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マーケットビュー

月曜 野村雅道の今週注目!の経済指標 マーケットが注目する指標を大胆解析

今週のマーケット「米国好転、中国積極財政出るか」

更新日:2011年12月26日

12月26日(月)−12月30日(金)

今年の大きなニュースは欧州債務問題であったのだろう。これによって欧州株は下落、欧州の重債務国の金利は上昇、経済の強い独の金利は低下した。ファンダメンタルズ通りだ。ただ為替はユーロが特に弱かったわけでもない。主要通貨の年間の強弱では円が頭一つ抜け出してやや強く、南ランドが最弱であることが今年の特徴だが、それ以外の通貨では米ドル、欧州通貨、オセアニア通貨、カナダドルもほぼ横並びであった。夏まではユーロは円より強かった。円が最強になったのも円の材料ではなく8月にスイス中銀がスイス安政策を打ち出しスイスを約20%切下げたことで欧州通貨全体が下落したことによる。金利や株と違って為替はファンダメンタルズに素直な動きはしない。ファンダメンタルズに加えテクニカル、需給、当局の動きも引き続き追っていきたい。

今年後半は世界的な景気減速が目立ってきてリスク回避の流れで資源国通貨が弱含み推移したが、これは欧州債務問題よりも中国経済の減速によるものであっただろう。中国は昨年秋よりインフレ懸念から金融引き締め策が取られていたが、今年7月にCPIが6.5%となった以降はインフレが低下し11月は4.2%となった。中央経済工作会議では「穏健な」金融政策と「積極的な」財政政策の維持を決定したがまだ具体策が出ていない。来年の成長率は今年の9.1%から8%台に低下する見込みだ。中国の1%の成長率低下は世界経済に大きな影響を及ぼすので積極的な財政政策に変換するかは為替相場において「投資リスクの選好」になるかの大きなカギとなる。

今週の欧州はまだクリスマスムードが強く、指標も少ない。欧州の当局からの発言も多くはないだろう。イタリアなど重債務国の金利の動きを追いたい。やや低下したといえどもまだ不安定な動きが続いている。米国は11月雇用統計発表以来指標が強く先週は住宅関連指標、耐久財受注も改善した。今週はケース・シラー住宅価格指数、消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、シカゴ購買部協会景気指数などがある。給与税減税を2カ月延長する法案も成立した。NYダウも1万2千ドルを回復している。勢いが出てきている。ただ米景気の強さがドル高を生むのではなく、リスク選好の円安ドル安になりやすいのが最近の傾向だ。
注目の中国は今週ではなく正月早々に12月製造業と非製造業PMIの発表がある。今週は日本だけが指標が多い週となる。詳しくは後述したい。
オセアニアはやはり世界経済の減速の影響で勢いはないが、フィッチが豪の外貨建て債務格付けをAAAに引き上げ、ムーディーズはNZ国債格付けをAAAに据え置いたことなど財政状況は評価されている(ただしS&PはNZ格付けはAAでムーディーズと2段階の差がある)。今後の伸びは中国などからの資源や農産物の需要増加がカギとなろう。

またイラン情勢緊迫化、イラクの暴動、在庫減少などで原油価格が上昇していることが、原油関連株の上昇となればリスク選好につながる。

【今週の注目指標】

12/26
(月)

ウェリントン、シドニー、フランクフルト、チューリッヒ、パリ、ロンドン、トロント、NY休場(クリスマスの振替休日)
(香港)休場(クリスマスの翌日)
(南ア)休場(善意の日)

12/27
(火)

ウェリントン、シドニー、ロンドン、トロント休場(ボクシングデーの振替休日)
(香港)休場(クリスマスの振替休日)
(日)企業向けサービス価格指数、日銀金融政策決定会合議事要旨(11月15・16日分)住宅着工、建設受注
(米)S&P/ケース・シラー住宅価格指数、消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数

12/28
(水)

(日)全国消費者物価指数、有効求人倍率、失業率、家計調査、商業販売、鉱工業生産・速報
(スイス)KOF先行指数

12/29
(木)

(香港)貿易収支
(ユーロ圏)マネーサプライM3
(独)消費者物価指数・速報
(南ア)貿易収支
(米)新規失業保険申請件数、シカゴ購買部協会景気指数、中古住宅販売成約

12/30
(金)

(日)外国為替平衡操作、大納会
(香港)月次政府財政収支
(米)債券市場短縮取引

先週の「注目通貨ペア!」の振り返り※チャートはクリックで拡大できます

前回の「注目通貨ペア!」

ドル円
豪ドル円

【ドル円】 予想レンジ:75-80
基本的には冬場で輸出のドル売りは減少しているので小動きながらも底堅く78円台にのせて越週した。11月貿易統計は予想を上回る赤字、北朝鮮金正日総書記死去、日本の格付け機関による日本国債格下げなどの円売り材料があった。欧州債務問題懸念からの逃避の円買いは少し残った。

