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マーケットビュー

月曜 野村雅道の今週注目!の経済指標 マーケットが注目する指標を大胆解析

日本の2Q・GDP悪化で消費増税も微妙

更新日:2013年8月12日

8月12(月)−8月16日(金)

先週はNZのミルク汚染問題のニュースがあったが、週末には大きなニュースなく、今朝のシドニーは若干のドル高で始まった。また先ほど発表された日本の2Q・GDP一時速報は、[前期比で前回+1.0%、予想 +0.9%のところ+0.6%、前期比年率で 前回+4.1%、予想+3.6%のところ+2.6%となり予想を下回った。若干円高の初期反応だがそんな反応をすると日本経済はさらに悪化するだろう。

さて中期的には「円高円安も彼岸まで」通りの相場展開となっている。米国金融緩和縮小、欧州景気低迷から緩やかな回復、中国景気減速と材料は多いが、基本は実需の需給の季節的偏りで日本の会計年度の上半期は円高がやや進んでいる。

今週は多くの国の小売売上が発表される。米国、英国、スイス、NZ、南アなどだ。それぞれ比較したい。米国はCPIが発表されるが、最近には地区連銀総裁が揃って秋の金融緩和縮小を発言している。G-20では緩和縮小への慎重さが求められる声明となっていただけに、次回G-20でも引き続き議題となるだろう。米国CPIはもちろん緩和縮小への大きな手掛かりとなる。最近指標、株価ともに弱いのが気がかりだ。

欧州は強いわけではないが小幅改善の経済指標が続く。それを反映して今週の独を含む欧州の2Q・GDP成長率は前期から改善する予想が多い。独高官は市場予想より強いGDPを示唆した。またZEW景況感指数も発表される。チャート的には7月上旬から小幅だが上昇を続けているユ−ロドルがボリバン上限に近付いているだけに荷もたれ感が出るかどうかに注意したい。7月11日-15日の上昇ライン下抜けにも注意したい。

オセアニアは豪が利下げ、NZがミルク汚染事件があったが、通貨はそれぞれ強く推移した。これまで大きく売られてきたことの調整もあるが中国景気指標の持ち直しも寄与した。対ドルでは豪ドル、NZドルともに週足で大陽線、対円でも僅かだが陽線となった。豪は利下げしたRBAの声明で追加利下げの示唆がなかったこと、NZはミルク事件の後で国家あげての素早い対応が評価されたのだろう。渦中のNZ酪農最大手のフォンテラ株も巻き戻している。

南アは依然、低成長とインフレ懸念のジレンマがあり金融政策のかじ取りが難しい(後述)。

【今週の注目経済指標】

8/12
(月)

(日)第2四半期GDP・一時速報、企業物価指数、鉱工業生産確報
(スイス)小売売上高
(米)月次財政収支

8/13
(火)

(日)日銀金融政策決定会合議事要旨(7月10日・11日分)、機械受注
(独)消費者物価指数確報
(英)生産者物価指数、消費者物価指数、小売物価指数
(ユーロ圏)鉱工業生産、ZEW景況感調査
(独)ZEW景況感調査
(米)輸入物価指数、小売売上、企業在庫

8/14
(水)

(NZ)小売売上高
(仏)GDP速報、非農業部門雇用者、消費者物価指数
(独)GDP速報 
(英)雇用統計、BOE議事録
(ユーロ圏)GDP速報 
(南ア)小売売上高 
(米)生産者物価指数

8/15
(木)

(日)月例経済報告
(英)小売売上高
(米)ニューヨーク連銀製造業景気指数、消費者物価指数、失業保険申請件数、鉱工業生産、設備稼働率、NAHB住宅市場指数、フィラデルフィア連銀景況指数

8/16
(金)

(ユーロ圏)経常収支、消費者物価指数確報、貿易収支 
(米)非農業部門労働生産性、単位労働費用、住宅着工件数、建設許可件数、ミシガン大消費者信頼感指数速報

先週の「注目通貨ペア!」の振り返り ※チャートはクリックで拡大できます

前回の「注目通貨ペア!」

ドル円
豪ドル円

【ドル円】 予想レンジ:95-100、黒田総裁の市場との対話に注目
日経平均の下落、日銀が政策決定会議で追加策を出さなかったこと、消費増税不安もありリスク選好の流れで円高となった。

