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マーケットビュー

月曜 野村雅道の今週注目!の経済指標 マーケットが注目する指標を大胆解析

今週のマーケット
「晩秋円安、RBA、新ECB総裁、FOMC、米雇用、中国指標」

更新日:2011年10月31日

10月31日(月)−11月4日(金)

シドニー早朝から様々なニュースが出ている。

  • 今週の政策金利決定では豪RBAが80%、ECBが20%、FRBは0%で市場の利下げ予想がある
  • 明日ECBマリオ・ドラギ新総裁誕生。トリシェ総裁は「危機は終わっていない」と最後の発言。フィッチのデフォルト宣言やイタリア債務問題、国有化された独HYPO銀行の不良債権が550億ユーロ増加観測などあり。IMF緊急融資制度や中国のEFSF出資で補えるか。
  • NHKでシドニーでドル円は75.32をつけたとしているが現在(午前7時)は先週NY引け値とほぼ変っていない。NZ9月住宅建設許可は-17.1%と8月の+12.5%から悪化している。
  • 野田首相は今日は国会で所信表明への答弁を行う。TPPについて議論が深まる。賛成・反対派ともに認めていることは値段が下がること。日本はデフレでも世界最高の物価。
  • 野田首相は海外向けにオリンパス問題の早急な解決を求めている。日本企業の名声が落ちるからだ。
  • 日本の証券決算は厳しい。生保は予定利率を引き下げる。生保の下期外債運用計画では投資額は横ばい。
  • 豪カンタス航空はストに対して経営者側が営業停止を宣言し運行が停止していたが仲裁裁判所は今日中に運航開始を命じた。
  • 世界の人口70億人突破。

先週漸く欧州債務問題でEU包括案が合意となり、ユーロが買い戻され世界的にリスク選好の流れとなった。ただギリシャが一息つけば上述したようにイタリアの財政赤字が問題であるとか、さらなる欧州諸国の格下げの話が出たりもする。格付け会社フィッチは「ギリシャ債務の大幅削減が実施された場合、デフォルトに相当するとの見解を発表した。今後も悲観的な報道も出てくるだろうがEU・ECBは遅々としたペースでも前に進んでいくだろう。利害関係者ではない機関から悲観的な報道が出てもこれまで通りユーロがそれで大きく下落することはない。あくまでもユーロは全体のファンダメンタルズ、チャート、需給を総合して捉えたい。欧米も決算を12月末に控えているのでリパトリ(ドル買い、ユーロ買い)も出る。

今週、時系列では最初に豪RBAの政策金利決定がある。ややインフレが落ち着いてきており世界経済の減速と不安、融資の伸び悩みでインフレターゲットの上限を超えているが利下げ予想が多くなってきている。カンタス航空のストとそれに対抗する経営陣の営業停止が心配であったが今日から運行再開のようだ。ただ今月の豪ドルの強さは中国株式市場の好転や中国HSBC製造業PMIの改善もあったからだ。今週も中国PMI指標の発表がある。次いでQE3観測期待の中FOMCとバーナンキ議長講演があるが、先週の3QGDPはまずまずだったのでややQE3期待は後退か。さらにはECB政策金利決定がある。景気指標悪化やインフレの落ち着きもあるがまだ目標の2%を超えているので据置か。利下げ予想は少ない。カンヌG-20サミットがあるが先週のEU包括案合意をたたえることとなり大きな論争はないだろう。世界の協力の枠組みが強くなろう。金曜には10月米国雇用統計となるが、予想通りの失業率9.1%、非農業部門+10万人となれば市場は好感するだろう。

さて今年下落を続けていた上海総合指数は先週は全日続伸した。欧州債務問題に関わるEU包括案合意や米決算やGDP好調の外部要因もあるが国内要因も支援した。今年の大きな流れはリスク選好の後退だ。円高ドル高、株安、金利低下、工業資源の下落などは中国の金融引き締め策での景気減速によるものだ。中国のかじ取り次第で世界の景気が大きく左右される。先週は好材料が出た。

