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マーケットビュー

月曜 野村雅道の今週注目!の経済指標 マーケットが注目する指標を大胆解析

今週のマーケット
「世界的に2Qは景気減速、日本の大震災の影響なら一時的に終わるが」

更新日:2011年8月29日

8月29日(月)−9月2日(金)

バーナンキ議長は予想通り、ジャクソンホール講演では新たな金融緩和策に触れなかったが9月20日開催のFOMCを1日延長しそれまで発表される経済指標をもとに政策を議論するとした。これが金融緩和政策への含みとなって市場は好感し株が買い戻され、ややリスク選好の動きとなりユーロや資源国通貨も買い戻された。ただ金曜の米国2QGDPが下方修正されたこともドル弱含み推移の要因となっている。また9月5日のレーバーデーの祝日明けに予定される大統領の演説で「雇用・景気対策」に言及するかどうかも注目したい。今回の米国(欧州もだが)景気減速が日本の大震災の影響によるものかどうかも重要だ。大震災の影響での景気減速ならそれは一時的で今後の景気回復の芽が出てくる。9月5日と20日が重要だ。今週の米国は8月雇用統計を軸にした展開となる。予想は失業率9.1%、NFPが+9.5万人である。その他、ケース・シラー住宅価格指数、シカゴ購買部協会景気指数、消費者信頼感指数、FOMC議事録などがある。

欧州では独株の下落が著しい。今年は7月まではプラス圏であったが8月は22%下落して主要株式市場では日経平均にも追い越され最下位となっている。独格下げの噂や南欧債務問題で独金融機関収益に悪影響が出る観測によるものだ。ただユーロは強い。ユーロ圏の材料ではなくスイスのスイス高抑制策が大成功し、その対貨としてユーロが一番買われているからだろう。ユーロは通貨番付で2位となった。円は4位。4位にいては介入を了解するコンセンサスは生まれにくい。また米国に金融緩和・景気刺激の芽が残っているのでそれを期待したリスク選好でドルが売られ(調達通貨として)ユーロが買われていることもある。今週はCPIを軸にした展開、本日はトリシェ総裁、ユンケル・ユーロ圏財務相会合議長、欧州委員会レーン委員の「ユーロ圏債務危機打開策について」の議会証言がある。

通貨高抑制に成功しているスイスは2QGDPの発表がある。英国は英中銀金融政策委員会のウィール委員が、英中銀は現段階ではさらなる量的緩和は必要と考えていないものの、可能性は排除しておらず、景気が著しく悪化した場合は踏み切ることになるとの見解を示した。ポンドもなかなか上昇出来ない。対ユーロでは今年は弱い。

豪はスティーブンスRBA総裁、バッテリーノRBA副総裁、スワン財務相も豪ドル売り介入に否定的な発言を行った。消費・住宅・雇用など景気減速が見られ民間銀行は住宅ローンを引き下げ始めたがRBAはまだインフレ懸念が残っているとし利下げには慎重なようだ。NZは依然、貿易収支、インフレを含めた経済指標が強いままでラグビーワールドカップ開催となる。それが終われば総選挙だ。

南アは工業資源価格の弱さで今年は通貨番付で最下位を続けているが、CPI、PPIはジワジワと上昇している。当局から利上げ示唆も出てきても良さそうだが世界経済が減速すれば物価も落ち着くと見られ慎重だ。今週は2GDPや貿易収支の発表がある。

【今週の注目指標】

8/29
(月)

(日)民主党代表選の投開票
(香港)小売売上
(独)消費者物価指数・速報
(英)ロンドン休場(サマー・バンクホリデー)
(米)個人所得、個人支出、PCEデフレータ、中古住宅販売成約、ダラス連銀製造業

8/30
(火)

(NZ)住宅建設許可
(日)有効求人倍率、失業率、家計調査、商業販売統計速報
(英)マネーサプライM4
(ユーロ圏)消費者信頼感・確報
(南ア)2QGDP
(米)S&P/ケース・シラー住宅価格指数、消費者信頼感指数、FOMC議事録

8/31
(水)

(日)鉱工業生産・速報、毎月勤労統計速報、自動車生産・輸出実績、住宅着工戸数、建設工事受注、外国為替平衡操作実施状況
(英)GFK消費者信頼感調査
(独)失業者数、失業率
(ユーロ圏)消費者物価指数速報
(香港)月次政府財政収支
(ユーロ圏)失業率
(南ア)貿易収支
(米)ADP全国雇用者数、シカゴ購買部協会景気指数、製造業受注指数
(加)GDP
(ブラジル)中銀政策金利

9/1
(木)

(中)製造業PMI
(豪)小売売上
(スイス)2QGDP
(独)2QGDP確報
(ユーロ圏)製造業PMI確報
(英)製造業PMI
(米)新規失業保険申請件数、建設支出、ISM製造業景況指数

9/2
(金)

