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マーケットビュー

月曜 野村雅道の今週注目!の経済指標 マーケットが注目する指標を大胆解析

今週のマーケット 「3中銀が政策金利、米は雇用統計、NZはGDP」

更新日:2011年7月4日

7月4日 (月) − 7月8日 (金)

7月2日にユーロ圏財務相は電話会議でギリシャに対する120億ユーロの第5次融資実施に合意した。ユンケル議長は「ギリシャ当局は財政緊縮策および成長を確実にするための構造改革の実行に強い決意を示している。ギリシャのすべての政党に政策の早急な実施に向けて協力するよう求める」と述べた。ギリシャに関するユーロ相場の下げは昨年ほどは続かなかった。想定通りIMF・ユーロの支援、中国、日本などのEFSF債購入があり、国民は緊縮政策への不満でデモを行った。ただギリシャのGDPはEU27カ国の2%に過ぎない。ユーロはギリシャ問題だけ動いているのではない。もしギリシャ不安で売るならギリシャ債券やギリシャ株のほうが効率は良かっただろう。為替に絡むギリシャへの投資は既に流出していただろう。投機筋が売っても実需のフォローなく自ら損切りで買うこととなった相場と言えよう。年初来ユーロは主要通貨の2番手にいる。円は7番目で強くはないのが今年の流れである。

さてそのユーロは今週、ECBが政策金利を決定する。既にトリシェ総裁がインフレ懸念で利上げを示唆しているように0.25%の利上げで1.5%とする予想だ。英国でもBOEが政策金利を決定する。インフレ懸念があるが鉱工業生産、小売売上などが弱く据置予想。年金問題での不満からのストも続いている。豪も政策金利決定があるが、やはり雇用、住宅など景気指標に弱さが目立ち、先物市場では利下げ思惑も出ている。インフレ懸念は残るが今回は据置となろう。また雇用、住宅、小売、貿易収支の発表もある。NZは地震の影響で1QGDPが減速すると見られていたが最近の指標の強さで予想も前期比+0.3%に上方修正されている。

米国は今週6月雇用統計があり、失業率が9.1%、非農業部門雇用者数が+8.3万人の予想。先週は6月ISM製造業景況指数が大幅改善した。最近の景気減速が日本の地震でのサプライチェーン問題だけであれば景気は回復してくるだろう。ただFRBも8%、9%の失業率は高すぎると感じているだろう。また辞任を示唆したガイトナー財務長官とそれに関わる政府債務上限問題が暫く大きな焦点となる。これも過去の事例からは解決するのが常である。

中国はHSBCサービス業PMIがある。景気は減速しているがインフレ懸念で利上げ観測もあるジレンマあり。中国は先週存在感を示した。国内に共産党90周年といった大きな行事があったにもかかわらず温首相は訪欧しユーロ債務国問題に支援を表明、また英独仏とは大型商談を締結した。日本は日銀支店長会議、外貨投信、6月上中旬貿易統計、国際収支などがある。日本は7月なので個人の夏のボーナスを狙った外貨投信などの販売もある。これが積み上がるかどうか。積み上がらなければ過去から集積された外貨投信や外貨債券の利金の支払いが1兆円を越えるのでその円買いが出てくる。

ギリシャ問題改善で先週は一転売られた今年最強のスイスはCPI、雇用統計がある。先週CPI上昇で買われたカナダは、今週は雇用統計だ。

【今週の注目指標】

7/4
(月)

(米) 米国独立記念日
(日) 日銀支店長会議、地域経済報告
(中) HSBCサービス業PMI
(豪) 住宅建設許可件数、小売売上高
(スイス) 小売売上高
(英) PMI建設業
(香港) 小売売上高
(ユーロ圏) 生産者物価指数
(加) 鉱工業製品価格

7/5
(火)

(日) 毎月勤労統計速報
(豪) 貿易収支、RBAキャッシュターゲット
(英) PMIサービス業
(ユーロ圏) 小売売上高
(米) 製造業受注指数、スウェーデン中銀政策決定会合

7/6
(水)

(日) 景気動向指数・速報
(独) 製造業受注
(加) 住宅建設許可
(米) チャレンジャー人員削減数、ISM非製造業景況指数

7/7
(木)

(日) 機械受注、オフィス空室率
(NZ) 第1四半期GDP
(豪) 新規雇用者数、失業率
(マレーシア) マレーシア中銀金融政策委員会
(仏) 貿易収支
(スイス) 消費者物価指数
(英) 鉱工業生産、英製造業生産高、BOE政策金利発表
(独) 鉱工業生産
(ユーロ圏) 欧州中銀金融政策発表
(米) ADP全国雇用者数、新規失業保険申請件数
(加) 新築住宅価格指数、Ivey購買部協会指数

7/8
(金)