国家発展改革委員会は11月以降のCPIについて、上昇率が5%以下に抑えられるとの見通しを示した。さらに、HSBCの10月製造業購買担当者指数(PMI)の速報値が51.1と、9月の49.9から上昇し、好不況の分かれ目となる50を4カ月ぶりに上回った。製造業PMIについて、新規受注指数と産出指数の上昇が目立ち、10−12月の製造業活動が堅調に開始された。また9月の鉱工業生産が前年同月比で13.8%増えた。さらにこのところはリーマンショック時の4兆元景気対策、家電下放、汽車下放などの大胆な景気対策は打たれず、金融引き締めで景気減速や株下落を招いていたが久々に景気刺激策が発表された。

それは中小企業支援策だ。政府は金融サービスと財政・税制による9項目の支援策を決めた。また先週末には政府がこれでまで制限してきた住宅購入を緩和することを示唆した。対外的にはEFSFの機能拡充に中国も関与する見込みであり、中国市場に活気が戻れば再びリスク選好の流れの礎になる。

【今週の注目指標】

10/31
(月)

(日)法人企業統計、建設機械出荷、住宅着工、建設工事、外国為替平衡操作
(香港)月次政府財政収支
(英)マネーサプライM4、消費者信用残高
(仏)生産者物価指数
(ユーロ圏)消費者物価指数・速報、失業率
(南ア)貿易収支
(加)鉱工業製品価格、GDP
(米)シカゴ購買部協会景気指数

11/1
(火)

(豪)RBA政策金利発表
(日)日銀金融政策決定会合議事要旨、毎月勤労統計速報
(中)製造業PMI
(英)製造業PMI
(ユーロ圏)ECBドラギ総裁誕生
(米)建設支出、ISM製造業景況指数

11/2
(水)

(豪)住宅建設許可件数
(日)マネタリーベース
(ユーロ圏)製造業PMI確報
(独)失業者数増減、失業率
(米)企業人員削減数(チャレンジャー社) ADP民間雇用者数、FOMC

11/3
(木)

(NZ)失業率
(豪)小売売上
(日)文化の日
(中)非製造業PMI
(英)サービス業PMI
(ユーロ圏)サービス業PMI確報ECB政策金利発表
(米)新規失業保険申請件数、製造業受注、ISM非製造業景況指数
(その他) G-20サミット

11/4
(金)

(豪)豪中銀金融政策四半期報告
(ユーロ圏)生産者物価指数
(独)製造業受注
(加)失業率、雇用者数変化、住宅建設許可、IVEY購買部協会指数
(米)非農業部門雇用者数、失業率

先週の「注目通貨ペア!」の振り返り※チャートはクリックで拡大できます

前回の「注目通貨ペア!」

ドル円
NZドル円

【ドル円】 予想レンジ:74-79
ドル円は小幅下落となった。その他の通貨は大きく対ドルで上昇したが、円は債務問題対処へのEU包括案合意でリスク選好の円売りが出て上昇幅は僅かであった。

(先週の予想は以下の通り)
円は対ドルでは戦後最高値を更新したが、8月8日の緊急G-7での「市場が決めた相場を支持する」の声明以来介入は行われていない。円高対策が打ち出されたが、円安へ需給を変えるような政策はなかった。総額5000億円規模だが、現在の日本の対外純資産は約3兆ドル、1円 の円高で3兆円の資産目減りとなるなかで一時的な5000億円の対策はないよりましだが相場を円安に持っていくことは出来ない。介入を行っても大規模、持続性のあるもの、各国協調的なものになることは難しい。また今月だけを見るとここまで円の独歩高ではなく、主要9通貨で7位の順位という円が総合的には弱い月であるだけに日本の介入に欧州の同意は得にくい。

今週は外貨投信の払い込みが数件あるが、今年はお金が集まらず、残高は減少を続けているのが実態である。日銀政策決定会合があるが、大震災から落ち込んだ景気からは持ち直しているというだけでは材料にならないだろう。需給では75円台に入れば損切りの売りが控えている。また今週は月末週なので輸出のドル売りも後場に増えるだろう。雇用など月末指標の発表、日銀総裁会見、野田首相所信表明がある。海外著名コンサルタント会社が、日銀が国債購入を大幅に増額するとの観測レポートを出したことで海外勢の円売りを誘った。

