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マーケットビュー

月曜 野村雅道の今週注目!の経済指標 マーケットが注目する指標を大胆解析

今週のマーケット
「日本はGDPと日銀会合。RBA、FRB、BOEは議事録公表」

更新日:2011年5月16日

5月16日(月)−5月20日(金)

世間ではドル円で円高が進めば他の通貨に対して弱くとも円高と言われる。米国一辺倒のマスコミ報道のせいでもある。4月7日から始まりGW中も例年通りのドル円の下げであった。前回は「ドル円の項」でそろそろ一服と書いたが先週の週足はかろうじてドル円は陽線となった。ただお伝えしていた3つのリスク回避要因での円高がクロス円で進んだ。一つはバーナンキ議長の景気減速発言、二つ目はビンラディン氏殺害をきっかけとした商品価格の下落、三つ目は中国の景気減速である。さらに米国の量的緩和策であるQE2が6月で終了すること、トリシェ総裁の6月利上げ示唆の後退、ギリシア債務問題も加わった。ドル高が大きく進んだ先週であった。与謝野大臣は3月18日の円売り介入時と異なり、今回はドル安なので介入する必要はないと示唆したが、実際に市場で起きていたことはまったく逆のドル高円高であった。日本にとっては不況の代名詞である「株安円高」が進んだ。ただ輸出企業の新年度の先取り的な(リーズ)ドル売りはそろそろ収まってくる季節だろう。円は今年は通貨番付では9通貨中の7位に位置している。

景気指標は震災の影響のある日本のみならず欧米とも弱いものが増えてきている。これもまた中国の減速によるものだろう。4月は27カ月ぶりに自動車生産・販売がマイナスとなった。液晶パネルの販売も5月になってから落ち込んでいる。これは世界に波及する。既に米国の自動車株やパラジウム、白金の価格は下げ続けている。

今週は中銀議事録週間である。RBA、FOMC、BOEと続く。いずれも政策金利を据え置いた時の議事録なので強弱両面のコメントが出てくるだろう。日銀は政策決定会合があるが、前回西村副総裁が、国債や社債などを買い取る基金の規模を現在の40兆円から45兆円に拡大する独自の金融緩和策を提案したが、今回も同提案を継続するかどうかが注目される。たださらなる量的緩和の話が出ても円高放置では株価には良い影響は出ないだろう。世界の主要株価では日経平均だけが今年はマイナス圏で推移している。いい意味での投資マネーが枯渇しているのだろう。

ユーロ圏ではギリシア問題がIMFとの間で議論される(IMF専務理事はNYでの不幸な事件で欠席)。ギリシアのみならず南欧諸国の国債を購入している中国だが今週はファンロンパイEU大統領が中国の胡錦濤国家主席、温家宝首相と会談する。中国からさらなるユーロ諸国の国債購入などの支援を取り付けることが出来るかどうか。指標はユーロ圏の貿易収支、ユーロ圏と独のZEW景況感指数、独のPPI、ユーロ圏の消費者信頼感指数を注目したい。英国はCPIと雇用統計がある重要週である。

米国はニューヨーク連銀製造業景気指数、建設許可件数、住宅着工件、鉱工業生産 、毎週の失業保険申請など中程度の指標がある。また政府債務上限引き上げ問題はくすぶっている。

資源国ではNZがPPI、カナダ、南アがCPIを発表する。景気減速の中での物価上昇は金融政策の悩むところとなる。 

日本は1QGDPがあるが震災の影響で前期比-0.5%の予想だ。東電や三菱UFJの決算がある。また機械受注、消費動向、投信残高、ESPフォーキャスト調査、第3次産業活動指数、毎月勤労統計など指標が多い。外貨投信と外貨債券の払い込みは数件ある。また日本の4月上中旬貿易収支は赤字となった。これは円売り要因となる。

要人発言では日銀総裁、バーナンキFRB議長、トリシェECB総裁の会見もある。ドル円は落ち着くが、世界全体ではリスク選好の後退の動きが続くだろう。

【今週の注目指標】

5/16
(月)

(日)機械受注、企業物価指数、消費動向調査、商業販売統計、ESPフォーキャスト調査
(ユーロ圏)CPI、貿易収支、非公式財務相会合
(米)ニューヨーク連銀製造業景気指数、対米証券投資、NAHB住宅市場指数

5/17
(火)

(日)投信概況
(豪)RBA議事録
(英)CPI、小売物価指数
(ユーロ圏)ZEW景況感調査、EU財務相理事会
(独)ZEW景況感調査
(米)建設許可件数、住宅着工件数、設備稼働率、鉱工業生産

5/18
(水)

(日)日銀金融政策決定会合、全産業活動指数
(独)PPI
(ユーロ圏)経常収支、消費者信頼感速報
(加)CPI、小売売上

5/19
(木)