(先週の予想は以下の通り)
日本は日銀政策決定会合があるが政策も行き詰まり期待は出来ない。11月貿易統計の発表がある。予想は4500億円の赤字。1月-10月では1兆5800億円の赤字なので予想通りの赤字となれば今年の赤字は2兆円に達する。年間で赤字となるのは間違いないだろう。貿易は赤字だが所得収支が月間平均で1兆円を超えており経常収支は年間では10兆円を超える。また機関投資家、個人投資家の外貨債券や外貨投信の売却もあり円買い要因は強い。
また資金循環統計の発表がある。資金循環統計では外貨預金や外貨債券、外国株の投資状況を知ることができる。今年は海外資産の処分も円高の一因となっている。

(テクニカル)
年足は陰線。月足は8月から77円を中心にほぼ横ばいである。週足は11月14日週-21日週の上昇ラインに沿っている。日足はボリバン上位。バンドは76.73-78.33。雲上(雲は77.55-77.78)。11月29日-30日の下降ライン、11月29日-12月5日の下降ラインを上抜いている。先週金曜下げたがそのラインで止まった。12月8日-12日の上昇ラインは下抜いた。逆三角持ち合いとなっている。

【豪ドル円】 予想レンジ:75-80
豪の国内では大きな指標はなかったが、欧米指標の改善、上海株式市場の下げ止まりもありリスク回避の後退の流れで豪ドルもやや上昇した。

(先週の予想は以下の通り)
豪ドルは下落、株価指数も下落した。フィッチが外貨建て債務を最上級のAAAに引き上げたこと、中国が預金準備率を引き下げたこと、日米欧中銀の協調資金供給表明、米景気指標の改善などで投資リスク選好となり豪ドルが買われた場面もあったが、EU首脳会議での決定が不十分と見られたこと、豪景気指標の悪化で11月25日-28日の上昇ラインを下抜くとともに豪ドルドル、豪ドル円は下落した。
豪政策金利は大方の予想通り0.25%引き下げられ4.25%となった。国内のインフレが落ち着いていることから、欧州債務危機に対応する政策緩和余地が得られた。豪中銀のスティーブンス総裁は、「インフレ見通しが政策金利を小幅に引き下げる余地を提供していると判断した」と語った。また欧州問題について「世界的な成長が今後さらに大幅減速する可能性が高まった」と警告した。さらに豪中銀はまた、中国に関して成長が鈍化しているとの見解を示した。 注目の3QGDPは前期比+1.0%、前年比+2.5%となった。予想は前期比+0.8%、前年比+2.1%。政府の歳出削減や、在庫減少にもかかわらず、資源セクターの投資拡大と予想外に好調だった家計消費に支援され、堅調な伸びとなった。しかし11月の雇用統計では就業者数は前月比6300人減少、失業率は5.3%で、前月の5.2%から上昇した。
また10月の貿易収支は15.95億豪ドルの黒字となり、黒字幅は9月の22.49億豪ドルから縮小し、予想の19億豪ドルも下回った。輸入が2.4%増加する一方、輸出は0.2%減少した。鉄鉱石価格の下落で輸出金額ベースで伸び悩み、豪ドル高で資本財輸入が増えたことが原因だ。
3Q住宅着工は前期比-6.8%となり、予想の-1.0%、前期の-4.7%より悪化した。 成長率見通しが下方修正されている。外部要因も弱く豪ドルの勢いもなくなっている。上述したように輸出入とも中国が貿易相手国1位となっているだけに中国は金融引き締め策から転換し財政出動するかどうかが豪ドル相場に大きく影響する。
次回、豪の政策金利決定会合は2月となり、暫くは国内景気指標の精査と外部要因に振らされる展開となる。

(テクニカル)
豪ドル円は年足陰線。月足5カ月連続陰線から10月は大陽線となった。11月は陰線。今月もここまで陰線。週足は介入があった10月31日週が「波高し線」で終わりその後3週連続下げその下降ラインを上抜くも1週で終わり連続陰線。今度は11月21日-28日週の上昇ラインを下抜いた。日足はボリバン上限に達せず雲の下へ。11月25日-28日の上昇ラインから下抜け。5日線下向く。ただ先週金曜は陽線となり12月13日-14日の下降ラインを上抜いて越週した。
(ドル円が小動きなため、豪ドルドルのチャートも豪ドル円とほぼ同じ形である)