(先週の予想は以下の通り)
日銀政策決定会合がある。景気回復は進んでいる。総裁の市場とのコミュニケーションも上手くいっている。以前の、スキあらば金融引き締め・円高加速を望む発言をした総裁達とは異なっている。今週も景気は回復しても円高誘導をしない無難な対話を期待したい。その他景気動向指数、国際収支、7月上中旬貿易統計、景気ウォッチャー調査、東京オフィス空室率、企業倒産などの指標が出る。8月は円高の月と言われながらもここ数年は小動きとなっている。堅調推移する日経平均が8月も続けば大きな波乱はないだろう。もちろん輸入はまだ活発化する季節でもなく、外国債券の利払いや中間決算のリパトリもあるので円安にも触れにくいだろう。1日1日を固くとっていきたい。そして秋に消費増税決定を経て晩秋の円安需給となる。

(テクニカル)
日経暴落前日の5月22日-7月8日の下降ラインが上値抵抗となっている。7月25日-26日の下降ラインを上抜いて上昇したが、そのラインで跳ね返されて下落。ボリバン中位、一目の雲の上にある。5日線は上向き。7月は下抜けなかった97.50が下値抵抗だろう。8月1日-2日の上昇ラインを下抜いて始まればボリバン下限程度(97.65)の下値を想定したい。週足は6月17日週-24日週の上昇ラインを下抜いたまま。5月20日週-7月8日週の下降ラインに沿う。6月10日週-17日週の上昇ラインを維持できるか。月足は5月の上ヒゲで下げた。6月は陰線だが下ヒゲを出して上昇力も示唆したが7月下旬で反落。年足は07年-08年の下降ラインを上抜いて上昇中。

【豪ドル円】 予想レンジ:86-91、RBA総裁は利下げを示唆、今週は盛りだくさん
予想通りRBAは利下げするも、「インフレの点検を行う」など次回利下げを示唆しなかったので豪ドルは対ドルで大きく戻し、対円でも円高の流れの中でも小幅高となった。

(先週の予想は以下の通り)
RBA総裁の利下げ、豪ドル安示唆があった
CPIは下方修正されたことも利下げ要因
FOMCはG-20声明を受けて金融緩和継続を表明
中国株は下げ止まっている
格付けはAAAを確認(S&P)
日本の投資家が豪ドルを売っている
政府側はさらなる利下げを望んでいる
ラッド首相は炭素税の廃止を表明
9月7日に総選挙
資源ブームのピーク感があるが資源大手は増産計画を立てている
財政黒字化が遅れる
大手製造業者の人員削減続く。ANZ、野村、フォードなど(6月求人広告も弱い)

(国内要因)
・6月住宅建設許可 前回-4.3%、予想2.0% 結果-6.9%
・2Q輸入物価指数 前回0.0%、予想2.0% 結果-0.3%
・2Q・PPI 前回1.6% 結果1.2%
今週は政策金利決定、小売売上、TD証券インフレ指数、豪中銀四半期金融政策報告書、貿易収支、住宅価格指数、雇用統計、商品価格指数、クレジットカード消費などの発表がある。

(海外要因)
米国は2Q・GDPやISM製造業、ADP雇用者数、雇用保険が改善した。FOMCはG-20の緩和への慎重姿勢を受けて金融緩和の継続を表明したことからリスク選好の流れの株高円安となっている。
欧州は緩やかだが景気回復が続いている。もちろんBOE、ECBとも金融緩和の継続を示唆している。
中国は上海株価指数が下げ止まっている。政府版製造業PMIは改善した。隣国の豪はRBAスティーブンス総裁が利下げやさらなる豪ドル安を示唆したために、NZドルは豪ドルに対し引き続き強調推移している。

(トピックス)

「RBA総裁講演」
RBAスティーブンス総裁は、必要であれば追加利下げを実施する余地がなお残っていることを2Qの物価統計が示していると指摘するとともに、豪ドルが一段と下落しても驚かないと述べた。経済支援で利下げが必要な場合、インフレは障害とはならないとの認識を示した。
また長期にわたる鉱業部門への投資ブーム終了を見据えた厳しい状況も指摘した。
総裁は「最近の豪ドル相場の下落は、マクロ経済的にみて妥当」との認識を示した。
住宅および資産価格の上昇が利下げの妨げになるとの懸念も否定した。低金利は投資家に若干のリスクをとることを促す意図があると説明した。
中銀が前回利下げを実施したのは5月。世界的金融危機を受け家計が消費より貯蓄を選択する傾向が続いている。また総裁は、過去数年続いた鉱業投資ブームが頭打ちとなっていることについては、新たな成長源を見いだすことが重要と指摘。「大幅な投資拡大は終わり、タイミングは不透明ながら今後は縮小が予想される。かなり大幅な落ち込みとなる見通しで、全体の経済成長の圧迫要因となる公算が大きい」との見方を示した。