(日)1QGDP速報、鉱工業生産確報
(香港)失業率
(英)小売売上
(ユーロ圏)ECB理事会
(米)新規失業保険申請件数、中古住宅販売件数、景気先行指数、フィラデルフィア連銀景況指数

5/20
(金)

(日)日銀金融政策決定会合、全産業活動指数
(独)PPI
(ユーロ圏)経常収支、消費者信頼感速報
(加)CPI、小売売上

先週の「注目通貨ペア!」の振り返り※チャートはクリックで拡大できます

前回の「注目通貨ペア!」

ドル円
ランド円

【ドル円】 予想レンジ:78-83 
 (浜岡原発停止をどう評価するか)

GWが終わり5週間ぶりに週足は陽線となった。

(先週の予想は以下の通り)
政府は中部電力の静岡浜岡原発の停止を要請した。これが実現すれば節電にも繋がり景気見通しに修正が加わる可能性もある。注意したい。またトヨタや大手銀行の決算もあるが原発事故の影響もあり業績見通しを見送る企業も多い。

ドル円はこれまでも下落途上で下降ラインを上抜いている。一旦上抜いた下降ラインをもう一度抜き返すほどの円高ではない。なだらかな円高だ。これまで4月20日-21日、4月25日-26日、4月8日-11日の長い下降ラインを上抜いてきた。今回は4月27日-28日の下降ラインを上抜いた。そのラインのサポートは5月8日では80.0あたりになる。先週木曜は一旦ボリンジャーバンド下限に接した。今もボリバン下限近くで推移しているがドル売りには少し気をつけたいレベルだ。5日移動平均線はまだ下向きである。ただ今週からは外貨投信の払い込みもあり、新聞の広告でもあるように外債、外貨預金のキャンペーンもある。輸出は今週でドル売り予約も一服するだろう。4月半ばからのドル売りも小休止か。例年だと5月は半ばからドル円は底堅くなる。また本日5月9日(月)は休み明けで東京市場が始まる9時前後からは仲値決定までは休みに溜まっていた輸入や送金のドル買いが増える。ただドル円仲値決定の10時、クロス円仲値決定の11時を過ぎると今度は一転輸出が出始めるのであまり円売りで強欲にもならないでほしい。

【南アランド円】 予想レンジ:11.50-12.50 
 (政策金利決定あり)

予想通り政策金利は据置となった。ユーロと資源価格の下落で南アランドも連れ安となった。

(先週の予想は以下の通り)
例年のGWの円高と言ってしまえばそれまでだが、今年も円高が進み、対価としてランドが売られた。またリスク選好の後退でランドは対ドルでも売られた。ただ日本勢が今週は戻りまた輸出のドル売りもそろそろ一服するので円高ランド安のペースは落ちるだろう。今年のGWでの円高ランド安の材料は3つあった。4月27日のバーナンキ議長の1Qの景気減速発言とそれに続く1QGDPの低下や他の経済指標の悪化、5月2日のビンラディン殺害、また中国株がインフレ懸念による金融引き締め観測で下げていることであった。南ア国内要因ではないが、リスク回避の動きでランドは売られた。南ア国内指標では4月SACCI景況感指数は86.9で3月の88.3より悪化したが、4月自動車販売は前年比8%上昇、3月貿易収支は10億ランドの黒字で2月の4億の赤字から改善した。これは商品価格の上昇によるものだ。また3月PPIは前年比+7.3%で2月の6.7%より上昇した。現在CPIは3月で+4.1%でインフレターゲットの3%から6%の中位以下にあるが上昇基調にあるということで中銀のインフレ懸念は消えない。先週の商品価格の下落を考慮すれば今週12日の政策金利決定は据置となるだろう。18日には4月CPIの発表がある。南アの株価指数も上記のようにGWは下落した。

通貨ランドについての政府のコメントは以下の通りである。ランド高は懸念しているが積極的な押し下げ介入には踏み込まないということだろう。

*デービス貿易産業相=ランドは過大評価されているが、食料・燃料価格の上昇はランド政策を複雑にしている。
*ゴーダン財務相=ランドを弱めるために介入することを計画していない。

今週は資源通貨ランドに影響を与える中国のCPI、貿易収支など多くの指標が発表される。米中経済戦略対話もある。同じ資源国通貨の豪は雇用統計を発表する。ギリシア債務問題で揺れるユーロの影響も受けよう。

テクニカルではGW連休中に4月26日-27日の上昇ライン、4月18日-26日の上昇ラインを破り11.79まで下落していたが、先週金曜日には5月2日-3日の下降ラインを上抜いて越週した。ボリンジャーバンドの下限に一旦先週木曜日触れてやや回復している。5日移動平均線はまだ下向きで本格的反転ではまだない。一目均衡表の雲には突入しなかった。雲は現在11.52-11.80.5月週足は陰線、年足も陰線に転じて現在、ランドは今年最弱通貨となっている。