今週のワタシの「注目通貨ペア!」※チャートはクリックで拡大できます

今週の「注目通貨ペア!」

ドル円
南アランド円

【ドル円】 予想レンジ:76-81
消費増税、東電電気料金値上げ、年金需給年齢引き上げなど緊縮策が取られる見通しがあると、国民はお金を使わなくなる。投資にも向かわない。株価も上がらない。そうなると円は外に向かわず内向きとなる。海外の資産売却にも繋がる。円高が続けば輸出企業は工場を海外移転する。その時に工場移転の輸出が出て円高になる。不況の円高となる。好況ならばこの逆で円安となる。11月貿易統計は予想は4500億円の赤字より拡大6847億円の赤字となった。1月-10月では1兆5800億円の赤字なので今年の赤字は2兆円を超えた。2011年は年間で貿易赤字となるのは間違いない。貿易は赤字だが所得収支が月間平均で1兆円を超えており経常収支は年間では10兆円を超える。貿易赤字での円安要因を所得黒字が軽く相殺してしまう。ただ晩秋から初冬は輸出予約が年間では剥げ落ちる時期なので持ちこたえている。新年度4月からの円買いが心配だがまだ先の事だ。

円安になるとすれば国内要因より海外要因だ。米国景気持ち直しが続き、遅々たる欧州が債務問題改善への努力を続けていることだろう。それらは欧米株の動きに表れてくる。その流れが先週出て今週も続くだろう。シカゴIMMの投機筋ポジションも円売りが増えている。

(テクニカル)
年足は陰線。月足は8月から77円を中心にほぼ横ばいである。週足は11月14日週-21日週の上昇ラインに沿っている。日足はボリバン上位。バンドは77.18-78.39。雲上(雲は77.39-77.55)。11月29日-12月5日の下降ラインを上抜いている。12月8日-21日の上昇ラインに沿っている。12月21日-22日の上昇ラインは下抜いたのでこれが上値抵抗となる。5日移動平均線は上向きから横ばいとなっている。

【南アランド円】 予想レンジ:9.2-10.2
年間を通じて弱く推移している南アランドは10月以降は9円台でアップダウンしている。中国預金準備率引き下げ、日米欧中銀の協調資金供給、米雇用などの指標改善でリスク選好となりランドは上昇する場面があった。一方ECBドラギ総裁が重債務国の国債介入拡大は行わないとしたことでリスク回避の流れで南アランドは売られた。EU首脳会議では一定の債務縮小への道筋が出来たこと、EFSF、ESM、IMFへの救済資金も拡充され欧州重債務国の金利も低下した。主役のユーロより上げでも下げでも大きく動くのが最近の南アランドなど資源国通貨の特徴だ。
11月CPIはインフレターゲットの6%を上回る6.1%となった。3QGDP成長率が予想の前期比+1.9%より低下の+1.4%となったので中銀の金融政策は低成長とインフレのジレンマで苦しいものとなってくるだろう。成長重視か、インフレ重視か。中国が2011年は9.1%、インドが7.7%、ロシア4%、ブラジルが3.8%成長見通しで南アが年間3.1%成長見通しではせっかく仲間入りしたBRICSとして物足りない。本音では雇用を改善するためには年7%程度の成長率が欲しいところだ。
今年は対円、対ドルで20%以上の下落を見せた南アランドであるが、やはりそれは金を除く貴金属価格、特に自動車触媒に使われる工業資源のパラジウムや白金の下落(年14%)が大きいだろう。下落の原因は中国がインフレを抑えるために金融引き締め政策を行い、それがそのまま世界の自動車生産の減少につながったことだろう。東日本大震災やタイ洪水も自動車生産を停滞させた。その中国はCPIが7月6.5%をピークに11月は4.2%と低下し金融緩和政策へ転換するかどうかも南アランドの行方を占うものとなろう。12月5日には中国は預金準備率を引き下げたが、追加緩和策や中央経済工作会議で決定した景気対策がいつ打ち出されるかどうかにも注目したいところだ。南ア貿易全体に占める対中貿易は輸出が1位でシェアは10.1%、輸入も1位でシェアは13.9%である。中国の与える影響は大きい。
先週は外部要因(欧米株上昇)改善で戻したが今週はより材料が少なくこのままの流れが続くだろう。

(テクニカル)
年足大陰線。主要通貨の中で断トツの最下位。月足は5月から9月は連続陰線。10月は陽線であったが11月は陰線。今月はここまでほぼ寄り引き同時。週足2週連続陰線の下降ラインを上抜いて今週は始まる。日足は12月20日-22日の上昇ラインが出来ている。雲に入るか。雲は9.60-9.88。ボリバンでは上位へ(8.98-9.79)。5日移動平均線は上向いている。

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