(日) SQ、6月上中旬貿易統計、国際収支、景気ウォッチャー調査、上半期倒産
(スイス) 失業率
(独) 経常収支、貿易収支
(英) 生産者物価指数
(加) 失業率、雇用ネット変化
(米) 非農業部門雇用者数、失業率、卸売在庫、消費者信用残高

先週の「注目通貨ペア!」の振り返り※チャートはクリックで拡大できます

前回の「注目通貨ペア!」

ドル円
南アランド円

【ドル円】 予想レンジ:78-83
中国温家宝首相のユーロ債務問題支援発言や、ギリシャ国会での緊縮財政法案可決でリスク選好の流れで、小幅ながら円安ドル高となった。

(先週の予想は以下の通り)
日本の今週の焦点は短観とされているが、既に同種の指標である法人企業景気予測では「前期比悪化、但し先行きは改善」との景況感が出ているので短観も同じような結果となろう。あまり大きな変動要因とはならないだろう。貿易収支は4月、5月と地震での生産停止で赤字となった (1月も赤字) が今週は6月上旬の貿易統計が発表される。貿易面では赤字で円売り要因となるが、所得収支の大幅な黒字での円買いが出るので相場は落ち着いている。リスク回避の円買いも思ったほど進まない。ただ今週は3月騒いで出なかった地震再保険の海外から円送金入金が中間期末ということ出ることもあろう。それに対し個人の夏のボーナス見合いの外貨買い円売りが対抗する。テクニカルではボリンジャーバンド下限の79.42と一目均衡表の雲の下限の80.89の間にある。5日線が上向けば雲にトライしよう。先週木曜は上ヒゲ、金曜は下ヒゲとなり売買は膠着している。28日のギリシャ緊縮財政の決議や、訪欧中の中国温首相の欧州債務問題への発言、米国債務上限問題など外部要因でも振らされる展開となろう。

【南アランド円】 予想レンジ:11.0−12.0
ギリシャ問題改善のユーロに連れ高。5連騰となり12.0にワンタッチした。

(先週の予想は以下の通り)

5月のCPIは予想の前年比4.4%より強い4.6%となった。インフレターゲットの中位にあるが中銀総裁のインフレ懸念は強い。年末には現在5.5%のレポレートを引き上げる見通しが強い。4月小売売上も強かった。前年比+4.9%のところ+9.8%となった。衣料品が年率16.9%の伸びとなった。1QGDPも予想の4.2%より強い4.8%となっている。ただムーディーズは前回申し上げた通りに今後2年間の南アの成長率を3.5%から4.0%とした。雇用不安 (失業率25%) のある南アはもっと高い成長率が必要だ。

株が安い。資源価格の下落で鉱山株が売られている。個別銘柄では、資源大手のアングロ・アメリカン、BHPビリトン、合成燃料メーカーのサソール、金鉱株のアングロゴールド・アシャンティ、ゴールドフィールズ、ハーモニーが安い。米国のQE2が終了することでリスクマネーの流入が後退する予想、打ち止め感のない中国の金融引き締め、中国の自動車生産の伸び悩みで世界中の自動車生産が減少し、自動車の触媒として使われる白金やパラジウムの価格が下がっていることもある。年初来では両金属ともマイナス圏となっている。年初から40%以上の上昇を見せていた銀も液晶パネルの減産で上げ幅を縮小している。世界の景気不安で唯一金が買われている。貴金属の生産元の南ア経済や南アランドに与える影響は大きく南アランドは今年は主要9通貨で最下位となっている弱さだ。

年足は陰線、月足は先月に続き今月も陰線である。週足も先週は陰線となった。日足では5月10日頃よりほぼ平行に進む一目均衡表の雲の中 (現11.67-11.82) で推移してきたが先週末は雲の下に出た。ただボリンジャーバンドの下限 (11.58) が近く、深追いも禁物だ。トレンドラインも引きにくいほどの横ばいであったが6月22日-23日の下降ラインが出来ている。この下降ラインとボリンジャーバンド下限の狭いレンジから抜け出すにはやはり28日のギリシャ緊縮政策の決議がかかわってくる。良いニュースは温家宝中国首相が年末までのインフレ終息を宣言したことだ。中国株価が反転上昇している。これが資源価格の上昇に繋がるかどうか。

来週のワタシの「注目通貨ペア!」※チャートはクリックで拡大できます

来週の「注目通貨ペア!」

ドル円
豪ドル円

【ドル円】 予想レンジ:78-83
日本の債務はついに1000兆円を突破した。増税で赤字削減はわかるが政府の経費削減など「小さな政府」への動きはない。今週は日銀支店長会議がある。日銀は地震以降では足元の景気は大幅減速するが先行きの復興景気による回復を予想していた。しかし、日銀短観発表後はそれを下方修正している。まだ地震や原発で避難している人が多い中で回復という言葉も実感がなかったので修正は当然だろう。机上の予想では困る。

