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マーケットビュー

木曜 津田穣のG´Day! (グダイ!) 豪ドルレポート 豪州からホットな最新情報をお届け

他人が気になるのは余裕が出てきた証拠

更新日:2013年2月14日

豪ドルここまでのレビュー

この1週間(2/7-2/14)の相場レンジ:
 AUDUSD: 1.02264-1.03679  AUDYEN: 95.135-96.878

この1週間は今週のG20など国際会議を控えて各国当局者の発言に市場は神経質に振幅した。 ドル円は今週初94円半ばまで続伸した後、一時93円割れまで調整反落したが、円相場に対しては各国当局からのコメントが相次いだ。

また先週イタリアやスペインの政局不安、更にはドラギECB総裁発言を受けて1.33台半ば、123円台半ばまで反落したユーロは、今週は今度は過大評価を否定した要人発言で一時1.35台、127円近辺まで反発後、再びECBがユーロ高の景気への影響をコメントしたことから反落するなど不安定な展開であった。

一方、豪ドルは先週RBA理事会のハト派的な声明や、四半期金融政策報告における成長・インフレ見通しの下方修正などを受けて1.02台前半、95円台前半まで下落していたが、今週は先週末に発表された中国1月貿易黒字拡大を再評価し、また発表された1月NAB企業信頼感/景況感が改善し、2月WESTPAC消費者信頼感が26カ月ぶりの高い数字となったこと、更には株価指数(ASX All Ordinaries)がリーマンショック後初めて5,000ドルを超えてきたことも支援材料となり、1.03台後半、96円台後半まで反発している。 この結果、ユーロ/豪ドルは先週の高値1.31台後半から1.30割れまで調整されている。

豪ドル見通し

向う1週間の予想レンジ :
 AUDUSD:1.0250-1.0450  AUDYEN:94.50-97.50

向う半年の予想レンジ :
 AUDUSD :0.90-1.10   AUDYEN: 80.00-100.00

足元のセンチメント――揉み合い
足元の予想――利食いの売りをこなしながら上値テスト
主要通貨の中期的バイアス――
・米ドル―ブル
・円―ベア
・ユーロ/ドル―ニュートラル
・豪ドル/ドル―ニュートラル

このところ、円やユーロ相場を巡って“通貨戦争”なる言葉が躍っている。
4年以上続くリーマンショックから欧州債務リスクという世界経済危機の中で、誰も彼も自国のことで精一杯であり、他人事(為替は自国通貨と他国通貨の交換比率)にまで目配りできなかった訳で、その意味では今回の通貨騒動も逆に世の中が正常化しつつある証拠であるとも言えよう。

リーマンショック以降の過程でドル/円は105円から75円まで40%下落し、ユーロ/ドルは1.51から1.18まで28%下落したが、日本をはじめ誰もドル安誘導、ユーロ安誘導とは言わなかった。

今回ドル円が17%上昇しただけで“円安誘導”はないだろう?
欧州は現在景気回復過程にあるし、何より巨額の経常黒字を享受している。
また米国の12月貿易赤字は過去3年で最低となり、今後シェールガスの実用化が進めば米国の貿易構造は大きく変化するであろうし、財政赤字削減にも寄与するだろう。

これに引き換え、今朝発表された日本のQ4GDPは予想より悪い前期比-0.1%で3期連続マイナスのリセッションであり、また未曾有の震災被害国である日本の貿易赤字は、原発停止の影響もあり、今後も長引くことが懸念されるのだ。

現在欧米では積極的な量的緩和(欧州は必要性すら減少している?)が行われ、英国でも景況感の悪さから今後再開の可能性があるだろう。
日本の積極的金融緩和が円安の原因と非難するのであれば、ここまで日本を上回る金融緩和を実施してきたG7諸国は正に自家撞着の逆非難を受けてしかるべきであろう。