(日)法人企業統計調査、マネタリーベース
(ユーロ圏)生産者物価指数
(米)非農業部門雇用者数、失業率

先週の「注目通貨ペア!」の振り返り※チャートはクリックで拡大できます

前回の「注目通貨ペア!」

ドル円
NZドル円

【ドル円】 予想レンジ:74-79
ムーディーズの日本国債格下げ、政府円高対策で一旦77円に乗せたが、米国2QGDP下方修正などで週末は弱含み推移し陰線で終わる。

(先週の予想は以下の通り)
8月8日のG-7緊急声明の「市場で決められた相場を支持」で介入は8月4日以来入っていない。財務官も「介入を頻繁にやらない」と発言したようだ。年足は陰線。8月月足は円売り介入にもかかわらず陰線。日足は介入翌日からジリ安。再びボリンジャーバンド下限(75.78)へ下落した。5日移動平均線も下向きとなった。年間通貨番付では主要9通貨で今年前半は7位あたりを走っていたが8月に入ってからの円高で3位までに上昇してきている。介入はやりにくくなっている、もしやっても単発となろう。雲下限(79.96)はるか上にあり遠い。

円高相場が続く。顧客の注文も売り先行だ。季節的需給の影響もある。4月の年度初めからは輸出予約が輸入予約に先行してきた。8月は外債の利金の受け取りや9月の中間決算へのリパトリ、また東日本大震災の海外からの保険金の受け取りなどに関わる円買いがある。7月だけは個人の夏のボーナス見合いで外貨投資の円売りが毎年出ていたが、やはり景気低迷での可処分所得も減少し外貨投資の余裕がなくなっている。7月の外貨投資残高は減少した。こうなるとなかなか円売りの取引は出てこない。昨年同様に晩秋まで待つしかない。晩秋になれば今年度分輸出予約締結が一段落つく。輸入の方はコンスタントに出るし、原油の輸入決済も冬場に向けて増加しよう。海外勢は12月決算に向けて11月からは自国通貨買いを進めるだろう。この間に為替相場について国の指針などを議論すればいいのだが、そういう余裕は政治にはないだろう。また翌年度から円買いに苦しむこととなる。繰り返しである。 晩秋まではなかなかドル円はリバウンドし難い。

【NZドル円】 予想レンジ:59-64
7月貿易収支と2Q小売売上の改善と米国株高によるリスク選好の流れで先週は強含み推移した。

(先週の予想は以下の通り)

NZドル円は先週下落した。対ドル、対円だけでなく、今年は強調推移していた豪ドルに対しても弱含んだ。テクニカルで言えばS&Pの米国格下げからNZドル円は下落し61.36までつけたが8月12日に8月4日-10日の下降ラインを上に抜けると持ち直し64円半ばをつけた。しかし8月11日は8月9日-11日の上昇ラインを下抜け下落し、ボリバン下限の61.90まで近付いてきた。ボリバン下限と一目均衡表の雲の下限(65.18)で推移しよう。NZドルドルも同様に8月9日-11日の上昇ラインを下に切り、ボリバン下限(0.8106)も視野に入ってきた。対豪ドルでは1.23-1.25あたりで10日間ほど揉み合いし、なべ底の型となり1.26まで上昇、ただボリバン上限の1.27に近づいてきた。

要はNZ景気の底堅さより世界的景気減速によるリスク選好の後退でNZドルが押し下げられたということとなった。

NZドルの長期金利も豪と同様に5%を割り込むこととなり、現在は4.5%で推移している。南アランド長期金利も7%を割り込んで高金利の魅力が少し低下したが、他の先進国の金利も日本が1%割れ、米独も2%を割り込む手前まで低下しているのでまだNZの金利には比較優位はある。短期金利はボラード中銀総裁が段階的に引き上げることを宣言している。2QのCPIもインフレターゲット上限の3%を大きく上回る5.3%なので当然のコメントであるが、最近は乳製品価格も下落傾向にあり、世界景気減速があれば様子見が続くかもしれない。次回政策金利決定は9月15日となる。CPIの上昇は景気回復によるが2010年10月の消費税増税も影響しているのでそこは割り引かないといけない。

為替相場については、NZ当局はほっとしているところだろう。輸出業者の収益減少がこれでいささかながら相殺されることとなる。常にNZドル高相場に懸念している政府・中銀なのであるが、下げ相場でさらに懸念を示せば下落を加速することもあるので気をつけたい。
NZは、今年はまだ大きなイベントが続く。まもなく開催されるラグビーワールドカップとそのために延期された総選挙がある。ラグビーワールドカップは現在のところ予想を上回る経済効果が出る見込みである。これが成功すれば選挙にも与党に有利に運んでいくだろう。

