(前回46%)、野党保守連合(自由党・国民党)57%(前回54%)、首相適任ギラード支持41%(前回46%)、アボット支持50%(前回46%)。

+2

-2

総合index(現状)

やや買いバイアス

+4

+1

*Good、Badは豪ドルにとって好材料、悪材料という意味

【豪ドル/ドル チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

【豪ドル/円 チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

OZ NOW

RBAは豪ドル安志向?

今週の理事会でRBAは大方の予想通りに金利を据え置きとした。また声明文でも「成長はトレンドをやや下回る。一段の緩和余地がある可能性」と述べているのは従来と変わらない。ところが最近こちらのFinancial Review(日本の日経新聞に相当する経済紙)でも指摘されているのはRBAの豪ドルの水準に対する表現がかなり変わってきている点。 すなわち5月上旬からの豪ドルの下落率が11%を越えているにもかかわらず執拗に豪ドル高牽制を繰り返している点である。

声明では、

・豪ドルは依然高水準にある。
・豪ドルが一段と下落する可能性がある。
・豪ドル安は経済のリバランスに寄与する。

と述べている。

加えて、昨日のスティーブンスRBA総裁講演では、

・豪ドルは豪経済の多くの部門にとって高過ぎる水準。
・豪ドル下落が経済を支援する可能性。

と述べ、更なる豪ドル安を助長するような発言をしている。

資源産業から非資源産業にと、産業のけん引役を移行させるという政府の政策に沿ったRBA金融政策の一環であろうが、2010年10月の豪ドルパリティー達成以来、豪ドル高に言及しつつも黙認していたかつての姿勢とは大きな変化がある。
もちろん背景には資源投資ブームのピークアウト観測や交易条件の悪化があるわけだが、今年年初まで主要通貨中最強通貨の一角を占めた豪ドルが現在最弱通貨になる中でのRBAのスタンスの変化は、NZ準備銀行やスイス中銀の通貨高牽制発言を想起させる。

つまりはG8にも属さない、G8の“しばり”のない弱小国の理論のようにも聞こえる。
ただ実際に豪州に住んでいるものとしては、最近豪ドル安の影響による輸入物価高を痛感する。工業製品の多くを輸入に頼る豪州の日用雑貨の価格が上昇しているし、特にガソリン価格は年初の1リットル=1.20ドルが現在1.60ドルと、豪ドル上昇率を上回って25%も上昇しているのだ。国土の広い豪州では車は生活必需品であるが、産油国にもかかわらず東海岸の諸都市のガソリンは中東からの輸入に頼っているのだ。
エコノミストの中にも豪ドル高の効用としてのインフレ沈静化を指摘し、また豪ドル高がゆえにRBAが積極的な金融緩和を実施できたと指摘する向きもいる。
豪ドル先安感を先導するRBAのスタンスは今後も続くのであろうか。

 

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