昨日の米国のルー新財務長官の公聴会では“久々に”「強いドル政策」―強いドルが米成長と競争力向上にとって最大の利益―という言葉が聞かれた。
記憶では2010年10月のガイトナー財務長官の“強いドル政策”発言が最後ではないかと思う。
当時はドル円が95円から80円まで下落して、財政赤字ファイナンスのためにドルの暴落を阻止するという狙いがあっただろう。しかし今回の“強いドル政策”は今後双子の赤字改善が展望される中での“前向きの強いドル政策”と考えられる。日本のお家事情に加えて米国の“強いドル政策”とくれば、ドル円の上昇が継続すると考えるのが妥当ではないだろうか?ただし繰り返しになるが“二歩前進一歩後退”のペースとなるだろう。

以上のことよりG20においてG7各国から日本の名指しの非難はないだろう。
ただ心配なのは領土問題などを抱え、しかも輸出で競合する中国や韓国から政治的色彩の強い“円安誘導非難”がでる可能性があること。 しかしここは“日本経済の回復は世界経済にとって有益”という大人の判断を願いたいところである。

さて豪ドル。
今週は久々に反発地合いとなっている。
上述のように中国の12月貿易収支が改善したことと昨年のたび重なる利下げの効果から1月のNAB企業信頼感/景況感が改善したこと、及び2月のWESTPAC消費者信頼感が大幅に改善されたことが直接の原因である。
また現在進行中の企業決算でコモンウエルス銀行や家電の JB Hi-Fiなどの決算内容が良かったこともあり、豪州株価指数であるAFX All Ordinariesがリーマンショック後初めて5,000ドルを超えてきたことも豪ドルをサポートした。
ただ企業決算も始まったばかりであり、依然として豪ドル高の影響から厳しい決算が今後出るとの予想が多い。

豪ドルはかなりのoversold(売られ過ぎ)が解消されて反発したが、足元大きく高値を伸ばしていくことも予想し難く、足元は暫く揉み合い状態であろう。
今後の政治的イベントは明日からのモスクワG20、来週20/21の日米首脳会談、経済指標では20日(水)の日本の1月貿易収支、米国の住宅関連指数、21日(木)のユーロ圏及び独のPMI、22日(金)の独ifo景況感指数など。
また日にちは確定していないが月末に発表される豪州のQ4民間設備投資(CAPEX)は今後の資源産業への投資動向を占う上で重要である。

Joe式豪ドル週替わりindex

独自の手法で10項目について豪ドル相場にとっての好悪インパクトをそれぞれ最弱評価から最強評価まで「-10―+10」でランク付けし、現状を総合判断したもの。したがって総合indexは理論的には最弱-100で最強+100となる。Indexが大きくプラス、マイナスに傾いている時がチャンス。
現状分析であり、今後を予測する機能はあまりないが、ポジション造成や閉じる際の参考にはなる。

 

ポイント

今回
index

前回
index

ファンダメンタルズ

良い(強い)
・2月消費者インフレ期待値2.2%(前回2.0%)(2/14)
・2月WESTPAC消費者信頼感108.3(26ms high、前回100.6)、+7.7%(17mshigh、前回+0.6%)(2/13)
・1月NAB企業信頼感+3(前回+2)、企業景況感-2(前回-5)(2/12)

・1月雇用統計就業者数+10.4千人(予想+6.0千人、前回-3.89千人)、失業率5.4%(予想5.5%、前回5.4%)(2/7)
・12月貿易収支-427mio (予想-800mio、前回-2.788bio)(2/5)
・12.月NAB企業信頼感+3(前回-9)、企業景況感-4(前回-6)(1/29)
・12月新車販売+2.2%(3ms high、前回-4.1%)、前年比+17.9%(前回+9.7%)(1/16)