「財政、銀行預金課税、たばこ増税」
政府は新たな銀行預金課税について、2016年1月からの開始を確認。最終的な税率は銀行との協議後に決定する予定だが、2017年7月までに7億3300万豪ドルの税収を見込んでいる。2016/17年度には40億豪ドルの財政黒字となると予測した。
政府の純債務見通しは2014/15年度までに2120億豪ドル、対GDP比13%でピークとなると発表。5月時点の1916億豪ドル、対GDP比11.4%から引き上げた。
政府はまた、2013/14年度と14/15年度の失業率見通しは6.25%とし、5月時点の予想5.75%から引き上げた。
政府は8月1日にたばこ税の増税を発表しており、今後4年で53億豪ドルの税収を見込んでいる。

「CPI修正」
連邦統計局は、2QCPI統計に誤りがあったとして、CPIの加重中央値を当初発表値の前期比0.7%上昇から同0.6%上昇に修正した。
従来考えられていた以上に利下げ余地が残されている可能性がある。
他の過去データについても上方修正と下方修正が行われたため、前年比ベースのCPI加重中央値は、当初発表の2.6%上昇で変更はなかった。

(テクニカル)
7月12日-15日の上昇ラインを下抜き下落。7月26日-29日の下降ラインは一旦上抜いたので下落速度は緩んでいる。ボリバン下限に絡んでいる。5日線下向き。週足は7月8日週-15日週の上昇ラインを下抜いて下落中。一目の雲の下限近く、ボリバン下限へ下落。月足は10月-11月の上昇ラインを下抜く。4月は上ヒゲが長くなり5月、6月、7月は陰線となった。4月-5月の下降ラインに沿っている。年足も陰転。上ヒゲは長い。

今週のワタシの「注目通貨ペア!」※チャートはクリックで拡大できます

今週の「注目通貨ペア!」

ドル円
南アランド円

【ドル円】 予想レンジ:94-99、日本のGDPと消費増税は

日本の2Q・GDPの1次速報は上述した通り予想を下回った。個人消費、住宅投資、輸出が増加したが設備投資がそれほど伸びなかったようだ。焦点は伸び率であったが、アベノミクスのブレーンの浜田エール大教授が「今後GDPの4%成長が続けば消費増税してもいいと思う。また有効求人倍率が1倍を超え、失業率も3%台に入るなどが増税の条件だ」としていたので消費増税決定は微妙だろう。

また最近の景気ウォッチャー調査、消費者態度指数、第3次産業活動指数など円高・株安を反映して弱含み推移しているのも心配だ。今後も円高・株安が続けば2Qが景気のピークになりかねない。そこへ増税なら国民にとって重荷となる。

消費増税は為替の需給では円高に作用しよう。可処分所得の減少となり海外投資に関わる円売りも減少するからだ。日本の財政赤字を削減するのが国際公約であるということは為替にとってあまり意味がない。財政赤字と貿易黒字の削減は1985年のプラザ合意のいわば国際公約であった。何十年も無視し続けて今頃公約でもない。

また為替は結局はGDPや国際公約とは関係なく需給で動く。アベノミクス以来、5月までは貿易赤字と海外への資本流出で円安となってきたが、消費増税では後者の勢いがなくなり貿易赤字だけのエンジンの静かな円安に留まる。株価上昇の勢いも既に織り込み始めているように無くなっており下落するだろう。消費増税で国民の投資マインドが衰え始めることはいうまでもない。それも追加増税も予定されていることから、材料出尽くしにはならない円高の不安が出るかもしれない。

(お盆休みで外貨投信の設定も少ない。下旬、月末は増加してくる)
12(月)新光投信 バンクローン・ファンド・ネオ
13(火)投信概況 シュローダー・インベストメント・マネジメント インカムアセット・アロケーション
14(水)パインブリッジ・インベストメンツ オーストラリア・バンク・キャピタル「ハッピー・コアラ」
15(木)、16(金)は無し

