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マーケットビュー

月曜 野村雅道の今週注目!の経済指標 マーケットが注目する指標を大胆解析

今週のマーケット 「G-20と為替、貿易週間、中国週間」

更新日:2011年11月7日

11月7日(月)−11月11日(金)

G-20サミットが終了した。最終宣言はなんと95項目に渡っている。為替相場に関係することを以下のように取り上げた。為替については8月のG-7声明と変わっていない。介入はやりづらい内容である。今年の3回の介入はすべて当日限りで持続性がない。

「野田総理大臣」

野田総理は歴史的な円高が景気下ぶれのリスクであり,為替レート安定のための協力が重要と述べた。また財政健全化の決意を示し,消費税の10%への段階的引き上げを含む社会保障と税の一体改革成案を具体化し,これを実現するための所要の法律案を2011年度内に提出することを説明した。

「為替」

根底にある経済のファンダメンタルズを反映し,為替レートの永続的な不調整を避け,通貨の競争的な切り下げを控えるため,市場で決定される為替レートシステムにより迅速に移行し,為替レートの柔軟性を向上させることへのコミットメントを確認する。外貨準備の過度な蓄積を減らすことに資する。

「ギリシャ・イタリア問題」

10月26日の欧州首脳による,ギリシャ債務の持続可能性の回復,欧州の銀行の強化,伝播を回避するためのファイアウォールの構築,及びユーロ圏における強固な経済ガバナンス改革の基礎の構築のための決定を歓迎し,その速やかな実施を求める。イタリアが提出した措置及び欧州委員会による合意された詳細な評価並びにモニタリングを支持する。IMFに四半期ベースで政策実施の公的実証を求めるとのイタリアの決定を歓迎する。

「財政健全国はどこだろう」

依然として財政が比較的健全な,オーストラリア,ブラジル,カナダ,中国,ドイツ,韓国及びインドネシアは,各国の状況を考慮しつつ,財政の自動安定化機能を作用させることに合意し,世界経済状況が大きく悪化した場合には,中期的な財政目標を維持しつつ,国内需要を支える裁量的措置を適切にとることに合意する。


以上G-20直前のギリシャ・パパンドレウ首相の緊縮財政受け入れのための国民投票問題がなければ、景気が減速しているといえども大きな問題はないはずのG-20サミットであった。

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さて、ギリシャ問題は休日でも二転三転している。先週金曜まではEU包括合意、パパンドレウ首相の国民投票提案で揺れるも、国民投票は実行しないで一旦落ち着く。その後は内閣信任投票で内閣不信任となる懸念で週末再び「リスク回避」の動きとなったが、内閣は僅差で信任された。その後、野党は挙国一致の連立内閣の提案には協議に応じずあくまで総選挙を望む発言を行ったが昨夜野党サマラス党首はパパンドレウ首相退陣を条件に連立政権協議に応じると発言して今週が始まる。パパンドレウ首相は連立樹立のため辞任も示唆し後継にはパパデモス前ECB副総裁やベニゼロス財務相の名前があがっている。

ただギリシャ問題は世界中に認知されている問題で今後どうなるかのいくつかのシナリオは既に出来あがっている。ユーロは、今年はスイスや円に次ぐ3番目に強い通貨で弱くはない。ギリシャやイタリアで何か問題があったり、それが解決してもそれでギリシャやイタリアからお金が出入りするわけでもない。ギリシャが危ないと思っている人は既にユーロを処分している。今頃ヘッドラインニュースでユーロを売買する人は日計りかそれに毛が生えたもので需給には関係がない。欧州全体の需給とファンダメンタルズで相場は動いており現在の3位という番付にいるのだろう。ユーロの短期の為替取引は思い込まずに堅く売り買いを繰り返すべきだろう。

さて今週は貿易週間、中国週間であり、要人発言はバーナンキ議長やEUファンロンパイ大統領の発言がある。貿易収支は米国、中国、日本、独、英、豪、カナダがある。地味な数字だが、長期的には貿易収支と経常収支が為替相場のトレンドを決めている。独は依然、大規模な貿易黒字を有するが、ユーロ圏諸国と合算すればほぼ相殺され黒字を出しながらユーロ相場に大きく響かないメリットを享受している。欧州の貿易赤字国は逆で貿易赤字にもかかわらずユーロが強いデメリットを受けている。これが南欧諸国の停滞要因の一つだ。