悪い(弱い)
・12月住宅融資残高-1.5%(予想0.0%、過去10カ月で最大のマイナス、前回-0.5%)(2/11)
・Q4NAB企業信頼感-5(前回-4)(2/7)
・12月小売売上高-0.2%(予想+0.3%、前回-0.2%)(2/6)
・12月建設許可件数-4.4%(予想+1.0%、前回+2.9%)(2/4)
・1月ANZ求人広告-0.9%(前回-2.8%、10カ月連続マイナス)(2/4)
・Q4PPI 前期比+0.2(予想¥+0.3、前回+0.6)(2/1)
・豪州Q4CPI前年比+2.2%(予想+2.4%、前回+2.0%)、前期比+0.2%(予想+0.4%、前回+1.4%)、アンダーライイングCPI前期比+0.55%(前回+0.75%)、前年比+2.5%(前回+2.5%)(1/23)―予想より弱め
・第3四半期GDP前期比+0.5%(予想+0.6%、前回+0.6%)、前年比+3.1%(予想+3.1%、前回+3.7%)(12/5)
・Q3経常収支-14.9bio(予想-14.55bio、前回-11.8bio)(12/4)
・Q3民間設備投資+2.8%(過去3QTRで最低、予想+2.0%、前回+3.4%)
・RBA四半期金融政策報告書
2013年GDP2.50%(前回2.75%)、インフレ予想2013年3.00%(前回3.25%)(2/8)

-2

-4

市場センチメント
(リスク値)

米欧中景況感からセンチメント改善。 NYダウ引けは前日比-35ポイントの13,982ドル。本日オフショアでは-1ドル、昨日VIX恐怖指数は+0.34の12.98。

+2

+2

市場ポジション

シカゴIMMの豪ドルポジションは買いコントラクトの80,940に減る(2/5付)。短期筋は豪ドル/ドルややショート、豪ドル/円ややロング。

+1

+3

商品相場

原油は97ドル台に反発、金は1644ドル台に続落、昨日CRBは-0.07の300.56。スポット鉄鉱石155ドルで小康、石炭は85ドルで小康、中国の景気回復期待高まる。

+2

+2

金利・為替(当局)

3月利下げ観測は32%、2月据え置きも、「必要な場合は追加緩和、豪ドルは依然として予想を上回る」(声明文)で金利先安観は残る(2/5) 一部豪銀2013年末2%までの低下観測あるが、一方利上げ観測もちらほら出だして意見分かれる。
米豪10年利回り格差1.485%に縮小。

-2

-2

需給

日本の投信設定が増えてきている。年初も今年の資源輸出カバーが出やすい。根強い中銀の豪ドル債購入観測。中国の景気回復期待で鉄鉱石の輸出回復基調。中国など海外からの直接投資、M&Aに絡む豪ドル買い需要の話。

+3

+3

テクニカル

豪ドル/ドルは依然一目均衡表の雲の下、豪ドル/円は雲のはるか上。また豪ドル/ドルはボリンジャーバンドの下限から半ばに反発、豪ドル/円バンドの中ごろから反発。RSIは豪ドル44.60%でoversoldやや解消、豪ドル円は63.16%と再びややoverboughtが増える。豪ドルは長期移動平均線が短期を下にクロスする「デッドクロス」で下落したが、一昨日「下ヒゲの長い陽線」で底入れか。豪ドル/円は依然として上昇トレンド上にある。