テクニカルでは年間番付首位を維持して年足は陰線である。10月は陽線から陰線に転じた。始値は77.12であった。日足は先週は一目の雲に入らず、金曜に大きく下落した。10月12日-17日の上昇ラインを下抜け、狭いボリバンの下限も一旦下抜いた(ボリバン=76.17-77.27)。一目の雲は77.04から。5日移動平均線は10月19日に下向き下落した。7月8日以来の雲入りはならず。10月17日-20日の下降ラインを下に平行移動して先週金曜の安値に接した下降ラインを下値抵抗としたい。本日月曜なら75.70あたりが第一ポイント。次は10月12日の安値に接したラインでこれは75.30。上値のポイントはオリジナルの下降ラインの76.80や雲下限の77.04となる。

【NZドル円】 予想レンジ:59-64
EU債務問題解決への包括案合意、中国上海株の5日連続上昇という外部要因が支えて62円台での越週となった。政策金利は据え置かれたが将来の利上げを示唆したこともNZドルを支えた。

(先週の予想は以下の通り)
NZドルは外部要因で振れた。先々週は独仏首脳の奔走で欧州債務問題改善への進展が見られリスク選好でNZドルも上伸した。先週はEU首脳会議を前に市場が期待するほどの具体策は出ないのではという危惧から下げたが週末に銀行の資本増強がEU首脳会議で合意の見通しでやや戻して越週した。

依然外部要因で振らされる展開が続くが今週は国内要因が多くなる。3QCPI、10月NBNZ企業信頼感指数、政策金利、10月貿易収支と続く。2QCPIは前年比+5.3%とインフレターゲットの上限3.0%を大きく上回ったが、その後の世界経済の減速によるNZの主要輸出品の酪農製品価格も下げているので3Qはやや低下し+4.9%の予想だ。政策金利は据え置きが予想されている。地震への緊急避難的に下げた2.5%の政策金利であったが、世界経済の減速、欧州債務問題での混乱で据え置かれる予想が多い。ただ今後12カ月では予想の平均では0.33%の利上げが行われるとなっている。またボラード総裁の直近のコメントは「地震からの復興で最低5年間経済成長とインフレ圧力が押し上げられ、金融刺激策の必要性が解消されている」となっている。世界への配慮を除けば利上げを行いたいということだろう。為替については「依然として過大評価されている」との見方を示しているがこれは政府も共有している。ただ介入など何らかの行動に出る可能性は極めて低い。
さてNZの格付けではフィッチとS&Pが経常赤字は対外債務で格下げし、最上級に置いているムーディーズと2段階の差がついている。今後のムーディーズの動向が気になるところだが、イングリッシュ財務相は10月18日、「最近、ムーディーズの関係者と会談した。NZに関して何らかの兆しは示唆されなかった」などと発言した。格付け会社と財務相(企業では財務担当者)と面談することは普通にあることだが、据え置きか格下げの判断を公表する日が近くなっているのだろう。注意したいが、もし格下げされてNZドルが売られても、反応は一時的、長くて1日程度だろう。またフィッチは政府保証のANZとウエストパック銀行の債券をAA+からAAへ格下げしたがこれは先のソブリン格付け格下げに従ったものだ。
物価についてはここ4カ月下落していたフォンテラ社の乳製品オークション価格だが漸く下げ止まってきている。来週は9月貿易収支の発表があるがまだ輸出金額増加への反映はないだろう。
今週は久々にNZの国内要因を注目する週であるが、引き続き欧州債務問題、減速しつつある中国経済からも目を離せない。

テクニカルではNZドル円は今年はここまで陰線。8月までは陽線であったが9月に円より弱くなった。ただ今月はここまで月足は陽線となっている。週足は10月3日の週に下げていたところから寄り引き同時、翌10月10日週に大陽線、先週はやや下げた。日足は10月4日-12日の上昇ラインを下に切っている。ボリバン下限から回復していたが、上限や雲の下限に近づく前に小反落した。ボリバンは57.54-62.98。一目の雲は63.76-65.10。5日移動平均線は下向きである。