さて中国週間の中国だが今年は金融引き締めで自ら景気を減速させている。今週はCPI、小売売上、貿易収支などを発表する。 ここのところCPIがやや低下して金融緩和ではないが引き締め感が後退し、さらには中小企業向けの景気対策も打ち出され株価も底堅く推移し始めている。世界全体の景気を上向かせるには中国の景気回復が必要だ。

先週のFOMC後の会見に続き今週もバーナンキ議長の講演がある。先週は「回復のペースは、苛立たしいほど遅い見込みだ」とした。「失業の大部分は、経済に十分な需要が存在していないために引き起こされる失業で、政策金利の引き下げにより金融情勢を一段と緩和的にすることで需要と消費が刺激され、一定の期間が経過した後には、景気循環的な失業は解消に向かう。FRBは緩和的な金融政策を継続し、景気支援や雇用創出に向け尽力している。米経済に対して最善策を取りつつ、最大雇用と物価安定という責務を果たす上で、できることを行うのがFRBの使命だ」とした。GDP成長率と雇用もさらには大きく落ち込んでおらず現状の緩和を維持するということになるだろう。

ユーロ圏はギリシャ・イタリア問題もあるが小売売上、鉱業生産、ECB月例報告などを冷静に見ていきたい。スペインの3QGDPの発表もある。英国は政策金利発表がある。前回量的緩和を拡大した。今回は据置の予想だ。英国の低成長と物価上昇のジレンマは続く。

豪は後述するが貿易収支、雇用統計がある。先週に続き12月も0.25%の利下げが予想されているが雇用悪化となればさらにその予想が強まろう。南アは政策金利決定がある。いよいよインフレが5.7%とターゲット上限に近付いている。ただ先行きの経済成長見通しは下方修正されている。欧州情勢の不安も勘案し据置か。

【今週の注目指標】

11/7
(月)

(日)景気動向指数速報
(スイス)失業率、消費者物価指数
(ユーロ圏)小売売上高
(独)鉱工業生産
(米)消費者信用残高

11/8
(火)

(豪)貿易収支
(日)外貨準備
(独)貿易収支、経常収支
(仏)貿易収支
(英)鉱工業生産、製造業生産高
(加)住宅着工件数

11/9
(水)

(日)景気ウォッチャー調査、国際収支、企業倒産
(中国)CPI、PPI、鉱工業生産高、小売売上高、固定資産投資
(仏)財政収支
(英)商品貿易収支
(加)新築住宅価格指数
(米)卸売在庫

11/10
(木)

(豪)失業率、新規雇用者数
(日)マネーストックM2+CD、機械受注、オフィス空室率
(中国)貿易統計
(南ア)政策金利発表
(ユーロ圏)ECB月例報告
(仏)消費者物価指数、鉱工業生産
(独)消費者物価指数・確報
(英)BOE政策金利発表
(加)国際商品貿易収支
(米)輸入物価指数、貿易収支、新規失業保険申請件数、月次財政収支

11/11
(金)

(NY)休場(ベテランズ・デー)
(日)第3次産業活動指数、企業物価指数、ESPフォーキャスト
(香港)GDP
(スペイン)3QGDP
(英)生産者物価指数
(米)ミシガン大消費者信頼感指数・速報値

先週の「注目通貨ペア!」の振り返り※チャートはクリックで拡大できます

前回の「注目通貨ペア!」

ドル円
南アランド円

【ドル円】 予想レンジ:75-80
75円台で始まった今年3回目の介入で一時79円台に上昇した。先週終値は78円台前半。晩秋で輸出予約の円買いも細る時期であるので何とか78円にとどまっている。