+3

+2

米ドル強弱

ドルインデックスは80.17に上昇、ユーロ/ドルは1.34台半ばに反落。

-2

-3

中国関連

<中国関連>1月貿易収支+292億ドル(予想+220億ドル、前回+316億ドル)、輸出前月比+25%、輸入前月比+28.8%、1月HSBC非製造業PMI54.0(前回51.7、4ms high)(2/5)、1月HSBC製造業PMI+52.3(予想52.0、前回51.5で22ms high)(2/1)、1月製造業PMI 50.4(予想51.0、前回50.6)(2/1)、Q4GDP+7.9%(予想+7.8%、前回+7.4%)(1/18)、2012年GDP+7.8%(確定)、12月鉱工業生産+10.3%(予想+10.2%、前回+10.1%)、12月小売売上高+15.2%(予想+15.1%、前回+14.9%)(1/18)、中国人民銀行チーフエコノミスト「2013年GDP見通し8%超見込み」。世銀見通しで来年の中国8.4%成長見通し(12/19)、(新華社)社会科学院2013年8.2%成長可能、習主席安定成長に関する発言を好感、中国共産党大会チャイナセブン選出(11/15)―2020年のGDPを2010年の倍が目標、Q3GDP+7.4%(予想+7.4%、前回+7.6%)、1兆元のインフレプロジェクト発表(9/7)、2012年6月(3年ぶり)に続いて利下げ(2012/7/5預金金利3.0%、貸出基準金利6.0%)、預金準備率を20.5%→20.0%に引き下げ(2012/5/20)、人民元変動幅を2012/4/16から0.5%→1.0%に拡大。上海総合指数今週は春節で休場。

+2

+2

その他(政治、産業界など)

(豪州国内)
9/14下院総選挙発表―労働党支持率低下(前NSW州労働党鉱山相汚職疑惑)→保守党(産業界寄り)勝利で豪ドル安?QLD州、NSW州の洪水被害拡大、豪ドル高懸念再燃(ワイン輸出など非資源輸出に打撃)、2012/13年財政黒字転断念(市場好感)、鉱山使用料(ロイヤルティー)引き上げ検討への反感強い、豪州産業グループ(AIG)CEOはRBAによる豪ドル高阻止を希望、資源産業/非資源産業格差問題、IMFは資源ブームけん引による豪州の輸出は減速見通し。
(2/3-4AFR/Nielsen poll)(二大政党間)労働党支持率44%(前回-5%)、野党保守連合(自由党・国民党)56%(前回+5%)、首相適任ギラード支持41%(前回45%)、アボット支持39%(前回33%)、難民問題、豪ドル高から鉱山ロイヤルティー(米ドル建)が大幅目減りも。

-2

-2

総合index(現状)

やや買いバイアス

+5

+3

【豪ドル/ドル チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

【豪ドル/円 チャート】

※チャートはクリックで拡大できます

OZ NOW

G20メンバーである豪州の立場

豪州経済低迷の原因の一つとして豪ドル高が言われて久しい。豪ドルが、1豪ドル=1米ドルのパリティーを達成したのが2010年10月であるが、それ以降ほとんどをパリティーの上で過ごしているわけだ。

スワン財務相はG20出席のため今夜モスクワに出発する。
このところ通貨戦争なる言葉が頻繁に見られるが、スワン財務相は「為替レートの決定は市場に委ねられるべき」との立場を改めて表明している。
これは他の先進国が輸出と成長を促進するために積極的に通貨切り下げ政策を取っているのではとの見方を改めて強調した形。
今週G20を前にG7は「金融・財政政策設定に当たり為替レートをターゲットにしない」という異例の共同声明を発表した。
特に各国当局は積極的な金融緩和策を打ち出している安倍新政権が、度重なる否定にもかかわらず、慎重に円安誘導を行っているのでは、との懐疑的な見方をしていることは間違いないところ。

RBAのスポークスマンは「豪州は常に市場原理による通貨変動を支持している。G7各国が世界経済に対してできることは成長と雇用促進であり、世界的な超低金利下にあって、従来より政府による財政支出が意味をなす」と述べている。
豪ドル高に悩む豪州経済であるが、実際にRBAが最後に介入したのはリーマンショック時に豪ドルが60セント近辺まで暴落した時(豪ドル買い介入)であり、それ以来介入実績はない。

先週発表されたRBAの四半期金融報告で、RBAは“豪ドルは円に対して昨年11月半ばから14%上昇している”と述べているが、従来から“変動相場は、大国よりは豪州のように経済活動がそこそこうまく行っている小規模の先進国に、より大きな影響を及ぼす”ことを指摘している。
いずれにしても今回の通貨戦争は、世界的に超低金利下状況であり、また世界経済が正常化する前の段階であるだけに、簡単に解決しない可能性もあるだろう。

 

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