(テクニカル)
日経暴落前日の5月22日-7月8日の下降ラインが上値抵抗となり下落。8月2日-5日の下降ラインを上抜いて上昇したが、再びその下降ラインまで戻ってきている。ボリバン下限、先週8日の安値95.80がポイント。5日線下向き。8月8日-9日の上昇ラインを下抜けるかどうか。週足は6月17日週-24日週の上昇ラインを下抜いたまま。5月20日週-7月8日週の下降ラインに沿う。6月10日週-17日週の上昇ラインは下抜いた。週のボリバン下限は92.51。月足は5月の上ヒゲで下げた。5月-6月の下降ラインが下値抵抗、5月-7月の下降ラインが上値抵抗。年足は07年-08年の下降ラインを上抜いて上昇中。

【南アランド円】 予想レンジ:9.3-10.3中銀がインフレとランド安を懸念。今週は小売売上

(ポイント)
中銀がインフレ懸念を表明、ランド安も懸念
中銀はFRBの量的緩和縮小でランド安も懸念
ただ産業界からは利下げを望む声も強い
失業率は25%台で高止まり
今週の欧州GDPもランド相場に影響しよう
製造業PMIは改善
2013年の成長率は2.0%程度で当初の2.4%予想や目標の7.0%を大きく下回る
政府の成長加速プロジェクトチームが発足
ランドは再び年間通貨番付最下位に
ムーディーズは格付けを確認、見通しはネガティブとした

(国内要因)
今週は6月小売売上の発表がある。前年同月比で+2.4%の予想。5月は6.2%。

(海外要因)
米国は雇用統計で雇用者数は減少したが失業率は改善した。その後は多くの地区連銀総裁から秋の量的緩和縮小示唆の発言があり、株価の上昇の勢いがなくなっている。今週の米国はCPIや小売売上の発表がある。米国貿易収支は大幅改善している。欧州は緩やかだが依然景気回復が続いている。今週はGDPの発表がある。ただBOE、ECBとも金融緩和の継続を示唆している。

中国は上海株価指数が下げ止まっている。貿易収支では輸出が伸びたことが市場に好感された。CPIは落ち着き、工業生産、固定資産投資は改善した。豪は政策金利を引き下げたが、インフレを検証するとの発言で豪ドルは下げ止まり上昇に転じた。日本は消費増税決定を前に株安円高が進んでいる。今週はGDPの発表。

(トピックス)

「中銀副総裁発言」
南ア中銀グロエペ副総裁は、「インフレ見通しは悪化しており、インフレ率が高止まりするようなら中銀は必要な手段を講じる用意がある」と述べた。経済成長ペースが鈍化するなかで物価が上昇しており、中銀は先月、金利を過去40年間で最低の5%に据え置いている。
また、「中銀にとって最優先の使命は物価の安定」と繰り返した。中銀は3-6%のインフレ率を目指している。さらに為替について「FRBの量的緩和策の縮小見通しが海外からの資金流入を圧迫し主要通貨に対して進んでいるランド安は国内インフレ圧力を更に後押しする可能性がある」とした。

「中国工商銀行の買収案件」
中国最大の銀行、中国工商銀行は、南アのスタンダード銀行がロンドンで行うコモディティー取引事業を買収する意向で、本格交渉を進めている。工商銀行はスタンダード銀行のロンドンでのコモディティー・外国為替事業の資産の60%を買収したい考えで、この割合は徐々に80%まで高める方針。

「アングロゴールド・アシャンティ赤字決算」
世界3位の産金会社、南アのアングロゴールド・アシャンティの2Qは金相場の下落が響き、赤字決算となった。配当見送りも決めた。決算発表後、株価は12年ぶりの安値となった。 金相場は今年に入って約22%下げている。

(テクニカル)
7月24日-26日の下降ラインと、7月24日-8月5日の下降ラインの間で推移している。それぞれのラインが上値抵抗、下値支持となる。8月8日-9日の上昇ラインを維持できるかどうかは日本のGDP次第。5日線下向き。ボリバン下位。週足は6月10日-17日の上昇ラインを下に切った。5月13日週-7月22日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下位。月足は10月-12月の上昇ラインを下抜いたが6月は長い下ヒゲを残した。年足は07年-8年の下降ラインまで下げてきている。

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