(先週の予想は以下の通り)
10月は円安ドル安が進んだ。円は対ドルでは戦後最高値と騒がれているが今月の円は総合的には弱い。今月は円より弱い通貨は米ドルだけだ。主要9通貨番付では今年は前半は7位に止まっていたが例年通りの「8月の円高」と断トツの首位を独走していたスイスフランがスイス中銀のフラン売り介入で下げるのに代わって円は首位に出た。ただ先週は再びスイスに抜き返されている。安住財務大臣は円高に対して「断固たる処置をとる」としているが、やはり既に触れたように8月8日のG-7声明での「市場が決めた相場を支持する」が効いていて円売り介入に踏み切りにくいが、ようやく本日介入した。これでTPPも進展しなければ日本は、輸出は円高で手取りが減少し、輸入は規制で円高のメリットを生かせないことが続く。日本は貿易黒字は減少しているが過去に蓄積した外貨資産の蓄積で金利配当の受け取りがあり円高を生じさせている。豊かな円高ではない。 とはいえこれも何度も言っていることだが「晩秋の円安」がある。毎年この季節になると既に先物輸出予約を積極的に行ってきた輸出のドル売りも一服する。10月もその影響で円は総合的に弱い。年末までは円が急激に高くなることはないだろう。

テクニカルでは年足陰線。9月は陽線。10月はあと1日だがここまで陰線。日足はボリバンの下限に張り付いている(バンドは75.79-77.43)。クロス円は雲に入ったり雲の上に出ているがドル円は雲からやや放れて下落。10月17日-20日の下降ラインを上抜けない。そのラインを下に平行移動して10月21日の安値に接した下降ラインを下値抵抗としたい。まだその2本のラインの下降バンドの中で推移している。

【南アランド円】 予想レンジ:9.5-10.5
日銀円売り介入、ギリシャ問題も紆余曲折しながら若干の進展、中国の景気刺激策発表でリスク選好の流れもあり一時10円を超えたが終値は10円割れとなった。

(先週の予想は以下の通り)
今月はランドは対円で半年振りに陽線となりそうだ。対ドルでも3カ月振りに陰線(ランド高ドル安)となろう。今月は緩やかにランド高が進んでいたが先週は欧州債務問題に対処するためのEU包括合意がなされたことでよりリスク選好の動きが進みさらにランド高となった。対円では10月21日には年初来22.65%安であったが、28日には19.87%安と下げ幅を縮めた。株価指数も10月初めは3万を割り込んでいたが先週末は32827まで上昇している。また貴金属では銀が月間17%高、金、白金、パラジウムも約8%上昇した。

やはり南アランドは世界景気が良くなって投資マインドが改善されなければ強くならない。先週は欧州の好材料に加え、中国も景気対策を打ち出し上海株式市場の上昇をもたらしたこともランド上昇に寄与した。

日本が晩秋となり、円買い実需が減少することもランド円の上昇に繋がった。円は10月対ドルで戦後高値を更新しているが、主要9通貨では8番目の強さで、円より弱い通貨は実は米ドルだけであった(ここでは余談だがこの状況で日本の為替介入の大義名分がない)。

経済指標は9月CPIは予想通り前年比+5.7%となりインフレターゲットの上限の6.0%に近づいた。また8月小売売上は前月が前年比+2.8%の上昇であったが+5.2%の予想を大きく上回る+7.1%となった。ただ全体的には減速した2QGDPもあり国内要因はまだ力強さはない。Nedbank は2011年の経済成長の予測値を3.4%から3.2%へ下方修正した。またスタンダード銀行も同予測値を3.8%から3.3〜3.5%の成長率と下方修正した。欧州経債務問題の安定化や中国の景気対策が持続性のあるものとなれば海外要因が国内を盛り上げるだろう。対円では上述の「晩秋の円安」の需給が下支えしよう。月末は外貨投信の設定払い込みがありランド買いも出よう。

今週は9月貿易収支が発表される。予想は10億ランドの黒字で9月のから37億ランドの赤字から改善されるが輸出の伸びを注目したい。また3Q失業率が発表されるが予想が26%と高水準だ。

財政赤字についてはゴーダン財務相が中期の財政演説を行った。2014年度にはGDPの赤字を3.3%までに縮小する計画である。2009年以前は財政黒字まで回復していたがリーマンショック以降の景気悪化での財政支出が赤字を拡大させた。賃金の上昇を5%程度に抑えることが目標だ。もちろん目標達成には成長率の上昇とそれを支える欧州や中国経済の回復が必須となる。

来週のワタシの「注目通貨ペア!」※チャートはクリックで拡大できます

来週の「注目通貨ペア!」

ドル円
豪ドル円

【ドル円】 予想レンジ:76-81
日本は今週より来週14日(月)の3QGDPが注目される。大震災からの復興で前期比+1.5%、年率+6.2%と高い伸びが予想されている。