さてドル円は、先週金曜日 (7月1日) は6月29日-30日の下降ラインを上抜け、休み前のドル需要もあり上昇したが、80.81-81.14でやや長い上ヒゲを出した。ゆっくりとした上昇である。6月8日-22日のなだらかな上昇ラインがあり、4日 (月) なら80.30あたりがサポートとなる。一目の雲は81.32あたりからとなる。5日移動平均線は6月24日の80.48から上向いたままだ。週足は連続陽線。月足は、6月は陰線となった。ドル円年足は始値が81.22なのでまだ陰線であるが、全体的には円は、今年は主要9通貨で7番目の強さで、それ以下には米ドルと南アランドが肉薄している最下位グループがあり報道で騒ぐほど円高でない。対ドルでの円高も僅かだ。 本日4日は米国休場で米ドル建ての仲値取引はない。仲値は当日物なので市場が休日の国とは決済が出来ない。それでも今日は「仲値が多い」という情報もあるので気をつけたい。今日4日の分は5日へ持ち越しとなる。その5日は外貨投信の払い込みが3件ある。三井住友AM 韓国内需関連株式ファンド、チャイナ内需関連株式ファンド アセアン内需関連株式ファンド、インド内需関連株式ファンド 、 フィデリティ投信 フィデリティ・消費関連中国株F。 また貿易需給では6月上中旬貿易統計の発表が8日 (金) にある。 世界的にはインフレの兆候があり利上げ観測が高まっている中で最も利上げに遠い日本では緩やかな円安が継続するだろう。

【豪ドル円】 予想レンジ:85-90
豪ドルは、今年はここまで弱いわけではない。主要9通貨番付では4位である。ただ変動相場制後最高値を更新しているNZドルの後塵を拝している。4月に豪ドル円で90.0、5月に豪ドルドルで1.0111をつけてからは弱含んでNZドルに抜かれたのであった。背景には中国がいる。5%を超えるインフレを抑制するために預金準備率の引き上げ、利上げを繰り返しそれが株価の下落、資源価格の下落を招いた。また米国の量的金融緩和策の終了で資源に流れていた資金が戻ってきていることも資源価格の下落を招いている。

一方豪国内経済も次第に弱い指標が目立つようになった。洪水の影響で1QGDPは悪化し、元々弱い住宅指標、小売売上に加え雇用も陰りを見せている。利上げ要因はインフレだけとなるが、中銀のトーンも徐々に弱くなってきている。

6月15日にはスティーブンスRBA総裁は、「ある段階で政策金利を引き上げる必要がある」との見解をあらためて示し、「7月下旬に発表される物価統計が利上げ決定時期の鍵を握る可能性がある」と示唆した。しかし6月21日に発表されたRBA議事録では「豪中銀、6月の金利据置きは賢明。資源以外の分野で活動低迷。国内の経済指標は利上げ正当化する緊急性増大させず。ある時点で一段の引き締め必要」とした。6月24日にはロウ総裁補が「現在の経済環境は豪の金融政策にとって特に厳しい。インフレを低水準かつ安定的に維持することが、RBAができる最大の貢献」との認識を示した。インフレ懸念で利上げするには景気指標が弱いというジレンマに陥ってきている。

金利先物市場ではこれを反映し利下げ思惑も出てきている。10月までに56%が利下げを織り込むようになった。5月頃までは「次の利上げは」が焦点であったが、様相が変ってきている。注意したい。

スワン財務相はまだ強気である。「豪が欧州や他の国が直面しているあらゆる経済問題に対処できる経済力を持っている」と語っている。サブプライム問題の時も「あれは北半球の事件だ」とも語っていた。

ただ1〜5月の新車販売台数は前年同期比5.3%減、年間では100万台以下の予想となっており、やはり経済指標は弱いものが多い。

政局では元々薄氷を踏む思いで勝ちとった政権なので野党自由党の攻撃も厳しい。自由党アボット党首は、全国民の所得税を引き下げることを掲げている。経済的な生産性を向上させる「より低く、簡素化した、公正な税金」が提案される見込みだ。アボット党首は「希望、報酬、機会 (Hope. Reward. Opportunity.) 」というキーワードに基づき、マニフェストを作成した。マニフェストの中で、「野党の減税案は、雇用を破滅する炭素税を必要とすることなく、国民の希望を取り戻し、働いただけの報酬を与え、機会を創出するだろう」とした。「政府規模の永久的な縮小」によってこの減税を実現するという。

今週は政策金利決定 (据置予想だが会見で弱きを見せるかどうか。弱気なら利下げ観測が高まってしまう) 、小売売上、住宅建設許可、雇用統計と忙しい週となる。85-90か。

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