来週のワタシの「注目通貨ペア!」※チャートはクリックで拡大できます

来週の「注目通貨ペア!」

ドル円
豪ドル円

【ドル円】 予想レンジ:78-83
先週金曜と本日月曜は外債利金受け取りの円買いの他に日経平均の下げによるリスク回避の円高にも注意したい。ただいくら株が下がり雇用や給与の減少があり、その対策としての財政赤字の拡大があっても円高はメリットという政治家や学者がいるのは困ったものだがそれが現状だ。

4月7日から始まり、GW中も続いたドル円での円高は先週の週足は僅かながらも陽線となった。月足ではまだ陰線、年足でも僅かに陰線となっている。大きな動きとはなっていない。円は主要9通貨の強さでは7位であり、円より弱いのは米ドルと南アランドである。欧州通貨と資源国通貨には弱い。週足では4月11日週と25日週の下降ラインを上抜いて歯止めがかかったようだ。ただ日足の5月5日-10日の上昇ラインは微妙なところにある。一旦下抜いたが下ヒゲをつけて戻ってきた。先週末と本日16日はまだ外債利金の円買いがあるが、それを越せば輸出のドル売り円買いも収まってくるころなので横ばいからやや円安方向へ推移しよう。4月12日から下向いていた5日移動平均線は上向きに反転している。ボリンジャーバンドは5月5日に一旦下限に接したがそこからはリバウンドしている。現在は一目の雲の下限にある。雲は80.89-82.21である。

武田薬品工業がスイスの製薬大手ナイコメッドを買収する交渉を進めている。買収額は1兆円を超える見通しだ。1兆円を超える日本企業の外資買収は、日本たばこ産業の英ギャラハー買収の2.3兆円、ソフトバンクによるボーダフォン日本法人の買収1.9兆円などがある。ただその買収で為替取引が起これば市場に大きなインパクトがあるが、そういうことはあまり起こらない。実際の買収は為替を使うことはない。それほどキャッシュリッチの会社はないし、お金を借りて買収するなら、自国通貨で借りずに相手国通貨で借りたり起債することが多い。

【豪ドル円】 予想レンジ:82-87
他のどの国よりも順調に経済成長を遂げてきているが、その原動力は中国などのBRICsの資源需要があった。ただ中国の景気がやや減速している。4月は27カ月ぶりに自動車生産と販売が前年比マイナスとなった。さらに液晶パネルの販売も5月になってから落ち込んでいる。

内部要因ではこれまで強みであった雇用が先週は4月新規雇用者が予想の+1.7万人が-2.21万人となり豪ドルが弱含んだ。

またバーナンキ議長が1QGDPの減速を説明した通りGDPを含め米国の景気指標が弱含んだこと、急騰を続けていた資源価格がビンラディン殺害をきっかけに急落したこと、中国のCPIが5%超で高止まり、金融引き締め観測が消えず中国の株価が下落、豪の株価も連れ安となっている。それぞれがここまで豪ドルを押し上げていたリスク選好の流れに水を差し豪ドルの下落に繋がった。

RBA四半期報告では「雇用の伸びは強く、失業者は徐々に減っていく」としていたが雇用は弱くなり「家計の支出は慎重、住宅市場は依然として抑えられている」と示しているように経済指標も陰りを見せ始めている。さらに「豪ドル高で製造業や観光事業に打撃を与える」ともしている。これらがCPIの上昇で即利上げとならない要因だ。次の大きな焦点はその台風で悪化が予想される1QGDPだがその発表は6月1日となる。そして1Q以降の生産水準は数ヶ月かけて回復するとみられ、復興作業が需要を穏やかに押し上げると予測される。

2月貿易収支は洪水による石炭減産で赤字となったが、3月貿易収支は予想の5億の黒字のところ17.4億の黒字となった。予算の発表もあった。資源価格の上昇で好調だった税収も台風・洪水被害で減収が予想される。財政赤字の黒字化は2013年を目指すことになろうが、それは炭素税収入増を見込んでいる。野党保守党は反対し、国民も先のNSW、VIC州では炭素税導入を反対しているのでギラード首相の今後の政権運営は難しい。税収減少の中でお金のかからない雇用促進対策は打ち出したようだ。

また先週は米中戦略経済対話が行われた。両国間の富をシェアーするという意識が出来そうだが、そうなると人民元の切り上げもさらに進み、インフレ懸念から再利上げがあれば中国景気を下押し、豪の資源産業も影響しよう。引き続き外部要因が豪ドル相場を左右しよう。ただ調整で下げがあっても他のどの国よりも恵まれた条件下にあることは続くので下げ局面では冷静に拾いたいところである。下げトレンドラインを上抜けるところがそのポイントになるだろう。現在は5月11日-13日の下降ラインの下で推移している。5日移動平均線も下向き、一目均衡表の雲の上限の84.38に近くなってきた。ボリンジャーバンドの下限85.23も近い。82-87か。

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