10月31日の今年3回目の為替介入は75円台で始まり先週終値も78円台となった。効果がないわけでもない。問題は持続性である。貿易黒字は激減しているが所得黒字と国内不況の為でお金が必要になった法人や個人が外債を償還する円買い圧力がある。介入は3月、8月、10月で約12兆円程度となっているだろう。これで経常黒字分をほぼ相殺した感じだろう。後は個人・法人の外債償還の円買いを相殺すればいい。

ただ晩秋なので3月や8月の介入時のようなリパトリや利払いの円買い圧力はなく、また輸出予約の季節的なはげ落ちでの円買い圧力はない。円相場はドル円の円高は目立つがクロス円では落ち着いてきている。

少し興味深い話がある。国家戦略会議で元日銀副総裁岩田一政氏が円高是正に向けて50兆円規模の「金融危機予防基金」の創設を提案していることだ。日銀が円で外債を50兆円購入し、損失を財務省が負担する仕組みで、為替介入資金を市場に放置する非不胎化介入と同様の効果が得られるとしている。これに対し、日銀の白川方明総裁は、円高がマクロ経済に与える影響を深刻に認識しているとし、日銀は思い切った金融緩和を続けていると応じた。願わくは現役日銀副総裁時代に提案して欲しかったものだ。

テクニカルでは年足陰線。9月、10月は連続陽線。今月は介入の反動で陰線スタートであったが、先週寄り引き同時まで戻す。週足は介入週で大陽線。日足はボリバン上限を上抜いたがそこからバンド内へ戻り、まだバンド上限で推移(バンドは75.39-78.40)。雲上スレスレで踏みとどまっている(雲は76.81−78.09)。10月17日-20日の下降ラインを上抜け。スイスの介入と同じように介入の高値は抜けないが高値圏でもみ合っている。5日線上向き。

【豪ドル円】 予想レンジ:79-84
10月の豪ドルは主要9通貨で最強であった。対円で10.52%、対ドルで8.92%、対NZドルで2.84%上昇した。年間ではまだ5位であるが10月はMVP並みのパフォーマンスであった。世界全体がリスク選好の流れになると豪ドルは強い。資源価格の上昇も豪ドルを押し上げた。7月半ばから続いている市場の利下げ予測もこなして上昇した。特に先週は中国が中小企業向けの景気対策を打ち出したこと、金融引き締め感が後退したこと、上海株が週を通じて全日陽線となったことも輸出相手国1位が中国だけに好影響を及ぼした。カンタス航空の長引くストに嫌気が差した経営陣は営業停止という手段に出て心配されたが仲裁機関が運行再開を命じ解決へ向かっている。

主に外部要因で引き上げられた豪ドルであったが内部要因はやはり以前ほどの強さはない。雇用、小売売上、住宅など月替わりで強弱マチマチの数字が出る。他国と比べればまだ良好な状態であるが。ただ金融機関の資本力や流動性には問題がないと中銀は説明している。

さてRBAは、先週は市場予測通り0.25%の利下げを行った。民間予測は7月からインフレの収束を取りあげていたがそれが事実となって表れてきていた。3QCPIは小幅な伸びを示したものの、基調インフレ率は予想を大きく下回った。3Qの総合インフレ率は前期比0.6%となった。基調インフレ率は前期比0.3%にとどまり、市場予想0.6%を下回った。2002年以来の低水準となった。また10月TDインフレ指数も前年比2.6%と9月の2.8%から低下した。インフレの収束と現在の金利では融資残高が伸びないということも利下げ要因となった。今週は雇用統計の発表があるが、弱ければ12月のさらなる0.25%の利下げにつながるだろう。先物金利市場は織り込み始めている。

テクニカルでは豪ドル円は年間では短い陰線だ。月足は5カ月連続陰線であったが10月は大陽線となった。今月は陰線スタート。日足はボリバン下限から日銀介入でボリバン上限を一旦越えた。現在はバンド内。雲の上にいる。雲の上は7月以来である。10月26日-27日の上昇ラインは下に切っている。そのラインが上値抵抗となろう。10月31日-11月1日の下降ラインは上抜いている。晩秋の円安需給は豪ドル円を支えている。5日線上向きでこじっかりとした動きとなるが雇用統計には気をつけたい。

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