来週のワタシの「注目通貨ペア!」※チャートはクリックで拡大できます

来週の「注目通貨ペア!」

ドル円
南アランド円

【ドル円】 予想レンジ:74-79
8月4日以来円売り介入はない。8月8日の米国格下げや欧州債務問題を主要議題としたG-7緊急声明で異例の為替文言「市場において決定される為替レートを我々が支持することを再確認した」が入ってからだ。政府関係者の発言や民主党代表選候補者からも円高対策について語られても介入について否定したり、お茶を濁しているような発言が多い。

*中尾財務官=介入は頻繁にやるものではない
*五十嵐財務副大臣=円高阻止へ介入権限放棄せず、必要なら実行、通貨安競争を日本が自ら仕掛けていく立場でない
*与謝野経財相=為替介入やらないのが原則
*野田財務相=単独でもやらねばならないときもある、G7各国と緊密に連絡、連携していきたい。
*菅直人首相=バイデン米副大統領と会談。円高・ドル安や米金融政策などは議題にならなかったという。
*白川日銀総裁=為替取引を極めて注意深くモニターしている

国内からは円高を直接抑制する動きは見られない。昨年のような晩秋の円安になりがちな需給を待つしかないか。今月大幅なスイス安を達成したスイス中銀と比べると寂しいものだ。また円高対策について27日(土)のTVで民主党代表候補が答えていた。どなたも介入に言及しなかった。実際介入を任期中殆どやらなかった野田氏だけが少し言及した。29日には代表選挙で忙しい民主党に代わり与謝野大臣が円高対策を発表する。円高対策は結局は介入のない財政出動となるがこれでは非効率的で個別の方しか恩恵を受けない。平等な円高対策は円安にするしかないがG-7の了解が得られないのだろう。財政出動の円高対策だけでは財政赤字を増やすだけに終わり、円安トレンドには戻せない。

テクニカルでは年足陰線。8月月足は介入があったが陰線。日足は介入翌日からジリ安。再びボリバン下限へ下落。5日移動平均線も上向き。雲下限ははるか上にあり遠い。8月利払いの円買いは終わるが個人の外貨投資に元気なし。売り買い損切りなく膠着している。なべ底から若干上昇したが先週金曜日は8月24日-25日と19日-24日の上昇ラインを下抜ける。その二本のラインが今後抵抗となる。下限はボリバンで75.84あたり。まだドル安値圏でもみ合いか。

【南アランド円】 予想レンジ:10.20-11.20
8月4日の日銀円売り介入にもかかわらずその日をきっかけに大きく売り込まれた南アランドは8月8日のG-7緊急声明後は持ち直している。ただ対ドルや対円ではまだ半値までは戻っていない。今年は主要9通貨番付で最下位に甘んじている南アランドである。同じ資源国通貨の豪ドル、カナダドル、NZドルの後塵を拝している。通貨市場が小さく、上がる時も速かったが下げる時も速い。成長率などではそれほど他の資源国に見劣りするものではない。ただ、より中国の景気動向に左右される状態となっており、中国の金融引き締めや自動車購入制限で白金やパラジウムの価格が、急上昇する金や銀に比べ伸び悩んでいることもあろう。

8月の動きはより外部要因に振らされている。米国格下げや欧州債務問題の影響でリスク回避の動きで急落した。その後はG-7緊急声明やスイス高抑制によるスイス売りの対価とした買われるユーロに連れてランドは上昇した。また米国耐久財受注が改善して米国株価が戻したこともリスク選好となりランドが買われた。また先週末はバーナンキ議長の講演で新たな金融緩和策は示されなかったが9月20日のFOMCが1日延長され金融政策を議論することとなり、緩和策も取られるだろうという観測で買い戻された。

国内要因では7月CPI、PPIともに上昇した。CPIでは食料とエネルギーコストが上昇した。年初からジワジワと上昇しているが、中銀マーカス総裁は、世界経済減速の影響が今後出てくることもあり利上げにはまだ慎重な姿勢を示している。8月景気先行指数は+1.8%となったがその伸びを縮小している。今週発表される2QGDPも1Qの前年比+4.8%から+1.7%へ減速する予想である。ただそれは世界的に2QGDPが減速しているので仕方はない(日本はマイナス成長)。また次回、政策金利決定会合は9月22日となる。世界経済の減速が資源価格の下落に繋がれば上昇しているインフレも低下すると見る向きも多くまだ利上げ観測は強くない。依然として大きくは中国次第、次いで欧米の影響がある。ランドが戻す力もまだ弱い。例年のように晩秋の円安需給と南アも含めた海外の年度末のリパトリがあれば戻りも速くなろうがそれはもう少し先のことだろう。

テクニカルでは年足陰線、月足は3カ月連続陰線、8月も大陰線。週足は3連続陰線から先週はほぼ寄引き同時。8月4日の長い上ヒゲで下落。8月9日の長い下ヒゲ下げ止まる。先週後半は連続陽線で越週。11日-12日の連続陽線で上昇ラインが出来たが下抜いている。5日線は上向く。ボリバン下限からは離れる。先週後半2日の連続陽線で上昇ラインが出来るかどうか。

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