来週のワタシの「注目通貨ペア!」※チャートはクリックで拡大できます

来週の「注目通貨ペア!」

ドル円
南アランド円

【ドル円】 予想レンジ:75-80
10月は円安ドル安が進んだ。円は対ドルでは戦後最高値と騒がれているが今月の円は総合的には弱い。今月は円より弱い通貨は米ドルだけだ。主要9通貨番付では今年は前半は7位に止まっていたが例年通りの「8月の円高」と断トツの首位を独走していたスイスフランがスイス中銀のフラン売り介入で下げるのに代わって円は首位に出た。ただ先週は再びスイスに抜き返されている。安住財務大臣は円高に対して「断固たる処置をとる」としているが、やはり既に触れたように8月8日のG-7声明での「市場が決めた相場を支持する」が効いていて円売り介入に踏み切りにくいが、ようやく本日介入した。これでTPPも進展しなければ日本は、輸出は円高で手取りが減少し、輸入は規制で円高のメリットを生かせないことが続く。日本は貿易黒字は減少しているが過去に蓄積した外貨資産の蓄積で金利配当の受け取りがあり円高を生じさせている。豊かな円高ではない。 とはいえこれも何度も言っていることだが「晩秋の円安」がある。毎年この季節になると既に先物輸出予約を積極的に行ってきた輸出のドル売りも一服する。10月もその影響で円は総合的に弱い。年末までは円が急激に高くなることはないだろう。

テクニカルでは年足陰線。9月は陽線。10月はあと1日だがここまで陰線。日足はボリバンの下限に張り付いている(バンドは75.79-77.43)。クロス円は雲に入ったり雲の上に出ているがドル円は雲からやや放れて下落。10月17日-20日の下降ラインを上抜けない。そのラインを下に平行移動して10月21日の安値に接した下降ラインを下値抵抗としたい。まだその2本のラインの下降バンドの中で推移している。

【南アランド円】 予想レンジ:9.5-10.5
今月はランドは対円で半年振りに陽線となりそうだ。対ドルでも3カ月振りに陰線(ランド高ドル安)となろう。今月は緩やかにランド高が進んでいたが先週は欧州債務問題に対処するためのEU包括合意がなされたことで、よりリスク選好の動きが進みさらにランド高となった。対円では10月21日には年初来22.65%安であったが、28日には19.87%安と下げ幅を縮めた。株価指数も10月初めは3万を割り込んでいたが先週末は32827まで上昇している。また貴金属では銀が月間17%高で、金、白金、パラジウムも約8%上昇した。

やはり南アランドは世界景気が良くなって投資マインドが改善されなければ強くならない。先週は欧州の好材料に加え、中国も景気対策を打ち出し上海株式市場の上昇をもたらしたこともランド上昇に寄与した。

日本が晩秋となり、円買い実需が減少することもランド円の上昇に繋がった。円は10月対ドルで戦後高値を更新しているが、主要9通貨では8番目の強さで、円より弱い通貨は実は米ドルだけであった。

経済指標は9月CPIは予想通り前年比+5.7%となりインフレターゲットの上限の6.0%に近づいた。また8月小売売上は前月が前年比+2.8%の上昇であったが+5.2%の予想を大きく上回る+7.1%となった。ただ全体的には減速した2QGDPもあり、国内要因にまだ力強さはない。Nedbank は2011年の経済成長の予測値を3.4%から3.2%へ下方修正した。またスタンダード銀行も同予測値を3.8%から3.3〜3.5%の成長率と下方修正した。欧州債務問題の安定化や中国の景気対策が持続性のあるものとなれば海外要因が国内を盛り上げるだろう。対円では上述の「晩秋の円安」の需給が下支えしよう。月末は外貨投信の設定払い込みがありランド買いも出よう。

今週は9月貿易収支が発表される。予想は10億ランドの黒字で9月からの37億ランドの赤字から改善されるが輸出の伸びを注目したい。また3Q失業率が発表されるが予想は26%と高水準だ。

財政赤字についてはゴーダン財務相が中期の財政演説を行った。2014年度にはGDPの赤字を3.3%までに縮小する計画である。2009年以前は財政黒字まで回復していたがリーマンショック以降の景気悪化での財政支出が赤字を拡大させた。賃金の上昇を5%程度に抑えることが目標だ。もちろん目標達成には成長率の上昇とそれを支える欧州や中国経済の回復が必須となる。

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